第4章第2項(和歌山市圏域)
〈和歌山市圏域〉
【構成市町村】和歌山市
【面積】 208.84k平方メートル
【人口】 360,713人(平成29年4月1日現在)
【高齢化率】 29.2%(平成29年1月1日現在)
- 当圏域は、県北西部にあって、北は和泉山脈、西は紀淡海峡に面し、紀の川の河口に位置し、県下最大の都市地域が形成されています。圏域人口は、県人口の約3分の1を占めており、高齢化率は、県平均30.9%を若干下回っている状況です。
圏域の現状と課題
指定障害福祉サービス等
- 当圏域では、児童発達支援、短期入所、自立訓練、グループホームを提供する事業所は不足しており、今後整備が必要です。
- 障害のある子供のサービスについては、通所支援事業所は増えていますが、短期入所を提供する事業所は依然として少なく、医療的支援の提供サービスについても不足しており、充実を図っていく必要があります。
- 精神障害のある人に対するサービスとしては、精神科医療機関デイケアの実施や、障害福祉サービス事業所の通所利用も進み充実してきました。さらに地域活動支援センターでの取組みや保健所内でのドロップインコーナー(※)への通所などにより、日中の居場所や生活訓練の場を提供しています。また、福祉施設との連携により当事者同士の交流や地域での社会参加活動を促進しています。
〔相談支援〕
- 自立支援協議会を設立後10年が経過し、地域課題や協議会の運営に関して課題が散見されるようになったため、より効率的な運営が求められます。
- 委託相談支援事業所が市内に6か所(平成29年8月現在)あり、地域で身近に相談できる体制ができています。今後は、より高度な課題に対応できるよう、相談体制の更なる強化に努めます。
- 障害のある子供の保護者を対象に子ども・女性・障害者相談センター、保健所、福祉事務所が連携して、療育に関する相談や指導、各種療育講座を実施し、保護者の不安の軽減に努めています。ニーズの高まりに応じ今後もさらなる充実が必要です。
- 乳幼児健診をきっかけに障害を早期に発見するとともに、発達相談員や保健師などが 連携して、保護者の相談支援に取り組んでいます。
〔発達障害のある人、障害のある子供に対する支援〕
- 教育現場では、特別支援教育基礎・基本研修や特別支援教育専門研修等を実施することで、教員の専門性を高め、今後の実践に生かしていく取組を行っています。
- 子供の障害特性を丁寧に把握し、どの学びの場が適正であるかを判断する就学指導を行っています。また、支援のあり方や校内の支援体制の整備にむけての助言を行うため、特別支援教育専門員による巡回支援訪問を実施しています。
〔就労支援〕
- 公共職業安定所(ハローワーク)や障害者職業センター等と連携して雇用の促進及び啓発活動を行っています。また、9月の障害者雇用支援月間には障害のある人の雇用促進のため事業主向けにリーフレットの送付や、街頭での啓発活動を行っています。
- 障害のある人の雇用を促進するため、関係機関との連携を強化し、啓発活動を推進するとともに、既存の補助制度の周知及び新たな補助制度の充実に取り組む必要があります。
〔その他〕
- 学校では、障害特性に合った支援や配慮を行うために支援員や介助員を配置していま すが、十分とはいえない現状です。
- 障害のある人に対する住宅供給は、肢体障害のある人向けをはじめ、ニーズに応じた障害のある人に向けた住宅供給を進めていますが、今後もニーズは増大傾向にあり、さらなるバリアフリー住宅を供給する必要があります。
- 福祉の支援を必要とする矯正施設等を退所した障害のある人の社会復帰には、再犯の防止等特別の配慮が必要であり、地域で自立した生活が送れるような支援体制の強化が求められています。
※ドロップインコーナー
「ドロップイン」とは、「ふらっと立ち寄る」という意味で、市保健所内に設置しています。主に統合失調症を中心とした精神障害のある人が通所しながら、生活リズムの改善や対人関係障害等に対して、ゆるやかなリハビリテーションを行い、同じ悩みを持つ仲間との交流を図り、安定した社会生活を目指しながら生活訓練を行っています。
圏域内の障害者手帳交付状況(平成29年3月31日現在。上段:人、下段:構成比)
視覚障害 |
聴覚・平衡・ 音声言語・そしゃく |
肢体不自由 | 内部障害 | 合計 |
1,228 | 1,932 | 9,545 | 4,941 | 17,646 |
6.9% | 11.0% | 54.1% | 28.0% | 100.0% |
A1 | A2 | B1 | B2 | 合計 |
524 | 645 | 834 | 1285 | 3,288 |
15.9% | 19.6% | 25.4% | 39.1% |
100% |
1級 | 2級 | 3級 | 合計 |
229 | 1,178 | 994 | 2,401 |
9.5% | 49.1% | 41.4% | 100.0% |
種類 | 2017年度 実績見込 |
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 |
居宅介護 重度訪問介護 同行援護 行動援護 重度障害者等包括支援 |
20,054人日 | 20,451人日 | 20,980人日 | 21,389人日 |
888人 | 939人 |
969人 |
1,001人 |
種類 | 2017年度 実績見込 |
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 |
生活介護 | ー | 14,694人日 | 14,851人日 | 15,010人日 |
668人 | 770人 | 778人 | 787人 | |
自立訓練(機能訓練) | 120人日 | 135人日 |
140人日 |
145人日 |
6人 | 8人 | 9人 | 10人 | |
自立訓練(生活訓練) | 538人日 |
783人日 |
820人日 | 860人日 |
38人 | 47人 | 49人 | 52人 | |
就労移行支援 | 1,038人日 | 1,056人日 | 1,174人日 | 1,274人日 |
64人 | 63人 | 70人 | 76人 | |
就労継続支援(A型) | ー | 8,147人日 | 8,967人日 | 9,878人日 |
358人 | 408人 | 449人 | 494人 | |
就労継続支援(B型) | ー | 18,189人日 | 20,383人日 | 22,751人日 |
923人 | 1,037人日 | 1,162人日 | 1,297人日 | |
就労定着支援 | ー | 5人 | 7人 |
10人 |
療養介護 | 91人 | 94人 | 95人 | 97人 |
短期入所(福祉型) | 503人日 | 526人日 | 547人日 | 568人日 |
76人 | 77人 | 80人 | 83人 | |
短期入所(医療型) | 42人日 | 50人日 | 50人日 | 50人日 |
9人 | 10人 | 10人 | 10人 |
種類 | 2017年度 実績見込 |
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 |
自立生活援助 | ー | 5人 | 7人 | 10人 |
共同生活援助 | 251人 | 259人 | 268人 |
278人 |
種類 | 2017年度 実績見込 |
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 |
計画相談支援 | 332人 | 388人 | 441人 | 497人 |
地域移行支援 | 1人 | 8人 | 16人 | 24人 |
地域定着支援 | 15人 | 30人 | 44人 | 66人 |
種類 | 2017年度 実績見込 |
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 |
児童発達支援 | 2,964人日 | 3,157人日 | 3,444人日 | 3,767人日 |
241人 | 261人 | 288人 | 320人 | |
放課後等デイサービス | 6,007人日 | 6,422人日 | 7,090人日 | 7,828人日 |
523人 | 551人 | 608人 | 672人 | |
保育所等訪問支援 | 8人日 | 15人日 | 25人日 | 35人日 |
8人 | 15人 | 25人 | 35人 | |
居宅訪問型児童発達支援 | ー | 2人日 | 10人日 | 20人日 |
ー | 2人 | 10人 | 20人 | |
障害児相談支援 | 55人 | 68人 | 78人 | 89人 |
医療的ケア児に対する関連分野の支援を 調整するコーディネーターの配置人数 |
ー | 0人 | 1人 | 1人 |
圏域の取組
〔地域生活支援体制の充実〕
- 障害の特性を理解したホームヘルパーの確保に継続して努めます。また、利用しやすい体制にするため、事業所の拡大に努めます。
- 短期入所について、医療的支援が必要な子供の受入先を確保するため、医療機関などへ事業の実施を働きかけます。また、利用しやすい体制にするため、事業所の拡大に努めます。
- 障害のある人が地域で安心して暮らせるように、事業者等関係機関との連携のもと、緊急時の受入体制の確保に取り組みます。
- 日常生活自立支援事業等を活用し、障害のある人が各種福祉サービスの利用や、日常生活の各種手続き等を円滑に行えるよう支援します。
〔相談支援体制の充実〕
- 基幹相談支援センターを中心とした相談支援体制を整備し、自立支援協議会との連携により、支援方針の共有や、地域の支援体制の構築を図ります。
- 相談支援の充実を図るため、地域福祉活動を行う関係者と連携するとともに、相談業務を担う人材の養成や資質の向上を図ります。
〔発達障害のある人、障害のある子供に対する支援〕
- 不安を抱えている保護者に対してきめ細かな支援ができるよう、医療・福祉・行政等の専門機関と連携し、発達障害のある人とその家族への総合的な支援を行います。
- 障害のある子供を育てている親同士で相談や情報交換を行う機会の充実を図ります。
- 特別支援教育基礎・基本研修や特別支援教育専門研修等の実施により、教員の専門性を高め、今後の実践に生かしていく取組を行います。
- 保育所・幼稚園・こども園、学校、保護者等の連携により、子供の発達障害を早期に発見し、早期療育へつなげます。また、発達障害のある子供の個別の支援のあり方について幼稚園・保育所・こども園等に助言するため、巡回訪問を継続して実施します。
- 子供の障害特性を丁寧に把握し、どの学びの場が適正であるかを判断する就学指導を 行います。また、支援のあり方や校内の支援体制の整備にむけて助言を行うため、特別 支援教育専門員による巡回支援訪問を実施します。
〔就労支援体制の充実・促進〕
- 障害者就業・生活支援センターの機能を強化し、法定雇用率未達成企業等に対して障害者雇用に関する啓発活動を行うとともに、街頭での啓発活動を継続して行います。
- 民間企業や事業主に対して、助成制度等の障害のある人の雇用に関する情報等を広報誌やメールで提供し、雇用の場の拡大や障害のある人が働きやすい環境の整備を促進します。
〔精神障害のある人の地域生活支援体制の充実〕
- 自立支援協議会に設置している「精神障害者部会」において、精神障害のある人の地域移行の促進や地域生活支援の充実を図ります。今後は、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に向けて、取り組みます。
- 精神障害のある人が地域で安心して生活が送れるよう、グループホーム等の充実に努め、地域生活を支援します。
- 精神保健福祉士を配置した2カ所の地域活動支援センターにおいて、福祉サービスが円滑に利用できるよう相談支援を行います。また、病院と患者との交流機会の確保を図りながら、ピアサポーターの充実に努めます。
- 退院後の日中活動の場を確保するため、就労移行支援や就労継続支援などの日中活動系サービスをはじめ、地域活動支援センターにおける支援の充実を図ります。 また、保健所内に設置しているドロップインコーナーなどにより日中活動の場を提供し、当事者同士の交流や社会参加を促進します。
- 精神障害者団体や精神障害者家族会と連携しながら、精神障害のある人に対する地域の理解の促進のための普及啓発活動を行います。
〔地域における居住の場の確保〕
- 施設整備に関する補助事業等の活用を、事業所に働きかけて、グループホームの新規開設を促進します。
- 市営住宅を建設する際、バリアフリー化に加え、中層以上の住宅にはエレベーターを設置するなど、障害のある人に配慮した住宅整備を進めます。
- 在宅の重度身体障害のある人(約690名)が、日常生活の基礎となる住宅の改造、改修に必要な経費を助成します。
〔社会参加の環境づくり〕
- 手話通訳者や要約筆記者の派遣する体制の充実を図るため登録制度を設けています。また、要約筆記者については、和歌山要約筆記会及び和歌山パソコン要約筆記Friends9に委託しています。
- 障害のある人の意思疎通を支援するため、コミュニケーションボード(窓口用、個人用)、どこでも手話電話サービス事業、代読代筆ヘルパー派遣事業等を行います。
- 和歌山市肢体障害者協会主催のグランドゴルフ大会の開催を支援し、スポーツレクリエーションの機会の充実を図ります。
- 福祉施設や社会福祉法人による地域の祭りの開催を支援し、障害のある人とない人が交流する機会の拡大を図ります。
- 地域生活定着支援センターにおいて、矯正施設等を退所した福祉の支援を必要とする障害のある人等の社会復帰を目指した支援を行います。