短期暴露評価により変更される農薬の使用方法について
短期暴露評価により変更される農薬の使用方法について(平成26年11月11日)
- 農薬の登録にあたっては、これまで、残留農薬の摂取量について、一日摂取許容量(ADI)(補足1)を超えなければ食品安全上問題ないものと判断されてきましたが、今般、急性参照用量(ARfD)(補足2)を超えないかという点についても評価(短期暴露評価)されることとなりました。
(補足1)一日摂取許容量(ADI:acceptable daily intake)
ヒトがある物質を毎日一生涯にわたって摂取し続けても、現在の科学的知見からみて、健康への悪影響がないと推定される一日あたりの摂取量
(補足2)急性参照用量(ARfD:acute reference dose)
ヒトがある物質を24時間又はそれより短い時間経口摂取した場合に、健康に悪影響を示さないと推定される一日あたりの摂取量
- 今後、現在登録を受けている農薬について、順次、急性参照用量が設定されるとともに、短期暴露評価が実施されることとなります。
その際、一度に多量に食べた場合の残留農薬の推定摂取量が急性参照用量を超える農作物があれば、当該農薬については使用方法が変更(使用回数の縮減、適用作物の削除等)されるとともに、残留基準値が見直されることとなります。 - そこで農林水産省は、農薬メーカーに対し、以下のことを要請しています。
(1)自社の農薬について、自ら短期暴露評価を実施し、農薬の使用方法を変更する必要があるか確認すること。
(2)使用方法を変更する必要がある場合は、国による急性参照用量の設定や残留基準値の改定を待たずに、十分な時間的猶予をもって、変更の登録の申請をすること。
(1)農薬メーカーが十分な時間的猶予をもって、変更登録の申請をすることができない場合
農林水産省から農薬メーカーに対しては、このような場合には、農薬販売者、使用者等に対し、変更後の使用方法を記載したチラシ等を用いて情報を提供するとともに、変更の登録を受ける前であっても、変更後の使用方法に基づいて農薬を使用されるよう注意喚起を行うよう要請されています。
つきましては、農薬メーカーからこのような注意喚起が行われた場合には、(記)の1及び2の対応についてお願いします。
(2)農薬メーカーが十分な時間的猶予をもって、変更登録の申請をした場合
残留基準値の改定時に、農薬使用者が変更前の使用方法がラベルに表示された農薬を保有しているケースが想定されます。
このようなケースでは、変更前の使用方法で農薬が使用されないよう、防除暦等を変更する必要がある場合もありますので、農薬メーカーが十分な時間的猶予をもって、変更登録の申請をした場合であっても、(追記)の2の対応をとって頂きますようお願いします。
追記
- 農薬を使用する方は、変更の登録を受ける前であっても、容器に表示された使用方法ではなく、変更後の使用方法に基づいて農薬を使用すること。
- 農薬使用について指導に当たる関係機関・団体等は、変更の登録を受ける前であっても、変更後の使用方法に基づいて、防除指針等に反映するよう努め、かつ、生産者団体等が作成する防除暦の変更の指導等に努めること。