第3章第2項2

2.障害のある子供に関する支援の促進

  • 障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に学ぶことを目指すインクルー シブ教育システム(※)を推進するため、特別支援教育の一層の充実を図ります。
  • 障害のある子供が、将来、社会で自立できるように身近な地域で専門的な教育や医療の支援を行います。

※インクルーシブ教育システム
  障害のある子供が障害のない子供と可能な限り共に学ぶとともに、自立や社会参加に向けて一人ひとりの障害の状態やニーズに応じた指導や支援を 受けることができる多様で柔軟な仕組み

(1)教育施策の充実

1.就学指導の充実

  • 障害のある児童生徒の適切な就学を支援するため、障害の状態や教育的ニーズ、 本人・保護者の意向を踏まえ、総合的な観点から就学先を決定する取組を市町村教育委員会と連携して進めていきます。

2.特別支援教育の推進

  • 教員一人ひとりが多様化する幼児児童生徒の課題について対応できるよう、特別 支援学校や小学校・中学校の通級指導教室担当教員等の特別支援教育に関する専門性のある教員による巡回相談を実施します。
  • 障害のある児童生徒について、学校や学年が変わっても一貫した指導や支援を行 うことができるよう、特別支援学校や小学校・中学校の特別支援学級、通級指導 教室で学ぶ幼児児童生徒について個別の教育支援計画(つなぎ愛シート)を活用 した引継体制を推進するとともに、高等学校や卒業後へ引き継ぐ仕組みを構築します。
  • 特別支援学校や特別支援学級、通級指導教室担当教員を対象にした障害のある幼児児童生徒の理解や支援方法に関する研修を行う等、教員の特別支援教育に関する専門性の向上を図ります。
  • 障害のある幼児児童生徒の教育の充実を図るため、日常生活を営むために医療を要す る状態にある障害のある子供(以下「医療的ケア児」といいます。)の対応ができるよう研修を実施し、特別支援教育に携わる教員の実践力や専門性を高めます。
  • 障害のある子供の教育的支援を研究している国立特別支援教育総合研究所や大学に教員を派遣し、地域の特別支援教育体制の充実を図るため、地域の中核となる 特別支援教育担当教員を計画的に養成します。

3.交流及び共同学習の推進

  • 特別支援学校と小・中・高等学校等の交流及び共同学習を実施することで、障害のある幼児児童生徒と障害のない児童生徒が互いに理解し合う取組を進めます。

4.職業教育及び進路指導の充実

  • 障害のある生徒の「働く意欲・態度」を育むため、民間企業、福祉事業所等での現場実習の充実を図ります。
  • 障害のある生徒の社会的自立と職業的自立を推進するため、特別支援学校、教育、 行政、公共職業安定所や就労系サービス事業所等で構成する特別支援学校進路対策協議会において、各特別支援学校が有する成果・課題等について情報共有を図 ります。また、特別支援学校においては児童生徒の状況に応じて関係機関と連携し、進路指導の充実を図ります。

5.教育環境の整備

  • 医療的ケア児が安心して学校生活を送れるよう、医療的ケア児の在籍等に応じて各特別支援学校に看護師を配置します。

6.地域社会における学習機会・環境の充実

  • 障害のある子供の自立や社会参加を促すため、放課後や週末に、学校近隣の中高生ボランティアとの交流、スポーツ体験や文化体験活動、地域の清掃活動等、地域や学校の特色を生かした様々な活動を実施します。
  • 特別支援学校の生徒がスポーツを通じた交流する機会を確保するため、県特別支援学校体育大会の開催支援や近畿大会への生徒の派遣を行います。
  • 県立図書館等における学習サービスの充実を図るため、大活字本や録音図書等、 障害のある人のニーズに応じた資料を収集し、提供します。

(2)療育施策の充実

  • 子ども・女性・障害者相談センター等の専門の機関で、障害のある子供に関する相談に対応し、専門的な助言、指導を行います。
  • 乳幼児健康診査等の結果、心身の発達・発育に遅れや問題が発見された乳幼児とその保護者を対象に、医師等による療育相談指導を実施します。

 また、市町村や関係機関と緊密に連携し、切れ目なく円滑に早い段階で療育支援に繋げます。

  • 障害のある未就学の子供に対して、日常生活における基本的な動作の指導や集団生活への適応訓練等を行う「児童発達支援センター」について、各障害保健福祉圏域への設置を働きかけ、県内全ての市町村で、障害のある子供が集団生活に適応できるように保育所、学校等に指導を行う「保育所等訪問支援」サービスを利用できるように、「児童発達支援センター」を中核とした地域の療育支援体制を確立します。
  • 重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した重症心身障害児を支援する「児童発達支援事業所」及び「放課後等デイサービス事業所」について、各圏域に1 か所以上設置し、重症心身障害児が身近な地域で必要な支援を受けることができる体制づくりを推進します。
  • 医療的ケア児や重症心身障害児に対する支援を適切に行える人材及び地域において保健、医療、福祉、保育、教育等関係者からの必要な支援を総合的に調整する コーディネーターを養成します。
  • 医師、看護師、支援員等の専門家チームを各障害保健福祉圏域(和歌山市圏域を 除く。)ごとに、家庭、施設、学校等に派遣し、地域で生活する障害のある子供 と介護者に対して、身近なところでリハビリテーションを提供します。
  • 保護者が仕事等の理由で昼間家庭にいない児童に、遊びと生活の場を提供する放課後児童クラブ(学童保育)に専門的知識を有する職員を配置し、障害のある子供の利用を促進します。
  • 新生児聴覚スクリーニングテストや乳幼児健康診査等の結果、発見された身体障害者手帳対象外の軽度・中等度難聴児に対して、早期に補聴器を着用することを支援します。
2016年度 2022年度
特別な支援を必要とする子供への個別の教育支援
計画(つなぎ愛シート)の作成率(*)
幼稚園 12.8% 60.0%
小学校 48.6% 90.0%
中学校 38.7% 90.0%
高等学校 27.5% 40.0%

「第3期和歌山県教育振興基本計画」(2018~2022年度)より抜粋

2017年度 2020年度
「児童発達支援センター」を各障害保健福祉圏域に1か所以上設置 7圏域 8圏域
重症心身障害児を支援する「児童発達支援事業所」及び「放課後
等デイサービス事業所」を各障害保健福祉圏域に1か所以上設置
5圏域 8圏域
医療的ケア児コーディネーターを各障害保健福祉圏域に設置 8圏域

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