第3章第2項4

4.安心して暮らせる地域づくりの推進

  • 障害のある人の暮らしについては、地域移行を最優先するのではなく、福祉施設、 グループホーム等様々な選択肢の中から、障害のある人がそれぞれの状態に応じ、 希望する生活をおくることができるよう、本人の意思決定を尊重した支援を行います。
  • 身近な地域での相談支援体制や障害福祉サービスの充実を図り、安心して暮らせる地域づくりに取り組みます。
  • 障害のある人の利益を守り、権利を実現するため、虐待防止の推進に取り組みます。
  • 精神科病院で長期にわたり生活している障害のある人が、本人の希望に基づいて 地域生活を送ることができるよう、地域生活への移行を推進します。
  • 障害のある人が生きがいをもって暮らせるよう、障害者スポーツや芸術・文化活 動等の推進に取り組みます。
  • また、障害のある人を犯罪被害や消費者被害から守るため、障害特性に配慮した防犯対策や消費者トラブル防止に取り組みます。

(1)相談支援体制の整備

①身近な相談支援体制の整備

  • 日常生活における課題解決や希望に応じた障害福祉サービス利用等、障害のある 人の全般的な相談に応じる相談支援事業所の機能を高めるため、相談支援専門員 の養成とサービスの向上を図ります。
  • 身近な地域で発達障害のある人や子供からの相談に対応し支援を行うために取り 組む市町村職員等に対し研修を行い、知識と対応力の向上を図っていきます。
  • 発達障害のある子供を育てた経験を持つ親が、その経験を活かして相談・支援を 実施する「ペアレント・メンター」を養成します。
  • 障害のある人が利用するサービスの手続きや金銭管理等を行う日常生活自立支援 事業を支援します。
  • 全ての妊産婦及び乳幼児とその保護者を対象に、保健師等の専門職による切れ目 のない総合的支援を行う「子育て世代包括支援センター」を設置する市町村に対 し、財政支援や専門職に対する研修実施等技術支援を行います。

②専門的な相談支援体制の充実

  • 地域の課題を協議して解決へ導くため、市町村や障害福祉サービス事業所等によ り構成される「地域自立支援協議会」に障害福祉サービス等の専門的知識を有す るアドバイザーを派遣し、助言等を行います。
  • 障害のある人の相談業務を行う市町村や相談支援事業所等を対象として、弁護士相談を実施します。
  • 市町村の個別虐待事案に対応するため、弁護士等を派遣し対応方針に対して助言します。
  • 医療、保健、福祉、教育、労働等の関係団体等を構成員とする発達障害者支援地 域協議会において、地域における発達障害の課題と対策について検討を行います。

(2)人権擁護の推進等

①障害のある人の人権擁護

  • 障害のある人の人権の理解を深め、より人権尊重の観点に立った障害福祉サービ スを提供するため、事業所の管理者、人権擁護推進員に対する研修を実施します。
  • 障害のある人の社会的障壁を除去するため、合理的配慮の提供等、障害のある人 に対する適切な対応が行われるよう、県内企業、事業者に対し取組を呼びかけます。
  • 障害のある人の意思決定を支援するため、和歌山県成年後見支援センターと連携 して相談会を開催するなど、障害のある人やその家族へ成年後見制度の周知徹底を図ります。

(3)障害福祉サービス等の充実

①サービスの充実等

  • 障害福祉サービス事業所の従事者を対象に、強度行動障害がある人や視覚障害の ある人に対する対応についての専門的な研修を行い、障害福祉サービスの質の向上を図ります。
  • 障害のある人が安心して適正な障害福祉サービスを利用できるよう、事業所に対して第三者評価事業の実施を働きかけます。

②自立及び社会参加の促進

  • 障害のある人の自立を促進するため、視覚障害のある人に対する歩行訓練、音声 機能を喪失した人に対する発声訓練、ストマ装具を装着する人に対する装具の指導等、各種訓練等を実施します。また、身体障害者補助犬(盲導犬・聴導犬・介助犬)の給付を行い、障害のある方の社会参加を推進します。
  • 移動に配慮を要する人が外出時に一般道路上に駐車できるようにするため、障害 者駐車禁止除外指定車制度活用を推進します。
  • 車いす使用者用駐車区画等の適正利用を促進するため、移動に配慮を要する人に 利用証を交付し、駐車時に掲示する「障害者等用駐車区画利用証制度」の実施協 力や駐車区画の拡大を企業等に働きかけまず。また、引き続き、県民に対して車 いす使用者駐車区画等の適正利用について呼びかけます。

(4)障害のある人の地域移行・地域定着の支援

  • 施設に入所している障害のある人のうち希望する人や精神科病院に入院している 障害のある人を対象に、地域における生活体験や地域での生活に関する情報提供 を行うなど入所者が地域へ戻って生活する意欲を高めるための取組を行うととも に、保護者にも不安を和らげるよう説明を実施するよう福祉施設等に働きかけます。なお、精神科病院においては、病院と連携し、入院中から相談支援事業所、行政、 ピアサポーター等に相談できる体制を構築し、入院患者の早期退院を目指します。
  • 障害のある人が福祉施設を退所または精神科病院を退院して地域で生活するにあ たり、利用を希望する人の増加が予想される「共同生活援助(グループホーム)」 の整備を促進するとともに、様々な障害特性や障害程度の人に対応できるよう、 施設職員等の資質向上のための研修を行います。

 また、移行後の地域での生活を支援するため、「居宅介護」や「生活介護」等の 障害福祉サービスを充実するように努めます。

  • 地域で生活することを希望する障害のある人を支援するため、地域における生活 体制を整える「地域移行支援」、移行後の地域での生活を継続していくため、常時の連絡体制の確保して緊急時に必要な支援を行う「地域定着支援」、定期的に 利用者の居宅を巡回訪問する「自立生活援助」の充実に取り組み、活用を呼びかけます。
  • 障害のある人の重度化・高齢化や「親亡き後」に備えるとともに、障害のある人 が福祉施設を退所または精神科病院から退院しても地域で安心して生活できるよ う、グループホームを利用した一人暮らしの体験の機会提供、緊急時の受入体制の確保に向けた取組等、障害のある人を地域で支える仕組みを整備します。

(5)生きがい対策の推進

  • 障害のある人が地域で充実した生活を送ることができるよう、健康づくりをすすめるとともに、生きる張り合いや楽しみをつくるため、障害者スポーツ大会、障害者スポーツ教室の開催や芸術・文化活動に取り組む機会を提供します。

(6)ボランティア活動の推進

  • 障害のある人を支えるボランティア活動を推進するため、引き続きボランティア コーディネーターの養成を行います。また、障害のある人や関係機関にボランティアセンターの情報の周知を行い、ボランティア活動の機運を高めます。

(7)防犯・消費者被害の防止

  • 聴覚障害や言語障害のある人等が緊急時に通報できるメール110番システムについて、引き続き広く利用されるよう、周知します。
2016年度 2020年度 2023年度
相談支援専門員の養成 903人 1,432人 1,777人
第三者評価事業実施事業所数 7か所 5か所 10か所
障害者支援施設から地域生活へ移行した者(※計画期間の累計) 50人 50人
精神科病床における65歳以上の1年以上の長期入院患者数 658人 550人 481人
精神科病床における65歳未満の1年以上の長期入院患者数 476人 453人 372人
共同生活援助(グループホーム定員数) 1,148人 1,323人 1,467人
訪問系サービス 2,318人 2,643人 2,968人
生活介護 2.428人 2,895人 3,067人
地域移行支援 12人 71人 130人
地域定着支援 50人 136人 222人
自立生活援助 52人 104人
障害者支援施設入所者 1,251人 1,226人 1,226人
精神科病院に入院した患者の入院後3ヶ月時点の退院率 68% 69% 69%
精神科病院に入院した患者の入院後6ヶ月時点の退院率 85% 86% 86%
精神科病院に入院した患者の入院後1年時点の退院率 88% 91% 91%
障害者スポーツ参加者数 2,329人 3,140人 3,572人
ペアレントメンター 28人 36人 44人

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