第2章第2項
第2項 障害者アンケート調査の結果概要について
- 本プランを作成するにあたり、県内の障害のある人の実態を把握するため、障害者手帳所持者から対象者を無作為抽出し、アンケート調査を実施しました。
- 本項では、アンケート調査のなかで、障害のある人の生活に密着した項目(住む、 働く等)について整理しました。
- 本項で、年齢層によって回答内容に特徴のあった質問について、年齢層別の回答 結果を掲載しています。
- 回答者の年齢層は65歳以上が最も多く、障害種別に偏りがあったため、障害種別ごとに回答の分析は行っていません。
(障害者アンケートの概要)
- 調査対象者 5,600人
平成29年3月31日現在で和歌山県内に居住する障害者手帳所持者(74,435人)から統計学に基づき、必要となるサンプル数を無作為抽出
(内 訳)
身体障害のある人(身体障害者手帳所持者) 4,000人
知的障害のある人(療育手帳所持者) 800人
精神障害のある人(精神障害者保健福祉手帳所持者) 800人
- 調査期間 平成29年10月中旬から平成29年11月29日まで
- 有効回答数 2,854件(回答率:約51.0%)
1、仕事について
- 質問 働くために、どんなことが必要だと思いますか。
18歳から64歳の回答
「職場に障害を 理解してくれる人がいること」と回答した方が65.0%と最も高く、次いで、「勤務場所に障害者に配慮した設備などが整っていること」(54.5%)、「通勤手段が確保できること」(51.4%)という結果でした。
また、「就労後のフォロー援助など、職場と支援機関との連携があること」(40. 9%)、「仕事で困ったときに、職場以外で相談にのってくれるところがあること」 (38.4%)等、就労後の職場以外でのフォロー体制を望む意見も多くありました。
2、障害福祉サービスについて
- 質問 現在、障害福祉サービスを利用していますか。
「利用している」 と回答した方は、29.7%という結果でした。
- 質問 障害福祉サービスを利用するにあたり、困っていることはありますか。
障害福祉サービスを利用するにあたり、「困っている」と回答した方は、17.1%という結果でした。
- 質問 困っている内容とはなんですか。(「困っている」と回答した方を対象)
「利用量(時間)が足りない」(21.1%)と回答した方が最も多く、次いで「サ ービスが使いづらい」(20.5%)、「費用、金銭面の問題」(13.7%)という結 果でした。
3、人権や権利擁護相談について
- 質問 これまでに、障害があることで嫌な思いをしたり、配慮してもらえなかったことはありますか。
障害があることで嫌な思いをしたり、配慮してもらえなかった経験について質問 したところ、「ある」と回答した方は30.8%という結果でした。
- 質問 嫌な思いをしたり配慮してもらえなかったことはどのような内容ですか。
嫌な思いをしたり配慮してもらえなかった内容について、「いじめ・からかい等」 (42.0%)が最も高い結果でした。次いで「障害に理解のない対応」(26.2 %)、「トイレがバリアフリー化されていない等設備上の問題」(6.4%)との結果となっていました。
その他、「障害があることで意思疎通が円滑にできず、周りの人に自分の意見等 が伝わりにくい」「外見から障害があることが分かりにくいために、配慮をして もらえなかった」等の回答がありました。
回答にあったような、障害を理由とした嫌な思いが起きないように、どのような取組が必要か、その内容について意見をうかがいました。
- 質問 障害を理由とする差別をなくすために、どのようなことが必要ですか。
障害を理由とする差別をなくすために、どのようなことが必要か質問したところ、 「障害の内容や程度を正しく理解してもらうこと」(49.6%)が最も多く、次いで「何が差別に当たるかを明らかにすること」(38.8%)、「差別に関する相談をしやすくし、解決しやすくすること」(29.7%)という結果とでした。回答の中で最も多かった、障害に関する正しい理解のための必要な取組について、次の設問で意見をうかがいました。
- 質問 障害を理解してもらうためには、どのような方法が効果的だと思いますか。
「学校での教育」(45.5%)が最も多く、次いで「行政、企業などでの職員研修」 (34.3%)、「障害のある人とない人との交流」(33.4%)という結果でした。2つの質問に対する回答を合わせて考えると、障害に対する差別をなくすために は、障害への正しい理解が重要であり、その啓発先については「学校」、「行政、 企業などの職場」と考えている方が多くいました。
4、障害のある人が求める取組
- 今後、生活するうえで充実させてほしいことについて質問したところ、年齢層によって回答内容に特徴があったため「18歳未満」、「18歳から64歳」、「65歳以上」 に分けて、回答を整理しました。
- ここでは選択項目が多かったため、回答数の多かった上位10項目について整理しています。
【18歳未満の回答結果】
- 「企業などの働く場」と回答した人が42.1%と最も高く、次いで、「働くための 訓練の場」が21.9%、「住まいの場(グループホーム)」が21.1%という結果でした。
- 就労に関する回答が多いことから、学校を卒業し、社会に出てから、経済的な 自立について不安を感じていることがうかがわれます。また、「住まいの場(グループホーム)」が上位にあることから、将来の住居について、不安を感じていることがうかがわれます。
【18歳から64歳までの回答結果】
- 「企業などで働く場の確保」と回答した方が20.0%と最も高く、次いで「医療 費の負担軽減」が18.5%、「住まいの場(入所施設)」が16.2%という結果でした。
- 生活に関連して全般的な項目が求められており、普段の生活で直面している問題が多いことがうかがわれます。その中で、「医療費の負担軽減」や「公共交通 機関、公共施設の割引」の回答から、生活を送るうえで、経済面の不安をより 感じていることが考えられます。
【65歳以上の回答結果】
- 「医療費の負担軽減」と回答した人が22.2%と最も高く、次いで「災害時の支 援」が15.4%、「住まいの場(入所施設)」が15.0%という結果となっています。
- 「医療費の負担軽減」、「災害時の支援」の回答が上位となっており、加齢に伴 い、健康面や緊急時の不安が増していることが分かります。
- 「住まいの場(入所施設)」、「住まいの場で受けられる訪問系サービス」の回答 が上位となっていることから、将来の不安から在宅生活が困難になった場合の入所施設を期待するとともに、訪問系サービスを利用しながら、できるだけ自 宅で生活をしたいと望んでいる人が多い状況が明らかです。