和歌山県男女共同参画推進条例(平成14年和歌山県条例第14号)
お断り
この条例は、平成14年3月26日公布され、同年4月1日から施行されました。
条例等の法規文は、細かく書式が定められていますが、ここに掲載しているものは、実際の条例の体裁とは若干異なっていますので、その点ご了承下さい。(文言等は同一です。)
青少年・男女共同参画課
目次
- 前文
- 第1章総則(第1条―第6条)
- 第2章男女共同参画の推進に関する基本的施策(第7条―第17条)
- 第3章男女共同参画を阻害する行為の禁止等(第18条―第22条)
- 第4章和歌山県男女共同参画審議会(第23条―第25条)
- 第5章雑則(第26条)
附則
男女は、人として平等であり、その人権は、性別にかかわらず尊重されなければならない。
和歌山県は、男女が平等で、共に生かし合い支え合うことのできる社会の実現を目指した積極的な取組を行ってきた。しかし、性別による固定的な役割分担意識を反映した制度や慣行による不平等は、根強く残り、社会参画を求めながらもその願いがかなわない人々が、今なお存在する。
このような状況の中で、少子高齢化、国際化及び高度情報化の進展等社会経済情勢の急激な変化に対応し、和歌山県を真に住みよいふるさととするためには、男女が共に社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、互いの個性と能力を十分に発揮しつつ利益を等しく享受し、共に責任を分かち合うことができる社会の実現が、緊急かつ重要な課題となっている。
ここに、私たちは、男女共同参画を更に推進し、すべての男女が、人間としての誇りをもち、心の豊かさと経済的な豊かさを共に実感しつつ、安心して生き生きと暮らすことのできるふるさと和歌山を創造するため、この条例を制定する。
第1章 総則
目的
第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、並びに県、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、県の基本的施策に関して必要な事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。
定義
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
- 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
- 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
- セクシュアル・ハラスメント 人を不快にさせる性的な言動により、個人の生活環境を害し、又は当該言動を受けいれないことその他の当該言動を受けた個人の対応によりその者に不利益を与えることをいう。
基本理念
第3条 男女共同参画は、次に掲げる理念を基本として推進されなければならない。
- 男女の個人としての尊厳が重んじられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されること。
- 男女共同参画の推進に当たっては、社会における制度又は慣行が、性別による固定的な役割分担意識を反映して、男女の社会における主体的で自由な活動の選択を制約することのないよう配慮されること。
- 男女が、社会の対等な構成員として、県その他の団体における政策又は方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。
- 家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子育て、家族の介護その他の家庭生活における活動と職場、学校、地域その他の社会生活における活動とを円滑に両立できるようにすること。
- 男女が、それぞれの性について理解を深めることで、妊娠、出産その他の性と生殖に関し、互いの意思が尊重され、生涯にわたる健康と安全が確保されること。
- 他の地方公共団体との広域的連携及び国際的協調の下に行われること。
県の責務
第4条 県は、前条に定める理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
2 県は、県行政のあらゆる分野において、施策を策定し、及び実施するに当たっては、男女共同参画の推進に配慮しなければならない。
県民の責務
第5条 県民は、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に取り組むとともに、県が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
事業者の責務
第6条 事業者は、事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、男女が性別にかかわらず個性と能力を発揮し、かつ、職業生活と家庭生活とを円滑に両立できるよう職場環境の整備に取り組むとともに、県が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策
基本計画
第7条
- 知事は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に実施するため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。
- 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1)男女共同参画の推進に関する長期的な目標、施策の方向及び基本的な事項
(2)前号に掲げるもののほか、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
- 知事は、基本計画を定めるに当たっては、県民の意見を反映することができるよう適切な措置を講じるとともに、和歌山県男女共同参画審議会の意見を聴かなければならない。
- 知事は、基本計画を定めたときは、これを公表しなければならない。
- 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。
県民等の理解を深めるための措置
第8条 県は、男女共同参画に関する県民及び事業者の理解を深めるために必要な広報その他の啓発活動を行うとともに、学校教育その他のあらゆる教育において、男女の人権の尊重及び男女共同参画に関する学習の機会の確保及び教育の内容の充実が図られるよう努めるものとする。
県の政策決定過程等における男女共同参画の推進
第9条
- 県は、審議会その他の附属機関等の委員を任命又は委嘱するときは、男女の構成員数の均衡を図るよう努めるものとする。
- 県は、政策決定過程等における男女共同参画を率先して推進するため、職員の任用に当たっては、本人の意欲と能力に基づく実質的な男女平等を確保するとともに、職員である男女の職域の拡大、能力開発その他職場環境の整備に努めるものとする。
子育て・介護環境の向上
第10条 県は、男女が共に、子育て及び家族の介護に積極的にかかわり、家庭生活における活動と家庭生活以外における活動とを円滑に両立できるよう、家族はもとより、地域、職場、学校等が相互に協力しながら一体となって支え合うことができる環境づくりに努めるものとする。
事業者が行う活動への支援及び情報収集等
第11条
- 県は、事業者が行う男女共同参画の推進に関する活動を支援するため、情報の提供、助言その他の必要な措置を講じるよう努めるものとする。
- 知事は、男女共同参画の推進のために必要があると認めるときは、事業者に対し、男女の就業状況その他必要な事項について報告を求めることができる。
- 知事は、前項の報告により把握した男女共同参画の状況等を公表することができる。
農林水産業、商工業等の産業の分野における男女共同参画の推進
第12条
- 県は、起業又は経営等の事業活動を行う男女が、性別による差別的取扱いを受けることなく、その個性と能力を十分に発揮できる環境づくりに努めるものとする。
- 県は、農林水産業及び家族経営的な商工業等に従事する男女が、性別にかかわらず生産又は経営における活動と家庭生活における活動とを円滑に両立できるとともに、それぞれの活動に共同して参画できる環境づくりに努めるものとする。
県民が行う活動への支援
第13条 県は、県民が行う男女共同参画の推進に関する活動を支援するため、情報の提供、助言、男女共同参画の推進のための人材の養成その他の必要な措置を講じるよう努めるものとする。
市町村との協力
第14条
- 県は、市町村に対し、県が実施する男女共同参画の推進に関する施策への協力を求めることができる。
- 県は、市町村が行う男女共同参画の推進に関する基本的な計画の策定及び市町村が実施する男女共同参画の推進に関する施策を支援するため、市町村からの求めに応じ、情報の提供、技術的な助言その他の必要な措置を講じるよう努めるものとする。
調査研究
第15条 県は、男女共同参画の推進に関する施策を策定し、及び実施するため、必要な調査研究を行うものとする。
財政上の措置
第16条 県は、男女共同参画の推進に関する施策を実施するために必要な財政上の措置を講じるよう努めるものとする。
年次報告
第17条 知事は、毎年、男女共同参画の状況及び男女共同参画の推進に関する施策の実施状況を明らかにする報告書を作成し、公表しなければならない。
第3章 男女共同参画を阻害する行為の禁止等
性別による権利侵害の禁止
第18条
- 何人も、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、性別による差別的取扱いをしてはならない。
- 何人も、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、セクシュアル・ハラスメント、男女間の暴力的行為(身体的又は精神的な苦痛を著しく与える行為をいう。以下同じ。)その他の行為により男女の人権を損なうことのないようにしなければならない。
公衆に表示する情報に関する留意
第19条 何人も、公衆に表示する情報において、性別による差別的取扱い又は男女の人権を損なうような暴力的行為を助長し、又は連想させる表現及び過度の性的な表現その他の男女の人権の侵害につながるような表現を行うことのないように努めなければならない。
相談への対応等
第20条 知事は、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画を阻害する行為について、県民若しくは事業者又は県内に在勤若しくは在学する者(以下「県民等」という。)からの相談に適切に対応するため、相談員の設置等相談体制の充実に努めるものとする。
被害者支援
第21条
- 県は、配偶者その他の親族又は事実上婚姻関係と同様の事情にある者(過去においてこれらの関係にあった者を含む。)から、家庭内等において、男女間の暴力的行為により被害を受け、又は受けるおそれのある者(以下「被害者」という。)に対し、必要に応じて助言、施設への一時的な入所等による保護その他の適切な支援を行うものとする。
- 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)第3条第1項の規定による配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たす施設及び知事が別に指定する施設(以下「センター等」という。)の長は、前項に規定する一時的な入所等による保護又は同法第3条第3項第3号に規定する一時保護を行った場合において、被害者からの申出に基づき、男女間の暴力的行為又は同法第1条第1項に規定する配偶者からの暴力(以下「暴力的行為等」という。)が当該被害者に対して引き続き行われるおそれがあるときその他被害者の保護のため必要があると認めるときは、次に掲げる措置をとることができる。
(1)被害者に対し暴力的行為等を行った者又はその者から依頼を受けた者(以下「加害者等」という。)からの照会等に対し、当該被害者及びその同伴する家族の存在を秘匿すること。
(2)加害者等に対し、センター等の施設内における当該被害者及びその同伴する家族との面会又は通信を禁止し、又は制限すること。
(3)センター等の長は、被害者の保護のため必要があると認めるときは、当該被害者からの申出に基づき、警察等関係機関に対する協力の要請その他の必要な措置を講じなければならない。
苦情への対応
第22条
- 知事は、県が実施する男女共同参画の推進に関する施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策について県民等から苦情があったときは、当該苦情への適切な対応に努めるものとする。
- 知事は、前項の苦情への対応に当たって特に必要があると認めるときは、和歌山県男女共同参画審議会の意見を聴くものとする。
第4章 和歌山県男女共同参画審議会
設置及び所掌事務
第23条
- 男女共同参画の推進を図るため、和歌山県男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。
- 審議会は、次に掲げる事務を行う。
(1)知事の諮問に応じ、男女共同参画の推進に関する重要事項を調査審議すること。
(2)県が実施する男女共同参画の推進に関する施策の実施状況について必要に応じ、調査し、及び意見を述べること。
(3)前2号に掲げるもののほか、この条例の規定によりその権限に属することとされた事務
- 審議会は、前項に規定する事務を行うほか、男女共同参画に関する重要事項について、知事に意見を述べることができる。
組織
第24条
- 審議会は、委員15人以内で組織する。
- 委員は、男女共同参画に関し優れた識見を有する者のうちから、知事が任命する。
- 男女のいずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の4未満であってはならない。
委員
第25条
- 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
- 委員は、再任されることができる。
第5章 雑則
委任
第26条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
この条例は、平成14年4月1日から施行する。
(平成17年7月6日条例第94号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則
(平成25年10月4日条例第47号)
この条例は、平成26年1月3日から施行する。