イベントレポート(平成30年度男女共同参画公開セミナーin串本)

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講座名

男女共同参画公開セミナーin串本
「 みんなで考えてみる、男女共同参画 」

開催日時

平成30年9月2日(日) 14時~15時半

場所

串本町役場古座分庁舎 大会議室

講師

朴木 佳緒留さん(神戸大学名誉教授)

内容

 講師の朴木先生は、家庭科が女子の必須科目であったことへの疑問から、ジェンダー平等や男女共同参画に目覚めたこと、神戸大学時代に学部長や学長補佐をされた経験から考えたことなどを自己紹介され、自身の阪神淡路大震災での体験や東日本大震災への継続中の支援の経験から災害への備えについて話されました。

 震災後の避難所で女性の意見や立場などが反映されず困った問題として、“しきり”の要・不要問題が起きたことや、災害後も生活の糧が必要なことは男女とも同様であるにもかかわらず、男性は早い段階で、有償でがれきの片づけなどの仕事に就くことができたのに対し、女性はなかなか仕事につけず、毎日、無償で避難所で200人分の炊事を担うといった状況があったこと、また、女性は前向きに井戸端会議的に他の人と話ができたが、男性は「男はじっと我慢し耐えるべし」と教えられてきたため、「ひきこもり」になる問題があったことなどを紹介しました。

 そして災害等の混乱時には「平時」の矛盾が拡大して現れることや男女で「異なる課題」をもつことを指摘し、避難所運営には「男女共同参画」が是非、必要であると説きました。そのうえで、復興過程での好事例として、「地域」を維持したかたちでの「避難所」の設置や、男女共同参画による避難所運営の必要性、洗濯・買い物代行の有用性を紹介されました。

 その後、YES/NOカードを使って参加者の生活の中でのジェンダー意識を質問しながら、ジェンダーの意味や「女性の貧困化」「男性の未婚化」、「女性科学者や高等教育機関の女性の少なさ」等をグラフで示しながら解説されました。 既婚で子どものある人が部長に昇進した際の周囲の反応や、その人への声かけは男女で異なり、男性には「良かった」「頑張れ」など意欲の昇進の言葉が寄せられ、女性には「家はどうなる?」「誰がご飯を作るの?」など冷却(クーリングダウン)の言葉がかけられるというものです。 講師自身が学部長に就任した際も、実父から「ほどほどにしておきなさい」と娘を気遣う善意や親心からの言葉があったとのこと。これが、もし娘でなく息子であったら、きっと異なる言葉かけがあるはずだと、ジェンダーを再生産する仕組みや空気があることを話されました。

 まとめに、課題と展望として、制度改革は必要だが、「見えない問題」をどう「見える」ようするか?が課題であり、大変な仕事に就いた女性に対しては、意欲を喪失させるような、あんな大変な仕事を引き受けなくてもいいのにという見方ではなく、その仕事の辛さをどうすれば軽減できるかを考えることが必要ではないか、さらに、「地位(ポジション)が能力を作る」のだと締めくくられました。

 講師は豊富なご経験から、男女共同参画という考え方や視点を基礎的なところから大変分かりやすく教えて下さり、参加者の理解が深まるとともに男女共同参画の視点への気づきが得られたと思います。
 

講師の朴木佳緒留さん      講演会の様子

講師の朴木佳緒留さん              講演会の様子(Yes・Noカード)

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