歴史まちづくり

歴史まちづくり法の概要

我が国のまちには、城や神社、仏閣などの歴史上価値の高い建造物が、またその周辺には町家や武家屋敷などの歴史的な建造物が残されており、そこで工芸品の製造・販売や祭礼行事など、歴史と伝統を反映した人々の生活が営まれることにより、それぞれ地域固有の風情、情緒、たたずまいを醸し出しています。

しかしながら、維持管理に多くの費用と手間がかかること、高齢化や人口減少による担い手が不足していることにより、歴史的価値の高い建造物や歴史や伝統を反映した人々の生活が失われつつあります。

「歴史まちづくり法(※)」は、このような良好な市街地の環境(歴史的風致)を維持・向上させ、後世に継承するために、平成20年11月4月に施行されました。

※「地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律」の略称。
 

歴史的風致とは、歴史まちづくり法第1条において「地域におけるその固有の歴史及び伝統を反映した人々の活動とその活動が行われる歴史上価値の高い建造物及びその周辺の市街地とが一体となって形成してきた良好な市街地の環境」と定義されており、ハードとしての建造物と、ソフトとしての人々の活動を合わせた概念です。

そのため、単に歴史上価値の高い建造物が存在するだけでなく、地域の歴史と伝統を反映した人々の活動が展開されていて初めて歴史的風致が形成されるものとし、この歴史的風致をそのまま「維持」するのみならず、歴史的な建造物の復原や歴史的風致を損ねている建造物の修景等の手法によって、積極的にその良好な市街地の環境を「向上」させることを目的としています。

 

歴史的風致



市町村は、国が策定する基本方針に基づき、「歴史的風致維持向上計画」を策定し、国の認定を申請できます。

「歴史的風致維持向上計画」は、歴史的風致の維持・向上を目指す市町村が策定するもので、各市町村は国から認定されると、各種事業制度や法令上の特例措置などによる支援を受けながら、歴史まちづくりに係る様々な取り組みを進めることができます。


制度概要


計画のイメージ

(国土交通省資料「歴史まちづくり法パンフレット」より引用)
 

県内の取り組み

認定日 平成28年3月28日
計画期間 平成28年度から令和7年度
重点区域面積 約412ヘクタール
歴史的風致の例

『醤油・金山寺味噌醸造に薫る歴史的風致』

 “醤油発祥の地”といわれる湯浅では、伝統的な醤油と金山寺味噌の醸造が今日まで受け

継がれ、醸造家の町家や土蔵が建ち並ぶ重要伝統的建造物群保存地区では、醤油の芳香

とともに、醸造の歴史が感じられる。
仕込蔵での櫂入れと角長(加納家)の写真

   仕込蔵での櫂入れ        角長(加納家)


 

認定日 平成28年10月3日
計画期間 平成28年度から令和7年度
重点区域面積 約153ヘクタール
歴史的風致の例

『「稲むらの火」の伝承と復興にみる歴史的風致』

「稲むらの火」は戦前の国定教科書に掲載された物語で不朽の防災教材といわれ、安政の

大津波での濱口梧陵の機知に富んだ村人救済活動を題材にしている。濱口梧陵の村人救

出と広村堤防築堤による広村復興劇は、津波防災の象徴として語り継がれている。
津浪祭避難訓練の様子と広村堤防の写真

  津浪祭避難訓練の様子            広村堤防


 

認定日 平成30年3月26日
計画期間 平成30年度から令和9年度
重点区域面積 約384ヘクタール
歴史的風致の例

『景勝地和歌の浦にみる歴史的風致』

紀州東照宮の和歌祭は、和歌の浦の景勝をあらわす要素が随所に盛り込まれ、町並みや和

歌浦湾を背景に和歌浦一帯を練り歩く。また、和歌浦天満神社の天神祭は、地域に密着し風

物詩として人々に親しまれてきた。和歌の浦は、自然環境と歴史的重層性を示す建造物が

一体となった特有の景勝地であることが誇りとされ、保全活動や祭礼が根付いている。
和歌祭の渡御行列と紀州東照宮の写真

  和歌祭の渡御行列             紀州東照宮


 

認定日 平成31年1月24日
計画期間 令和1年度から令和10年度
重点区域面積 約707ヘクタール
歴史的風致の例

『高野参詣にみる歴史的風致』

高野参詣の関連遺産に拝礼しながら参詣する姿や道普請等の地域の人々のもてなしは、今

も大師信仰によって支えられているところが大きい。遠くから高野山を目指してくる人々の

想いと地域の人々のもてなしの心が、歴史的遺産の風景と重なり合い、高野町独特の歴史

的風致を形づくり、これからも継承されていく。
町石道を歩く参詣者と金剛峯寺大門の写真

  町石道を歩く参詣者          金剛峯寺大門

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