平成23年紀伊半島大水害の概要
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平成23年(2011年)台風第12号による大雨により、和歌山県では県南部を中心に深層崩壊や
土石流などの土砂災害が多数発生し、
多くの尊い人命が犠牲となる甚大な被害が発生しました。
<台風の経路>
平成23年8月25日にマリアナ諸島の西の海上で発生した大型の台風第12号はゆっくりと北上し、
9月3日に高知県東部に上陸しました。
台風はその後もゆっくりと北上を続け日本海に移動し大量の雨をもたらしました。
この台風は明治22年(1889年)に紀伊半島に大きな被害をもたらした台風とほぼ同じコースでした。
<大雨等の観測状況>
台風の動きが遅かったため、台風を取り巻く雨雲や湿った空気が長時間にわたり流れ込み、
西日本から北日本にかけて、山沿いを中心に広い範囲で記録的な大雨となりました。
台風の中心から東に位置した紀伊半島では8月30日17時から9月5日6時までの総降水量が
広い範囲で1,000mmを超えました。
那智勝浦町色川観測所で1,186mm、古座川町西川観測所で1,152.5mm、田辺市大杉観測所で
1,998mmと記録的な大雨が観測されました。
また、新宮市新宮では9月4日に時間雨量132.5mmの猛烈な雨を観測しました。
<被害の全体概要> 「出典:平成23年紀伊半島大水害記録誌(和歌山県)」
・人的被害
死者56人、行方不明者5人、重傷者5人、軽症者3人の計69人。
市町村別では、那智勝浦町が29人、新宮市14人、田辺市9人、日高川町4人、
古座川町3人、みなべ町1人、有田市1人で県南部に集中しています(死者・行方不明者数) 。
・物的被害
住宅被害は、全壊240棟、半壊1,753棟、一部破損85棟、床上浸水2,706棟、
床下浸水3,149棟の計7,933棟で、
非住家(公共建物を除く)被害532棟を合わせると、建物被害は合計8,465棟になっています。
<那智勝浦町で発生した土砂災害>
那智勝浦町の那智川流域で8月30日から降り始めた雨は、9月4日の0時からの4時間で341mmに
達しました。
この時間帯に土石流に伴う被害が発生しました。
また、同町内の太田川流域でも被害が発生しました。
那智川流域上流部の航空写真。多発した表層崩壊や土石流により山肌が露出している。
那智川流域の井関地区を襲った河川氾濫および土石流。直径1m以上の大きな石や流木が流出した。
那智川流域の市野々小学校を襲った河川氾濫および土石流。大きな石や流木が建物の1階に流れ込んだ。
那智川の増水により流出したJR紀勢本線の那智川橋梁。
那智川流域で最も大きな崩壊が発生した金山谷川の源頭部。
太田川流域の赤畠谷で発生し、口色川地区を襲った土石流。
<和歌山県南部で発生した土砂災害>
那智勝浦町以外にも県南部の各地で表層崩壊、深層崩壊に伴う河道閉塞(天然ダム)、土石流のほか、
地すべりも発生するなど様々な土砂災害が発生し甚大な被害となりました。
田辺市熊野(いや)地区で発生した深層崩壊と河道閉塞(天然ダム)。崩壊土砂量約470万m3、
崩壊高さ約250m、幅約440m。
田辺市真砂地区で発生した深層崩壊。崩壊した土砂が下流の国道311号と富田川まで到達した。
田辺市伏兎野(ふどの)地区で発生した地すべり。崩壊により土砂が住居まで到達した。
田辺市深谷地区で発生した表層崩壊。崩壊した土砂が土石流となって下流の地区の
住居まで到達した。
新宮市丸岡谷で発生した土石流の被害状況。土石流が住居まで到達した。
新宮市荒木川流域で発生した大量の流木が下流部の佐野地区の橋梁で
川の流れをせき止め、河川が氾濫した。
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