日本紅斑熱について

日本紅斑熱とは

日本紅斑熱は、リケッチア・ジャポニカという病原体をもったダニに吸血されることにより感染する病気です。主な症状は、急な高熱と全身の発疹(紅色の斑点)です。皮膚を注意深く観察すると、ダニによる刺し口を見つけられることがあります。
治療が遅れると重症となることがあります。

患者の脚に見られた無数の発疹の写真
患者の脚に見られた無数の発疹
患者に見られたダニの刺し口の写真
患者に見られたダニの刺し口

どれぐらい発生しているのか

和歌山県では、平成22年に20人の感染報告がありました。これは、全国の都道府県で2番目に多い報告数でした。主に春から秋にかけて発生しています。
全国的にも患者の報告は増えています。
和歌山県内の日本紅斑熱報告数のグラフ

野外ではダニに注意

血を吸うダニはどんなところにいるのか
普段は、雑木林、やぶ、河川敷、海岸沿い、畑などの雑草や竹などの葉の裏や、その根元の土にひそんでいたり、ネズミやタヌキなどの野生動物などについて吸血しています。
これらのダニが、山菜採り、キャンプ、ハイキング、農作業等に出かけた人に取りつくことがあります。人間以外の動物にもつきますので、野外に犬などのペットを連れて行くと、ダニがペットに取りつき、家へ連れて帰る可能性もあります。

マダニ類の生活環の写真

ダニに吸血されないために

野山や畑、草むらなど、ダニの生息場所に出かけるときにはダニに血を吸われないよう次のことを心がけましょう。

  • 肌をできるだけ露出しないよう、長そでや長ズボンなどを着用しましょう。
  • 肌が出る部分には防虫スプレーなどを利用しましょう。
  • 地面に直接寝転んだり、腰をおろしたりしないようにしましょう。
    敷きものなどを使うとよいでしょう。
  • 野外から帰宅した後はすぐに入浴し、体に付いたダニを落として新しい服に着替えましょう。

日本紅斑熱に感染したと思ったら

治療が遅れて重症になった例があります。
よく効く薬(抗生物質)がありますので、早めに治療を受けることが大切です。
ダニに吸血されてもかゆみや痛みを感じないことが多いので、野山や川などに行って数日後から症状が少しでも現れたら、すぐに医療機関で診てもらい、「ダニに刺された」と医師に伝えましょう。
なお、人から人への感染はありません。

日本紅斑熱の診断・治療のポイント

  • 届出について
    日本紅班熱は感染症法において四類感染症に分類され、感染症法に基づく医師からの都道府県などへの届出のための基準により直ちに最寄りの保健所に届出るようになっています。
  • 届出基準
    診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、いずれかの方法によって病原体診断や血清学的診断がなされたもの
  • 感染経路
    病原体を保有するマダニによって媒介される(ヒトからヒトへの感染はない)
  • 潜伏期間
    2日から8日
  • 症状
    頭痛、悪寒戦慄を伴う突然の発熱、皮疹、全身倦怠感、関節痛、熱型は弛張熱、皮疹は米粒大の紅班で全身にみられるが、体幹部より四肢に多い、重症化すると痙攣、意識障害を併発する。風邪症状がないのに高熱という点で、薬疹や尿路感染症と間違えられる場合がある。
  • 確定診断のポイント
    (1)野山や畑への立ち入りの活動歴や本症発生地域への旅行歴
    (2)高熱、紅班、マダニの刺し口が本症の徴候
    (3)マダニによる刺し口をみつけるとほぼ確実になるので、毛髪部、関節部、陰部なども注意深く観察する。
    (4)確定診断は血清学的診断か病原体分離、遺伝子検索(PCR)による。
  • 治療のポイント
    本症を疑った場合、確定診断の前でもテトラサイクリン系抗生剤の投与を行う(病勢が急激であるため) ニューキノロン剤も有効(ただしツツガムシ病には無効) 輸液、電解質の補液 DICにはヘパリン療法

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