第41回和歌山県食の安全県民会議
開催日時・場所
平成30年7月20日金曜日午後2時から午後4時 和歌山県書道資料館
議事
- 平成29年度食品衛生監視指導計画の実施結果について
- 平成29年度アクションプランの実施結果について
- 食の安全に関するリスクコミニュケーションの推進について
委員意見(概要)
平成29年度食品衛生監視指導計画の実施結果について
- 委員
平成29年度の実施結果については報告のとおりで結構だが、例えば違反数は8件で昨年から半減しており、また野菜で農薬、アイスクリームで大腸菌群が今年も検出され、件数も去年とほぼ変わらないが、昨年のデータや過去3年間のデータと比較するとどうか等の説明がなかった。
何か見識等があれば、それの説明の後に皆様の質問を受けたいと思う。 - 県
監視の達成率について、合計値はほぼ変化無しだが、個々のランク別では監視頻度を高くしているランクで昨年度と比べて達成率が下がっている。
これは各保健所の計画の進捗が遅れている場合、一斉監視指導を行う際に特に重点的に実施するよう指示するべきところ、昨年度はそれが不十分であったためであり、今年度は四半期ごとに進捗を精査して、個々のランクにおいても目標達成に向けて現場の保健所に指導を行う。
アイスクリームについては毎年違反が続いているので、衛生管理が十分になされるようHACCP管理の導入を推進し、安全な食品を提供していけるよう指導して行く。 - 委員
和歌山県食品衛生管理認定制度の認定件数については、県や県民会議の委員も非常に注視していると思うが、昨年に比べてどう変化をしているのか。 になるだろうが、それに和歌山県の持っている制度をどうやって合わせていくか、少なくとも国の方針が決定した時点では、それをもう少しはっきり説明できるようにロードマップを作成しておくことが必要ではないか。 - 県
認定件数については、平成28年度末現在でHACCPシステム推進営業区分が8件、HACCPシステム導入営業区分が15件、一般的衛生管理プログラム推進営業区分が31件であったが、現在はそれぞれ11件、14件、40件と徐々に認定件数が増加している状態である。
今後は国のHACCPの制度化に向けて、この和歌山県食品衛生管理認定制度がステップアップのツールになると考えられるため、さらに推進していきたい。 - 委員
HACCPシステム導入営業区分が1件減少したのは、上位の区分に昇格したためか。 - 県
はい、清涼飲料水製造業者が1件、HACCPシステム推進営業区分にステップアップしたためである。 - 委員
カンピロバクターによる食中毒が増加しており、特に飲食店で発生しているが、原因食品が不明となっているにもかかわらず、報告には鶏肉が原因と考えられるとの表記が多々見られるのは何故か。 - 県
食鳥処理業者が生食用として販売していない鶏肉を飲食店営業者が生食で提供した施設において、カンピロバクターによる食中毒が発生しているため、因果関係があると考えているが、提供された鶏肉が残っていないため不明とせざるを得ない場合がある。 - 委員
原因は不明だが、この飲食店では鶏肉の生食がされていたということか。
なぜ飲食店が生食を提供するのか、それは許される行為なのか。 - 県
今の法制度上は禁止されていないが、加熱用の鶏肉を生食するリスクは極めて高いので生食で提供しないよう、あるいは生や加熱不十分の鶏肉を食べないよう事業者や消費者に対して啓発を行っている。 - 委員
他にサルモネラの食中毒患者数が多いが、これも原因が不明になっており、どこまで疫学的な調査が行われているのか。 - 県
患者数が多いのは給食によるものであり、検便からはサルモネラが検出されているが、検食が保存されていない等、先ほどのカンピロバクターと同様の理由で、原因食品までは特定できていない。 - 委員
他府県の例を見たことはないが、やはり不明は多いという認識か。 - 県
他府県のことは何とも言いかねるが、実際の給食では全てのメニューを食べている子どもが多く、喫食調査によってもあまり有意差が見られない場合が多々あり、結果として原因食品は不明となってしまう。 - 委員
カンピロバクターについて、鶏肉の生食が原因ということは分かるが、その汚染源は分かっているのか。 - 県
遡り調査は必ずしているが、先程も回答したとおり食鳥処理業者は加熱用として販売しているため、例え菌に汚染されていてもこれは処分の対象にはならない。
また、全ての食鳥処理場で汚染実態調査を実施しているが、高率でカンピロバクターが検出されている。 - 委員
養鶏の現場では鳥の腹中にカンピロバクターは普遍的に存在し、鳥自身は何の影響もなく、また排除する方法も今のところ確実なものはない。
食鳥処理場で完全に鳥の体内または筋肉に付着した菌を取り除くことは不可能であり、鶏肉は普通カンピロバクターが付着しているという認識が必要である。
畜産現場からすると、付いてるのが普通なのに何故それを生食させるのか、商品を扱う方にその知識が無いのかというのが非常に辛いところである。 - 委員
おっしゃるとおり、食鳥処理場はまず陽性であり、川下で対処していかないといけない。 和歌山県でこれだけの事例があるのなら条例化する等、何か考えていただかないと、というのが県民目線の意見だと思う。 - 委員
もちろん川上で対処できれば良いが困難であり、今のところ鳥に関しては末端である家庭や飲食店で熱を通す事を徹底していただかないと止めきれない。
平成29年度アクションプランの実施結果について
- 委員
「家庭でできるHACCPの啓発活動を行います」という計画について、これは何回活動を実施して達成したという判断を下したのか。 - 県
この計画については実施回数ではなく、平成31年度の時点で参加人数800人を上回るという目標を立てており、昨年度は1,847人の参加を得たため、達成と判断した。
31年度も引き続き目標人数を上回っていきたいと考えている。 - 委員
食品衛生に関する講習会について、参加人数の目標が平成31年度に7,000人以上となっており、昨年度は6,392人とある。
講習会は年度毎に多々開催されているので、実績の人数は延べ人数だと思うが、実際の参加人数の把握はされているのか。
HACCPが制度化されたこともあり、広く浅くではないが色々な知識を広く啓発するためには、延べの参加者数ではなく実際の参加者数の把握が重要ではないか。 - 県
ご指摘のとおりである。
今後は参加者を事業所単位でしっかり把握し、全ての事業所がもれなくHACCPを導入できるような講習会になるようにしていきたいと考えている。 - 委員
HACCPに関する講習会は、HACCPを実際に行う事業者と、考えを取り入れた衛生管理を行う事業者で講習内容が変わってくるため、普及状況を測るためにも実際の受講者を把握することは重要である。 - 委員
数値目標でない目標を設定している計画にも数値目標を設定できそうな項目があるように見受けられるので、ご検討願う。 - 県
HACCPの制度化に伴って、具体的な実施事業者の基準がまもなく国から示されると思うので、それに沿って対象事業者を絞り込んだ上で数値目標を設定していく。
また目標を数値化できる計画の有無も含め、次回のアクションプランの計画に反映していきたい。
食の安全に関するリスクコミニュケーションの推進について
- 委員
シンポジウムあるいはタウンミーティングのテーマについて、アンケート結果や過去のテーマが載っていますけども、特にご希望のものございましたらご意見いただけますでしょうか。 - 委員
私は輸入食品の安全性に興味がある。近年、海外スーパーや輸入食品がお洒落ということで人気があり、比較的高価な価格で売られているが、安全性についてはあまり意識される事はなく、気になっている。 - 委員
私も消費者として思うが、店で販売されている輸入食品は安全性が立証されたものであり、大丈夫かなと思いながら、値段が安いからか人気があると思う。
また遺伝子組み換え食品について、何年か前に豆腐のことで一大ブームがあった時に、「遺伝子組み換えではありません」という表示が大々的に出ていたことがあった。
とにかく表示について、消費者は購入する際に安全性を確かめて買うのか疑問があり、皆あまり表示を読んでいない気がする。 - 県
輸入食品の安全性については、シンポジウム等の参加者へのアンケートでは、次回のテーマとしてかなり上位の方になる。
平成25年に輸入食品のリスクをテーマとしたタウンミーティングを開催し、厚生労働省の検疫官に輸入食品の監視指導について講演していただいたが、人が集まらなかった。
しかしそのシンポジウムで実施したアンケートでは、やっぱり輸入食品の安全性がまた上位になった。
ゆえに、輸入食品の安全性というテーマで開催する場合、どのような形で行えば良いのか、非常に悩んでおり、その辺もお聞かせ願えたらと思う。 - 委員
アンケートでは上位だがそれで人が来ない、過去経験した中で成功例をまず言いますと、公務員は講師に呼ばない方が良い。
悪いと言ってるんじゃなく、BSEの時の経験で人が集まらない。
人が集まるのはギャラがかかるが名前が売れている人や、食品関係の雑誌の編集長等、あと面白かったのが食品を輸入している流通の業者やバイヤーであり、消費者は話を聞きたいので人が集まった。 - 委員
やはり講演者次第であり、私も講演会やセミナー、シンポジウムを開催するが、結局は「話の内容」よりも「話の上手な人」である。
セミナー等でどの話に興味を持ったかアンケートを取ると、話の上手な人から順番に高い結果となる。
それから輸入食品については、委員2名から意見が出たように、やはり関心が高い事項であると思う。
考え方とすれば、例えば中国からの生鮮青果物の輸入とヨーロッパからの加工食品の輸入とでは、全然別で考えないといけない。 - 県
県では事業者と消費者のリスクコミュニケーションを活性化する事業として、例えば工場見学を通して消費者に現場の衛生管理に関する情報発信を行ってもらう事を考えている。
このため、県のホームページへ工場見学を受け入れる事業者を掲載し、それを見た消費者がその工場へ見学に行くというスキームを考えているが、できるだけ事業者に負担のない形で実施していきたいと考えており、その辺の実施方法等についてご意見やヒントをいただきたい。 - 委員
私は飲料工場を経営しているが、当社は受託生産であり自社製品を作っているわけではないので、一般の方には見せられない、そういう事情のある工場も多々ある。
逆にメーカーのような自社ブランド品を製造・販売する工場であれば、一般消費者へのPRのためにやりたいところもあるかと思う。
そのような会社にある程度の当たりをつけて現場のレベルでお願いしないと、意図した内容の組み立ては難しい。 - 委員
過去に現場見学を行った際の経験から問題点を挙げると、見学者の傷害保険を誰が負担するのか、あと見学者の人数に応じた数のトイレや、移動手段が車やバスであった際の駐車場の手配があり、その辺を事業者と詰めないと登録者数は増えないのではないか。
そして受け入れる見学者の保険の半分は県が負担しますとか、そういうのが一番手っ取り早いと思う。 - 県
私たちが監視に行くと、あの工場には見学コースがあるので利用させてもらいやすいのではとお願いすると、委員がおっしゃるとおり一般消費者の見学のためでなく、バイヤーや委託元のメーカー用であると言われ、そこで頭を打っていた。
やはり現場へ赴き事業者の理解を得ないことには工場見学は進んでいかないと、改めて認識した次第である。 - 委員
工場見学はやはりコネクションしかないのではないか。
私も見学にはずいぶん行ったが、やはり知り合いの社長に依頼しており、例えば県のHACCP認定事業者に順番でお願いする、または見学者の保険料負担をペアとする等、ここまでフォローしますのでというふうに。