第4章第2項(海草圏域)

<海草圏域>

【構成市町村】海南市、紀美野町
【面積】 229.40平方キロメートル
【人口】 64,603人(平成29年4月1日現在)
【高齢化率】 33.5%(平成29年1月1日現在)

  • 当圏域は、県最北部に位置しており、県人口に占める割合は約6.4%と圏域人口としては最も少なくなっています。高齢化率は、県平均30.9%を上回る状況で、中でも紀美野町の高齢化率は県下第4位の高位であり、町の75%を山間地が占め、全域が過疎地域に指定されている状況です。

圏域の現状と課題

〔指定障害福祉サービス〕

  • 障害福祉サービスについては、就労移行支援等の事業所が圏域になく、他の圏域の事業所を利用しています。また、山間部は事業所が少なく、地域によって事業所数に偏りがあります。
  • 居宅介護サービスや重度訪問介護サービスについては、圏域内に17事業所あります(平成29年9月現在)が、立地に偏りがあります。山間部では、事業所が少なく、交通が不便なことから、他圏域の事業所を利用している場合もあります。今後、障害のある人やその家族の高齢化により、更にサービスの需要が増加することが予想されるため、さらなる充実を図っていく必要があります。
  • グループホームは、圏域内には、6事業所(14住居)あります(平成29年9月現在)。障害のある人が、地域で自立するための居住の場として利用されています。今後、福祉施設や病院から地域に移行する障害のある人が増え、グループホームが、地域で障害のある人の受け皿として、十分に機能するように整備を図る必要があります。
  • 高齢の方については、介護保険サービスを優先的に利用して地域で生活しています。また、障害福祉サービスも併せて利用している方や訪問看護を利用している方もいます。住み慣れた地域で生活を継続していくためには、福祉と介護、医療の連携がますます必要になっています。

〔相談支援〕

  • 相談支援体制としては、圏域市町が共同で相談支援事業を3事業者に委託して実施しています。また、圏域内の事業者と行政機関を中心とした自立支援協議会に相談支援専門部会を設けています。切れ目のない支援を目指し、福祉、保健、医療、教育、労働等とのネットワークの構築・連携を支援していく必要があります。

〔発達障害のある人に対する支援〕

  • 発達障害の早期発見のため、各市町で乳幼児健診の充実を図るとともに、発達相談員による相談事業を行っています。また、保健所では、小児科医師による発達相談を実施しており、市町等との連携により早期対応に努めています。
  • 障害受容に至るまでの家族の様々な気持ちに寄り添いながら、早期発見から適切なサービスにつなげられるような支援体制を図る必要があります。

〔就労支援〕

  • 障害のある人の一般就労を促進するために、就労移行支援、就労継続支援サービスの充実だけでなく、公共職業安定所(ハローワーク)等の関係機関との連携の強化が必要です。

〔その他〕

  • 事業者によって地域住民も参加するイベントが開催され、交流が行われています。
  • あいサポーター研修等を行い、地域住民の障害理解の促進やボランティアの養成を行っています。
  • 施設等のバリアフリー化については公共施設を中心に進めていますが、心のバリアフリー化については一層の取組が必要です。施設の立地に際しては、引き続き広報・啓発活動を行い、地域住民の理解を深めていく必要があります。
  • 市民や団体等を対象とした障害者差別解消法に関する出前講座の開催や、中学生を対 象にバリアフリー体験を実施し心のバリアフリーを目指しています。

圏域内の障害者手帳交付状況(平成29年3月31日現在)

身体障害者手帳
視覚障害

聴覚・平衡・

音声言語・そしゃく

肢体不自由 内部障害 合計
268人 600人 2,430人 1,134人 4,432人
6.1% 13.5% 54.8% 25.6% 100.0%
療育手帳
A1 A2 B1 B2 合計
113人 97人 144人 224人 578人
19.6% 16.8% 24.9% 38.7% 100.0%
精神障害者保健福祉手帳
1級 2級 3級 合計
81人 326人 250人 657人
12.3% 49.6% 38.1% 100.0%

障害福祉サービス等の見込量(1か月あたり)

種類 2017年度
実績見込
2018年度 2019年度 2020年度
居宅介護
重度訪問介護
同行援護
行動援護
重度障害者等包括支援
3,012人日 3,313人日 3,345人日 3,378人日
144人 148人 152人 156人
種類

2017年度
実績見込

2018年度 2019年度 2020年度
生活介護 3,192人日 3,376人日 3,525人日
146人 166人 176人 184人
自立訓練(機能訓練) 33人日 44人日 44人日 44人日
2人 2人 2人 2人
自立訓練(生活訓練) 111人日 154人日 172人日 193人日
10人 12人 13人 14人
就労移行支援 125人日 154人日 174人日 219人日
7人 8人 9人 11人
就労継続支援(A型) 1,124人日 1,196人日 1,250人日
45人 55人 60人 64人
就労継続支援(B型) 4,182人日 4,336人日 4,552人日
167人 247人 257人 270人
就労定着支援 3人 3人 5人
療養介護 23人 23人 23人 23人
短期入所(福祉型) 215人日 254人日 262人日 271人日
18人 22人 23人 25人
短期入所(医療型) 40人日 43人日 46人日 50人日
7人 8人 9人 9人
種類 2017年度
実績見込
2018年度 2019年度 2020年度
自立生活援助 4人 7人 7人
共同生活援助 73人 74人 77人 79人
種類 2017年度
実績見込
2018年度 2019年度 2020年度
計画相談支援 100人 103人 106人 109人
地域移行支援 2人 2人 4人 4人
地域定着支援 0人 2人 4人 4人
種類 2017年度
実績見込
2018年度 2019年度 2020年度
児童発達支援 587人日 618人日 630人日 632人日
38人 52人 54人 54人
放課後等デイサービス 733人日 797人日 855人日 935人日
59人 64人 68人 73人
保育所等訪問支援 1人日 2人日 2人日 2人日
1人 4人 4人 4人
居宅訪問型児童発達支援 1人日 1人日 2人日
1人 1人 2人
障害児相談支援 29人 30人 33人 37人

医療的ケア児に対する関連分野の支援を

調整するコーディネーターの配置人数

1人 1人 1人

圏域の取組

〔地域生活支援体制の充実〕

  • 障害のある人が高齢になっても、住み慣れた地域社会で生活できるよう訪問系サービ スは一層重要となるため、介護保険制度における居宅サービス事業者に、訪問系サービ スへの参入を働きかけ、在宅サービスの確保に努めます。
  • 自立支援協議会に設置している「地域生活居住部会」では、グループホーム等の居住 の場の現状把握に努め、関係機関と情報を共有します。また、課題解決に向け、他の部 会と連携を密にとり、地域で安心して生活ができるよう障害のある人の地域生活の充実 を図ります。
  • 障害のある人が地域で安心して暮らせるように、事業者等関係機関との連携のもと、 緊急時の受入体制の確保に取り組みます。
  • 日常生活自立支援事業等を活用し、障害のある人が各種福祉サービスの利用や、日常 生活の各種手続き等を円滑に行えるよう支援します。

〔相談支援体制の充実〕

  • 地域の相談支援の拠点として総合的な相談業務を行う基幹相談支援センターの整備に 取り組みます。
  • 自立支援協議会に設置している「相談支援専門部会」では、どのような事例にも対応 できるため、相談支援専門員の支援技術の向上を目指すとともに、地域で障害のある人 を支援していけるよう連携の強化に取り組みます。また、個々の事 例の課題を分析・ 把握し、自立支援協議会で課題の解決に向けて取り組みます。
  • 地域資源マップの作成に取り組み、障害のある人のニーズと既存のサービスとのマッ チングを行い、よりよい生活ができる体制の充実を目指します。

〔障害のある子供への支援〕

  • 圏域内に未設置の児童発達支援センターの開設を事業者等に働きかけます。
  • 市町の乳幼児健診や保育所等の健診、保健所の発達相談による早期発見の他、専門医 療機関、子ども・女性・障害者相談センター及び発達障害者支援センター等の専門機関 と連携し、発達障害のある人とその家族への総合的な支援を行います。
  • 障害のある子供について、教育委員会、学校、事業者等関係機関とケース介護を開催 し、切れ目のない支援を行います。
  • 発達障害等の理解を促進するため、事業者等が行う地域住民への啓発活動を支援します。

〔就労支援体制の充実・促進〕

  • 自立支援協議会に設置している「就労部会」において、関係機関等との情報共有を行 い、障害のある人の一般就労、福祉的就労を支援します。
  • 自立支援協議会「就労部会」の取組
  1. 関係機関と情報共有・連携を行い、圏域における就労に係る課題を把握し、解決に向 けて取り組みます。
  2. 就労アセスメントシートを活用した支援や、インターンシップ等の就労体験による就 労を実施し、一般就労を推進します。
  3. 共同受注窓口を設置し情報発信を行うとともに、病院内の売店での委託販売等により 工賃の向上につなげます。
  4. ふれあい福祉フェスティバル等のイベントを関係機関と開催し、障害の理解を深める 啓発活動を行います。

〔精神障害のある人の地域生活支援の充実〕

  • 自立支援協議会に設置している「精神保健福祉部会」において、当事者を対象とした アンケート調査等を行い、実態把握に努めます。アンケート調査等から得られた結果に ついて、他の部会と情報共有を行い、共通課題については、「圏域の課題」として提案 し、課題解決に向けて連携して検討します。
  • 中高生向けのパンフレットを作成し、障害への理解を深めるための啓発活動に取り組みます。
  • 保健、医療、福祉関係者が情報共有や連携を行い、精神障害のある人が地域で安定し た生活を継続していけるように地域包括ケアシステムの構築を目指します。
  • 地域活動支援センターにおいて、地域で生活する障害のある人に、創作的活動や生産 活動の機会を提供し、地域社会との交流を促進します。
  • 福祉施設や病院からの地域生活への移行を促進するために、グループホーム等の設置 を支援し、居住の場の確保に努めます。
  • 障害のある人が希望するグループホームに入居できるよう、現状の把握を行います。
  • 精神障害のある人が、地域生活を維持できるように、アウトリーチ事業を活用し、保 健・医療及び福祉・生活の総合的な支援を行います。
  • 共通の悩みや問題を抱える人やその家族が運営している家族会等のセルフヘルプグル ープが行う活動を支援します。また、ピアサポーターの養成を支援します。

〔地域における居住の場の確保〕

  • 事業者に働きかけて、グループホームの開設を促進します。
  • 障害のある人が地域で受け入れられ安心して生活ができるよう、事業所や団体が行う 障害への理解を深めるための啓発活動を支援します。

〔社会参加の環境づくり〕

  • 意思疎通支援を必要とする障害のある人に対して、手話通訳者、要約筆記者を派遣す る体制の充実強化を図ります。
  • 障害への理解だけでなく、障害のある人を取り巻く社会的障壁を取り除き、障害のあ る人もない人も地域の一員として生活できる社会の実現を図るため、障害者団体と連携 して健康まつり等において啓発活動を続けて行います。また、障害者団体と連携して学 校等を巡回し、障害について学ぶ機会を設け、心のバリアフリー化に取り組みます。
  • 地域生活定着支援センターと行政等の関係機関が連携し、矯正施設等を退所した福祉 の支援を必要とする障害のある人等の社会復帰を目指した支援を行います。

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