第4章第2項(伊都圏域)
〈伊都圏域〉
【構成市町村】 橋本市、かつらぎ町、九度山町、高野町
【面積】 463.43平方キロメートル
【人口】 86,627人(平成29年4月1日現在)
【高齢化率】 32.3%(平成29年1月1日現在)
- 当圏域は、県北東部に位置し、大阪府、奈良県との県境を有しています。圏域人口は、年々減少し、高齢化も進行しています。中でも九度山町、高野町の高齢化率は40%を超えており、県平均30.9%を大きく上回っています。
1 圏域の現状と課題
〔指定障害福祉サービス等〕
- かつらぎ町、九度山町、高野町の山間部では、事業所不足や交通が不便なことから各種サービスの利用が困難な状況となっています。特に、冬季においては積雪により交通が遮断される地域もあり、利用できるサービスが限定されるため、交通事情も考慮したサービスの提供体制の整備が求められています。
- 障害のある人の地域での居住の場としてグループホームの整備を促進するとともに、障害のある人や障害のある人の家族が地域での自立した生活について十分に理解し、安心できるよう、情報を提供していくことが必要です。グループホームは、圏域内に4事業所(9住居)(平成29年4月現在)設置されており、少しずつ増加しているものの、今後も圏域内における居住の場としてさらなる確保が必要です。
- 精神障害のある人に対するサービス事業所としては、日中活動ができる事業所はほぼ充足していますが、グループホーム等の居住の場や短期入所サービスが不足しています。
- 入所施設は、圏域内に2か所(平成29年4月現在)ありますが、新たな利用希望については、他圏域の入所施設を調整しなければならない状態です。
〔相談支援〕
- 相談支援事業については、圏域の市町が共同で3事業者に委託して実施しています。また、圏域内の事業者と行政機関を中心に、福祉、保健、医療、教育、労働等の各分野の関係機関で構成する自立支援協議会については、関係機関が情報を共有し、連携して障害のある人を一体的に支援できるようネットワークを構築し、その連携強化に努めています。協議会には、専門部会として「就労支援部会」や「子ども部会」などを設置しています。
- 平成28年度から基幹相談支援センター設立準備会を毎月開催しており、平成30年度の設置に向けて協議しています。
〔障害のある子供に対する支援〕
- 発達障害のある子供の早期発見については市町の保健師が中心となり、4か月健診から3歳児健診までの乳幼児健康診査等で障害の早期発見に努めています。障害のある子供については、医療機関や保育所等における早期療育へとつながるよう早い段階から支援を開始し、学童期には就学指導委員会を通じて教育機関とも連携して支援を行っています。しかし、障害が軽度な子供については、支援が遅くなる傾向にあり、早期対応が今後の課題となっています。卒業後の社会参加、特に就労も含めた成人期にいたるまでの支援が求められています。
- 各市町が乳幼児健診後に1~2歳児を対象に親子教室を実施しています。また、療育相談や調整会議等で専門の療育施設や地域の保育所での支援について検討しています。
- 放課後等デイサービスの事業所が定期的に連絡会を実施し、情報交換を行っています。
〔就労支援〕
- 就労支援の専門的相談窓口としては、障害者就業・生活支援センターが設置されており、一般就労等について一定の成果をあげています。今後も障害のある人の雇用の場を拡大し、就労を一層促進するため、障害者雇用に対する企業の理解を深めるとともに、自立支援協議会の就労部会において企業から作業所への仕事の斡旋や、施設外就労の調整などが必要です。
〔その他〕
- 障害のある人の社会参加を促進するため、地域住民と障害のある人が交流の場を持ち、お互いに理解を深めるための啓発活動が必要です。また、物理面のみならず、あらゆる面において地域のバリアフリー化を進めることが必要です。
2 圏域内の障害者手帳交付状況(平成29年3月31日現在)
視覚障害 |
聴覚・平衡・ 音声言語・そしゃく |
肢体不自由 | 内部障害 | 合計 |
358人 | 695人 | 3,140人 | 1,385人 | 5,578人 |
6.4% | 12.5% | 56.3% | 24.8% | 100.0% |
A1 | A2 | B1 | B2 | 合計 |
111人 | 164人 | 192人 | 350人 | 817人 |
13.6% | 20.1% | 23.5% | 42.8% | 100.0% |
1級 | 2級 | 3級 | 合計 |
52人 | 315人 | 196人 | 563人 |
9.2% | 56.0% | 34.8% | 100.0% |
3 障害福祉サービス等の見込量(1か月あたり)
種類 | 2017年度 実績見込 |
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 |
居宅介護 重度訪問介護 同行援護 行動援護 重度障害者等包括支援 |
3,911時間 | 3,868時間 | 3,994時間 | 4,118時間 |
181人 | 179人 | 183人 | 186人 |
種類 | 2017年度 実績見込 |
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 |
生活介護 | ー | 4,620人日 | 4,707人日 | 4,176人日 |
218人 | 238人 | 243人 | 248人 | |
自立訓練(機能訓練) | 0人日 | 23人日 | 23人日 | 23人日 |
0人 | 1人 | 1人 | 1人 | |
自立訓練(生活訓練) | 252人日 | 291人日 | 301人日 | 315人日 |
20人 | 25人 | 25人 | 26人 | |
就労移行支援 | 442人日 | 464人日 | 471人日 | 491人日 |
23人 | 25人 | 26人 | 27人 | |
就労継続支援(A型) | ー | 2,452人日 | 2,599人日 | 2,599人日 |
85人 | 124人 | 129人 | 129人 | |
就労継続支援(B型) | ー | 3,561人日 | 3,661人日 | 3,725人日 |
185人 | 225人 | 234人 | 240人 | |
就労定着支援 | ー | 6人 | 6人 | 8人 |
療養介護 | 17人 | 15人 | 14人 | 14人 |
短期入所(福祉型) | 201人日 | 178人日 | 191人日 | 199人日 |
20人 | 20人 | 22人 | 23人 | |
短期入所(医療型) | 42人日 | 45人日 | 50人日 | 55人日 |
7人 | 8人 | 9人 | 10人 |
種類 | 2017年度 実績見込 |
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 |
自立生活援助 | ー | 3人 | 3人 | 3人 |
共同生活援助 | 74人 | 74人 | 77人 | 79人 |
種類 | 2017年度 実績見込 |
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 |
計画相談支援 | 107人 | 104人 | 109人 | 112人 |
地域移行支援 | 0人 | 3人 | 6人 | 8人 |
地域定着支援 | 0人 | 3人 | 3人 | 3人 |
種類 | 2017年度 実績見込 |
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 |
児童発達支援 | 1,404人日 | 1,420人日 | 1,456人日 | 1,491人日 |
102人 | 120人 | 124人 | 127人 | |
放課後等デイサービス | 1,234人日 | 1,031人日 | 1,051人日 | 1,083人日 |
96人 | 85人 | 86人 | 88人 | |
保育所等訪問支援 | 7人日 | 15人日 | 17人日 | 18人日 |
4人 | 9人 | 10人 | 10人 | |
居宅訪問型児童発達支援 | ー | 4人日 | 8人日 | 8人日 |
ー | 1人 | 2人 | 2人 | |
障害児相談支援 | 26人 | 23人 | 26人 | 27人 |
医療的ケア児に対する関連分野の支援を 調整するコーディネーターの配置人数 |
ー | 0人 | 0人 | 1人 |
4 圏域の取組
〔地域生活支援体制の充実〕
- 障害のある人が地域で安心して暮らせるように、障害の特性に応じたホームヘルパーの確保や短期入所の充実に努めます。
- 障害のある人が高齢になっても住み慣れた地域で生活できるよう、介護保険制度における訪問介護事業所や居宅介護支援事業所に対して、事業参入を働きかけ、訪問系サービスの充実に努めます。
- 障害のある人が地域で安心して暮らせるように、事業者等関係機関との連携のもと、緊急時の受入体制の確保に取り組みます。
- 日常生活自立支援事業等を活用し、障害のある人の各種福祉サービスの利用や、日常生活の各種手続き等を円滑に行えるよう支援します。
〔相談支援体制の充実〕
- 自立支援協議会において、福祉、保健、医療、教育、労働等の関係機関の連携を深め、地域の課題を共有することにより、総合的な相談支援体制の強化に取り組みます。また、自立支援協議会のケアマネジメント連携部会で研修を行い、関係機関の連携強化やサービス等利用計画の充実に取り組みます。
〔発達障害のある人に対する支援〕
- 自立支援協議会において、関係機関の連携を強化し、早期発見、早期療育へとつなげることができるよう地域の支援体制を整備します。特に支援を必要とする事例について課題を明確にし、その解決策を検討します。また、子ども・女性・障害者相談センター及び発達障害者支援センター等の専門機関と連携し、発達障害のある人とその家族への総合的な支援を行います。
〔障害のある子供に対する支援〕
- 自立支援協議会に設置している「子ども部会」において、圏域の療育支援システムについてフローチャートによる視覚化をおこない、圏域全体の共通理解を目指します。
- 放課後等デイサービス事業所が定期的に行っている連絡会に、自立支援協議会子ども部会が参加することで業務を強化し、放課後等デイサービスの充実に努めます。
〔就労支援体制の充実・促進〕
- 自立支援協議会の専門部会「就労支援部会」を中心に関係機関と連携して障害のある人の就労支援に取り組みます。また、障害者優先調達法における物品の調達について、就労支援部会が共同受注窓口として各事業所へ情報提供を行います。
- 自立支援協議会の就労支援部会では、障害のある人の就労について、現状を十分に把握し、部会参加者の意識向上を確実に図りながら運営を進めます。
- 障害者総合支援法に基づく就労支援サービス以外の事業所も広く参加し、障害のある 人の就労に関するネットワークの体制を強化しながら、ニーズや課題について議論し、 社会資源の改善・開発や地域の取り組みについて全体会へ提案します。また、事業所間の情報交換や販路拡大のため、相互に事業所へ販売活動を行います。
- 障害者雇用に対する理解を促進するため、就労支援部会の活動を通じて企業に対し啓発活動を行います。
〔精神障害のある人の地域生活支援の充実〕
- 退院可能な精神障害のある人が地域で生活できるよう、事業者、医療機関と連携して、住まいや日中活動の場の確保に努めます。
- 精神障害のある人に対する地域の理解を促進するため、障害者相談支援事業者と協働したイベントの開催等啓発活動を行います。
- 自立支援協議会に設置している「精神保健ネットワーク部会」において、圏域の進捗状況を確認し、対象者の事例検討の上で、共通理解を図ります。事例検討から明らかとなった課題を通じてニーズを把握し、解決策等について検討し、関係機関と連携しながら、精神障害のある人の地域生活支援を進めます。また、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に向けて協議を進めます。
〔地域における居住の場の確保〕
- グループホームの整備を図るため、転用可能な公営住宅等の情報提供を行います。
- 事業所や医療機関と連携し、グループホーム等の整備を促進します。
〔社会参加の環境づくり〕
- スポーツ・文化活動等障害のある人と地域の住民との交流事業は、障害のある人の社会的自立に役立つものであり、また地域の障害のある人に対する理解を深める広報・啓発としても非常に重要です。こうした社会参加を支援するため、圏域内市町では、手話通訳者設置、手話通訳者派遣、要約筆記奉仕員などの派遣や、移動支援事業、自動車運転免許取得・改造助成事業を引き続き実施します。
- 地域生活定着支援センターと行政等の関係機関が連携し、矯正施設等を退所した福祉 の支援を必要とする障害のある人等の社会復帰を目指した支援を行います。