営業許可制度の見直し及び営業届出制度の創設について
営業許可制度の見直し及び営業届出制度の創設について
食品衛生法が改正され、HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の制度化に続いて、営業許可制度の見直しなどが施行されることにより、令和3年6月1日から営業許可申請や届出の手続きが必要となる場合があります。
1 営業許可制度の見直しについて
営業許可業種の見直しの概要
- 食中毒等のリスクや規格基準の有無、過去の食中毒の発生状況等を踏まえて、許可業種が現行の34業種から32業種に再編されました。
→ 漬物製造業、水産製品製造業、液卵製造業等を新たな法許可業種として設定
→ 現行の許可業種のうち、食中毒等のリスクが低いと考えられる一部の法許可業種は届出の対象へ
(例:乳類販売業、氷雪販売業、食肉販売業の一部、魚介類販売業の一部) - 原則、1施設1許可となるように、1つの許可業種で取り扱える食品の範囲が拡大されました。
例:菓子製造業を取得している施設が調理パンを製造する場合
【現在】菓子製造業と飲食店営業 → 【改正後】菓子製造業(飲食店営業の許可は不要)
例:弁当と惣菜をあらかじめ製造し、卸し販売する場合
【現在】飲食店営業とそうざい製造業 → 【改正後】そうざい製造業(飲食店営業の許可は不要) - 原材料や製造工程が共通する業種が統合されました。
例:みそ製造業としょうゆ製造業を統合して「みそ又はしょうゆ製造業」
見直し後の営業許可業種について(32業種) 各営業許可の対象となる食品の範疇はこちら
区分 | 許可業種 |
調理業 | 1.飲食店営業 2.調理の機能を有する自動販売機により食品を調理し、調理された食品を販売する営業 |
販売業 | 3.食肉販売業 4.魚介類販売業 5.魚介類競り売り営業 |
処理業 | 6.集乳業 7.乳処理業 8.特別牛乳搾取処理業 9.食肉処理業 10.食品の放射線処照射業 |
製造・加工業 | 11.菓子製造業 12.アイスクリーム類製造業 13.乳製品製造業 14.清涼飲料水製造業 15.食肉製品製造業 16.水産製品製造業 17.氷雪製造業 18.液卵製造業 19.食用油脂製造業 20.みそ又はしょうゆ製造業 21.酒類製造業 22.豆腐製造業 23.納豆製造業 24.麺類製造業 25.そうざい製造業(そうざい半製品を含む) 26.複合型そうざい製造業 27.冷凍食品製造業 28.複合型冷凍食品製造業 29.漬物製造業 30.密封包装食品製造業 31.食品の小分け業 32.添加物製造業 |
2 営業届出制度の創設について
- 原則、全ての食品等事業者にHACCP(ハサップ)に沿った衛生管理が義務付けられることに伴い、保健所が対象事業者を把握できるよう、営業許可の対象となっていない業種を営む営業者は、届出対象外業種を除き、届出をする必要があります。
<届出の内容>
1. 届出者の氏名
2. 施設の所在地
3. 営業の形態
4. 主として取り扱う食品等に関する情報
5. 食品衛生責任者の氏名
- 許可とは異なり、施設基準や更新の必要はありません。
- 廃業した場合や届出事項が変更となった場合は、届出が必要です。
新しい制度における届出業種について
区分 | 届出業種 |
旧許可業種であった営業 |
1.魚介類販売業(包装魚介類) |
販売業 | 6.弁当販売業 7.野菜果物販売業 8.米穀類販売業 9.通信販売・訪問販売による販売業 10.コンビニエンスストア 11.百貨店、総合スーパー 12.自動販売機による販売業(コップ式自動販売機(自動洗浄・屋内設置)を除く。) 13.その他の食品・飲料販売業 |
製造・加工業 |
14.添加物製造・加工業(法第13条第1項の規定により規格が定められた添加物の製造を除く。) |
上記以外のもの | 25.行商 26.集団給食施設(1回20食程度以上) 27.合成樹脂製の器具・容器包装の製造業 28.露店、仮設店舗等における飲食の提供のうち、営業とみなされないもの 29.その他(届出対象外業種に該当しないもの、例:食品の冷凍・冷蔵業(倉庫業)) |
届出対象外業種について
公衆衛生に与える影響が少ない(食品衛生上のリスクが低い)営業として規定されている以下の業種の営業者については、営業の届出は不要です。
- 食品又は添加物の輸入をする営業
- 食品又は添加物の貯蔵又は運搬のみをする営業(食品の冷凍・冷蔵業(倉庫業)は除く。)
- 常温で長期間保存しても食品衛生上の危害の発生の恐れがない包装食品の販売業(例:カップラーメン、ペットボトル入り飲料など)
- 合成樹脂以外の器具・容器包装の製造業
- 器具・容器包装の輸入又は販売業
- 食品衛生法上の「営業」に該当しない業種(農業、水産業等の採取業)
3 営業許可申請及び届出の経過措置について
今般の制度改正では、営業者の事業継続に配慮し、施行日(令和3年6月1日)の時点で、すでに営業を行っている方については、営業の業種等に応じて、経過措置が設けられています。
現行の区分 | 改正後の区分 | 経過措置 |
許可業種 | 許可業種 | 施行日前に取得した許可は有効期限まで有効です ※現行法に基づく許可の範囲での営業が引き続き可能 |
許可業種 | 届出業種 | 施行日に自動的に届出をしたとみなす(届出の手続きは不要) |
許可業種以外 | 許可業種 | 施行後3年間の経過措置期間(※令和6年5月31日までに営業許可を取得してください) |
許可業種以外 | 届出業種 | 施行後6ヶ月間の経過措置期間(※令和3年11月30日までに営業の届出を行ってください) |
4 食品衛生責任者の設置について
令和3年6月1日から、原則として許可や届出の対象となる全ての施設では、HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理に加え、食品衛生責任者を設置する必要があります。
食品衛生責任者の資格要件は、以下のとおりです。
- 食品衛生監視員又は食品衛生管理者
- 調理師、製菓衛生師、栄養士等一定の資格を有する者
- 知事が適正と認める講習会の受講者