イベントレポート“りぃぶる”語り合い広場「多様な性を知ることから始めよう~差別や偏見のない社会のために~」

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イベントレポート

講座名

“りぃぶる”語り合い広場「多様な性を知ることから始めよう~差別や偏見のない社会のために~」

講師

東 優子 さん(大阪公立大学大学院現代システム科学研究科教授)

開催日時

令和6年7月27日(土)13:30~15:30

場所

和歌山県ジェンダー平等推進センター“りぃぶる”会議室A   

内容

 性的少数者、LGBTQなどの言葉が少しずつ浸透してきている一方で、当事者の実態や心情はまだまだ理解されないのが現状です。また就職時や職場、学校でのカミングアウトのしにくさなどがあるほか、差別や偏見のなか生きづらい当事者が多いことから、この社会を構成する一人ひとりが、まずは課題の実態を知り、当事者の苦しみや差別、偏見の実情への理解を深めていくことを目的に実施しました。

 講師は、性的マイノリティについて社会全体の関心が高まっていることについて、1990年代半ばに埼玉医科大学が性転換手術(現在では「性別適合手術」)を正当な医療と認めたことや、国連で2013年にLGBTQの人権課題に取り組み始め「なんびとも性的指向や性自認を理由に差別されたり、排除されたりしてはいけない」としたことで、日本でも理解を深める活動が加速してきているのだと説明されました。

 さらに、「マイノリティ」という言葉は、少数派という“数”の意味と “中央の円から外に出される”、“周縁化される”という意味もあることを話され、女性が数のうえでは半分を占めているのに社会的マイノリティと言われるのは、その所以だと語られました。

 日本では学校などでLGBTQの当事者に対するいじめや排除だけでなく、TV番組などで差別的な言葉を口にすることで笑いを取るスタイルに繰り返し触れる機会が日々積み重なるように起こっており、不登校の経験、自殺念慮を抱く、自傷行為などに繋がる生きづらさを感じさせている現状を述べられました。

 次に、「カミングアウト」と「アウティング」について説明されました。「カミングアウト」は「Coming out of the closet」が語源であり、誰にも言えない秘密のクローゼットのなかから出てくる、自分で自分のことを表明する自発的な行為ではあるが、信頼している相手に伝えるという形だけでなく、誰かの発言に対して怒りや抗議を表明する形も含まれる。一方で、「アウティング」は本人がクローゼットのなかに隠れて恐れおののいているかもしれないのに、本人の同意なく引きずり出す行為であり、当事者が大切に紡いできた学校や職場での人間関係を強引に崩してしまうことにもなるのだと訴えられました。

 最後に、私たちが目指す社会は誰一人取り残されることなく、インクルーシブな(包摂的な)社会のために個々の能力が最大限に発揮される社会である。多様な性に対して私たちが無関心でいる社会が、多様な性の人々の生きづらさを助長し追い詰めることになりかねないため、私たちは知らないことを言い訳に、問題に取り組まないわけにはいかないと結ばれました。

 参加者からは、「マイノリティを分かりやすく詳しく説明してくれた。とらえ方など現状もよく分かりました」「インクルージョンについてのお話、カミングアウトとアウティングのちがいについてのお話が特に印象に残った。多様性について学べた」などの感想をいただきました。

     東 優子さん    会場の様子

           東 優子さん               会場の様子

   

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