西牟婁地方の伝承料理 「は」行から「や」行
はちまい貝のぬたあえ
紀南の磯では、多種の貝を採取することが出来ますが、おいしくて良質の貝は販売し、串本町では、はちまい貝(嫁の皿)のように硬い、手間のかかる貝を家で食べてきました。
- 材料
はちまい貝12個
みりん 大さじ1
わけぎ 8本
だし汁 大さじ5
食酢 大さじ2
ユズ1個
味噌大さじ4
生姜汁 少々
砂糖 大さじ1
- 作り方
- はちまい貝は殻つきのまま圧力釜で8分炊き、熱いうちに網 袋に入れて、石の上でたたき、また、それを揉んだり、こすったりして、殻を取りはずす。
- 貝の身をぬるま湯で1つづつ丁寧に洗い、砂や石、貝殻をき れいに取り除く。
- 大きな貝は、2つから3つに切り、小さいのはそのままにしておく。
- わけぎは少量の熱湯でさっとゆで、塩、酢を少々ふりかけておく。葉先を切りそろえてぬめりをさっと指でぬぐい、3センチの長さに切る。
- 鍋に味噌、砂糖、みりん、だし汁を合わせ、火にかけてとろり となるまでねる。火から下ろして酢を入れ、生姜汁、ユズを混ぜる。
- (3)(4)をボールに入れ、食べる前に(5)をかけて和える。
- ワンポイント
大きな貝は圧力釜を利用すると身がやわらかくなる。
ぼうり
大塔村鮎川の小川地区では、1331年に後醍醐天皇の第三王子大塔宮護良親王が「大塔の宮の熊野落」をなされた時に、山伏姿の者には一切物を施したり、便宜を与えてはならぬとキツイ布令が出ていました。その時に
不敬事件があったので、お正月には餅を搗かず、雑煮の代わりに里芋の親を丸のまま煮たぼうりでお祝いしたようです。
- 材料
里芋の親(7日から10日前に畑より掘り、根、土を除き乾かす。2日前に洗い、半日から1日大陽にあてる。)
ジャコ
かつお節
しょうゆ
砂糖
みりん
- 作り方
「1日目」
- ジャコとかつお節でだし汁をつくる。
- たっぷりのだし汁に醤油、砂糖、みりんで濃い目の味付けをする。
- 最初は強火で炊き、沸騰すると弱火で煮る。
- 弱火で4時間から6時間炊き、火を止め、1晩味を含ませる。
「2日目」
- 味の含み具合を見ながら、再び火を入れ、くずれないように火加減に注意しながら2時間から3時間程煮詰める。
- さまして取り出す。
ワンポイント
だし汁は多めに取っておき、汁がなくなってきたらだし汁を入れる。
ゆばすし
のりが高価で手に入りにくい時代、巻き海苔の代用として、利用されました。また、味はないが赤、黄、緑等カラフルな色のゆばは晴れ食や行事食の時、盛り合わせの彩りとしてきれいなので使用されました。
- 材料
ゆば(半乾燥) 4枚、5枚
米 1升
かんぴょう しいたけ高野豆腐 ごぼう 適量
合わせ酢
酢 180cc
砂糖 140グラム
塩 30グラム
酢 砂糖 みりん 醤油
- 作り方
- ゆばは、半分に切って砂糖少々入れた酢に浸して柔らかくする。
- かんぴょう、しいたけ、高野豆腐、ごぼう等の具を砂糖とみりん、醤油で味付けして煮る。
- ご飯に合わせた酢を混ぜて、酢飯を作る。
- 日本タオルの大きさの布巾にゆばを広げ、のり巻きの要領で酢飯をのせ具をのせて巻く。
- ワンポイント
ゆばは味がないので、具は濃い目の味にする。