イベントレポート「女性の声を届けよう!新しい時代~どう変わる政治とわたし自身~」
講座・イベント情報
イベントレポート
講座名
女性の声を届けよう!新しい時代~どう変わる?政治とわたし自身~
開催日時
令和元年11月16日(土) 13:00~15:00
講師
三浦 まり さん(上智大学法学部教授)
場所
和歌山県男女共同参画センター“りぃぶる”会議室A
内容
世界経済フォーラムが公表しているジェンダーギャップ指数で日本が低位にある要因として、女性の政治参画の遅れがあることから、女性の政治参画の促す講座を企画しました。そこで、まずは、女性の政治参画の遅れ、なぜ、女性の政治参画が求められているのかを知っていただくため、平成30年5月に成立した「政治分野における男女共同参画推進法(候補者男女均等法)」の策定に携わられた上智大学法学部教授三浦まりさんをお招きし、講演いただきました。
まず最初に、女性議員の比率について、衆議院の女性議員比率が、10.1%に対し、世界平均は24.3%、日本は193ヶ国中165位という現状の説明に参加者一同驚きました。また、地方議会についても、都市部では女性議員比率が30~40%というところもあるが、2017年時点で全国市町村議会のうち1/4は女性議員ゼロ、1/4は女性議員が一人だけと説明がありました。
そして、「政治分野における男女共同参画推進法(候補者男女均等法)」について解説いただきました。この法案は、平成27年4月に週一回の勉強会から始まり、同年8月には骨子ができたものの、そこから成立まで3年かかったこと、参議院では反対票ゼロで可決されたことなどを話されました。この法律では、男女の候補者ができるかぎり均等となることを目指し、国や地方自治体には人材育成や普及啓発といった必要な施策の実施を、政党等には男女それぞれの候補者の数について目標を定めるなどの取り組みを求めているとのことでした。この法律が成立したことによって、各政党は女性候補者の比率について数値目標を定めるようになったこと、また、目標を立てると次は約束を守ろうとすることから、女性候補者ひいては女性議員が増えることになると説明されました。選挙の公示日に女性候補者の比率が報道されるようになるなど、女性の政治参画への関心が高まってきているので、これからも有権者が関心を持ち続けてモニタリングすることがなにより重要であるとのことでした。
次いで、女性議員が増えることによる効果については、女性の経験・女性の関心が高いことが政策に反映されやすくなることであり、具体的には、性暴力・セクハラ、子育て支援、女性の地位権利、非暴力による紛争解決、女性議員を妨げる障壁の排除などを挙げられました。また、女性議員が38%を占めるようになった台湾では、男性議員が夜の会合で物事を決めていたが、そういった場に参加しない女性議員が増えたことから、そうした夜の会合が減ったという例も紹介されました。
さらに、女性議員が増えることによって議員の多様性を生み、単に女性議員が増えるだけでなく、男性議員についても、若い男性に門戸がひらかれるようになる効果もあるとのことでした。
しかし、議会だけでなく街頭演説や挨拶回りといった本人出席が求められることの多い政治活動、議場での授乳できないことや託児室・授乳室の未整備、自宅住所の公開(自宅を事務所にしている場合、自宅住所が公開されることでストーカー被害の恐れも)などの女性議員を阻む壁があり、これらを取り除かないといけないと説明されました。
また、女性議員のなり手を増やすためには、ロールモデルの提示、立候補予定者に自信をつけてもらうこと、仲間を増やすことが必要であり、三浦まりさんが共同代表を務めている一般社団法人パリテ・アカデミーでの取り組みも紹介いただきました。
参加者アンケートでは、「わかりやすくお話しいただき、女性がどんどん社会にでて活躍すべきだと思いました」「時代がかわりつつあることを実感いたしました」「女性が議員になるには、思ったほどハードルは高くないと感じられるようになりました」などの声をいただきました。参加された皆さまには、女性の政治参画の必要性を伝えられたと思います。
講演の様子 三浦 まり さん