イベントレポート ”りぃぶる”語り合い広場「マンガのヒロインから考える女性の生き方~『逃げ恥』・『傘寿まり子』・『その女、ジルバ』~」
講座・イベント情報
イベントレポート
講座名
”りぃぶる”語り合い広場「マンガのヒロインから考える女性の生き方~『逃げ恥』・『傘寿まり子』・『その女、ジルバ』~」
開催日時
令和5年1月28日(土)13:30~15:30
講師
増田のぞみ さん(甲南女子大学文学部メディア表現学科教授)
場所
和歌山県男女共同参画センター“りぃぶる”会議室A
内容
世界中で人気の高いマンガは、世の中の移り変わりを映す社会の鏡とも言われます。そんなマンガを題材にし、女性の描かれ方やテーマの変化をとおして、女性の生き方を考えようと講座を開催しました。
講師は、「男性作家が少女向けマンガを描いた時代を経て、今や少女マンガ・女性マンガの作者の約9割は女性で読み手も女性である。」と話されました。そして、「少女マンガの黄金時代とされる1970年代には女性作家の活躍が目覚ましく、『ベルサイユのばら』に代表されるように、既存のジェンダー観に囚われない女性像・男性像、多様な関係性が描かれるようになり、その後、作者も読者も共に成長する中で女性向け市場が拡大し、内容もさらに多様化していった。」と話されました。
また、社会や人々の価値観の変化について、「2004年に連載が開始された『働きマン』では、ヒロインが当時の男性と同様に全力で働くことが肯定的に描かれ読者の共感を得ていたが、2010年頃になるとブラック企業への批判の高まりや働き方改革など時代の変化に伴い読者には否定的に受け止められるようになった。」と語られました。
『逃げるは恥だが役に立つ』では、家事代行を仕事にするヒロインと雇い主が結婚したことで、家事は労働と捉えるか否か等の問題提起がされました。また『傘寿まり子』では、80代の女性が家族、仕事、恋愛など様々な困難を抱えながらも挑戦を諦めないという理想のヒロイン像を示し、『その女、ジルバ』では、震災体験を持つ40代のヒロインと戦争体験を持つ高齢者の仲間という人と人のつながりを描いており、いずれもそれまでになかった価値観を表した作品だと紹介されました。
最後に、「マンガのヒロインは読者の共感を呼ぶ要素を含み、それは読者の価値観を変え、やがて行動の変化に繋がり社会を変える可能性を持っている。また、マンガは理想を描き出すことで現実や社会を変える力を持っており、学校とは異なることを学べる教科書でもある。」と結ばれました。
参加者からは、「世の中のマンガのヒロインの移り変わりから考えるという切り口に、はっとしました。」「かっこよくないヒロインにとても共感できます。自分だと思えるからだと思います。生きていく上で、今日の学びを活かしていきます。」などのお声をいただき充実した時間となりました。
会場の様子