生活保護制度とは
生活保護とは
私たちは一生の間に、病気やケガにより、または、自身の失業や生計を支えている家族との離別または死別といった様々な事情により、自立した生活ができなくなることがあります。
生活保護とは、そのような事情があった場合などに、日本国憲法第25条第1項が定める「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」という理念に基づき、すべての日本国民が自立した生活が営めるよう、一定の給付が受けられることを法律上の権利として保障した国の制度です。
この制度は、生活保護法に基づいて行われます。
和歌山県では、保護の決定と実施に関する事務は、福祉事務所で行っています。
●生活保護の申請は国民の権利です。
●生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずにご相談ください。
生活保護の受給手続
【1】 保護の相談
生活保護に関する相談は、お住まいの地域の福祉事務所で行えますので、生活保護を希望される場合は、いつでもご相談ください。
●生活保護の申請は国民の権利ですので、窓口での相談時に、申請を妨げられることはありません。
【2】 保護の申請
生活保護の申請は、本人または同居の親族、扶養義務者が申請書を福祉事務所等に提出する方法により行えます。
なお、一度申請が却下された場合でも、いつでも再申請ができます。
●申請に際しては、扶養義務者や同居の親族の同意は不要です。
●申請に際しては、申請書以外の書類の提出は不要です。
【3】 調査
生活保護申請後は、福祉事務所の職員が申請者宅などに訪問し、世帯員の確認、生活歴、暴力団員等でないか、保有資産、生活保護制度以外に活用可能な制度がないかの確認を行います。
また、特別の事情がある場合を除き、申請者世帯の親族の存在や扶養の可能性などを調査します。
●親、子、兄弟姉妹といった民法上の扶養義務者がいる場合には、原則として、申請時に『扶養照会』という連絡を行います。
※ ただし、扶養義務者と10年以上音信不通である、DVや虐待の可能性があるといった理由により、扶養照会を行わない場合が
あります。そのような事情があると思われるときは、生活保護の申請時に福祉事務所の職員にそのことをお伝えください。
【4】 保護の要件に該当するかの判断
申請を受理した福祉事務所は、申請者が保護の要件に該当するかの判断をします。
【保護の要件】
(1) 生活保護は世帯単位で行い、世帯員全員が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持の
ために活用することが前提であり、また、扶養義務者の扶養は、生活保護法による保護に優先します。
①資産の活用
預貯金、生活に利用されていない土地・家屋等があれば売却等し生活費に充ててください。
②能力の活用
働くことが可能な方は、その能力に応じて働いてください。
③扶養義務者の援助
親族等から援助を受けることができる場合は、援助を受けてください。
④あらゆるものの活用
年金や手当など他の制度で給付を受けることができる場合は、まずそれらを活用してください。
(2) 生活保護は、厚生労働大臣が定めた『最低生活費』という基準と、その『世帯の収入』を比較して、『世帯の収入が最低生活費より
少ない場合』に不足分を支給するものです。収入が最低生活費を上回る場合、保護は受けられません。
【5】 保護の決定
保護の要件に該当するかの判断結果に基づき、生活保護の開始または却下の決定が行われます。
いずれの決定も申請日から14日以内(遅くとも30日以内)にされ、福祉事務所から書面で通知されます。
●決定に不服がある場合は、決定を知った日の翌日から3か月以内に知事に対して審査請求を行うことができます。(法第64条)
生活保護の種類
生活保護は次の8種類の扶助から構成されています。
●各扶助の支給にはそれぞれ条件がありますので、事前に福祉事務所に相談してください。
生活扶助 | 衣食や光熱費など、日常生活に必要な費用です。 |
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教育扶助 | 義務教育にともなって必要な学用品代、給食費などの費用です。 |
住宅扶助 | 家賃、地代または住宅の修理費などの費用です。 |
医療扶助 | 病気やけがなどをした場合の医療に必要な費用です。 |
介護扶助 | 介護サービスが必要な場合の費用です。 |
出産扶助 | 出産に要する費用です。 |
生業扶助 | 技術を身につけるための費用や高等学校等への就学費用、就職準備などの費用です。 |
葬祭扶助 | 葬儀などに要する費用です。 |
※ 支給方法は、①金銭で支給される場合と、②介護費・医療費を本人に代わって福祉事務所が支払い、介護サービス・医療を受け
ていただく形で支給される場合(現物給付と言います。)があります。
※ このほか、一時的に必要なものとして、被服費や転居費用が支給される場合もあります。
保護が開始された場合
保護費の支給
原則として、毎月決められた日に、1か月分の保護費が金銭で支給されますが、介護費や医療費については、福祉事務所等が直接、介護機関や医療機関に支払います。
なお、医療を受診の際は、福祉事務所から受け取った必要書類を医療機関に提出してください。
(今まで国民健康保険証を利用していた方は使用できなくなりますので、市町村の国民健康保険窓口に返却してください。)
生活保護の受給中に守っていただくこと
- 譲渡禁止(法第59条)
保護を受ける権利を他人にゆずりわたすことはできません。
- 生活向上の義務(法第60条)
働ける人は能力に応じて働き、自ら健康の保持・増進に努め、計画的なくらしをするなど、生活の維持、向上に努力しなければなりません。
- 届け出の義務(法第61条)
あなたの申し出をもとにして保護の程度を決めますので、収入、支出、その他生活状況に変動があったときに福祉事務所等に届け出ていただきます。
- 指導・指示に従う義務(法第62条)
あなたの生活状況に応じて、適切な保護をするために、指導・指示をすることがあります。指導・指示に従わない場合は、保護を受けられなくなることがあります。
以下のような場合には、保護費を返していただくことがあります
1. 急迫した事情などのため、資力があるにもかかわらず、保護を受けた場合には、その受けた金品に相当する金額の範囲内の
額を返還しなければならないこととされています。(法第63条)
2. 事実と違う申請や不正な手段により保護費を受け取ったときは、返していただきます。また、その金品を徴収されるだけでな
く、法律により罰せられることがあります。(法第78条、法第85条)
家庭訪問をします
生活保護が開始になった場合は、生活保護を適正に実施するため福祉事務所等の担当員(ケースワーカー)が定期的に訪問し、相談に応じるとともに、保護費を生活の変化に応じて適正に決定するため、収入や生活状況などをお聞きします。
また、自立した生活を送ることができるよう支援します。