第4章第2項(那賀圏域)

〈那賀圏域〉

【構成市町村】紀の川市、岩出市
【面積】 266.72平方キロメートル
【人口】 114,914人(平成29年4月1日現在)
【高齢化率】 26.1%(平成29年1月1日現在)

  • 圏域東部の紀の川市は、和泉山脈や紀伊山地などの豊かな自然に囲まれた中に市街地や田園集落が広がっており、山間部は公共交通の不便な地域となっているため、コミュニティバスを運行しています。岩出市は、和歌山市や泉南地域への交通アクセスに恵まれ、市内には3コースに分かれた巡回バスが運行されています。県全体の高齢化が進む中で、那賀圏域は、県平均30.9%より5ポイント程度低くなっていますが、今後、高齢化が進行すると見込まれます。

圏域の現状と課題

〔指定障害福祉サービス〕

  • 障害福祉サービスについては、訪問系サービス、療養介護、児童発達支援の事業所は充実していますが、自立訓練、行動援護、重度障害者等包括支援については、事業所が不足しています。特に、山間部に住んでいる障害のある人については、近くに事業所がないため希望するサービスを利用することが困難な状況です。また、就労継続支援A型事業所と放課後等デイサービス事業所数の増加により、サービス内容の質の維持が課題です。
  • 入所施設については、障害者支援施設が1か所(平成29年4月現在)ありますが、他圏域の入所・短期入所施設を利用している人も多く、なかには県外の施設を利用している人もいます。特に、医療的ケアを必要とする障害のある人のための入所・短期入所施設が不足している状況です。
  • グループホームは、現在圏域内に4事業所(13住居)(平成29年4月現在)ありますが、ほぼ満室で、他圏域のグループホーム等を利用している状況です。
  • 精神障害のある人のサービスの利用状況としては、訪問系サービスの利用は増加して いますが、居住支援・施設系のサービスについては、グループホーム等が不足しているため利用できていない状況であり、退院後の地域における居住の場として確保が必要です。

〔相談支援〕

  • 地域の相談支援体制としては、両市がそれぞれ基幹相談支援センター事業を委託して実施しており、専門的職員を配置して、相談支援機能の強化を図っています。
  • 現在、関係機関と連携し、緊急時の受入体制の整備について検討を行っています。
  • 障害のある人の日中の居場所として重要な地域活動支援センターについては、圏域内 に2か所(平成29年4月現在)あり、障害のある人に創作的活動や生産活動の機会を 提供したり、社会との交流等の促進を図るためのイベント等様々な事業を実施していま す。
  • 障害のある人の自立を促進するには、当事者が自立に向けた意欲を持ち、自立への課題を明らかにできる場が必要です。また、将来自立した生活を送るため、地域社会で、様々な活動や体験を積むことができる機会を確保することが重要です。このため、地域活動支援センター等において、こうしたサービスの充実が求められています。
  • 圏域内の事業者と行政機関を中心に、福祉、保健、医療、教育、労働等の各分野の関係機関で構成する自立支援協議会については、現在、専門部会として「就労支援部会」、「精神障害専門部会」、「防災部会」、「こども部会(サブ部会として発達支援センター連絡調整会議及び放課後等デイサービス事業所交流会がある。)」及び「人材育成部会(サブ部会として相談支援部会及びケアマネ連携サブ部会がある。)」が活動しています。

〔発達障害のある人に対する支援〕

  • 発達障害については、まだ社会の中で十分に理解されておらず、発達障害のある人が適切な支援を受けられていない状況であり、乳幼児期から成人期まで一貫した支援を行うための体制整備が必要とされています。
  • 地域活動支援センター合同で発達障害者の親の会を運営し、毎月活動しています。また、当事者の余暇活動支援も行っています。今後は、ペアレントメンター養成や家族会との連携が課題です。

〔障害のある子供に対する支援〕

  • 就学前の療育支援については、2か所の児童発達支援センターの利用調整を自立支援協議会で行っていますが、児童発達支援事業所との連携や役割分担の検討が必要です。
  • 学齢期の療育支援については、放課後等デイサービス事業所と学校との連携や、思春期における課題についての支援を検討する必要があります(例:つなぎあいシートの活用やスクールソーシャルワーカーとの連携等)。

〔就労支援〕

  • 障害のある人の就労支援体制として、圏域内に公共職業安定所(ハローワーク)はありませんが、「ワークプラザ紀の川」があり、求職活動は可能です。専門的な就労相談窓口は、障害者就業・生活支援センターのみとなっています。また、障害のある人を受け入れる一般企業が少ないため、障害者雇用に対する企業の理解を促進し、雇用の場を開拓することが必要です。

〔その他〕

  • 障害のある人の社会参加を促進するための様々なイベントが開催されています。今後とも、障害のある人とない人の交流の場が必要です。
  • 防災部会の取組により、日中活動支援の障害福祉サービス事業所における防災マニュアル作成率は90%以上となっており、今後、防災マニュアルの実効性検証や更新の支援が必要です。
  • 障害者週間に、圏域の事業所有志で企画するイベントを開催し、障害者の芸術文化活動の発表・啓発の場を設けています。

圏域内の障害者手帳交付状況(平成29年3月31日現在)

身体障害者手帳
視覚障害

聴覚・平衡・

音声言語・そしゃく

肢体不自由 内部障害 合計
323人 593人 3,554人 1,539人 6,009人
5.4% 9.9% 59.1% 25.6% 100.0%
療育手帳
A1 A2 B1 B2 合計
162人 181人 255人 572人 1,170人
13.8% 15.5% 21.8% 48.9% 100.0%
精神障害保健福祉手帳
1級 2級 3級 合計
89人 348人 207人 644人
13.8% 54.0% 32.2% 100.0%

障害福祉サービス等の見込量(1か月あたり)

種類 2017年度
実績見込
2018年度 2019年度 2020年度
居宅介護
重度訪問介護
同行援護
行動援護
重度障害者等包括支援
4,647時間 5,473時間 6,010時間 6,621時間
211人 247人 254人 260人
種類 2017年度
実績見込
2018年度 2019年度 2020年度
生活介護 ー  4,418人日 4,890人日 5,140人日
178人 238人 250人 262人
自立訓練(機能訓練) 6人日 45人日 67人日 67人日
1人 2人 3人 3人
自立訓練(生活訓練) 230人日 170人日 182人日 195人日
13人 9人 10人 11人
就労移行支援 405人日 485人日 538人日 597人日
26人 30人 33人 37人
就労継続支援(A型) ー  3,251人日 3,727人日 4,257人日
135人 160人 179人 200人
就労継続支援(B型) ー  4,442人日 4,820人日 5,222人日
214人 274人 291人 310人
就労定着支援 ー  3人 5人 7人
療養介護 17人 18人 18人 18人
短期入所(福祉型) 207人日 260人日 262人日 264人日
22人 23人 24人 25人
短期入所(医療型) 127人日 116人日 138人日 158人日
19人 17人 19人 20人
種類 2017年度
実績見込
2018年度 2019年度 2020年度
自立生活援助 ー  2人 3人 4人
共同生活援助 83人 86人 89人 93人
種類 2017年度
実績見込
2018年度 2019年度 2020年度
計画相談支援 133人 140人 148人 157人
地域移行支援 1人 2人 2人 2人
地域定着支援 1人 3人 4人 5人
種類 2017年度
実績見込
2018年度 2019年度 2020年度
児童発達支援 1,565人日 1,599人日 1,668人日 1,742人日
123人 123人 124人 125人
放課後等デイサービス 2,865人日 3,121人日 3,434人日 3,780人日
197人 213人 235人 260人
保育所等訪問支援 3人日 10人日 11人日 12人日
3人 8人 9人 10人
居宅訪問型児童発達支援 ー  3人日 3人日 3人日
ー  2人 2人

2人

障害児相談支援 16人 26人 37人 55人

医療的ケア児に対する関連分野の支援を調整する

コーディネーターの配置人数

ー  1人 1人 1人

圏域の取組

〔地域生活支援体制の充実〕

  • 障害のある人が地域で安心して暮らせるように、障害の特性に応じたホームヘルパーの確保や、在宅サービスの充実に努めます。
  • 地域特性に応じたサービスが提供できるよう、日中一時支援等の地域生活支援事業の充実に努めます。
  • 障害のある人の日常生活、社会参加を支援するため、地域活動支援センターにおいて、創作的活動や地域住民との交流の機会の提供、生活訓練等を引き続き実施するとともに活動内容の充実に努めます。
  • 障害のある人が地域で安心して暮らせるように、事業者等関係機関との連携のもと、圏域内の緊急の受入体制の整備を進めます。
  • 日常生活自立支援事業等を活用し、障害のある人が各種福祉サービスの利用や、日常生活の各種手続き等を円滑に行えるよう支援します。

〔相談支援体制の充実〕

  • 両市の相談支援事業所を住民が相互利用できるようにすることにより、相談窓口の充実を図ります。自立支援協議会では、専門部会で明らかになった課題を共有するとともに、各関係機関が連携して、その解決に向けて検討し、地域の社会資源の開発・改善を行う等、障害のある人が地域で安心して暮らせるような地域づくりに取り組みます。
  • 自立支援協議会に設置している就労支援部会、精神障害専門部会等の専門部会において、個別の課題について議論を深め、全体会議などに施策を提案し、課題解決に取り組みます。また、新たに設置された「こども部会」「人材育成部会」の機能強化に取り組みます。
  • 保育所や幼稚園、学校、PTA等の連携により、発達障害の早期発見から早期療育へとつなげるとともに、子ども・女性・障害者相談センター及び発達障害者支援センター等の専門機関と連携し、発達障害のある人とその家族への総合的な支援を行います。

〔障害のある子供に対する支援〕

  • 児童発達支援センターの利用について、自立支援協議会こども部会サブ部会「児童発達支援センター連絡調整会議」を開き、調整を図ります(平成29年に2か所目の児童発達支援セ ンター開所)。
  • 自立支援協議会こども部会サブ部会「放課後等デイサービス事業所連絡会」において、情報交換や研修を実施することで支援の質の向上を図ります。

〔就労支援体制の充実・促進〕

  • 自立支援協議会「就労支援部会」を中心に関係機関と連携して障害のある人の就労支援に取り組みます。
  • 自立支援協議会「就労支援部会」の取組
  1. 地域で働けるよう、就労及びそれに伴う生活支援等、一般就労支援の強化に向けた体制整備を進めます。
  2. ケース検討会を通じて、関係機関が情報を共有し、就労移行支援事業及び就労継続支 援事業の充実、公共職業安定所(ハ ローワーク)、障害者就業・生活支援センター 及び就労移行支援事業所との連携によるトライアル雇用やジョブコーチ等の活用の促 進、施設外就労の斡旋、障害者優先調達推進法による共同受注窓口の設置、事業所職 員の研修等を通じ障害のある人の就労を支援します。
  • 障害のある人の雇用に対する理解を促進するため、就労支援部会の活動及び企業との交流を通じて、啓発活動を行います。

〔精神障害のある人の地域生活支援の充実〕

  • 自立支援協議会に設置している「精神障害専門部会」において、主として精神障害のある人を支援する相談支援事業所や医療機関、保健所、福祉サービス事業所等と連携し、意見交換・課題の検討等を行い、精神障害のある人に最適な支援ができるよう取り組みます。
  • 地域の受入体制を整備するため、地域体制整備コーディネーターと指定一般相談支援事業所が連携・協働して、圏域の現状把握を行ない、精神障害のある人が地域生活を継続できるよう支援します。
  • 地域活動支援センター事業により、障害のある人の日常生活、社会生活を支援するとともに、ボランティア育成や啓発等を推進します。
  • 自立支援協議会において民生委員・児童委員会との学習・交流会を企画する等、地域の障害のある人に対する理解を深めるための啓発を行います。

〔地域における居住の場の確保〕

  • グループホームの整備を促進するため、新規開設予定事業者等に対し転用可能な公営住宅等の情報提供を行います。
  • グループホームの設置について、地域住民の理解を深め、地域の受入体制を整備するために、事業者による地元説明会や講演会の開催、出前講座等の啓発活動を支援します。
  • 障害のある人やその家族、また入所施設や医療機関等に対し、地域生活に必要なあらゆる情報の提供に努めます。

〔社会参加の環境づくり〕

  • 意思疎通支援を必要とする障害のある人に対して、手話通訳者・要約筆記者を派遣する体制の充実強化を図ります。
  • 地域における障害のある人に対する理解を深め、障害のある人の社会参加を支援するため、スポーツ、レクリエーション、文化活動等を通じて、共生の社会づくりをより一層進めます。
  • 福祉サービス事業所や家族の会が「障害者週間」に開催する障害のある人と地域住民の交流イベントの周知について支援を行います。
  • 地域生活定着支援センターと行政等の関係機関が連携し、矯正施設等を退所した福祉の支援を必要とする障害のある人等の社会復帰を目指した支援を行います。

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