「和歌山県部落差別の解消の推進に関する条例」について
1.制定(施行:令和2年3月24日)
和歌山県では、様々な施策に取り組んできた結果、同和問題は解決へと向かっています。しかしながら、今なお、結婚などに際して同和地区かどうかを問い合わせたり、インターネット上に同和地区やその関係者を忌避・排除する書き込みを行ったりするなどの部落差別が発生しています。
このような状況を踏まえ、「和歌山県部落差別の解消の推進に関する条例(令和2年和歌山県条例第10号)」を令和2年3月24日から施行しました。本条例では、何人も基本的人権の侵害である部落差別を行ってはならないという理念のもと、 行政、県民、事業者、関係機関等が一体となって、部落差別の解消を推進し、部落差別のない社会を実現することを目指しています。
〈条例に基づく県の取り組み~4本の柱~〉
1.部落差別を行った人への対応
本県では、これまでも市町村が主体的に差別事象に対応していますが、一市町村等で対応が困難な広域的な差別事象である場合や、県の組織内等で発生した差別事象の場合、県は市町村と連携しながら、部落差別を行った者への取り組みを実施しています。
2.教育及び啓発
部落差別についての理解と認識を深めていただくため、講演会や研修会の開催、啓発資料の作成などを行っています。
3.相談体制の充実
部落差別に関する相談に対応するため、公益財団法人和歌山県人権啓発センター、人権局、各振興局に人権相談窓口を設置しています。また、公益財団法人和歌山県人権啓発センターでは、弁護士による法律相談も実施しており、海草振興局を除く各振興局からのオンライン相談にも対応しています。さらに、相談担当職員の資質向上を図るための研修を実施しています。
4.実態の把握
インターネット上の部落差別に関する書き込みについて、モニタリングを実施しています。また、令和4年度に「同和問題(部落差別)に関する県民意識調査」を実施しました。
2.一部改正(施行:令和2年12月24日)
モニタリングにより確認した部落差別の書き込みについては、当該情報の拡散を防止するため、プロバイダ等に対して削除依頼を行っているものの、削除されないという現状があります。
このような状況を踏まえ、インターネットを利用した部落差別の解消をより一層推進していくため、本条例の一部改正を行い、令和2年12月24日から施行しています。
<改正の内容>
●インターネットに投稿された部落差別の情報の拡散防止を図るため、特定電気通信役務提供者(プロバイダ)の責務を規定
●インターネットを利用して部落差別を行った者に対する取組を明記
3.一部改正(施行:令和6年4月1日)
県では、令和4年6月に「同和問題(部落差別)に関する県民意識調査」を実施しました。その結果、この5年間で「同和地区は治安が悪い」や「同和地区の物件は避けた方がよい」などの発言を聞いたことがある人が回答者(1,213件)の3 割弱いたほか、同和地区の人との結婚に否定的な意識を持つ人は 1/6を超え、同和地区にある物件に対して忌避意識をもつ人は4割以上に及ぶなど、県民の部落差別に関する意識の現状がわかりました。
今もなお部落差別が発生し、また、表面化していなくても差別意識を持つ人が少なからずおり、さらには、インターネット上など自分が意図しない状況下でも差別発言等と出会う可能性がある中、自身の身近な問題となった場合には、調査行為を通じて部落差別が具現化する恐れがあります。
また、近年、事業者は事業活動において、社会的公正などへの配慮に取り組み、従業員や地域社会などの関係者に対して責任ある行動をとることが強く求められており、人権尊重の視点に立った活動を行うことが重要な課題となっています。
このような状況を踏まえ、部落差別の解消をより一層推進していくため、本条例の一部改正を行い、令和6年4月1日から施行しました。
<改正の内容>
●結婚及び就職に際しての身元の調査又は不動産の取引に際しての当該不動産に係る調査による部落差別を行った県内事業者が、勧告に従わない場合には、その旨及び当該勧告の内容を公表することを規定
●公表制度の導入に伴い、県内事業者が、結婚及び就職に際しての身元の調査又は不動産の取引に際しての当該不動産に係る調査による部落差別を行った場合に、勧告をしようとするときは、あらかじめ、和歌山県人権施策推進審議会の意見を聴くよう規定
県民の皆様・事業者の皆様へ
県では、引き続き、部落差別の解消を推進するため、教育・啓発の実施や相談体制の充実等などに取り組んでまいります。
県民や事業者の皆様におかれましても、県が行う部落差別の解消のための取組に対し、御協力をいただきますようよろしくお願いします。