森林病害虫について

ナラ枯れ(カシノナガキクイムシ被害 ) について

ナラ枯れは、ナラ・シイ・カシなどのブナ科の樹木(どんぐりの成る木)が枯れる森林被害です。

1980年代後半から日本全国で被害が拡大し、和歌山県でも1999年(平成11年)に新宮市熊野川町で大発生した後、県中央部から県北部にまでその被害が及んでいます。

木が枯れる原因は、カシノナガキクイムシという昆虫が木の幹に侵入し、その昆虫が媒介する病原菌(ナラ菌)が幹の中にまん延することによるものであり、昆虫の移動を介して次々と健全な木に伝染していきます。

放置しても被害は自然に終息しないため、地域の貴重な巨樹・巨木や広葉樹資源の保全という観点からも、被害拡大防止に努めることが重要です。

カシノナガキクイムシ (カシナガ)について

カシノナガキクイムシ
カシノナガキクイムシ

カシナガは、体長4.3ミリメートルから4.7ミリメートルのとても小さな虫です。

ナラやカシ、シイなどブナ科の樹木(どんぐりの成る木)の中でナラ菌を増やし、その菌を食べて、一生を過ごします。

カシナガは、木の中で親が幼虫を育て、最初に育った幼虫は次に生まれた幼虫を育てます。

一組の親から30匹から50匹、多くて100匹の子どもが生まれるといわれています。

このように繁殖力が非常に強いため、一気に被害が拡大します。

 

ナラ枯れのメカニズム

ナラ枯れのメカニズム

ナラ枯れ被害木の特徴

  • 夏場にもかかわらず葉が赤褐色や茶色に変色している(写真1)
  • 木の根元や幹からフラス(木屑)が出ている(写真2)
  • 幹に直径2ミリメートルほどの小さな穴がたくさんある(写真3)
葉が赤褐色に変色
(写真1)葉が赤褐色に変色
フラス(木屑)
(写真2)フラス(木屑)
穿入痕
(写真3)穿入痕

ナラ枯れ被害対策

和歌山県では、ナラ枯れ被害防止対策として、被害木の伐倒駆除、まん延を防ぐための予防伐採等の事業に取り組んでいます。

情報提供のお願い

ナラ枯れを見つけたら、最寄りの振興局林務課または県庁森林整備課まで情報をご提供ください。
早期発見が早期対策に繋がり、延いては、地域のシンボルツリーや文化的価値のある樹木、貴重な広葉樹資源を守ることに繋がります。

県庁・各振興局連絡先
連絡先 住所 電話番号
海草振興局 農林水産振興部 林務課 和歌山市小松原通一丁目1番地 (TEL) 073-441-3366
那賀振興局 農林水産振興部 林務課 岩出市高塚209 (TEL) 0736-61-0015
伊都振興局 農林水産振興部 林務課 橋本市市脇4丁目5-8 (TEL) 0736-33-4910
有田振興局 農林水産振興部 林務課 有田郡湯浅町2355-1 (TEL) 0737-64-1263
日高振興局 農林水産振興部 林務課 御坊市湯川町財部651 (TEL) 0738-24-2912
西牟婁振興局 農林水産振興部 林務課 田辺市朝日ヶ丘23-1 (TEL) 0739-26-7911
東牟婁振興局 農林水産振興部 林務課 新宮市緑ヶ丘2丁目4-8 (TEL ) 0735-21-9612
県庁森林整備課 森林づくり班 和歌山市小松原通一丁目1番地 (TEL ) 073-441-2981

ナラ枯れ被害と防除に関するパンフレット

松くい虫被害について

松くい虫被害は、「マツ材線虫病」とも呼ばれるマツの木が枯れる森林被害です。
1900年代初頭に西南日本で発生し、国内に拡大・まん延しました。
和歌山県においても、1946年(昭和21年)に被害が確認され、その後、海岸線に沿って県南部から中・北部へ被害が広がっています。
被害の原因は、松くい虫(マツノマダラカミキリ)が媒介する線虫類によるものであり、虫の移動に伴い周辺のマツへ次々と被害が広がります。
松林は、防風・防潮等の公益的機能や林産物の生産、景観の形成等の重要な役割を持つことから、適切な防除を実施し、保全を図ることが必要です。

松くい虫について

マツノマダラカミキリ
マツノマダラカミキリ

松くい虫とは、松を枯らす原因となる線虫類を運ぶ虫のことを言い、マツノマダラカミキリ(体長3センチメートル程度)という昆虫のことをさしています。

マツノマダラカミキリの生態

分布: 北海道を除く日本各地、朝鮮、台湾
発生期間: 約2ヶ月(5月下旬から7月)
生存期間: 45日程度
後食期間: 約20日程度
産卵期間: 約20日目から
産卵数: 約50個(約2個/日・匹)

松くい虫被害のメカニズム

マツノザイセンチュウ
マツノザイセンチュウ

マツが枯れる原因は、「マツノザイセンチュウ」という体長1ミリメートルにも満たない線虫によるものです。

マツノザイセンチュウがマツの体内に入り水分の通導を阻害するため、マツが枯れてしまいます。
しかし、マツノザイセンチュウは自分でマツからマツへ移動できません。
マツの体内に侵入しマツを枯らしたら、運び屋であるマツノマダラカミキリの力を借りて次のマツに移動します。

 
  1. 初夏から夏にかけて運び屋であるマツノマダラカミキリが羽化し、マツノザイセンチュウを体内に入れて次のマツに移動
  2. カミキリがマツの枝の皮を食べ、その際にマツノザイセンチュウがマツの体内に侵入
  3. 侵入したマツノザイセンチュウがマツの体内で増殖し、マツが衰弱
  4. 夏から秋にかけて衰弱したマツにカミキリが産卵
  5. ふ化したカミキリの幼虫はマツの体内で成長し、翌年の初夏から夏に羽化

松くい虫被害木の特徴

松くい虫の被害にあったマツは、夏から秋にかけて変色し、概ね1ヶ月後には葉が赤くなり枯れ始めます。 

その後、春までには完全に枯死してしまいます。

また、被害木からは松ヤニが出なくなるという特徴もあります。

松くい虫被害対策

和歌山県では、松くい虫被害防止対策として、薬剤の予防散布や樹幹注入、被害木の伐倒駆除等を実施しています。

また、感染しても枯れにくい抵抗性マツの苗木生産も行っています。

予防散布
予防散布
樹幹注入
樹幹注入
抵抗性マツの研究
抵抗性マツの苗木生産

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