税金の特別措置等
税金の特別措置等
公共事業の用地買収等にご協力いただいた場合の、主な税の優遇措置やその他影響が考えられる事項について一覧にしています。
なお、税金、社会保険、年金、各種手当等については、個々のケースにより特例措置等の適用が異なります。また、制度改正により変更となる場合もありますので、詳しくは、それぞれの相談窓口にお問い合わせください。
1. 税金について
所得税 (相談窓口 税務署)
(1)収用等の場合の課税の特例について
公共事業のため土地等を譲渡した場合、次の1.又は2.のいずれか一方を選んで課税の特例の適用を受けることができます。
ただし、対象となるのは「対価補償金」として扱われるものに限定され、それ以外の補償金については特例の適用はありません。
事業用地外の物件の補償についても特例の適用はありません(物件が事業用地と事業用地外に跨っている場合は適用が有ります。)。
補償項目(例) | 種類 | 課税上の取り扱い |
---|---|---|
・土地代金 ・建物・工作物移転補償金(取り壊した場合のみ) ・立木補償(伐採)など |
対価補償金 | 譲渡所得の金額又は山林所得の金額の計算上、収用等の場合の課税の特例の適用があります。(棚卸資産は除く) |
・建物・工作物移転補償金(曳家・移築の場合) ・移転雑費補償 ・立木補償(移植)など |
移転補償金 | 移転に伴い業者等に支払った費用を差し引いて残額がある場合は、一時所得の計算上、総所得金額に算入されます。 |
・営業補償 | 収益補償金等 | 事業の態様に応じて不動産所得、事業所得、雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入されます。 |
・土地の使用に係る補償 | 収益補償金 | 事業の態様に応じて不動産所得、事業所得、雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入されます。 |
1. 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例
対価補償金で代替資産を取得した場合に、代替資産の取得にあてた金額については、譲渡がなかったものとして課税が繰り延べられます(ただし補償額より代替資産の額が少ないときは、その差額が収入として課税されます)。
(適用条件の概要)
- 譲渡した資産が棚卸資産ではないこと。代替資産は原則として土地建物の収用等のあった日から2年以内に取得すること。
- 原則として代替資産は売った資産と同じ種類であること。
2. 収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除
土地等を譲渡した場合の譲渡所得から特別控除として5,000万円まで控除されます。なお、同一年において他の特別控除の適用がある場合は、合算して5,000万円が限度となります。
(適用条件の概要)
- 譲渡した資産が棚卸資産ではないこと。
- 買取り等の申し出を受けた日から6か月以内に譲渡したこと。
- 同一事業で年をまたがって2回以上に分けて譲渡した場合は、最初の年の譲渡資産に限られること。
(2)代替地の提供者への特例について
公共事業のために土地を譲渡された方へ代替地を提供された方にも、譲渡所得について最高1,500万円までの特別控除が認められます。
(適用条件の概要)
- 譲渡した資産は棚卸資産ではないこと。
- 事業用地の提供者、代替地の提供者及び県との三者契約によること。
- 1,500万円までの特別控除の対象は土地のみであること。
- 事業用地として土地を買い取られた方の土地代金が1,500万円に満たない場合は、代替地を提供された方の控除額はその土地代金の額が限度となります。
税の申告について(相談窓口 税務署)
所得税の確定申告が必要となりますので、管轄の税務署で手続きを行ってください。申告時に添付が必要な証明書等は、2月の申告時期までに県から送付します。
添付書類
- 収用証明書
- 公共事業用資産の買取り等の申出証明書
- 公共事業用資産の買取り等の証明書
(3)その他特例について
主な特例は上記になりますが、他の特例もあり選択によっては節税となる場合もありますので税務署に相談してください。
住民税(市町村民税・県民税) (相談窓口 市町村担当課)
所得割については、譲渡所得等の課税の特別控除の適用があります。
ただし住民税が非課税の方の場合は、特別控除前の所得で判定されますので、翌年、課税される場合があります。
配偶者控除・扶養控除等 (相談窓口 税務署、市町村担当課、会社等の給与担当)
控除対象配偶者や被扶養者が土地等を譲渡した場合、その年分の配偶者(特別)控除や扶養控除が受けられなくなることがあります。
固定資産税・都市計画税 (相談窓口 市町村担当課)
固定資産税・都市計画税は、毎年1月1日の土地・建物等の所有者に課税されますので、年の途中で譲渡されても、その年分の税については、全額負担していただくことになります。
また建物については取り壊した事実を市町村税務担当課に伝えていただかなければ、建物が建っているものとして、翌年も課税される可能性がありますのでご注意ください。
また、登記された建物については滅失登記していただくようお願いします。
地積更正登記の影響について
土地を分筆して買収する際、地積更正を行う場合があり、残地の面積が従前の公簿面積よりも増加することがあります。
その場合、来年度以降の固定資産税が増額となることもあります。
不動産取得税 (相談窓口 県税事務所)
公共事業のため土地や家屋を譲渡等した日から2年以内(もしくは譲渡等した日の前1年以内)に、代替と認められる土地や家屋を取得した場合、不動産取得税が軽減される場合があります。
贈与税・相続税(納税猶予を受けている農地) (相談窓口 税務署)
納税猶予を受けている農地等を譲渡した場合は、譲渡した農地に相当する税額を納付していただくことになります。
ただし利子税については収用交換等による譲渡をした日から2か月を経過する日までに税務署へ届出することにより免除されます(譲渡の時期が令和8年3月31日までの場合)。
2. 社会保険について
国民健康保険料(税) (相談窓口 市町村担当課)
国民健康保険料(税)は、医療分、後期高齢者支援金分、介護納付金分で構成されています。
(1)医療分
所得割の算定については、譲渡所得等の特別控除の適用があります。
ただし均等割、平等割の軽減措置の判定においては適用がありませんので、軽減措置を受けられている場合は、契約した年の翌年度の保険料(税)が増額となることがあります。
(2)後期高齢者支援金分
所得割の算定については、譲渡所得等の特別控除の適用があります。
ただし均等割、平等割の軽減措置の判定においては適用がありませんので、軽減措置を受けられている場合は、契約した年の翌年度の保険料(税)が増額となることがあります。
(3)介護納付金分(第2号被保険者 40歳から65歳未満)
所得割の算定については、譲渡所得等の特別控除の適用があります。
ただし均等割、平等割の軽減措置の判定においては適用がありませんので、軽減措置を受けられている場合は、契約した年の翌年度の保険料(税)が増額となることがあります。
介護保険料(第1号被保険者 65歳以上) (相談窓口 市町村担当課)
介護保険料の算定にあたり、譲渡所得等の特別控除の適用があります。
ただし市町村民税が非課税の方の場合、保険料段階が変わり、契約した翌年の保険料が増額となる場合があります。
介護サービスの自己負担等 (相談窓口 市町村担当課)
介護サービスの自己負担割合の判定にあたり、譲渡所得等の特別控除の適用があります。
ただし市町村民税が非課税の方の場合、負担段階が変わり、契約した年の翌年度の自己負担額等が増額となる場合があります。
高額療養費の自己負担限度額 (相談窓口 ご加入の保険者、市町村担当課)
所得区分が変わる場合があるため、自己負担の限度額が増額となる場合があります。
3. 年金について
農業者年金(経営移譲年金、特例付加年金) (相談窓口 市町村農業委員会)
受給者が公共事業のために農地を譲渡された場合は、農業委員会で所定の手続を行っていただくことで支給が停止されない場合があります。
老齢福祉年金、障害基礎年金等 (相談窓口 年金事務所、市町村担当課)
受給者がいる世帯の中のどなたかが公共事業により土地等を譲渡したことにより、所得が支給制限の限度額を超えると、翌年の1年間、支給が制限(停止)される場合があります。
4. 手当・助成金等について
各種手当・助成金等 (相談窓口 市町村担当課)
土地等を譲渡することにより、受給者等の所得が支給制限限度額を超えた場合は、支給が制限又は停止される場合があります。
詳しくは支給を受けられている手当・助成金の窓口にお尋ねください。
(*児童手当、児童扶養手当、特別児童扶養手当、障害児福祉手当、特別障害者手当については、支給制限に係る所得の判定にあたり譲渡所得等の特別控除の適用があります。)
5. その他
土地改良区決済金 (相談窓口 所管土地改良区、市町村担当課)
土地改良区内の農地の場合、決済金等を土地改良区へ納付していただくことになります。
なお、税金、社会保険、年金、各種手当等については、個々のケースにより特例措置等の適用が異なります。また、制度改正により変更となる場合もありますので、詳しくは、それぞれの相談窓口にお問い合わせください。