イベントレポート(平成27年度「みんなに男女共同参画」提案事業「大災害!あなたの地域は本当に住民の命と健康を守れますか?〜高齢者・子ども・女性などの視点から〜」)
講座・イベント情報
講座・イベントレポート
講座名
「みんなに男女共同参画」提案事業 減災と男女共同参画講演会
「大災害!あなたの地域は本当に住民の命と健康を守れますか?〜高齢者・子ども・女性などの視点から〜」
講 師
浅野 幸子さん
減災と男女共同参画推進センター共同代表
開催日時
平成28年1月11日(月曜日・祝日)
場所
和歌山JAビル 11階 会議室
企画運営
和歌山イコール会議
内容
「女性と災害」問題への理解を深め、地域の避難所運営への女性の参画や災害時の支援ネットワーク構築の必要性などに気づき、受講を契機に具体的な取組へと繋げることを目的に講演会を実施しました。
講師は、まず「大規模災害時の被災の実態」について、過去の震災における自身の支援活動の経験や各種大型災害でのデータに基づいてお話されました。
特に東日本大震災では津波被害が大きく、高齢者、障害者、特に避難行動の面でハンディを持つ方の死亡率が高かったことを挙げ、「平日の昼間、高齢者や障害者や赤ちゃんなど、災害時にケアしないといけない人のそばにいるのは圧倒的に女性が多い。
このため災害時には女性が中心となり地域の避難を担わなければならないが、避難訓練や地域行事の企画、運営の中核に女性は入っていない。
女性が要支援者らをうまく逃がせるようにするためにも、もっと運営の中核に入ってもらう必要がある。」と話されました。
また過去の災害では、被害から逃れたのに、生活環境の悪化によって避難生活中に亡くなられる方、いわゆる災害関連死が多かったことを挙げ、一人一人の避難行動から避難生活における過程ごとにどんな問題が起こるのかを、ワークも交え話されました。
次に、「性別や立場で異なる災害時に起こる困難」について、様々な視点から解説されました。
「環境面」では、避難所に着替えや授乳、下着を干す場所がない、乳幼児・障害者・認知症の人などが居づらいなどの問題、「物資の不足と配布方法」では、育児・介護・生理用品などの不足、これら物資の男性のみでの配布や在宅避難者に支援物資が届かないなどの問題、「心身の健康」では、アレルギーや慢性疾患悪化・感染症・女性特有疾患・妊産婦等への医療支援不足、男性特有のストレスなどの問題を説明されました。「安全面」では、DV、性暴力、セクシュアルハラスメントなどの発生と認知度の低さ、子どもの被害、被害者の声の上げにくさなどを指摘、女性や子どもへの注意喚起だけでは解決に繋がらないと説明されました。「家庭・社会生活」では、長期化する女性の炊き出しや一部男性への過度な負担の集中等を説明し、性別役割による弊害と避難所運営・復興協議への多様な参画が出来ていないことなどを話されました。
これらの解決策として、「こんな支援が欲しかった『災害支援事例集』」(東日本大震災女性支援ネットワーク)や『男女共同参画・多様性配慮の視点で学ぶ 防災ワークブック』(減災と男女共同参画推進センター)などから、助け合いの好事例を示し、女性の要望を積極的に掘り起すこと、男女ともリーダーシップを積極的に発揮すること、女性、高齢者等の専用スペースを設けること、在宅被害者支援の仕組みをつくること、託児・宅労支援を設けることなどについて解説されました。
講座後、参加者からは、「女性自身が横断的にかかわっていくことの重要性をよく認識できました。」「男性だらけの発想や考え方に偏っていたことに反省しました。目からウロコが取れた思いです。」などの感想が寄せられました。
会場の様子 講師の浅野幸子さん