第3章第2項1 差別の解消及び権利擁護の推進
- 全ての県民がお互いに人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて、障害や障害のある人に関する正しい知識の普及啓発に取り組みます。
- 県の広報紙、広報番組やイベント等を通じて、広く啓発活動に取り組みます。
- 特に外見からは理解されづらい障害について、理解を深める取組を推進します。
- 障害を理由とする差別が解消されるよう、「和歌山県障害者差別解消条例」及び「障害者差別解消法」の啓発活動に取り組みます。
- 障害のある人の利益や権利を守るため、虐待防止の取組を推進します。
- 障害のある人の政治参加の機会を確保するため、情報提供の充実や投票に関する制度の周知啓発に取り組みます。
(1)障害を理由とする差別の解消の推進と普及啓発の促進
①差別の解消に向けた啓発・広報活動の推進
- 広報紙「県民の友」、テレビ広報番組「きのくに21」やラジオ広報番組「ラジオでお届け!県政最前線」、県ホームページやSNS等、あらゆる広報媒体を効果的に活用し、啓発・広報活動の充実を図ります。
- 障害や障害のある人への理解を深めるため、「障害者週間」「人権を考える強調月間」にあわせ、各種イベントを実施します。
- 様々な障害特性を理解し、障害のある人が困っている場面で積極的にサポートを実践する「あいサポート運動」を推進するため、企業や自治会、学校、ボランティア団体等の参加を働きかけます。また、ヘルプマークの啓発にも取り組みます。
- 「和歌山県障害者差別解消条例」及び「改正障害者差別解消法」の理念等を踏まえ、障害を理由とする差別の禁止や合理的配慮の提供等の取組について、県民や事業者に対して普及啓発を行います。
- 県職員が事務及び事業を行うに当たり、障害を理由とする差別の解消について適切に対応するため必要な事項を定めた「障害を理由とする差別の解消を推進するための和歌山県職員対応要領」について、和歌山県障害者差別解消条例及び改正障害者差別解消法の理念等を踏まえ、見直しを行います。
また、職員対応要領に基づき、障害のある人に関する理解を促進し、合理的配慮の提供を適切に行うため、必要な研修等を実施します。
- 障害を理由とする差別に関する相談事例の共有や、差別を解消するための取組を効果的かつ円滑に行うため、和歌山県障害者差別解消支援地域協議会を運営します。
②外見から理解されづらい障害等に関する普及啓発
- 精神障害、発達障害、高次脳機能障害、難病等について、それぞれ精神保健福祉センター、発達障害者支援センター、障害児者サポートセンター、難病・こども保健相談支援センター等の専門的機関において、講演会や研修会の開催等、障害等の理解を深めるための啓発を実施します。
- 内部障害等、外見から障害のあることが分かりづらい人が、援助や配慮を必要としていることを周囲に伝える「ヘルプマーク」の交付を推進するとともに、制度の周知に取り組みます。
- 認知症の正しい知識を普及するため、引き続き認知症サポーターの養成に取り組み、認知症の人や家族を地域で見守るための体制を整備します。
(2)「心のバリアフリー」や福祉教育等の推進
①地域社会や職場における理解促進
- 企業や地域において障害に関する理解を促進するため、企業や団体等に対して「あいサポート企業・団体」への登録を働きかけます。
- 精神障害のある人等の家族に対し福祉制度を周知し、活用を促します。また、講演会や交流会を開催し、障害に関する正しい理解を深めるとともに、障害のある人や家族の交流を広めます。
- 地域における普及啓発と精神疾患の予防や早期介入につなげることを目的として、精神疾患等への正しい知識を持ち、できる範囲で手助けをする「心のサポーター」を養成します。
②学校における人権教育や福祉教育等の推進
- 特別支援教育啓発セミナーを実施し、障害のあるこどもの成長を支えるすべての県民に対し、共生社会の実現に向けた特別支援教育についての理解・啓発を図ります。
- 特別支援学校や障害のある子供たちへの理解を深めるため、「きのくに学び月間」に各特別支援学校で授業や学校行事等さまざまな取組を公開します。また、和歌山ろう学校で広く県民を対象に手話講座を開催するなど地域との交流を図ります。
- 一人一人の教員の人権感覚を向上させるため、「障害のある人の人権」を取り上げた各種研修会を実施するとともに、各学校での校内研修の充実に向けて指導者用資料を作成し、活用します。
(3)権利擁護の推進等
①障害のある人の権利擁護
- 障害のある人の意思決定を支援するため、市町村及びその他の関係機関と連携を図り、必要とする方が適切に成年後見制度を利用できるよう体制整備を進めます。また、担い手不足に関し、県としての方針を定め、新しい担い手の確保などを検討します。
- 精神科病院に入院している人のうち、特に医療機関外の方と面会交流が途絶えやすくなる人からの希望に基づき、精神科病院へ訪問し、体験や気持ちを丁寧に聴くとともに、入院中の生活に関する一般的な相談や必要な情報提供等を行うことで、孤独感や自尊心低下の解消を推進します。
②虐待の防止
- 虐待は許されない行為であるため、障害者福祉施設従事者等による障害者虐待の防止など、施設利用者である障害のある人の適切な権利保護のため、個別の相談等への丁寧な対応を行うとともに、身体拘束の適正化を含めて、関係法令の遵守に向けて事業者に指導等を行います。
- 市町村の個別虐待事案に対応するため、弁護士等を派遣し対応方針に対して助言を行います。
- 障害のある人の人権の理解を深め、より人権尊重の観点に立った障害福祉サービスを提供するため、市町村等行政職員や事業所の管理者、人権擁護推進員だけでなく、医療機関や教育機関で働く関係者に対しても研修を実施します。
- 障害福祉サービス事業所等の従事者を対象に、強度行動障害がある人に対する対応についての専門的な研修を行い、広域的支援人材を養成し、障害福祉サービスの質の向上を図ります。
(4)政治参加の機会の確保
①選挙に関する情報提供等の充実
- 障害のある人の選挙の投票機会を確保するため、関係機関等に対し、投票所入場券への点字表記等、障害の特性に応じて障害のある人に適切に選挙に関する情報を伝える方法等の周知啓発を行います。
- 市町村と連携し、選挙公報の点字版、音声版及び拡大文字版や点字による氏名等掲示の作成等、情報提供の充実と投票環境のさらなる向上に取り組みます。
②障害のある人に配慮した投票所での対応等
- 障害のある人が障害の特性に応じて、自らの意思に基づき円滑に投票できるよう、取組事例の周知等を通じて投票の秘密に配慮した代理投票の適切な実施等の取組を促進します。また、選挙人を介護する人やその他の選挙人とともに投票所に入ることについて、投票管理者が認めた人は投票所に入ることができることの周知を図ります。
- 誰もが投票しやすい環境づくりをめざして、障害の特性に応じた対応マニュアルの整備等を通じて、投票所での障害者支援の質的向上を図ります。
③多様な投票についての周知・啓発
- 指定病院等における不在者投票、郵便等による不在者投票等の制度について周知啓発をより一層進め、選挙の公正を確保しつつ、投票所での投票が困難な障害のある人の投票機会の確保を図ります。
- 小学校、中学校、高等学校だけでなく、特別支援学校等も対象に主権者教育を行い、模擬投票の体験等を通じて、障害のある人が選挙に参加しやすくなるよう意識向上に向けた啓発に取り組みます。
普及啓発・理解促進における数値目標
項目 |
2022年度 |
2026年度 |
2029年度 |
(令和4年度) |
(令和8年度) |
(令和11年度) |
|
あいサポーター数 (累計) |
24,982人 |
37,000人 |
46,000人 |
あいサポート企業・団体数 (累計) |
52団体 |
80団体 |
101団体 |
心のサポーター数 (累計) |
96人 |
3,000人 |
6,000人 |