和歌山県の外来生物対策
【もくじ】
外来生物の問題とは
本県は、変化に富んだ海岸線や緑豊かな山々、清らかな河川、そしてそこには豊かな自然環境により育まれた多種多様な生態系が形成されています。多様な生命とそのつながりは、私たちの生活を豊かにするとともに、日々の食料、燃料、水、気候の安定など恩恵をもたらし、暮らしを支える礎となっています。
しかし、その豊かな自然環境に一つの危機が迫っています。「外来生物」の問題です。
外来生物とは?
外来生物とは、もとも生息・生育していなかった地域に、人間の活動によって外国や国内の他地域から入ってきた生物を指します。
ペットや展示用、食用、研究などの目的で意図的に持ち込まれたものもあれば、荷物に紛れ込んだり付着したりして、非意図的に持ち込まれたものもあります。どちらも人間の活動に伴って持ち込まれたものです。
渡り鳥や、海流で運ばれた魚や植物の種子など、自然の力で移動するものは外来生物には該当しません。
なお、「外来生物」と「外来種」の2種類の言葉がありますが、一般的には特に大きな意味の違いはありません。
タイワンジカ(交雑種) クビアカツヤカミキリ アフリカツメガエル
外来生物がもたらす影響
野生に定着してしまったアライグマや、昨年、国内で発見されたヒアリなど多種多様な外来生物が国内に侵入しています。
外来生物は、全てが野生化し定着できるわけではありません。多くの場合、気候が適さなかったり、捕食できないなどで、定着しないまま姿を消します。しかし、一端定着してしまうと、爆発的に増え、極めて深刻な影響をもたらします。
外来生物が地域に定着することで、もともと生息していた在来の動植物を捕食したり、駆逐したり、その地域の生態系を崩してしまいます。また、在来の近縁種と交雑することで、長い進化の歴史を経て形成されてきた地域固有の遺伝子を失わせるおそれもあります。
その他、人の生命・身体への危害や、農作物被害、漁業資源の減少といった悪影響も懸念されます。特に、農林水産業に係る被害については、家畜、飼料、園芸、緑化、受粉、害虫の天敵など様々な分野で外来生物が利用されており、私たちの生活を支えている一方で、管理下から逸出することによる既存生態系への深刻な影響が懸念されます。
表 外来生物の影響
捕食 |
「食べる-食べられる」の関係を通じ、もともと そこに生息していた動物や植物を食べてしまう。 |
ブラックバス、ブルーギル、アフリカツメガエルなど |
競合 |
同じような食物や生息環境を持っている在来の生物と競争により、それを奪い、駆逐してしまう。 |
タイワンリス、ホテイアオイ、ナルトサワギクなど |
交雑 |
在来種と交雑して雑種をつくることで、地域固有の遺伝子を失わせたり、病気などに対する抗体を失わせたりする。 |
タイワンザル、タイワンジカ、タイリクバラタナゴなど |
人の生命 や生活 |
人に病気や危害を加えたり(咬傷、伝染病、花粉症など)、住宅に棲み着き糞尿などで被害を及ぼしたりする。 |
ヒアリ、カミツキガメ、セアカゴケグモ、オオブタクサなど |
産業 |
農業、林業、漁業、利水障害 |
アライグマ、クビアカツヤカミキリ、オオバナミズキンバイなど |
外来生物による被害の予防
そもそも外来生物問題とは、外来生物そのものに罪があるわけではなく、それを故意であれ無意識であれ、持ち込んでしまった人間に問題があります。外来生物の問題は、”人の行為により引き起こされる”ということを忘れず、一人一人が、この問題の深刻さを理解し、行動することが何よりも大切です。
近年、無責任な飼い主によって、ペットとして飼われている外来生物が捨てられて野生化することが問題となっています。生きものを飼養する際は、その生きものの特性(寿命や成長したときの大きさ、生態等)を十分調べた上で責任を持って終生飼養してください。
外来生物対策の基本は、「入れない」「捨てない」「拡げない」(外来生物被害予防三原則)です。このことを心に留めておくことが外来生物問題を予防する第1歩になります。
◇外来生物被害予防三原則
●入れない
悪影響を及ぼすおそれのある外来生物を自然分布域から非分布域へ「入れない」
●捨てない(逃がさない・放さない・逸出させないことを含む)
飼養・栽培している外来生物を適切に管理し「捨てない」
●拡げない(増やさないことを含む)
既に野外にいる外来生物を他地域に「拡げない」
外来生物については、法律と和歌山県条例によって規制されています。
法律では、違反すると個人・法人の場合とも、重い罰則が課せられる場合があります。
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