自然公園制度
自然公園制度の概要
自然公園とは、優れた美しい自然の風景地を保護していくとともに、その中で自然に親しみ、野外リクリエーションを楽しむことができるように指定された区域です。
ただし、土地の所有にかかわらず地域を指定する地域性公園であるため、公有地(国有地、県有地など)だけでなく、民有地も多く含まれています。
自然公園として指定されている優れた自然の風景地は、その環境に即して生きている様々な野生生物やその土地の風土などが相まって作られてきたかけがえのないものです。
このような自然の風景地を保護するために保護計画と、自然を楽しんでもらうために利用計画を定め、自然公園を管理しています。
また、自然公園の制度は、日本の自然環境保全制度の中で歴史的にも古く、生物多様性保全の屋台骨となる大きな役割を担っています。
- 自然公園制度について(PDF形式 971キロバイト)
地域制公園
一般に「公園」と呼ばれるものは、「営造物公園」と「地域制公園」とに大別されます。
「営造物公園」とは、国や地方公共団体などが用地を確保し、施設整備を行って一般に公開する公園のことです。我が国では、都市公園法に基づく都市公園などが営造物公園です。
一方、我が国の自然公園は、国や都道府県が土地の管理権を有することなく指定し、一定の公用制限のもとで自然の風景地の保護を図る「地域制公園」です。
この制度は、日本のように既に高密度な土地利用が行われている国土における自然公園の指定や、原生的な自然のみならず人文景観や人々の営みによって形作られた二次的自然景観の保全に有効な制度です。
一方、その管理に当たっては、公園内にある国民の財産権及び各種の産業との調整が重要であり、地域とのパートナーシップが求められます。
自然公園の指定
自然公園は、自然公園法(外部リンク)に基づき指定されており、規模及び景観の程度により、国立公園、国定公園、都道府県立自然公園に区分されています。
和歌山県内では15か所が自然公園に指定されています。
定義
区分 | 指定者 | 指定の要件 | 根拠法令 | 行政的管理責任者 |
---|---|---|---|---|
国立公園 | 環境大臣 | 同一の風景型式中、我が国の景観を代表するとともに、世界的にも誇りうる傑出した自然の風景であること。 | 自然公園法 | 国 |
国定公園 | 環境大臣 | 国立公園の景観に準ずる傑出した自然の大風景であること。 | 自然公園法 | 県 |
県立自然公園 | 知事 | 県の風景を代表する傑出した自然の風景であること。 | 和歌山県立自然公園条例 | 県 |
指定等の手続
区分 |
指定 |
公園計画 |
公園事業 |
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国立公園 | 国(環境大臣)が、関係都道府県、審議会の意見を聴いて決定 | 国(環境大臣)が、関係都道府県、審議会の意見を聴いて決定 | 国(環境大臣)が、審議会の意見を聴いて決定 |
国定公園 | 国(環境大臣)が、関係都道府県の申し出により、審議会の意見を聴いて決定 | 国(環境大臣)が、関係都道府県の申し出により、審議会の意見を聴いて決定 | 知事が審議会の意見を聴いて決定 |
県立自然公園 | 知事が、関係市町村、審議会の意見を聴いて決定 | 知事が、関係市町村、審議会の意見を聴いて決定 | 知事が、審議会の意見を聴いて決定 |
自然公園の公園計画
自然公園制度は、風致景観の保護と利用という、一見すると相反する目的を持っているため、保護と利用の調和を図るために公園計画を策定し、行為規制及び施設整備等を行っています。
公園計画は規制計画と事業計画に大別されます。詳細は、環境省の公園計画解説ページ(外部リンク)を参照してください。
自然公園の保護
自然公園内の優れた自然の風景や豊かな生態系を守り、今の姿をそのまま後世に引き継ぐことは、今生きている私たちの責務です。
そのために、自然公園内では、一定の規制を設定しています。
また、国や県では、自然を保全するため、様々な取り組みを行っています。
自然公園内の行為規制
自然公園の区域内には、公園計画に基づいて特別地域が指定されています。特別地域はさらに特別保護地区(国立・国定公園のみ)、第1種、第2種、第3種と区分されています。また、国立・国定公園の海域の一部は海域公園地区に指定されています。
特別地域及び海域公園地区では、区分に応じて様々な行為が規制されており、規制されている行為は許可を受けなければすることができません。
また、自然公園区域のうち、特別地域及び海域公園地区に含まれない区域(普通地域)では、規制されている行為について届出が必要となります。
- 自然公園特別地域内行為規制基準
- 申請書電子データダウンロード
- 国立公園内許可申請・届出書(外部リンク)
- 国定公園内許可申請・届出書(許可様式(圧縮ファイル(ZIP) 1,157キロバイト)、事業様式(圧縮ファイル(ZIP) 443キロバイト))
- 県立自然公園内許可申請・届出書(許可様式(圧縮ファイル(ZIP) 161キロバイト)、事業様式(圧縮ファイル(ZIP) 80キロバイト))
規制されている行為の内容や、許可申請などの手続の詳細については、各公園の担当窓口にお問い合わせください。
自然公園担当窓口
区分 |
公園名 |
管轄区域 |
担当窓口 |
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国立公園 | 吉野熊野 |
田辺市 みなべ町 白浜町 すさみ町 串本町(一部) |
吉野熊野国立公園管理事務所 田辺管理官事務所 〒646-0028 和歌山県田辺市高雄一丁目23番1号 田辺市民総合センター3階 TEL:0739-34-5061 |
新宮市 那智勝浦町 太地町 北山村 串本町(一部) |
吉野熊野国立公園管理事務所 〒647-0043 和歌山県新宮市緑ケ丘2-4-20 TEL:0735-22-0342 |
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国立公園 | 瀬戸内海 | 和歌山市 |
大阪自然保護官事務所 〒530-0042 大阪市北区天満橋1丁目8番75号 桜ノ宮合同庁舎4階 (近畿地方環境事務所内) TEL:06-6881-6504 |
国定公園 | 高野龍神 |
かつらぎ町 高野町 |
伊都振興局健康福祉部(橋本保健所) 衛生環境課 〒649-7203 和歌山県橋本市高野口町名古曽927 TEL:0736-42-5443 |
有田川町 |
有田振興局健康福祉部(湯浅保健所) 衛生環境課 〒643-0004 和歌山県有田郡湯浅町2355-1 TEL:0737-64-1293 |
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田辺市 |
西牟婁振興局健康福祉部(田辺保健所) 衛生環境課 〒646-8580 和歌山県田辺市朝日ヶ丘23-1 TEL:0739-22-4115 |
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国定公園 | 金剛生駒紀泉 | 紀の川市 |
那賀振興局健康福祉部(岩出保健所) 衛生環境課 〒649-6223 和歌山県岩出市高塚209 TEL:0736-61-0022 |
橋本市 かつらぎ町 |
伊都振興局健康福祉部(橋本保健所) 衛生環境課 〒649-7203 和歌山県橋本市高野口町名古曽927 TEL:0736-42-5443 |
||
県立自然公園 | 高野山町石道玉川峡 | 全域 |
伊都振興局健康福祉部(橋本保健所) 衛生環境課 〒649-7203 和歌山県橋本市高野口町名古曽927 TEL:0736-42-5443 |
県立自然公園 | 龍門山 | 全域 |
那賀振興局健康福祉部(岩出保健所) 衛生環境課 〒649-6223 和歌山県岩出市高塚209 TEL:0736-61-0022 |
県立自然公園 | 生石高原 | 紀美野町 |
海草振興局健康福祉部(海南保健所) 衛生環境課 〒642-0022 和歌山県海南市大野中939 TEL:073-483-8825 |
有田川町 |
有田振興局健康福祉部(湯浅保健所) 衛生環境課 〒643-0004 和歌山県有田郡湯浅町2355-1 TEL:0737-64-1293 |
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県立自然公園 | 西有田 | 全域 |
有田振興局健康福祉部(湯浅保健所) 衛生環境課 〒643-0004 和歌山県有田郡湯浅町2355-1 TEL:0737-64-1293 |
県立自然公園 | 白崎海岸 | 全域 |
日高振興局健康福祉部(御坊保健所) 衛生環境課 〒644-0011 和歌山県御坊市湯川町財部859-2 TEL:0738-22-3481 |
県立自然公園 | 煙樹海岸 | 全域 |
日高振興局健康福祉部(御坊保健所) 衛生環境課 〒644-0011 和歌山県御坊市湯川町財部859-2 TEL:0738-22-3481 |
県立自然公園 | 城ヶ森鉾尖 | 有田川町 |
有田振興局健康福祉部(湯浅保健所) 衛生環境課 〒643-0004 和歌山県有田郡湯浅町2355-1 TEL:0737-64-1293 |
日高川町 |
日高振興局健康福祉部(御坊保健所) 衛生環境課 〒644-0011 和歌山県御坊市湯川町財部859-2 TEL:0738-22-3481 |
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田辺市 |
西牟婁振興局健康福祉部(田辺保健所) 衛生環境課 〒646-8580 和歌山県田辺市朝日ヶ丘23-1 TEL:0739-22-4115 |
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県立自然公園 | 果無山脈 | 全域 |
西牟婁振興局健康福祉部(田辺保健所) 衛生環境課 〒646-8580 和歌山県田辺市朝日ヶ丘23-1 TEL:0739-22-4115 |
県立自然公園 | 日置川 |
全域 |
西牟婁振興局健康福祉部(田辺保健所) 衛生環境課 〒646-8580 和歌山県田辺市朝日ヶ丘23-1 TEL:0739-22-4115 |
県立自然公園 | 白見山和田川峡 |
全域 |
東牟婁振興局健康福祉部(新宮保健所) 衛生環境課 〒647-8551 和歌山県新宮市緑ケ丘2-4-8 TEL:0735-22-8551 |
県立自然公園 | 古座川 |
白浜町 すさみ町 |
西牟婁振興局健康福祉部(田辺保健所) 衛生環境課 〒646-8580 和歌山県田辺市朝日ヶ丘23-1 TEL:0739-22-4115 |
古座川町 |
東牟婁振興局健康福祉部(新宮保健所) 串本支所 保健環境課 〒649-4122 和歌山県東牟婁郡串本町西向193 TEL:0735-72-0525 |
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県立自然公園 | 大塔山 | 田辺市 |
西牟婁振興局健康福祉部(田辺保健所) 衛生環境課 〒646-8580 和歌山県田辺市朝日ヶ丘23-1 TEL:0739-22-4115 |
新宮市 |
東牟婁振興局健康福祉部(新宮保健所) 衛生環境課 〒647-8551 和歌山県新宮市緑ケ丘2-4-8 TEL:0735-22-8551 |
||
古座川町 |
東牟婁振興局健康福祉部(新宮保健所) 串本支所 保健環境課 〒649-4122 和歌山県東牟婁郡串本町西向193 TEL:0735-72-0525 |
保護のための制度等
制度等の名称 |
制度等の概要 |
和歌山県内の状況 |
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車馬等乗入れ規制制度(外部リンク) | 多数利用による混雑や自然破壊が問題となることもあり、利用規制する箇所を指定しています。指定地域では、場所と時間を限って公共道路についてマイカー規制を実施したり、スノーモービルなどの乗入れを規制しています。 | 県内では、吉野熊野国立公園内の「王子ヶ浜」(新宮市)と「千里の浜」(みなべ町)の2か所が乗り入れ規制地域に指定されています。 |
海域公園地区 |
海域公園地区とは、国立・国定公園内で、特に優れた海中の景観を保護し、その景観を大切に利用するために指定される区域です。区域内では指定された動植物を採捕することや海底の地形を変更することなどが規制されます。 なお、平成21年(2009年)に自然公園法が改正(平成22年4月施行)される前は「海中公園地区」という名称でした。 |
昭和45年(1970年)に吉野熊野国立公園の串本地区が海中公園地区第1号として指定されました。平成17年(2005年)には周辺海域を含めてラムサール条約湿地に登録されました。 |
民有地買上げ補助 | 自然公園区域内には、民有地が多く含まれています。保全上特に必要のある箇所については、国立公園では環境省が買い上げを行い、国定・県立自然公園では市町村が土地を買い上げ、県が市町村に補助を行っています。 | 和歌山県では、昭和57年度(1982年度)に日本のナショナルトラスト草分けの地の一つである天神崎(現吉野熊野国立公園内。平成27年9月までは田辺南部白浜海岸県立自然公園内)で初めて民有地買い上げを行いました。そのほか、生石高原県立自然公園内のススキ草原や大塔日置川県立自然公園内の百間山渓谷などで数次にわたって買い上げ実績があります。 |
自然公園の利用
自然公園は、自然を守るだけでなく、自然についての知識を深めたり、健康やレクリエーションのために自然とふれあう場でもあります。
自然公園の優れた自然環境を利用し、安全に自然に親しむため、公園計画に基づいた公園事業として園地や休憩所、登山道や遊歩道等を整備しています。
公園事業
公園事業とは、公園の景観または景観要素の保護、利用上の安全の確保、適正な利用の増進もしくは生態系の維持または回復を図るために必要な施設整備や様々な対策に関する計画である公園事業に基づき行うものです。
公園事業は、国立公園にあっては、原則として国(環境省)が実施し、国定公園及び県立自然公園にあっては、県が実施することとなっています。
環境省以外の国の機関や市町村、民間事業者などが、協議や認可などの手続の上で公園事業を実施することもできます。
公園事業(利用施設)の執行
種類 |
和歌山県の取組 |
事業執行の例 |
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歩道・橋 | 自然公園内に登山道などを設置、整備しています。また、ベンチやトイレなども併せて設置しています。 | 丹生川五光の滝など |
広場・園地 | 園地や広場を、自然公園利用の拠点として整備しています。維持管理については市町村に委託しています。 | 美浜町西山園地、生石高原など |
休憩施設・展望施設・案内板 | 自然公園の展望地や利用の中心に休憩所や展望所を整備しています。案内板を設置して利用案内を行っています。 | 串本町潮岬芝生広場など |
野営場 | キャンプ場を中心に整備しています。 | 本宮川湯野営場など |
駐車場 | 自然公園に訪れる利用者のために駐車場を整備しています。 | (県内多数) |
博物館・博物展示施設 | 周辺の自然などを展示解説するとともに、自然公園の情報提供をするための博物展示施設を整備しています。 | ひき岩群ふるさと自然公園センター |
自然公園を支える取り組み
和歌山県では、県と関係市町村が協力し、国立・国定・県立自然公園の管理及び整備を行っています。
国立公園については、環境省が直接保護や利用のための施策を推進しています。
また、行政職員だけでなく、ボランティアの人々も力を合わせて活動をしています。
自然公園指導員
環境省が、都道府県や自然公園関係団体などからの推薦に基づき委嘱する制度で、現在、和歌山県内では38名の方々が主として国立・国定公園で活動しています。自然公園指導員制度の趣旨や自然公園指導員の活動内容などについては環境省の自然公園指導員についてのページ(外部リンク)を参照してください。
和歌山県自然公園指導員
環境省の自然公園指導員制度にならって、和歌山県自然公園指導員制度を平成23年度に発足させました。