病原性大腸菌

腸管出血性大腸菌O157

菌の特徴は?

大腸菌は人や動物の腸管に存在し、通常病原性はありません。しかし、いくつかの大腸菌は人に対して病原性があり、これらを総称して下痢原性大腸菌(病原大腸菌とも呼ばれています)と呼んでいます。
1996年(平成8年)に全国で大きな社会問題となった腸管出血性大腸菌O157も下痢原性大腸菌のグループに入ります。
VT1、VT2の2種類(あるいはいずれか1種類)のベロ毒素を産生する大腸菌で、出血性の大腸炎を起こします。感染しても健康な成人では無症状であったり、単なる下痢で終わることも多いです。
しかし、乳幼児や小児、基礎疾患を有する高齢者では腹痛や血便などの出血性腸炎のほか、まれに急性腎不全、血小板の減少、貧血などの症状を呈する溶血性尿毒症症候群(HUS)を引き起こすことがあります。

写真:腸管出血性大腸菌o157

(東京都健康安全センター)

原因食品は?

腸管出血性大腸菌O157は、牛などの家畜が保菌している場合があり、これらの糞便に汚染された食肉からの二次汚染により、あらゆる食品が原因となる可能性があります。過去には、牛肉及びその加工品、サラダ、白菜漬け、井戸水等による食中毒事例があります。

症状は?

潜伏期間は平均4~8日で、症状は激しい腹痛で始まり、数時間後に水様下痢を起こすことが多い。1~2日後に血性下痢(下血)がみられます。血性下痢は、ほとんどが血液で、糞便を含まないことがあります。また、溶血性尿毒症症候群(HUS)や、脳障害を併発することがあります。HUSは、下痢が始まってから、約1週間後に、赤血球の破壊による、溶血性貧血、血小板の減少及び急性腎不全などの症状が現れます。重症の場合は死亡します。

予防のポイントは?

  1. 生野菜などはよく洗い、食肉は中心部まで十分加熱してから食べること。
  2. 冷蔵庫内の食品はよく点検し、早めに食べること。
  3. 加熱調理済の食品がニ次汚染を受けないよう、調理器具は十分に必ずよく洗う。できれば、熱湯又は塩素系消毒剤で消毒すること。
  4. 調理や食事の前には必ず石けんで手を洗うこと。
  5. 水道管直結以外の水を飲用あるいは調理に使用する場合は、必ず年1回以上の水質検査を受け、飲用に適しているか否かを確認すること。
  6. ビルなどの貯水槽の清掃・点検を定期的に行うこと。
  7. おなかが痛くて、下痢が続いたら、すぐにかかりつけの医師の診察を受けること。
  8. 発症した患者のいる家庭では、糞便に汚染された下着等の取扱いに注意すること。

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