「プレコンセプションケア」てなあに?~思春期からの男女の健康~

「プレコンセプションケア」てなあに?~思春期からの男女の健康~

 プレ(Pre)は「~の前の」、コンセプション(Conception)は「受胎・妊娠」という意味で、プレコンセプションケアとは「妊娠前からの健康づくり」を意味します。

 プレコンセプションケアは、若い男女が将来のライフプランを考えて日々の生活や健康と向き合うことで、次世代を担う子どもの健康にもつながるとして近年注目されているヘルスケアです。早い段階から正しい知識を得て健康的な生活を送ることで、将来の健やかな妊娠や出産につながります。近々妊娠を考えている方だけでなく、女性の健康を支えるパートナーやご家族にもぜひ知っていただきたいケアです。

 将来、こどもを持つか、持たないかにかかわらず、人々の健康にとって重要です。

妊娠・出産に適した年齢

近年は晩婚化と言われ、結婚の年齢が年々上昇傾向にあり、出産についても、現在は30歳代以上での出産が6割を占めています。
生殖能力は、男女とも年齢とともに低下していきますが、特に女性は、30代後半になると、卵巣内の卵胞(成長前の卵子)の急激な減少や「卵子の老化」のため、年齢が進むとともに妊娠率が低下して流産率が上昇します。 
 
20代~30代は学業や仕事で多忙な時期となるため、仕事が落ち着き、こどもを望む時期には妊娠が難しいとなることもあります。
妊娠・出産には適切な時期があり、また、健康であることが大切です。
ライフプランを立てるときは、キャリアプランだけでなく、望む人には将来の健やかな妊娠・出産につながるよう考慮し、人生100年時代を自分らしく生きるために、自分のライフプランに適した健康管理を意識しましょう。
 

できることからはじめよう! プレコンセプションケア

妊娠前から気をつけたい健康管理として、以下のような項目があります。生活習慣を見直し、いますぐ実践してみましょう。

適正体重を維持するよう心がけましょう。

BMIで18.5以上25未満が適正体重と言われています。 

栄養不足によるやせの場合、貧血を起こしたり、骨密度や筋力の低下を引き起こします。

肥満の場合、糖尿病や高血圧などのさまざまな病気の原因となり、やせや肥満は、不妊(注1)や妊娠・出産のリスクを高めます。

(注1)不妊とは・・・一般的に妊娠を望んでる夫婦が、1年以上夫婦生活を営んでいても妊娠しない状態をいいます。

適度な運動

適正体重の維持に積極的な運動は欠かせません。

1週間あたりの運動量の目安は150分程度とされています(早歩き、お家ヨガ、テレビ体操、筋トレなど)。

血流がよくなり、筋肉量が増えることで代謝も高まります。

食事

1日3食きちんと摂り、できるだけ栄養バランスが整うように心がけましょう。

バランスの良い食事をこころがけることにより、適正な体重管理にもつながります。

参考)厚生労働省リーフレット:妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針(外部リンク)

葉酸を摂取しましょう

妊娠前から妊娠初期にかけて、葉酸というビタミンをしっかり摂ることで、赤ちゃんの神経管閉鎖障害の予防につながります。 

妊娠を希望する女性は緑黄色野菜を積極的に摂取し、サプリメントも上手に活用しながら 1日当たり400μg摂取することが望まれます。

睡眠

個人差や環境にもよりますが、理想的な睡眠時間は6~8時間といわれています(注2)。生活リズムを整えて、疲労をためないようにしましょう。

(注2)厚生労働省:健康づくりのための睡眠ガイド2023(案)より参照

ストレス

過度なストレスは不安や抑うつの原因になります。ストレスを溜め込まないように、自分なりの発散方法を見つけておくことが大切です。

アルコールを控えましょう

飲みすぎは心身ともに悪影響を及ぼします。節度ある適度な飲酒量を心がけましょう。

妊娠中にお酒を飲むと、アルコールは胎盤を通って赤ちゃんにも影響し、胎児性アルコール症候群の原因になります。

妊娠を考えたときからアルコールは控えるようにし、妊娠中は禁酒が原則です。

禁煙・受動喫煙

タバコはがん・心臓病をはじめたくさんの病気を引き起こします。

また男女ともに不妊症のリスクが増加し、特に妊娠中の喫煙や受動喫煙は流産・早産・周産期死亡、低体重を引き起こす可能性があります。

赤ちゃんが生まれた後も、乳幼児突然死症候群のリスク因子となるなど、その影響は極めて広範囲です。

感染症

妊娠中に初めて感染すると、おなかの赤ちゃんに影響を与える感染症もあります。ワクチン接種で予防できるものは、接種を検討しましょう。

また、性行為による感染症は、男女にかかわらず不妊の原因になったり、将来のこどもの健康へ影響を及ぼす可能性があります。

性感染症の1つであるクラミジア感染症は、卵管が閉塞・癒着することがあり、不妊の原因になることが知られています。

自分のからだを知ろう

毎年健康診断を受けることや、妊娠前から生活習慣病を抱えている場合は、かかりつけ医に相談し、治療によって病気をコントロールすることで、妊娠経過や赤ちゃんの健康リスクを減らすことができます。
 
子宮頸がんは、若い人でもかかりやすい病気です。子宮頸がんワクチン接種と定期的な子宮頸がん検診の両方を受けることが効果的です。
女性は20歳を過ぎたら、2年に1回子宮がん検診と、月1回は乳房のセルフチェックを行い、40歳からは乳がん検診も受けましょう。
また、月経時に経血の量や痛み、月経不順など気になる症状がある場合は、早めに婦人科・産婦人科を受診しましょう。
 
男女ともに40歳からは、肺・大腸がん、50歳からは胃がんの検診を受けましょう。
 

プレコンノート・プレコンチェックシート(引用:国立成育医療センター)

国立成育医療研究センターに「プレコンセプションケアセンター」が開設され、情報発信や健康支援の取り組みを進めており、「プレコンノート」を制作・発行しています。

「プレコンノート」を使って、、プレコンセプションケアのポイントを学びながらプレコンの実践ができます。

引用:国立成育医療センター プレコンノート(外部リンク)

プレコンチェックシートで必要なケアを確認し、1つずつチェック項目を増やしていきましょう。

引用:国立成育医療研究センター プレコン・チェックシート(女性用・男性用)(外部リンク)

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