第3章第2項5 保健・医療の充実

  • 障害や障害の原因となる疾病等の早期発見・早期治療を推進するため、適切な医療やリハビリテーション等を受けることができる体制づくり等を推進します。
  • 依存症、自殺、ひきこもり等の対策として、精神保健福祉センターや保健所を中心として、身近な地域における相談体制の充実を図り、こころの健康づくりに取り組みます。

(1)障害の原因となりうる疾病等の予防

  • 引き続き安心して出産できる環境確保のため、周産期母子医療センターの運営を補助するとともに、安心して出産できる環境づくりを支援するため、妊産婦に対し交通費等を支給する市町村に補助を行います。併せて産科医師確保の取り組みを推進し、持続可能な周産期医療体制の実現を目指します。
  • 障害の原因となりうる病気を早期に発見し、治療や適切な支援につなげるため、新生児を対象に先天性代謝異常等検査を行うとともに、市町村が実施する妊婦・乳幼児健康診査に対する技術的な助言を行います。

(2)障害に対する適切な保健・医療サービスの充実

①医療の充実、提供等

  • 障害のある人が適切な医療を受けられるよう、医療費助成制度により、負担軽減を図ります。

医療費助成制度

対象となる障害等

制度の内容

自立支援医療制度(精神通院医療)

精神障害

原則1割負担(所得により自己負担上限額あり)

自立支援医療制度(育成医療)

児童の身体障害

原則1割負担(所得により自己負担上限額あり)

自立支援医療制度(更生医療)

大人の身体障害

原則1割負担(所得により自己負担上限額あり)

重度心身障害児(者)医療費助成制度

重度の身心障害

知的障害等

保険医療の自己負担相当額(所得制限あり)

難病医療費助成制度

難病

原則2割負担(所得により自己負担上限額あり)

小児慢性特定疾病医療費助成制度

児童の難病等

原則2割負担(所得により自己負担上限額あり)

  • 必要な時に適切な医療を受けることができるよう、県ホームページや全国統一システムを活用し、医療機関や薬局等の情報提供を行います。
  • 医療ニーズの高い障害のある人やこどもが、住み慣れた地域で過ごすことができるよう、高度な専門知識・技術を持った看護師等の育成および確保に向けた支援を行います。

②地域リハビリテーション提供体制の整備

  • 高齢者(障害のある高齢者を含む)ができるだけ長く健康で自立した生活を送るために、介護予防から急性期・回復期・維持期まで連続したリハビリテーションの提供が必要です。高齢者それぞれの状況に応じ適切なリハビリテーションを提供できるよう、医療機関等による取組に加え、市町村が行う地域での相談支援、研修、通いの場や地域ケア会議等へのリハビリテーション専門職の活用などを支援します。
  • 地域リハビリテーションを推進するため、中核となる県リハビリテーション支援センターを指定するほか、県内全域で地域リハビリテーション広域支援センターを指定し、地域の実情に応じてリハビリテーションの提供体制の整備、充実を図ります。
  • 地域で生活する障害のあるこども等を支援するため、県では、身近な地域でリハビリ及び相談等を受けられる体制の充実を図ります。

③難病のある人に対する保健医療の充実

  • 指定難病の患者に対し、医療費の負担軽減を図るため、医療費の自己負担分の一部を助成するとともに、難病指定医等に対する研修を実施し、難病に関する医療の質の向上を図ります。

 また、小児慢性特定疾病にかかっている児童等について、健全育成の観点から、医療費の自己負担分の一部を助成し、患児家庭の負担軽減を図ります。

  • 県立保健所、難病・こども保健相談支援センターにおいて、難病患者やその家族に対し、難病の療養生活や就労・就学等の相談支援業務を実施します。

 また、和歌山神経難病医療ネットワークによる、入院受け入れ先の紹介、調整等、神経難病患者・家族の療養を支援します。

 さらに、家族など介護者の療養等により、一時的に介護を受けることが困難になった人工呼吸器等を使用している重症難病患者に対し、短期間、入院する取り組みを推進します。

(3)精神保健・医療施策の推進

①こころの健康づくり

  • 県立保健所において精神保健福祉士や保健師による相談や訪問活動を行うとともに、定期的に精神科医による「こころの健康相談」を実施することで、身近な地域におけるこころの悩みや精神疾患に関する相談体制を充実します。
  • 精神保健福祉センターにおいて、ストレス相談、思春期の悩み相談や、アルコールや薬物、ギャンブル等の依存などの専門性の高い問題についての相談業務を強化します。
  • 障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を伸ばすための適切な指導及び必要な支援を行うために、児童生徒の心理に関して専門的な知識・経験を有するスクールカウンセラーの配置拡充を進めます。
  • 総合的な自殺対策を行うため、医療、福祉、教育、労働等の関係団体が情報共有を図りながら、自殺に関する教育・啓発活動、相談体制の充実及び自殺未遂者や自死遺族の支援等に取り組みます。
  • ひきこもりの状態にある当事者やその家族の支援を行うため、精神保健福祉センターや保健所において相談を受けるとともに、相談につながる啓発を行います。

 また、若者支援、教育、福祉、労働分野など関係機関との情報共有を通じた支援体制を構築し、加えて、市町村の取組を支援します。

②精神疾患の早期発見・治療

  • 多様な精神疾患の早期発見・早期治療を推進するため、精神科病院と診療所が情報共有や役割分担をしながら適切な医療を提供する連携体制を構築します。
  • 夜間、休日の急な精神疾患の発症、症状の悪化に対する相談に応じ、緊急の入院に対応するため、精神科病院の空床確保に努めます。また、精神科救急情報センターにおいて、受診の必要性や緊急性を見極め、適切な精神科医療受診を支援します。
  • 精神科病院や訪問看護ステーションを運営する法人、保健所等が連携し、地域で生活する未受診者及び受療中断者等に対して、24時間体制でアウトリーチ(訪問支援)を行う体制を整備します。
  • 認知症の早期発見・早期治療につなげる医療体制を充実するため、かかりつけ医や歯科医師、薬剤師、病院勤務の医療従事者、病院勤務以外の医療従事者を対象とした研修を実施し、認知症対応能力の向上を推進します。
  • 認知症の人が地域で安心して生活ができるよう、中心的な役割を担う基幹型センターである和歌山県立医科大学附属病院に加え、2次医療圏ごとに1か所ずつ「認知症疾患医療センター」を整備し、専門的医療の提供、地域の保健医療・介護機関等との連携や研修の実施により、地域において認知症を早期に発見し、診断・治療につなげる医療体制を構築します。

 また、今後増加することが見込まれる認知症疾患患者への対応を円滑に進めるため、基幹型センターと連携して、事業評価や人材育成などを通じて、認知症疾患医療センターの質の確保を図ります。

  •  神障害のある人が、地域の一員として安心して自分らしく暮らすことができるよう、各圏域自立支援協議会において、課題解決に取り組み、医療、福祉、住まい、社会参加(就労)、地域の助け合い、教育等が包括的に確保された「地域包括ケアシステム」の構築を推進します。
  • 県内で新たに精神科の診療をはじめる医師に対する返還免除付き研修・研究資金の貸与を行い、公立病院で不足する精神科医師の確保を図ります。

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