和歌山県部落差別の解消の推進に関する条例
和歌山県部落差別の解消の推進に関する条例
(目的)
第1条 この条例は、現在もなお部落差別が存在するとともに、情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じていることを踏まえ、全ての国民に基本的人権の享有を保障する日本国憲法、部落差別のない社会を実現することを目的とする部落差別の解消の推進に関する法律(平成28年法律第109号)及び全ての県民の人権が尊重される豊かな社会の実現を図ることを目的とする和歌山県人権尊重の社会づくり条例(平成14年和歌山県条例第16号)の理念にのっとり、部落差別の解消を推進するために必要な事項を定めることにより、部落差別のない社会を実現することを目的とする。
(基本理念)
第2条 部落差別は基本的人権の侵害であり、何人も部落差別を行ってはならないという理念にのっとり、部落差別の解消のための取組は、国、県、市町村、県民、事業者、関係機関等が相互に協力して行うものとする。
(部落差別の禁止)
第3条 何人も、インターネットを通じて、公衆による閲覧、複写その他の利用をすることが可能な情報を提供することにより、部落差別を行ってはならない。
2 何人も、結婚及び就職に際しての身元の調査、並びにその他の行為により部落差別を行ってはならない。
(県の責務)
第4条 県は、第1条の目的を達成するため、部落差別の解消に関し必要な施策を講ずるものとする。
2 県は、前項に定める施策の推進に当たっては、国、市町村、県民、事業者、関係機関等との連携を図るものとする。
3 県は、部落差別の解消に関して、市町村が実施する施策、並びに県民、事業者、関係機関等の取組に必要な情報の提供及び助言、その他の支援を行うものとする。
(県民の責務)
第5条 県民は、部落差別の解消のために必要な役割を果たすよう努めるものとする。
2 県民は、県及び市町村が実施する部落差別の解消のための施策に協力するものとする。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、部落差別の解消のために、従業員の人権意識の高揚、その他必要な取組を行うよう努めるものとする。
2 事業者は、県及び市町村が実施する部落差別の解消のための施策に協力するものとする。
(特定電気通信役務提供者の責務)
第7条 特定電気通信役務提供者(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成13年法律第137号。以下「法」という。)第2条第3号に規定する特定電気通信役務提供者をいう。以下同じ。)は、部落差別の解消のために必要な役割を果たすよう努めるものとする。
2 特定電気通信役務提供者は、県及び市町村が実施する部落差別の解消を推進するための施策に協力するものとする。
3 特定電気通信役務提供者は、前2項に定めるもののほか、インターネット上において、その用いる法第2条第2号に規定する特定電気通信設備の記録媒体(当該記録媒体に記録された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を記録し、又は当該電気通信設備の送信装置(当該送信装置に入力された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報が入力されることによって部落差別が行われていることを確認したときは、当該提供されている情報(次条第1 項及び第3 項並びに第9 条第1 項 において「提供情報」という。)の送信を防止する措置を行うものとする。
(部落差別への取組)
第8条 県は、市町村との適切な役割分担を踏まえて、その地域の実情に応じ、第3条第1項の規定に違反して部落差別を行った者に対して必要な説示をするとともに、部落差別を行わないこと及び提供情報を削除することを促すものとする。
2 県は、市町村との適切な役割分担を踏まえて、その地域の実情に応じ、第3条第2項の規定に違反して部落差別を行った者に対して必要な説示をするとともに、部落差別を行わないよう促すものとする。
3 県は、第1項の規定に関わらず、市町村に対し、第3条第1項の規定に違反して部落差別を行った者に対して必要な説示をし、部落差別を行わないこと及び提供情報を削除することを促すよう、要請することができるものとする。
4 県は、第2項の規定に関わらず、市町村に対し、第3条第2項の規定に違反して部落差別を行った者に対して必要な説示をし、及び部落差別を行わないよう促すことを、要請することができるものとする。
(勧告)
第9 条 県は、前条第1 項の規定による必要な説示を行い、部落差別を行わないこと及び当該情報を削除することを促しても、これに従わない場合には、同項に規定する者に対し、部落差別を行わないこと及び提供情報を削除することを、勧告するものとする。
2 県は、前条第2 項の規定により必要な説示を行い、促しても、これに従わない場合には、同項に規定する者に対し、部落差別を行わないよう、勧告するものとする。
3 知事は、県内事業者(県内に事務所又は事業所を有する事業者をいう。次条において同じ。)が次条各号に掲げる調査による部落差別を行った場合において、前項の規定による勧告をしようとするときは、あらかじめ、和歌山県人権尊重の社会づくり条例第5 条に規定する和歌山県人権施策推進審議会の意見を聴くものとする。
(公表)
第10条 県は、次に掲げる調査による部落差別を行ったことを事由として前条第2 項の規定による勧告を受けた県内事業者が、当該勧告に従わない場合には、その旨及び当該勧告の内容を公表することができる。
(1) 結婚及び就職に際しての身元の調査
(2) 不動産の取引に際しての当該不動産に係る調査
(教育及び啓発)
第11条 県は、国及び市町村との適切な役割分担を踏まえて、部落差別を解消するため、必要な教育及び啓発を行うものとする。
(相談体制の充実)
第12条 県は、国及び市町村との適切な役割分担を踏まえて、部落差別に関する相談に応ずるものとする。
2 県は、部落差別に関する相談に的確に応ずるため、相談に応ずる者の資質の向上を図る等必要な施策を講ずるよう努め、相談体制の充実を図るものとする。
(部落差別の実態把握)
第13条 県は、部落差別の解消の推進に関する法律第6条の規定による国が行う調査に協力するとともに、部落差別の解消に関する施策の実施に資するため、必要に応じて、情報化の進展に伴う部落差別に関する状況の変化も踏まえ差別の実態の把握を行うものとする。
附 則(令和2年3月24日条例第10号)
この条例は、公布の日から施行する。
附 則(令和2年12月24日条例第63号)
この条例は、公布の日から施行する。
附 則(令和5年12月26日条例第45号)
(施行期日)
1 この条例は、令和6 年4 月1 日から施行する。
(経過措置)
2 第1 条の規定による改正後の和歌山県部落差別の解消の推進に関する条例第9 条第3 項及び第10条の規定は、この条例の施行の日(以下この項において「施行日」という。)以後に和歌山県部落差別の解消の推進に関する条例第3 条第2 項の規定に違反して行われた部落差別について適用し、施行日前に同項の規定に違反して行われた部落差別については、なお従前の例による。