遊漁船利用者のより一層の安全確保のために
平成23年2月22日に本県で発生し、船長兼業務主任者1名が死亡した「瀬渡船せと丸転覆事故」について、 平成23年11月25日付けで運輸安全委員会から事故報告書が公表されました。
事故の概要は下記のとおりで、詳細については運輸安全委員会のホームページでご確認いただきたいと思いますが、遊漁船業者の皆様におかれましては、このような事故がおこらないよう、遊漁船利用者の安全確保により一層のご尽力をお願いします。また、遊漁船利用者のみなさまにおかれましても、ご自身の安全のためご協力をお願いします。
事故の概要
瀬渡船「せと丸」(総トン数4.94トン)は、船長1名、助手1名、遊漁船利用者9名を乗せ、係留場所を出航し、岩場に利用者4名を渡し、別の岩場に利用者を渡そうと接近したが、船長が波の 状況から岩場につけることをやめて船尾方を確認した平成23年2月22日6時48分ごろ、波を受けて転覆した。
船長が死亡し、利用者5名及び乗員1名が負傷し、船体は岩場に当たって大破した。
(1)事故の原因と人的被害の状況
- 船長が目視により風や波の状況を確認して出航の判断を行っていたため。
- 事故当日、詳細で最新の気象及び海象を入手しておらず、海上強風警報の発表を知らなかったものと考えられる
(2)所見
運輸安全委員会は、事故被害軽減の観点から所見を以下のとおり記述(抜粋)
- 事業者は、業務規程の内容を理解して遵守することが重要。
- 事業者は、遊漁船利用者が確認できるように船内や待合室などの見えやすい場所に出航中止基準及び帰航基準を表示しておくことで、利用者の安全に関する注意を促すことにより安全の確保が図られる。
- 水深が浅い場所においては、沖から進入した波が変化して波高が急激に増大することがあり、 また、最高波高に近い波が連続して来襲することもあるので、瀬渡しを行う海域では、沖から進入する波浪状況を確認し、波に注意しながら操船する必要がある。
(3)運輸安全委員会の所見を受けて、和歌山県から遊漁船業者及び利用者のみなさまに周知・徹底をお願いすること
- 事業者は、出航前、携帯電話等によりMICS等を活用し、出航中止の判断に必要な最新の気象及び海象情報を入手すること。
- 事業者は、利用者を案内する海域における波、風、地形等の特性が、業務規程に定めている出航中止基準及び帰航基準に考慮されているかなどの点検を行い、必要に応じて利用者の安全確保の向上を図ること。
- 事業者は、船内や待合室などの見えやすい場所に出航中止基準及び帰航基準を表示しておくこと。
- 利用者においても、無理な釣りの行動とならないよう自ら最新の気象及び海象情報を確認するとともに、事業者の出航中止基準及び帰港基準を事前に把握してください。
- 利用者は、落水した場合の対応策として、保温効果のある服及び救命胴衣を身体から抜けないよう着用してください。
- GPS機能付き携帯電話を防水ケースに入れるなどの準備をしてください。