イベントレポート 「“りぃぶる”語り合い広場 『多様な性を生きるということ~理解を深めるために~』

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イベントレポート

講座名

“りぃぶる”語り合い広場  「多様な性を生きるということ~理解を深めるために~」

開催日時

令和4年12月3日(土)13:30~15:30

場所

和歌山県男女共同参画センター”りぃぶる”会議室B

講師

いわたに てるこさん(カラフルチャイルド代表)

参加者数

10人

内容

 「性的少数者」という言葉は社会的に認知されてきていますが、依然、差別が残るなど正しい理解は十分とはいえない状況です。今回の講座は、そんな現状を背景に「多様な性」についての正しい知識を得るとともに理解を深めることを目的に開催するとともに、講師自身の体験から身近な人からのカミングアウトについて学ぶ機会としました。

 はじめに、小学生向けDVD教材を視聴し、「性別」に関する思い込みに気づくとともに、性別は外見で判断し決めつけられるものではないことを認識しました。

 続いて、「LGBTQ」等の言葉の説明とともに、時代は「LGBTQ」から「SOGI(ソジ)」(Sexual Orientation(性指向)。性指向が同性の方へ向くか異性の方へ向くか。Gender Identity(性自認)。性別違和感の有無や明確か否か。の略)、または、「SOGIESC(ソジースク)」(SOGIにGender Expression(性表現)とSex Characteristics(身体の性)を追加して表した言葉)へ移行しつつあり、「LGBT」は自分とは無関係だと考える人も「SOGI」は全ての人に当てはまるので、講師は「SOGI」を使うようにしていると話されました。

 性同一性障害者が性別の変更を希望した際には、法律により二人以上の医師による性同一性障害の診断が必須であることや、18歳以上であること等6項目すべてに該当することが必要であり、性別適合手術が保険適用になったものの、持病や経済的理由から手術ができない人も多く、受診者30,000人以上の内、性別を変更した人は10,301人(2020年末現在)しかいないと難しさも指摘されました。

そして、講師自身が子供からのカミングアウトを受け入れられた理由として、①幼少期から違和感を感じ続けていてセクシュアル・マイノリティかもしれないという心づもりがあったこと、②セクシュアリティに関する教育訓練を受け知識をもっていたこと、③夫婦、家族、知人などそのことを話せる場があり、そこで否定的なことを言われた経験がほとんどなかったことの3つをあげられ、その後の性別変更までの経緯も率直に話されました。

 今回の講座では、性的少数者の就労に関する課題についても話され、性同一性障害者は、就活時の面接に何を着て行けばいいかわからず面接に行けなかったという事例を紹介され、実際、仕事をもたない人が20%近くおり、安定雇用につながりにくく、非正規職員の割合は約43%で、貧困状態に陥りやすいことが推測されると話されました。

 就職活動についての調査では、87.4%が性的指向・性自認、性別違和による困難等を経験したと回答しているなど課題が多いことを指摘されました。

最後に性的少数者に関する取組事例として、採用の応募書類に性別欄を設けない、トイレの利用は当事者が望む形で利用できるようにする、治療や手術の際に休暇が取りやすいようにする、などが紹介されました。

 講師自身の「知識があったからカミングアウトを受容できた」という言葉から「知る」ことは「力」になるとわかると同時に、もっと広く大人が正しい知識を得て多様な性を受容する男女共同参画社会の実現が急がれると改めて思いました。

参加者からは、「実体験に基づくお話はより理解を深めることとなった。」「講師のご家庭のように誰もが自分の感じる自分で生きることを応援できる環境がとても大切。」などの感想をいただきました。 

※関連記事(令和4年7月23日講座レポート)

 https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/031501/kouzaevent/report/d00211056.html

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