腸炎ビブリオ
腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)
菌の特徴は?
この菌は好塩菌の一種で、沿岸の海水中や海泥中にいます。水温が 15度以上になると活発に活動します。このため、海水温度が高く、海水中に腸炎ビブリオが多い時期に獲れた魚介類には、腸炎ビブリオが付着しており、漁獲後や流通過程、調理中などの不適切な取扱いにより増殖し、食中毒の原因となります。
また、まな板や調理器具を介した二次汚染による食中毒も発生しています。
腸炎ビブリオは他の食中毒菌よりも速く増殖できる特徴があります。しかし、この菌は真水(水道水)の中では増殖しません。この菌による食中毒の発生時期は、5~6月から次第に増加し7月から9月の夏場に集中しますが、最近では、冬場でも腸炎ビブリオによる食中毒がみられます。
(東京都健康安全センター)
原因食品は?
魚介類の刺身やすし類が代表的なものです。また、生の魚介類を調理した後、調理器具や手指などを介して二次汚染された食品でも食中毒が発生しています。
症状は?
潜伏時間は8時間から24時間(短い場合で2、3時間)で、激しい腹痛、下痢などが主症状です。発熱、はき気、おう吐を起こす人もいます。
予防のポイントは?
- 魚介類は、調理前に流水(水道水)で良く洗って菌を洗い流すこと。
- 魚介類に使った調理器具類は良く洗浄・消毒して二次汚染を防ぐこと。
- 魚介類を調理したままのまな板で、野菜などを切らない(まな板を使い分ける)こと。
- 夏季の魚介類の生食は十分注意し、わずかな時間でも冷蔵庫でできれば4度以下に保存すること。
(腸炎ビブリオは低温では増殖できない。また、低温で腸炎ビブリオの増殖は抑えられるものの、凍結しても短期間では死滅しない。) - 冷凍食品を解凍する際は専用の解凍庫や冷蔵庫内で行なうこと。
- 加熱調理する場合は中心部まで充分に加熱すること(60度、10分以上)。