青少年健全育成条例の最近の主な改正点
青少年に対する自撮り画像(児童ポルノ相当)要求行為の禁止規定の新設及び夜間の興行場等への入場規制の見直し(平成31年4月1日施行)
改正の目的
○自撮り画像(児童ポルノ相当)要求行為の禁止規定の新設
青少年が自身の裸等をスマートフォン等で撮影し、その画像データを送信させられる「自撮り画像(児童ポルノ相当)」被害が全国的に多発し、和歌山県においても同様の被害が発生している状況から、青少年に対する同画像の要求行為を規制し、さらに悪質行為者に罰則を課すことにより、青少年の同被害を防止することとしました。
○夜間の興行場等への入場規制の見直し
昨今のライフスタイルの変化や共働き世帯の増加により、家族団らんの時間が取りにくい現状等の社会情勢にかんがみて、一定の条件を具備した青少年について、夜間における興行場等への入場を可能としました。
改正の内容
青少年に対する自撮り画像(児童ポルノ相当)要求行為の禁止規定の新設(第26条の2)
青少年に対して、当該青少年にかかる児童ポルノ等の提供を求める行為を禁止するとともに、悪質行為者に対して30万円以下の罰金を課す罰則規定を定めました。
悪質行為者とは
・ 拒まれたにもかかわらず提供を求める方法
・ 欺き、威迫し、又は困惑させる方法
・ 対償を供与し、又はその供与を申込み若しくは約束をする方法
のいずれかにより青少年に対して、当該青少年にかかる自撮り画像(児童ポルノ相当)を要求した者をいいます。
※児童ポルノ等
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第2条第3項に規定する児童ポルノ又は、同法第7条第2項に規定する電磁的記録その他の記録をいいます。
夜間の興行場等への入場規制の見直し(第20条)
夜間における興行場等への入場について、保護者が同伴する15歳に達した日以後の最初の3月31日を経過した青少年(高校生相当)に限り、夜間の興行場等への入場を可能としました。
※15歳に達した日以後の最初の3月31日を経過した青少年とは
当該年度(4月1日から翌年3月31日までの間)内に16歳を迎える青少年をいいます。
※興行場等とは、映画館、ボーリング場、カラオケボックス等をいいます。
興行場等における掲示内容の変更(施行規則第13条)
青少年の夜間における興行場等への入場規制の見直しに伴い、掲示内容の変更がありました。
改正様式に関する説明についてはこちら。
※条例第20条第3項に基づき、夜間に営業を営む興行者は、営業所の場所の入り口の見やすい個所に、青少年の夜間における入場を禁止する旨の掲示することが義務付けられています。 【掲示義務違反…10万円以下の罰金】
有害環境や有害情報から青少年を守るための規定の改正(平成30年4月1日施行)
改正の目的
スマートフォンやアプリ・公衆無線LAN経由のインターネット接続が普及し、フィルタリング利用の促進を図るため、平成29年6月23日に 「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」の一部改正が行われたことに伴い、新たに事業者が確認すべき義務の対象となった「フィルタリング有効化措置」に関する義務規定を新設し、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備を図りました。
改正の内容
青少年のインターネット利用に係る保護者等の努力義務(第21条の7)
保護者に対して、フィルタリング有効化措置を講ずることを希望しない場合、理由書を携帯電話インターネット事業者等に提出することを義務付ける規定を追加しました。
また、保護者の携帯電話インターネット事業者等に提出する理由書及び携帯電話インターネット事業者等の保護者に交付する説明書について、電磁的記録による方法を追加しました。
携帯電話インターネット事業者等の講ずべき措置等(第21条の9)
保護者から理由書の提出を受けたときに限り、フィルタリング有効化措置を講ずることなく特定携帯電話端末等を販売できることとし、当該理由書を必要期間保存することを義務付ける規定を追加しました。
青少年に対する有害刃物類の所持禁止規定の新設と親権者等(青少年の親権を行う者及び未成年後見人)に対する義務の強化(平成27年12月1日施行)
改正の目的
昨今の刃物等が用いられた事犯で、青少年が被害に遭い、あるいは加害に及んでいる状況から、青少年に対する有害刃物類の所持規制するとともに、親権者等の義務を強化することにより、青少年の健全育成と保護を図ることを目的としています。
改正の内容
青少年に対する有害刃物類の所持の禁止規定を新設(第16条の2第1項)
- 青少年に対して、青少年健全育成保護のため、青少年に対する有害刃物類(第13条第2項の規定による指定のあった刃物類及び同条第5項第4号に規定する刃物類)の所持禁止規定を定めました。
青少年の親権を行う者又は未成年後見人の義務規定を新設(第16条の2第2項)
- 青少年の親権者等に対して、青少年が有害刃物類を所持していた場合、その有害刃物類を青少年が所持できないよう保管し、又は必要な措置をとる義務を定めました。
青少年に対する有害刃物類の提出命令規定を新設(第16条の3)
- 青少年に対して、有害刃物類を所持していた場合に、親権を行う者又は未成年後見人が必要な措置を取らない場合その他必要に応じ、知事は、有害刃物類の提出を命ずることができることを定めました。(第1項)
- 有害刃物類が青少年以外の者の所有かつその者が違反となることをあらかじめ知らないで、引き続き所有していると認められる場合又はその情を知らないで取得したと認められる場合においては提出命令規定を適用しないことを定めました。(第2項)
- 提出を受けた有害刃物類について、青年でなくなった当該青少年又は当該青少年から有害刃物類の売渡し、贈与等を受けた青少年以外の者が行う返還手続を定めました。(第3項)
- 返還申請がない場合における有害刃物類の売却及び廃棄手続を定めました。(第4項)
- 有害刃物類の売却にかかる代金の交付手続を定めました。(第5項)
親権者等に対する勧告及び措置命令
- 青少年の親権者等が条例に違反している場合、知事は、期限を定めて、保管その他必要な措置をとるべきことを勧告することができることを定めました。(第16条の4)
- 正当な理由がなく、勧告に従わない場合、知事は、期限を定めて、勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができることを定めました。(第16条の5)
- 命令に従わない場合は、5万円以下の過料の処分を受けることとなります。
有害環境や有害情報から青少年を守るための規定の改正(平成24年7月1日施行)
青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備
改正の目的
青少年を取り囲むインターネット環境において、フィルタリングソフトウェア利用の普及その他青少年がインターネットを利用して青少年有害情報を閲覧する機会をできるだけ少なくして、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備を図ることを目的としています。
改正の内容
青少年のインターネット利用に係る保護者等の努力義務(第21条の7)
- 保護者等に対し青少年の有害情報閲覧防止(フィルタリング)の措置義務及び青少 年にインターネットを適切に活用する能力を習得させる義務を定めました。
- 青少年の携帯電話にフィルタリングを利用しない理由について厳格化しました。
- 青少年の携帯電話にフィルタリングを利用しない場合、保護者は理由書を携帯電話事業者に提出する義務を定めました。
- 青少年の携帯電話にフィルタリングを利用しない場合は、保護者はあらかじめ知事(和歌山県)に意見を求めなければならないことを定めました。(フィルタリングの解除を希望される保護者の方へ(PDF形式 552キロバイト))
端末設備を公衆の利用に供する者の講ずべき措置等(第21条の8)
- インターネットの端末設備の利用を提供する者(インターネットカフェ・まんが喫茶等)に対し、青少年が有害情報を閲覧や視聴することがないようにフィルタリングを活用することなどの義務を定めました。
この義務に違反した場合は、県から勧告され、勧告に従わなかった場合は公表されます。 - プロバイダ等に対し、青少年が有害情報を閲覧や視聴することがないようにフィルタリングに関する情報や、その他必要な情報を提供する努力義務を定めました。
携帯電話インターネット事業者の講ずべき措置等(第21条の9)
- 携帯電話販売店等に対し、携帯電話の新規契約や契約内容変更に際して、契約名義が誰であろうとも、その利用が専ら青少年によるものであるか否かを確認する義務を定めました。
- インターネット利用が青少年に有害情報を閲覧する機会を生じさせることを保護者等に説明する義務を定めました。
- 保護者からフィルタリングを利用しない旨の申し出があった場合、携帯電話販売店等は保護者から理由書の提出を受け、その記録を必要期間保存する義務を定めました。
- 携帯電話販売店等がこれらの義務に違反した場合、県から勧告され、勧告に従わなかった場合は公表されます。
公表に先立ち意見を述べる機会(第21条の10)
- 県の勧告に従わず公表の対象となった者には、公表に先立ちあらかじめ意見を述べる機会が与えられます。
青少年を相手方としてはいけない営業等における年齢確認の協力義務
(第14条第2項及び第3項、第15条第2項、第16条第2項、20条第2項第)
改正の目的
年齢確認が必要な興行、販売、貸し付け等の営業に際して、青少年を相手方としてはいけない営業を営む者(以下「営業者等」と言います。)と客に、年齢確認の協力義務を定めることで、青少年に有害な興行、器具、図書等から青少年を保護することを目的としています。
改正の内容
- 営業者等に対して、客の年齢確認が必要な場合における年齢確認の義務(青少年でないことが明らかな場合を除く。)を定めました。
- 客となる者に対して、営業者等から年齢確認のための書類の提示を求められた場合、年齢確認できる書類(運転免許証や健康保険証等)を提示する協力義務を定めました。
有害刃物類の要件の拡充(平成21年1月1日施行)
世間で販売されているナイフの多くは通称名であり、名称を特定しての有害刃物類の個別指定には限界があることから、条例を改正し包括的要件を追加しました。
改正の目的
軍事用や殺傷用など対人殺傷能力が高く、また、青少年が日常生活で使用する必要性がない刃物類(ナイフ等)の青少年への販売等を規制することを目的としています。
改正の内容
有害刃物類の包括的要件を追加(条例第13条第5項関係)
「刃物類(家庭用、学習用又は業務用(規則で定めるものに限る。)として制作されたと認められる刃物類を除く。)であって、規則で定めるところにより計った刃体の長さが6センチメートルを超え、かつ、規則で定める形状、構造又は機能を有するもの」を有害刃物類と規定した。
規制対象外となる業務を明記(規則第3条第2項関係)
日本標準産業分類(平成19年総務省告示第618号)に掲げる業種により、規制対象外となる業種を列挙した。
- 規制対象外となる業種
-
- 農業、林業
- 漁業
- 鉱業、採石業、砂利採取業
- 建設業
- 製造業
- 電気・ガス・熱供給・水道業
- 宿泊業・飲食サービス業
- 理容・美容業
刃体の測定方法を明記(規則第3条第3項関係)
条例第13条第5項第4号に規定する規則で定めるところにより計った刃体の長さは、刃物の切先と当該刃物の柄部における切先に最も近い点とを結ぶ直線の長さとするとした。
規制対象となる刃物類の形状、構造、機能を明記(規則第3条第4項関係)
刃体が柄に固定され、刃先が片側又は両側にあるもの(固定式)と通常は柄の内部に刃体が収納され、使用に際し、刃体又は柄を回転させることによって開刃させ、刃体と柄を直線的に固定させる装置を有するもの(折りたたみ式)とした。
条例の規定から除外される刃物類
家庭用、学習用又は業務用(規則で定めるものに限る。)として制作されたと認められる刃物
「家庭用」として製作されたと認められる刃物類とは?
通常、家庭生活で使用される「調理用」「食卓用」「園芸用」「裁縫用」等の刃物類を言い、山川等での野外活動(キャンプ等)に使用される刃物類は除外されません。
例
- 調理用 包丁全般、果物ナイフ、パン切りナイフ等
- 食卓用 ステーキナイフ、ケーキナイフ、バターナイフ等
- 園芸用 鎌、園芸用はさみ等
- 裁縫用 裁ちばさみ、糸切りばさみ等
「学習用」として製作されたと認められる刃物類とは?
通常、学校生活で使用される“文具用"や“工作用"等の刃物類を言いいます。
例
- 文具用 はさみ、肥後守、ペーパーナイフ、ポケットナイフ等
- 工作用 カッターナイフ、切り出し、クラフトナイフ、彫刻刀等
「業務用」として製作されたと認められる刃物類とは?
日本標準産業分類(平成19年総務省告示)に掲げる「農業、林業」「建設業」「製造業」「理容・美容業」等の業務において使用する刃物類を言います。
例
- 電工ナイフ、冷凍ナイフ、ブッチャーナイフ、のみ、斧、まさかり、なた、くり小刀、ソムリエナイフ、ウエイターズナイフ等
条例改正より規制対象となる刃物類の一例
例
- 野外活動用ナイフ 登山ナイフ、アウトドアナイフ、ダイバーズナイフ、水中ナイフ、ダイビングナイフ、渓流小刀、ブッシュナイフ等
- 軍事用ナイフ パラシュートナイフ、銃剣、アーミーナイフ、ランボーナイフ、プッシュダガーナイフ、ブーツナイフ、兵隊ナイフ、コマンドナイフ等
- 観賞用ナイフ 儀礼用ナイフ全般、ヤリガンナ等
有害刃物類の緊急指定(平成20年6月23日付指定)
東京秋葉原におけるナイフを使用した無差別殺傷事件等を受け、当県では青少年健全育成の観点から、人体に危害を及ぼし、かつ青少年の犯罪を誘発するおそれのある刃物類10種類を6月23日付で有害刃物類として緊急指定しました。