裁決手続きの流れ

  • 事業認定

土地調書の作成

物件調書の作成

裁決の申請

裁決申請の受理

  • 収用委員会での手続き

広告・縦覧

裁決手続開始決定
登記

審査 調査・鑑定

検討

裁決

1. 裁決の申請

収用裁決の申請には、土地の所有権(又は使用権)を取得するための裁決申請と、収用(又は使用)しようとする土地にある物件を撤去して土地の明渡しを受けるための明渡裁決の申立ての2つがあります。

明渡裁決の申立ては、裁決申請とあわせて、又はその後に行われます。

起業者が行う手続

事業認定

起業者は裁決申請に先立って、土地収用法に基づいて国土交通大臣又は都道府県知事の事業認定を受けなければなりません。

起業者が申請した土地の収用(又は使用)が公共のために必要であると認められたときは、事業の認定の告示が行われます。

土地調書、物件調書の作成

起業者は、裁決申請にあたっては土地調書を、明渡裁決の申立てにあたっては物件調書を作成して、添付しなければなりません。

土地調書、物件調書には、起業者、土地所有者、関係人又は市町村吏員の署名・押印が必要です。

土地所有者、関係人は、調書の記載事項に異議があれば、異議の内容を付記して署名・押印をすることができます。

そして、異議を付記した事項については、収用委員会においてその真否を争うことができますが、異議を付記しなかった事項については、記載の内容が真実でない旨を立証しない限り異議を述べることができなくなります。

起業者はこれらの書類を添付して裁決申請及び明渡裁決の申立てを行います。

2. 裁決申請書又は明渡裁決申立書の受理、公告・縦覧

裁決申請又は明渡裁決の申立てがあったときは、収用委員会は法令に適合しているかどうかを審査して受理し、その写しを関係の市町村長に送付し、土地所有者、関係人に通知します。市町村長は、申請又は申立てがあったことを公告し、公告の日から2週間書類を縦覧します。

土地所有者・関係人の意見書の提出

土地所有者・関係人は、縦覧期間中に収用委員会に収用(又は使用)する土地の範囲や権利関係、損失の補償、明渡しの期限などについて、意見書を提出することができます。

縦覧期間経過後に意見書が提出された場合でも、収用委員会が相当の理由があると認めるときは、受理します。

意見書の様式について特に規定はありませんが、少なくとも意見書作成の日付、及び提出者の住所・氏名を記載し押印をして下さい。

3. 裁決手続開始決定、登記

裁決申請書の2週間の縦覧期間が経過すると、収用委員会は裁決手続の開始を決定してその旨を公告し、申請の土地を管轄する登記所に裁決手続開始の登記を嘱託します。

この登記があると相続人などを除き、登記後の権利の移動は起業者に対抗できなくなり、起業者及び収用委員会はこの時点での権利者を当事者として扱うことになります。

4. 審理

縦覧期間後、収用委員会は当事者の出席を求めて、審理を開きます。

審理は、次のような事項について当事者から意見を聞き、意見の対立する点(争点)を整理して、審理を終結します。

起業者に対して

事業計画、交渉経過、収用(又は使用)しようとする土地の区域、損失の補償、権利取得の時期、明渡しの期限などについての説明や意見を聞きます。

土地所有者、関係人に対して

意見書の内容の説明、要求する補償内容、明渡しの期限などについての意見を聞きます。

収用委員会の審理と関係のない事項

収用委員会が裁決において判断すべき事項は、収用(又は使用)する土地の区域、損失の補償、補償を受けるべき土地所有者及び関係人、使用の方法及び期間、権利取得の時期並びに明渡しの期限に関する事項です。

よって、これら以外の事項について、審理及び意見書で意見を述べても、審理に関係のない事項として扱われます。また、収用委員会には事業の適否などについて判断する権限はありません。

5. 裁決

収用委員会では、審理で明らかになった争点について必要な調査、検討を行い、裁決します。
裁決は、裁決申請及び明渡裁決の申立てに対する収用委員会の最終的な判断です。

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