NPOとの協働推進ガイドライン 4章
第4章 今後より良い協働関係を構築するために
- 地域の特性を生かしたNPOとの協働推進
本県を地域の特性別に大きく分けてみますと、和歌山市のような都市型機能をもった地域、伝統的な生活慣習などを多く残している農山漁村型地域、そしてどちらの性格も併せもついわゆる中間型といえる地域があります。
それらの中で本県において多く存在すると思われる農山漁村型地域については、自治会などの地縁組織が熱心に活動を行っているところが多く、地域住民や団体自身が気付いてはいないが、地元の特産品を全国にPRし地域振興などを主目的に活動を行っている団体など、いわゆるNPO的な活動を行っている地縁組織も数多く存在しています。
また、法人格は取得していないが、こういった地域に存在する過疎化、高齢化、後継者不足といった社会的課題の解決のために自主的に活動を行っている住民グループも数多く存在しています。
このような農山漁村型地域においては、NPO、地縁組織、農林水産業関係の組合、社会福祉協議会などの公益法人、および行政が連携して互いの地域資源を利活用することで、今までにない和歌山県の地域の特性を生かしたNPOとの協働によるまちづくり(農村・都市間交流、世界遺産などの地域資源を活用した観光振興、高齢者グループによる地域振興など)が期待されます。
- 多種多様な分野のNPOが誕生し、活性化できるような支援
NPOと協働を進めていきたいが、自分の職務の関係では協働効果が期待できるようなNPOが県内に存在しないと思われるから協働する必要もないと考える人もいるかもしれません。
しかしながら、期待するようなNPOが、自発的に誕生し、力を伸ばせるような支援施策を講ずることで、今後、職務に関係するNPOが多数存在するようになり、効果的な協働ができるかもしれません。
自分の職務に関係のある社会的課題に、県民が興味をもち、自ら解決するためにNPOを立ち上げるといったしかけづくり(啓発、マネジメント支援、ネットワーク化など)をおこなうことは、行政への県民参加の一層の促進を図ることにもなります。
今後、行政が多種多様な分野にわたるNPOとの協働が推進できるよう、NPO活動が活性化する仕掛けづくりの施策を展開することも、結果的にはNPOとの協働を推進し、県民主体の社会を構築することになります。
- 地域におけるNPOとの協働推進
NPOは社会的課題の解決のため、自らの社会的使命(ミッション)をもって、地域に密着して活動を行っています。
NPOのなかには市町村の区域内で地域の人達と密着して活動を行っている団体も多く存在すると思われ、今後は地元の市町村とNPOとの間においても協働が広がることが望まれます。
NPOとの協働を推進することが、今後の行政にとって重要なことを市町村職員にも理解してもらい、県内の市町村においてもNPOとの協働が一層推進できるよう、県が先導的な役割を担う必要があります。
- 県民主体の社会、県民が互いに支えあう社会づくり
これからの行政は限られた予算の中、最小限の費用で最大限の公共サービスを提供できるよう、体質の改善を迫られています。
今後も増大するであろう社会的課題の解決を行政だけで担うことは、さらに難しい状況になりつつあります。
NPOが成熟していない現在の情勢(揺籃期)においては、行政は協働を進めるだけでなく、NPO活動の支援も行っていく必要性がありますが、将来的には行政が委託や補助などでNPOの活動を支援するのではなく、より多くの県民がNPO活動に参加したり、活動に対する寄附金を出すといった、県民自身が直接NPOを支援するしくみが望まれます。
より多くの県民がNPO活動に興味をもち、県民自身がNPOの人的・財政的支援者となり、県内全域で多種多様なNPO活動が盛んになっていくことこそが、県民主体の社会、県民が互いに支え合う社会づくりの実現につながっていくといえます。