防犯指針
目次
- 犯罪の防止に配慮した住宅の構造、設備等に関する指針
- 犯罪の防止に配慮した道路等の構造、設備等に関する指針
- 学校等における児童生徒等の安全の確保のための指針
- 通学路等における児童生徒等の安全の確保のための指針
犯罪の防止に配慮した住宅の構造、設備等に関する指針
第1 通則
1 目的
この指針は、和歌山県安全・安心まちづくり条例(平成18年和歌山県条例第26号)第14条第2項の規定に基づき、住宅について、犯罪の防止に配慮した構造、設備等に関する基準等を定めることにより、防犯性の高い住宅の普及を目的とする。
2 基本的な考え方
- 指針の対象
この指針は、新築(建替えを含む)される住宅及び改修される既存の住宅を対象とする。 - 位置づけ
この指針は、住宅(共同住宅、一戸建て住宅及び長屋建て住宅をいう。)の建築事業者、所有者又は管理者等(以下「事業者等」という。)に対して、企画、計画等をする際に配慮すべき事項等、犯罪を防止するための施設の構造及び設備について参考となる基準等を示すものであり、何らかの義務を負わせ、又は規制を課すものではない。 - 指針の適用
この指針は、建築基準法等関係法令との関係、建築計画上の制約、管理体制の整備状況、地域の実情等を考慮し適用するものとする。 - 指針の見直し
この指針は、社会状況の変化等を踏まえ、必要に応じて見直すものとする。
3 防犯の基本原則
住宅で発生する犯罪を防止するため、次の4点の基本原則から防犯性の向上について検討し、住宅の計画、設計、改善及び整備を行うものとする。
- 周囲からの見通しの確保(監視性の確保)
周囲からの見通しを確保することによって、犯罪企図者(注意1)が近づきにくい環境を確保する。 - 居住者の共同意識の向上(領域性の強化)
居住者が帰属意識を高め、コミュニティの形成を促進させることにより、犯罪の起こりにくい領域を確保する。 - 犯罪企図者の接近の防止(接近の制御)
塀や門扉等を設置することにより犯罪企図者の侵入経路を制御し、犯罪企図者の犯行を物理的・心理的に断念させ、犯行の機会を減少させる。 - 部材、設備等の強化(被害対象の強化・回避)
犯罪企図者が住戸内へ侵入しようとする際、破壊が困難、又は破壊に時間を要する窓や扉にすることにより犯行を断念させ、被害を回避する。
第2 犯罪の防止に配慮した住宅の構造、設備に関する基準
1 共同住宅
1 共用部分
ア 共用出入口
(ア)共用玄関の配置
- 共用玄関は、道路等周囲からの見通しが確保された位置に配置すること。
- 道路等から見通しが確保できない場合には、防犯カメラの設置等見通しを補完する対策を講じること。
(イ)共用玄関扉
玄関扉は、透明ガラス等を利用するなど扉の内外を相互に見通せる構造とし、オートロックシステム(注意2)を導入することが望ましい。
(ウ)共用玄関以外の共用出入口
- 共用玄関以外の共用出入口は、道路等周囲からの見通しが確保された位置に設置すること。
- 道路等から見通しが確保できない場合には、防犯カメラの設置等の見通しを補完する対策を実施すること。
- オートロックシステムを導入する場合には、共用玄関以外の共用出入口は、自動施錠機能付き扉を設置すること。
(エ)照明設備
- 共用玄関の照明設備は、人の顔及び行動を明確に識別できる程度以上の照度(注意3)を確保できる設備を設けること。
- 共用玄関以外の共用出入口の照明設備にあっては、人の顔及び行動を識別できる程度以上の照度(注意4)を確保できる設備を設けること。
イ 管理人室
(ア)配置
管理人室は、共用玄関、共用メールコーナー(宅配ボックスを含む。以下同じ。)及びエレベーターホールを見通せる構造とし、又はこれらに近接した位置に配置すること。
(イ)窓
管理人室の窓は、共用玄関からの人の出入りが確認できるように、位置、高さに配慮して設置すること。
(ウ) モニターテレビ
防犯カメラと連動するモニターテレビは、管理人が確認できる位置に設置すること。
ウ 共用メールコーナー
(ア) 配置
- 共用メールコーナーは、共用玄関、エレベーターホール又は管理人室から見通しが確保された位置に配置すること。
- 見通しが確保できない場合には、防犯カメラの設置等により見通しを補完する対策を講じることが望ましい。
(イ) 照明設備
共用メールコーナーの照明設備は、人の顔及び行動を明確に識別できる程度以上の照度(注意3)が確保されていること。
エ 郵便受箱
郵便受箱は、施錠可能なものとすること。
また、共用玄関にオートロックシステム(注意2)を導入する場合には、壁貫通型とすることが望ましい。
オ エレベーターホール
(ア) 配置
- エレベーターホールは、共用玄関及び管理人室から見通しが確保された位置に配置すること。
- 見通しが確保できない場合には、防犯カメラの設置等により見通しを補完する対策を講じること。
(イ) 照明設備
エレベーターホールの照明設備は、人の顔及び行動を明確に識別できる程度以上の照度(注意3)が確保されていること。
カ エレベーター
(ア) 扉
エレベーターのかご及び昇降路の出入口の扉は、エレベーターホールからかご内を見通すことができる構造の窓を設置すること。
(イ) 照明設備
エレベーターのかご内の照明設備は、人の顔及び行動を明確に識別できる程度以上の照度(注意3)が確保されていること。
(ウ) 非常の場合の外部通報・連絡方法
非常の場合において、押しボタン等によりかご内から外部に連絡し、又は外部の非常ベルを吹鳴させる装置が設置されていること。
(エ) 防犯カメラ
エレベーターのかご内には防犯カメラを設置し、管理人室等に当該防犯カメラと連動するモニターテレビが設置されることが望ましく、かご内の様子が確認できること。
キ 共用廊下・共用階段
(ア) 構造等
- 共用廊下及び共用階段は、エレベーターホール等からの見通しが確保され、死角を有しない配置又は構造とし、共用廊下には犯罪企図者が身を隠すことができるものを置かないようにすること。
- 共用廊下及び共用階段は、各住戸のバルコニー等に近接する部分については、当該バルコニー等に侵入しにくい構造とすることが望ましい。
- 共用階段のうち、屋内に設置されているものについては、各階において階段室が共用廊下等に常時開放されたものとすることが望ましい。
- 共用階段のうち、屋外に設置されるものについては、外部からの見通しが確保され、かつ、各住戸のバルコニー、窓への侵入防止に配慮した位置に設置し、又は必要な箇所に面格子やフェンス等の侵入防止用の設備が設置されていること。
(イ) 照明設備
人の顔及び行動を識別できる程度以上の照度(注意4)を確保できる設備を設けること。
ク 屋上
(ア) 出入口
- 屋上への出入口には扉を設置し、施錠可能な構造とすること。
- 建築物の形態により、共用廊下等とバルコニー又は屋上が近接している場合や、階下から階上へ、階上から階下への移動が容易にできる場合等、各住戸へ容易に侵入される恐れがある場合は、柵の設置等による侵入防止に有効な措置を講じること。
ケ 自動車駐車場
(ア) 配置
- 屋外の自動車駐車場は、道路、共用玄関又は居室の窓等から見通しが確保された位置に配置すること。
- 屋内に配置する場合は、構造上支障がない限り周囲に開口部を確保し、地下階等の自動車駐車場で道路等から見通しが確保できない場合には、防犯カメラの設置等により見通しを補完する対策を講じること。
- 自動車駐車場に屋根を設ける場合には、住戸のバルコニー及び窓等、上方への足場とならない位置又は構造とすること。
(イ) 照明設備
駐車場内は、人の行動を識別できる程度以上の照度(注意5)が確保されていること。
(ウ) 門扉・シャッターの設備
居住者以外の車両の出入りを制限するため、オートバリカー(注意6)等、施錠可能でかつ見通しが確保された門扉・シャッター等を設置することが望ましい。
コ 自転車等駐車場
(ア) 配置
- 屋外の自転車等駐車場は、道路、共用玄関又は居室の窓等から見通しが確保された位置に配置すること。
- 自転車等駐車場を屋内に配置する場合は、構造上支障がない限り周囲に開口部を確保し、道路等から見通しが確保できない場合には、防犯カメラの設置等の見通しを補完する対策を講じること。
- 自転車等駐車場に屋根を設ける場合には、住戸のバルコニー及び窓等、上方への足場とならない配置又は構造とすること。
(イ) 照明設備
自転車等駐車場内は、人の行動を識別できる程度以上の照度(注意5)が確保されていること。
(ウ) 盗難防止措置
自転車置場・オートバイ置場には、チェーン用バーラック(注意7)、サイクルラック(注意8)の設置等自転車又はオートバイの盗難防止に有効な措置を講じたものとすること。
サ 通路(道路に準ずるものを除く。)
(ア) 配置
通路は、道路、共用玄関又は居室の窓等から見通しが確保された位置に配置すること。
(イ) 照明設備
通路の照明設備は、人の行動を識別できる程度以上の照度(注意5)が確保されていること。
シ 児童遊園、広場又は緑地等
(ア) 配置
児童遊園等は、道路、共用玄関又は居室の窓等から見通しが確保された位置に配置すること。
(イ) 照明設備
児童遊園等の通路の照明設備は、人の行動を識別できる程度以上の照度(注意5)が確保されていること。
(ウ) 塀・柵等
児童遊園等を囲む、塀、柵又は垣等の位置、構造、高さ等は、周囲からの死角の原因及び住戸等への侵入の足場とならないものとすること。
(エ) 植栽
- 植栽する場合は、周囲からの見通しの確保または犯罪企図者がその身体を隠すおそれのない状態とするために、樹種の選定及び植栽の位置に配慮すること。
- 植栽の下枝の剪定等を行い、繁りすぎにより道路等周囲からの見通しを妨げないように配置すること。
ス 防犯カメラ
(ア) 配置等
- 防犯カメラを設置する場合には、見通しの補完、犯罪企図者の犯意の抑制等の観点から有効な位置、台数を検討し適切に配置すること。
- 防犯カメラを設置する部分の照明設備は、照度の確保に関する規定のある各項目に掲げるもののほか、当該防犯カメラが有効に機能するために必要となる照度を確保したものとするとともに、記録装置を設置することが望ましい。
(イ) プライバシーの保護
防犯カメラを設置する場合には、個人のプライバシーの保護等に配慮し、防犯カメラの設置及び利用並びに記録の取り扱いに関し適切な措置を講ずるものとすること。
セ ゴミ置場
(ア) 配置
- ゴミ置場は、道路等周囲から見通しが確保され、火災発生の際に住棟等への影響がない位置に配置すること。
- ゴミ置場は、他の部分と塀、施錠可能な扉で区画するとともに、照明設備を設置したものとすることが望ましい。
ソ その他
(ア) 塀、柵等
- 外部と敷地を明確にし、犯罪企図者の侵入の抑止効果を上げるため、塀、柵等が設置されていることが望ましい。
- 塀、柵又は垣等の位置、構造、高さ等は、周囲からの死角の原因及び住戸等への侵入の足場とならないものとすること。
(イ) 配管・雨どい等
配管、雨どい等は、上階への足掛かりにならないよう配慮されていること。
(ウ) 屋外機器等
屋外に設置する機器等については、上階への足場とならないように適切な場所に配置すること。
2 専用部分
ア 住戸の玄関
(ア) 配置
住戸の玄関は、廊下、階段等からの見通しが確保された位置に設置すること。
(イ) 扉の材質
扉は、破壊が困難な材質とすること。
(ウ) 扉の構造
- ガードプレート(注意9)の設置等、こじ開け防止に有効な措置を講じること。
なお、ガードプレートはドア全体(上から下まで)を隠すものが望ましい。 - 郵便受口を取り付けている扉は、郵便受口から室内の様子が見えないように、内蓋を取り付け、サムターン(注意10)等の解錠装置まで手や針金が届かない取付け位置とすること。
- 扉に明かり取りガラスを設置する場合は、破壊が困難なガラス(注意11)等を使用し、万一破壊された場合においても、サムターン(注意10)等の解錠設備まで手が届かない位置に設置すること。
(エ) 錠
- ワンドアツーロックにすること。
- 住戸の玄関扉の錠は、破壊及びピッキング(注意12)等による解錠が困難な構造(注意13)とすること。
- 上記構造を有することが困難な場合は、ピッキング、サムターン回し(注意14)等による解錠を困難にする措置(サムターン回し対策として、サムターンカバーを装着することが挙げられる。)が講じられていること。
(オ) ドアスコープ・ドアガード
- 玄関扉には、外部の見通しが確保されたドアスコープ(注意15)を設置すること。
- 錠の機能を補完する設備としてドアガード(注意16)を設置した構造とすること。
(カ) 照明設備
玄関の出入口付近の照明設備は、人の顔及び行動を明確に識別できる程度以上の照度(注意3)が確保されていること。
イ インターホン
(ア) 外側との通話等
住戸玄関の外側との間の通話及び映像を映し出せる機能を有すること。
(イ) 管理人室等との通話
管理人室を設置する場合には、住戸内と管理人室との間で通話が可能な機能を有するものとすることが望ましい。
(ウ) 電気錠
住戸内と共用玄関の外側との間で、通話が可能な機能を有するインターホンと連動したオートロックシステムとすることが望ましい。
ウ 窓
(ア) 共用廊下に面する窓
共用廊下に面する住戸の窓(侵入される恐れのない小窓及び避難を考慮する必要がある窓を除く。)及び1階に存する住戸の窓のうちバルコニー等に面する窓以外の窓は、面格子が設置される等外部からの侵入の防止措置が講じられていること。
(イ) バルコニー等に面する窓
- 窓ガラスは避難等に支障がない限り破壊が困難なガラス(注意11)等を使用すること。
- 窓は、鍵付きクレセント錠又は補助錠の設置等侵入防止に有効な措置を講じたものとすること。
エ バルコニー
(ア) 配置
バルコニーは、縦どい、階段の手すり等を足場として侵入ができない位置に配置すること。やむを得ず縦どい、手すり等がバルコニーに近接する場合には、面格子の設置等バルコニーへの侵入の防止に有効な措置を講ずること。
(イ) 手すり等
バルコニーの手すり・腰壁は、身を隠せないように道路等からの見通しが確保された構造とすること。
2 一戸建て住宅
1 玄関扉
ア 配置
玄関は、道路等からの見通しが確保された位置に設置すること。
イ 扉の材質
扉は、破壊が困難な材質とすること。
ウ 扉の構造
- ガードプレート(注意9)の設置等、こじ開け防止に有効な措置を講じること。
なお、ガードプレートはドア全体(上から下まで)を隠すものが望ましい。 - 郵便受口を取り付けている扉は、郵便受口から室内の様子が見えないように、内蓋を取り付け、サムターン(注意10)等の解錠設備まで手や針金が届かない取り付け位置とすること。
- 扉に明かり取りガラスを設置する場合は、破壊が困難なガラス(注意11)等を使用し、万一破壊された場合においても、サムターン(注意10)等の解錠装置まで手が届かない位置に設置すること。
エ 錠
- ワンドアツーロックにすること。
- 玄関扉の錠は、破壊及びピッキング(注意12)等による解錠が困難な構造(注意13)とすること。
- 上記構造を有することが困難な場合は、ピッキング、サムターン回し(注意14)等による解錠を困難にする措置(サムターン回し対策として、サムターンカバーを装着することが挙げられる。)が講じられていること。
オ ドアスコープ・ドアカバー
- 玄関扉には、外部の見通しが確保されたドアスコープ(注意15)を設置すること。
- 錠の機能を補完する設備としてドアカバーを設置した構造とすること。
カ 照明設備
- 玄関の出入口付近の照明設備は、人の顔及び行動を明確に識別できる程度以上の照度(注意3)が確保されていること。
- 夜間における不審者の威嚇や帰宅時に周囲を確認できるよう、センサーライト(注意17)を設置することが望ましい。
2 インターホン
ア 外側との通話等
玄関の外側との間の通話機能を有すること。
なお、玄関の外側を映し出せる機能を有したものが望ましい。
3 勝手口扉
ア 配置
勝手口は、道路等からの見通しが確保された位置に設置すること。
イ 扉の材質
玄関扉と比較して防犯性能が劣ることのない、破壊が困難な材質とすること。
ウ 扉の構造
- ガードプレート(注意9)の設置等、こじ開け防止に有効な措置を講じること。
なお、ガードプレートはドア全体(上から下まで)を隠すものが望ましい。 - 扉に明かり取りガラスを設置する場合は、破壊が困難なガラス(注意11)等使用し、万一破壊された場合においても、サムターン(注意10)等の解錠設備まで手が届かない位置に設置すること。
エ 錠
- ワンドアツーロックにすること。
- 勝手口扉の錠は、破壊及びピッキング等による解錠が困難な構造(注意13)とすること。
- 上記構造を有することが困難な場合は、ピッキング(注意12)、サムターン回し(注意14)等による解錠を困難にする措置(サムターン回し対策として、サムターンカバーを装着することが挙げられる。)が講じられていること。
オ 照明設備
夜間における不審者の威嚇のため、センサーライト(注意17)を設置することが望ましい。
4 窓
ア 窓
窓(侵入される恐れのない小窓及び避難を考慮する必要がある窓を除く。)のうちバルコニー、庭等に面するもの以外のものには、面格子が設置される等外部からの侵入の防止措置が講じられていること。
イ バルコニー、庭等に面する窓
- 窓ガラスは避難等に支障がない限り破壊が困難なガラス(注意11)等を使用すること。
- 窓は、鍵付きクレセント錠又は補助錠の設置等侵入防止に有効な措置を講じたものとすること。
5 バルコニー
ア 配置
バルコニーは、塀、車庫・物置の屋根、縦どい、庭木等を足場として侵入ができない位置に配置すること。やむを得ず塀、車庫・物置の屋根、縦どい、庭木等がバルコニーに接近する場合には、バルコニーへの侵入の防止に有効な措置を講ずること。
イ 手すり等
バルコニーの手すり・腰壁は、身を隠せないように道路等からの見通しが確保された構造とすること。
6 駐車場
ア 配置
- 駐車場は、道路又は居室の窓等周囲から見通しが確保された位置に配置すること。
- 駐車場に屋根を設ける場合には、バルコニー及び窓等、上方への足場とならない構造とすること。
イ 照明設備
- 人の行動を識別できる程度以上の照度(注意5)が確保されていること。
- 夜間における犯罪企図者の威嚇のため、センサーライト(注意17)を設置することが望ましい。
ウ 門扉・シャッターの設備
居住者以外の車両の出入りを制限するため、オートバリカー(注意6)等、施錠可能な門扉・シャッター等を設置することが望ましい。
7 庭
ア 植栽
植栽する場合は、玄関、窓、勝手口が死角とならないように適切に配置し、下枝の剪定等を行い、道路等周囲からの見通しを阻害しないように配置すること。
イ 花壇
花壇を設置する場合は、道路等周囲から見通せる位置に設置することが望ましい。
8 物置等
ア 配置
- 物置は、犯罪企図者が身を隠せないように、道路等周囲から見通しが確保された位置に配置すること。
- 物置等の屋外付帯施設は、住宅の侵入の足場とならないようにすること。
- 物置内の大工道具や脚立等が家の侵入用具に利用されないよう、錠を設置することが望ましい。
9 その他
ア 塀、柵等
- 外部と敷地を明確にし、犯罪企図者の侵入の抑止効果を上げるため、塀、柵等が設置されていることが望ましい。
- 塀、柵又は垣は、道路等周囲からの死角にならないようにするとともに、2階への足場とならない構造とすること。
- 塀、柵又は垣は、乗り越え又はすり抜けが困難な形態・高さとすることが望ましい。
イ 配管・雨どい等
配管、雨どい等は、上階への足掛かりにならないよう配慮されていること。
ウ 屋外機器等
屋外に設置する機器等については、上階への足場とならないように適切な場所に配置すること。
3 犯罪防止に配慮した生活習慣
- 設置物、設備等の整備及び維持管理
ア 防犯設備の点検整備
共同住宅
オートロックシステム(注意2)、インターホン、防犯カメラ(モニター、録画装置等を含む。)、防犯灯等の防犯設備の適正作動について定期的に点検整備すること。
一戸建て住宅
センサーライト(注意17)が適正に作動しているかについて定期的に点検すること。
イ 死角となる物の除去
共同住宅
共用廊下、共用玄関等に物置、ロッカー等が置かれていることにより、死角となる箇所が発生している場合には、これらの物を除去し見通しを確保すること。
(注意1)「犯罪企図者」とは、犯罪を行おうとする者をいう。
(注意2)「オートロックシステム」とは、集合玄関の外側と各住戸との間で通話可能なインターホンと連動し、集合玄関扉の「電気錠」を解除することができるものをいい、「電気錠」とは、暗証番号、カードキーにより解除される錠をいう。
(注意3)「人の顔及び行動を明確に識別できる程度以上の照度」とは、10メートル先の人の顔、行動が明確に識別でき、誰であるか明確にわかる程度以上の照度(平均水平面照度(床面又は地面における平均照度をいう。)がおおむね50ルクス以上)をいう。
(注意4)「人の顔及び行動を識別できる程度以上の照度」とは、10メートル先の人の顔、行動が識別できる程度以上の照度(平均水平面照度がおおむね20ルクス以上)をいう。
(注意5)「人の行動を識別できる程度以上の照度」とは、4メートル先の人の挙動、姿勢等が識別できる程度以上の照度(平均水平面照度がおおむね3ルクス以上)をいう。
(注意6)「オートバリカー」とは、リモコンにより駐車場出入口に設置したチェーン等が上下に作動し、侵入防止を図る設備をいう。
(注意7)「チェーン用バーラック」とは、駐輪場に固定されている金属製の棒(バー)をいい、これと自転車等をチェーン錠で結ぶことにより、自転車・オートバイ等の盗難を防止することができる。
(注意8)「サイクルラック」とは、チェーン用バーラックと同様の機能を有するもので、1台ごとのスペースが明確に区分されているラックをいう。
(注意9)「ガードプレート」とは、錠のデッドボルト(かんぬき)部分が見えないように、扉と扉枠との隙間を隠すためのカバーをいう。
(注意10)「サムターン」とは、扉内側(室内側)の施解錠操作をするためのつまみ。
(注意11)「破壊が困難なガラス」とは、「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する
官民合同会議」による防犯性能試験に合格した、「防犯性能の高い建物部品目録」に掲載されたガラスをいう。例えば、防犯合わせガラスがある。
(注意12)「ピッキング」とは、錠前のシリンダー(カギ穴周辺の円筒)部分に特殊な工具等を差し込んで行う解錠方法をいう。
(注意13)「破壊及びピッキング等による解錠が困難な構造」とは、「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」による防犯性能試験に合格した、「防犯性能の高い建物部品目録」に掲載された錠、シリンダー及びサムターンをいう。
(注意14)「サムターン回し」とは、カギを使用せず、扉に取り付けてある郵便受けを破壊して手を入れるやり方、あるいはドアスコープやドアノブを取り外したり、扉と扉枠との隙間から針金や特殊な工具等を挿入するやり方等で、サムターンを回して行う解錠方法をいう。
(注意15)「ドアスコープ」とは、扉を開けずに室内から訪問客を確認でき外部の様子を見通すことが可能な防犯用の広角レンズをいう。ただし、外から簡単に外されないものを取り付けることが必要である。
(注意16)「ドアガード」とは、室内から扉を僅かにあけて、来訪者を確認するときに使用する防犯金具をいう。同じ機能の金具で「ドアチェーン」があるが、これは工具で切断されるおそれがある。
(注意17)「センサーライト」とは、夜間において人の動き等を感知して点灯するライト。
犯罪の防止に配慮した道路等の構造、設備等に関する指針
第1 通則
1 目的
この指針は、和歌山県安全・安心まちづくり条例(平成18年和歌山県条例第26号)第17条第2項の規定に基づき、道路、公園、自動車駐車場及び自転車等駐車場 (以下「道路等」という。)について、犯罪の防止に配慮した構造、設備等に関する基準等を定めることにより、防犯性の高い道路等の普及を図ることを目的とする。
2 基本的な考え方
- 指針の対象、位置づけ
この指針は、道路等を設置し、又は管理する者に対して、犯罪を防止するための構造及び設備に関する基準等を示すものであり、何らかの義務を負わせ、又は規制 を課すものではない。 - 指針の適用
この指針は、道路構造令等の関係法令との関係、計画上の制約、管理体制の整備状況及び地域の実情等を考慮し適用するものとする。 - 取り組みの方法
この指針に基づく施策の推進にあたっては、安全を確保する必要性及び地域住民が不安を感じる事案の発生状況や地域住民の要望等を勘案し、特に防犯対策を講ずる必要性の高い道路等から整備するものとする。 - 指針の見直し
この指針は、社会状況の変化等を踏まえ、必要に応じて見直すものとする。
3 防犯の基本原則
道路等で発生する犯罪を防止するため、次の3点の基本原則から防犯性の向上について検討し、道路等の計画、設計、改善及び整備を行うものとする。
- 周囲からの見通しの確保(監視性の確保)
周囲からの見通しを確保することによって、犯罪企図者(注意1)が近づきにくい環境を確保する。 - 周辺居住者の共同意識の向上(領域性の強化)
周辺居住者が「わがまち意識」を持つことにより帰属意識を高め、コミュニティの形成、環境の維持管理、防犯活動を活発に行うことにより、犯罪の起こりにくい領域を確保する。 - 犯罪企図者の接近の防止(接近の制御)
フェンス、柵等を設置すること等により犯罪企図者の侵入経路を制御し、犯罪企図者の犯行を物理的・心理的に断念させることで、犯行の機会を減少させる。
第2 犯罪の防止に配慮した道路等の構造、設備等に関する基準
1 犯罪の防止に配慮した道路の構造、設備等に関する基準
道路において発生する強盗やひったくり等の犯罪を防止するため、犯罪企図者(注意1)が、被害対象者又は被害対象物に近づきにくいように、周囲からの見通しを確保するなど以下の点に配慮する。
- 歩道と車道の分離
道路の構造、周辺の状況等を勘案し、可能な限り、ガードレール、歩道柵、植栽等により歩道と車道を分離すること。 - 見通しの確保
工作物等(看板、道路標識等をいう。)を設置しようとする場合には、工作物等が道路の見通しを妨げないよう設置すること。
道路の植栽の下枝等が周囲から道路への見通しを妨げないように剪定・伐採を行うこと。 - 照度の確保
防犯灯及び道路照明灯(注意2)を適切に設置することにより、夜間において人の行動を視認できる程度以上の照度(注意3)を確保すること。 - 地下道等(注意4)
ア 照度の確保
夜間において、人の行動を視認できる程度以上の照度(注意3)を確保すること。
イ 防犯設備
地下道等は、暗く人目に付きにくいことから、非常ベル等を設置すること。
2 犯罪の防止に配慮した公園の構造、設備等に関する基準
公園内で発生する犯罪や児童・生徒への声かけ事案等を防止するため、犯罪企図者が、被害対象者又は被害対象物に近づきにくいように、周囲からの見通しを確保するなど以下の点に配慮する。
- 見通しの確保
公園内の植栽については、見通しに配慮した樹木の種類の選定及び配置とするとともに、下枝等の剪定により見通しを確保すること。 - 遊具の設置
遊具の選定や設置を考慮し、周辺からの見通しを確保すること。 - 照明設備
夜間、通路として日常的利用が想定される園路は、照明設備等により人の行動を視認できる程度以上の照度(注意3)を確保すること。 - 便所
ア 配置
園路又は道路から近い場所等、周囲から見通しが確保された場所に設置すること。
イ 照明設備
建物の入口付近又は内部において、人の顔及び行動を明確に識別できる程度以上の照度(注意5)を確保すること。
ウ 防犯設備
必要と認められる箇所に非常ベル等を設置すること。 - 防犯設備
公園内には必要に応じて、非常ベルや赤色灯などの警報装置を設置すること。
3 犯罪の防止に配慮した自動車駐車場の構造、設備等に関する基準
自動車駐車場において発生する自動車の盗難、車内にある金品の盗難、死角を利用した各種犯罪を防止するため、犯罪企図者が、被害対象者又は被害対象物に近づきにくいように、周囲からの見通しを確保するなど以下の点に配慮する。
- 周囲との区分
外周に見通しの良いフェンス、柵等を設置し周囲と区画すること。 - 見通しの確保
フェンス、柵等は道路等からの見通しの妨げにならない構造のものであること。
見通しが悪く、死角になる箇所においては、ミラーを設置すること。
見通しの補完設備として、防犯カメラを設置することが望ましい。 - 照明設備
地下又は屋内の自動車駐車場においては、駐車の用に供する部分の床面において2ルクス以上、車路の路面において10ルクス以上の照度を確保すること。
屋外の敷地に設置した自動車駐車場においては、夜間の周辺の状況等を考慮し、人の行動を識別できる程度以上の照度(注意3)が確保されていること。 - 出入口
出入口には、自動ゲート管理システム等の設置、又は管理人等を配置し車両の出入りを管理すること。
夜間等営業時間外には、出入口にチェーン等を設置することにより、不審者等の侵入を防止すること。 - 管理人等
駐車場管理者(委託されたものを含む。)は、常駐若しくは計画的な巡回、又は防犯カメラの設置により防犯性の向上を図ること。
自動車駐車場に管理人室を設置する場合は、出入口付近に設置し車両及び人の出入りを確認できる位置に配置すること。 - エレベーター
ア 扉
エレベーターのかご及び昇降路の出入口の扉は、エレベーターホールからかご内を見通すことができる構造の窓を設置すること。
イ 照明設備
エレベーターのかご内の照明設備は、人の顔及び行動を明確に識別できる程度以上の照度(注意5)が確保されていること。
ウ 非常の場合の外部通報・連絡方法
非常の場合において、押しボタン等によりかご内から外部に連絡し、又は外部の非常ベルを吹鳴させる装置が設置されていること。
通報装置は、子どもでも利用可能な位置に設置すること。
エ 防犯カメラ
エレベーターのかご内には防犯カメラを設置することが望ましい。 - エレベーターホール
ア 配置
立体駐車場でエレベーターホールを設置する場合は、管理人室等から見通しが確保された位置に配置すること。
エレベーターホールには、見通しを補完する設備として防犯カメラを設置することが望ましい。
イ 照明設備
エレベーターホールの照明設備は、人の顔及び行動を明確に識別できる程度以上の照度(注意5)が確保されていること。 - 屋上等
立体駐車場の屋上等には、人及び車両の転落防止のための防護柵を設置すること。 - 広報
自動車駐車場の設置者及び管理者(以下「駐車場の設置者等」という。)は、当該駐車場の利用者に対し、看板、貼り紙等により防犯のための広報(注意6)を実施すること。 - 防犯カメラ
ア 配置等
防犯カメラは、各項目に掲げるもののほか、駐車スペース、通路、階段等の防犯上の観点から有効な位置、台数を検討し適切に配置すること。
イ 照明設備
防犯カメラを設置する部分の照明設備は、各項目に掲げるもののほか、当該防犯カメラが有効に機能するため必要となる照度を確保したものとすること。
ウ 防犯カメラの形状
防犯カメラの形状は、防犯カメラであることがはっきり認識できる形状のものが望ましい。
エ システム等
防犯カメラにより撮影した映像は、録画できるシステムとすること。
オ プライバシーの保護
個人のプライバシーの保護に配慮し、防犯カメラの利用及び記録の取扱いについては適切な措置を講ずること。 - 管轄警察署との連携
駐車場の設置者等は、付近駐車場における犯罪発生状況等について、管轄警察署から情報提供を受けるよう努め、駐車場利用者に対する広報等に活用すること。
駐車場の設置者等は、施設の防犯構造又は防犯設備(警備業者によるものを含む。)を新設し、又は変更しようとする場合には、管轄警察署から助言を求め、効果的な防犯構造又は防犯設備の設置に配慮すること。
4 犯罪の防止に配慮した自転車等駐車場の構造、設備等に関する基準
駐車場において発生する自転車などの盗難等の犯罪を防止するため、犯罪企図者が、被害対象者又は被害対象物に近づきにくいように、周囲からの見通しを確保するなど以下の点に配慮する。
- 周囲との区分
外周に見通しの良いフェンス、柵等を設置し周囲と区画すること。 - 見通しの確保
フェンス、柵等は道路等からの見通しの妨げにならない構造のものであること。
見通しが悪く、死角になる箇所においては、ミラー等を設置すること。
通しの補完設備として、防犯カメラを設置することが望ましい。 - 照明設備
自転車等駐車場内は、人の行動を識別できる程度以上の照度(注意3)が確保されていること。
防犯カメラを設置する部分の照明設備は、各項目に掲げるもののほか、当該防犯カメラが有効に機能するため必要となる照度を確保したものとすること。 - 防犯カメラ
自転車等駐車場内には、録画できる機能を有する防犯カメラを設置することが望ましい。 - 盗難防止措置
自転車等駐車場内には、チェーン用バーラック(注意7)、サイクルラック(注意8)の設置等、自転車又はオートバイの盗難防止に有効な措置を講じたものとすること。 - 広報
自転車等駐車場の設置者及び管理者(以下「設置者等」という。)は、当該駐車場の利用者に対し、看板、貼り紙等により防犯のための広報(注意9)を実施すること。 - 管轄警察署との連携
設置者等は、付近駐車場における犯罪発生状況等について、管轄警察署から情報提供を受けるよう努め、駐車場利用者に対する広報等活用すること。
設置者等は、施設の防犯構造又は防犯設備(警備業者によるものを含む。)を新設し、又は変更しようとする場合には、管轄警察署から助言を求め、効果的な防犯構造又は防犯設備の設置に配慮すること。
(注意1)「犯罪企図者」とは、犯罪を行おうとする者をいう。
(注意2)「道路照明灯」とは、道路交通の安全、円滑な利用を図ることを目的に交差点や横断歩道等に道路照明施設設置基準に基づき、道路管理者が設置する交通安全施設の一つをいう。
(注意3)「人の行動を視認できる程度以上の照度」とは、4メートル先の人の挙動、姿勢等が識別できる程度以上の照度をいい、平均水平面照度(地面における平均照度)
が概ね3ルクス以上のものをいう。
(注意4)「地下道等」とは、地下道のほかガード下等の人車が通行する道路をいう。
(注意5) 「人の顔及び行動を明確に識別でき) る程度以上の照度」とは、10メートル先の人の顔、行動が明確に識別でき、誰であるか明確にわかる程度以上の照度(平均水平面照度(床面又は地面における平均照度をいう。)がおおむね50ルクス以上)をいう。
(注意6)「防犯のための広報」とは、「鍵掛け」の呼びかけのほか管轄警察署等から入手した犯罪情報及び防犯グッズ等の紹介を実施することをいう。
(注意7)「チェーン用バーラック」とは、駐輪場に固定されている金属製の棒(バー)をいい、これと自転車等をチェーン錠で結ぶことにより、自転車・オートバイ等の盗難を防止することができる設備をいう。
(注意8)「サイクルラック」とは、チェーン用バーラックと同様の機能を有するもので、1台ごとのスペースが明確に区分されているラックをいう。
(注意9)「防犯のための広報」とは、(オートバイについてはハンドルロック、自転車についてはツーロックなどの「鍵掛け」の呼びかけのほか管轄警察署等から入手した犯罪情報及び防犯グッズ等の紹介を実施することをいう。
学校等における児童生徒等の安全の確保のための指針
第1 通則
1 目的
この指針は、和歌山県安全・安心まちづくり条例(平成18年和歌山県条例第26号)第23条第2項の規定に基づき、学校等における児童、生徒、幼児等(以下「児童生徒等」という。)の安全を確保するために行う必要な方策を示すことにより、児童生徒等の安全確保を図ることを目的とする。
2 基本的な考え方
- 指針の対象、位置づけ
この指針は、学校等の設置者及び管理者(以下「学校等の管理者等」という。)に対して、児童生徒等の安全を確保するための具体的な方策等を示すものであり、何らかの義務を負わせ、又は規制を課すものではない。 - 指針の運用
この指針は、児童生徒等の発達段階や学校及び地域の実情に応じて運用するものとする。 - 指針の見直し
この指針は、社会状況の変化等を踏まえ、必要に応じて見直すものとする。
3 防犯の基本原則
学校等で発生する犯罪を防止するため、次の3点の基本原則から防犯性の向上について検討し、施設等の配置計画、設計、改善及び整備を行うものとする。
- 周囲からの見通しの確保(注意1)(監視性の確保)
学校等の施設等を周囲から見通し良くすることにより、犯罪企図者(注意2)が近づきにくい環境を確保する。 - 領域の明確化(領域性の確保)
囲障や扉等により守るべき領域を明確にすることにより、犯罪の起こりにくい領域を確保する。 - 犯罪企図者の接近の防止(接近・侵入の制御)
配置計画(注意3)、動線計画(注意4)等により、直接的に犯罪企図者の動きを限定し、学校等の敷地内や建物内における守る範囲への接近・侵入を妨げ、児童生徒等の被害及び侵入・窃盗等の犯罪を抑止する。
第2 具体的方策等
1 不審者の侵入防止等
学校等の管理者等は、正当な理由なく学校等に立ち入ろうとする者(以下「不審者」という。)の侵入を防ぎ、児童生徒等への危害を未然に防ぐため、次のような対策を実施するように努めるものとする。
- 出入口の限定
- 普段使用しない門扉等の施錠等の措置
- 関係者以外の立入を禁止する旨の立札、看板等の設置
- 職員室、事務室等が2階など接地階以外に配置されている場合は、校舎玄関に職員室等と連動したインターホンの設置
- 来校者用の入口及び受付(事務室等)の明示
- 来校者に受付における氏名等の記載(受付票等)及び来校者証の着用の要請
- 来校者への声掛けの励行
- 不審者の侵入を防ぐための防犯設備の設置
- 不審者の侵入防止及び死角の排除等を目的とした教室、職員室・事務室等の配置の検討
2 施設・設備の点検整備
学校等の管理者等は、不審者の侵入を未然に防ぎ、児童生徒等への危害を未然に防止するため、次のような施設・設備の点検整備に努めるものとする。
- 校門、囲障、外灯(防犯ライト)、校舎の窓、校舎の出入口、施錠設備等
- 死角の原因となる障害物
- 警報装置(警報ベル、ブザー等)、通報装置(赤外線センサー、モニター付きインターホン)、通報システム(校内緊急通話システム、警備会社との連絡システム等)、防犯カメラ等の防犯設備
3 安全確保についての校内体制の整備等
教職員等による体制の整備のほか、関係機関とも連携し、次のような対策の実施に努めるものとする。
- 教職員等による学校内外の巡視
- 学校等の開放時における安全確保に必要な人員の配置
- 地域や学校等の実情に応じた警報用ブザーの教職員及び児童生徒等への携帯
- 不審者侵入時の危機管理マニュアル(危機管理を具体的に実行するための必要事項や手順等を示したもの。)の策定、点検及び評価
- 危機管理についての教職員研修及び訓練の実施
- 「地域ぐるみの学校等安全委員会」等の設置
- 定期的な安全点検の実施
4 安全教育の充実
学校等の管理者等は、児童生徒等が日常生活全般における安全確保のために必要な事項を実践的に理解し、犯罪の被害者又は加害者にならないための知識を習得し、かつ、様々な危険を予測できる能力を育成するため、次のような取組みを行うとともに、保護者に対し啓発する。
- 不審者侵入時の対処方法を習熟させる避難訓練、防犯訓練の実施
- 地域における危険箇所、「子ども110番の家」(注意5)等の周知
- 「地域安全マップの作成」等地域社会の安全について、児童生徒等が主体的となった学ぶ教育の実施
- 児童生徒等の生きる力やいのちを大切にする心を育む教育の実施
5 保護者、地域及び関係団体(PTA、自治会等)との連携
保護者、地域及び関係団体と連携し、児童生徒等の安全につながるよう次のような取組の実施に努めるものとする。
- 保護者、地域住民及び関係団体への協力依頼
ア 保護者、ボランティア等による学校等の内外における巡回協力要請
イ 保護者、自主防犯団体等による登下校時の校外指導
ウ 学校活動における学校支援ボランティア(注意6)の協力
エ 不審者発見時の警察及び学校等への通報
オ 地域住民等による児童生徒等への声掛け運動 - 注意喚起文書等の配布や掲示等、速やかな周知体制の整備
- 「子ども110番の家」(注意5)との連携の強化及び整備の拡大
- 関係団体と協力した学校等の内外における巡視および安全確保活動
- 警察、消防等に対する安全教室、護身術等の防犯訓練、緊急救命訓練等の実施依頼
- 警察、消防等との緊急時の連絡体制の確立
- 医療機関等との連携による心のケアを必要とする児童生徒等への対応
- 警察、保護者、地域住民及び関係団体との情報の共有化
6 緊急時に備えた体制整備
学校等の近隣において児童生徒等に危害が及ぶおそれがある事案が発生した場合及び不審者が学校等に侵入しようとし、又は侵入した場合に備えて、地域住民及び警察署、消防署等の関係機関と連携し、次のような施策について検討し、学校等の実情に応じて必要な対策の実施に努めるものとする。
- 安全管理を徹底するための教職員に対する指導・研修・訓練の実施
- 学校等の近隣において児童生徒等に危害が及ぶおそれのある事案が発生した場合の保護者への連絡、登下校の方法の決定等
- 近隣の学校間における情報提供体制の整備
- 遠足、校外での教育活動における緊急時の連絡通報体制の整備
- 学校等の内外における巡回及び安全確保についての警察及び消防等への要請
- 不審者が学校等に侵入しようとし、又は侵入した場合等の緊急時における教職員の役割分担及び不審者に対する監視、侵入阻止、排除体制の確立並びに児童生徒等への注意喚起及び避難誘導の方法並びに警察への通報体制の確立
- 警察、消防等との連携強化による児童生徒等の安全確保に関する情報交換
- 警察、消防の協力の下での、教職員、保護者、地域ボランティア等による防犯訓練、応急手当訓練等の実施
- 学校等、警察署、県、市町村及びその他関係機関における情報連絡網の整備
- 臨床心理士、スクールカウンセラーなどの専門家や専門機関との連携による心のケアの支援体制の確立
(注意1) 「見通しの確保」とは、施設や囲障) (塀、柵等)等が死角の原因とならないように配置を工夫すること並びに窓の位置やガラスの素材等を検討して建物内外の可視性を確保すること等をいう。
(注意2)「犯罪企図者」とは、犯罪を行おうとする者をいう。
(注意3)「配置計画」とは、門及び建物出入口の位置や開閉・施錠の方法、管理者室・低学年の児童や幼児のための施設等の配置計画をいう。
(注意4)「動線計画」とは、時間帯に留意した児童生徒・教職員・関係業者・来訪者等の動線計画をいう。
(注意5)「子ども110番の家」とは、子どもを犯罪の被害から守るため、事業者・民家等が子どもの緊急避難先として、避難してきた子どもの保護と警察等への連絡を行うものとして、特に被害者となりやすい子どもを守る環境づくりを推進していく活動の拠点となるもの。
(注意6)「学校支援ボランティア」とは、学校の教育活動について地域の教育力を生かすため、保護者、地域人材、団体、企業等がボランティアとして学校をサポートする活動をいう。
通学路等における児童生徒等の安全の確保のための指針
第1 通則
1 目的
この指針は、和歌山県安全・安心まちづくり条例(平成18年和歌山県条例第26号)第24条第3項の規定に基づき、児童、生徒、幼児等(以下「児童生徒等」という。)の通学又は通園の用に供されている道路及び児童生徒等が日常的に利用している公園、広場(以下「通学路等」という。)について、必要な方策を定めることにより、児童生徒等の安全確保を図ることを目的とする。
2 基本的な考え方
- 指針の対象、位置づけ
この指針は、学校及び児童福祉施設(以下「学校等」という。)の管理者、児童生徒等の保護者、通学路等の管理者及び地域住民並びに警察署長に対して、通学路等における児童生徒等の安全を確保するため具体的方策等を示すものであり、何らかの義務を負わせ、又は規制を課すものではない。 - 指針の運用
この指針は、関係法令、通学路等の整備状況、地域住民等の意見等を考慮し、地域の実情に応じて運用するものとする。 - 指針の見直し
この指針は、社会状況の変化等を踏まえ、必要に応じて見直すものとする。
3 防犯の基本原則
通学路等で発生する犯罪を防止するため、次の3点の基本原則から防犯性の向上について検討し、通学路等の計画、設計、改善及び整備を行うものとする。
- 周囲からの見通しの確保(注意1)(監視性の確保)
周囲からの見通しが確保されることによって、犯罪企図者(注意2)が近づきにくい環境を確保する。 - 周辺居住者の共同意識の向上(領域性の強化)
周辺居住者が「わがまち意識」を持つことにより帰属意識を高め、地域コミュニティの形成、環境の維持管理、防犯活動が活発に行われることにより、犯罪の起こりにくい領域を確保する。 - 犯罪企図者の接近の防止(接近の制御)
フェンス、柵等を設置すること等により犯罪企図者の侵入経路をなくし、犯罪企図者の犯行を物理的・心理的に断念させることで、犯行の機会を減少させる。
第2 具体的方策等
1 安全教育の充実
児童生徒等が通学路等において犯罪の被害に遭わないための知識の習得、危険予測能力の育成のため、次のような取組の実施に努めるものとする。
- 「安全マップ」等の作成
ア 危険箇所
イ 地下道等特に安全上注意を払うべき場所
ウ 交番、駐在所等の警察施設
エ 「子ども110番の家」(注意3)等の緊急避難場所
オ 犯罪等の発生場所
カ 公園、広場等 - 定期的に集団下校を実施し、その機会を利用した「安全マップ」に基づいた児童生徒等への指導
- 「子ども110番の家」(注意3)等の緊急避難場所への駆け込み訓練
- 危険箇所等における不審者対応訓練
- 非常ベルの操作方法の周知
2 学校等における児童生徒等の危害防止活動
学校等の設置者及び管理者は、児童生徒等が通学路等で犯罪の被害に遭わないよう、次のような取組の実施に努めるものとする。
- 教職員等による登下校時の通学路等の巡視
- 危険な状況の発生に関する情報がある場合のマニュアル等の策定
ア 警察等への通報及びパトロール要請
イ 情報内容に応じた集団登下校の実施等登下校方法の決定
ウ 保護者に対する連絡体制の確立
エ 注意喚起文書等の配布や掲示等、速やかな周知体制の整備
オ 近隣の学校及び児童福祉施設間における情報提供体制の整備
カ 教職員の役割分担 - 防犯ブザーの児童生徒等への携帯
- 登下校時の校門での観察、指導
- 保護者との緊密な連絡体制の確立
3 家庭における児童生徒等の危険防止活動
保護者は、子どもが犯罪の被害者にならないよう成長段階に応じて、次のような取組の実施に努めるものとする。
- 我が家のルール(注意4)の策定
- 買物等外出時を利用した子どもへの自宅付近の危険箇所及び「子ども110番の家」(注意3)等避難場所、避難方法の教示
- 近所への子どもの安全確保に関する依頼
4 学校等、保護者、地域(PTA、自治会等)及び関係団体との連携
学校等、保護者、地域及び関係団体と連携し、児童生徒等の安全につながるよう次のような取組の実施に努めるものとする。
- 定期的な登下校時の校外指導
- 通学路等の安全点検の実施
- 児童生徒等との合同清掃活動等を利用した、危険箇所の改善に向けた取組
- 「子ども110番の家」(注意3)等との連携及び整備の拡大
- 不審者発見時の警察及び学校等への通報
- 地域住民等による児童生徒等への声掛け運動
- 警備業者との連携等
第3 通学路等における安全な環境の整備基準
学校等の管理者は、通学路等が安全な環境となるよう、校区における関係機関、通学路等の管理者、自主防犯団体、保護者および地域住民等の協力を得て、次の基準により整備が図られるよう努めるものとする。
1 照度の確保
照明設備により、夜間において人の行動を視認できる程度以上の照度(注意5)が確保されていること。
2 見通しの確保
ア 住宅、道路等周囲からの見通しが確保されていること。
イ 死角となる物件または箇所がある場合は、死角を解消するためのミラー等の設備が整備されていること。
ウ 植栽の下枝等が周囲からの見通しを妨げないように剪定を行うこと。
3 子ども110番の家
通学路等の周辺に「子ども110番の家」(注意3)等の緊急避難場所が設けられていること。
4 防犯設備
地下道、公園の便所等の暗く、人目に付きにくいところや犯罪の発生状況から特に安全上注意を払うべき場所に、防犯ベル等の防犯設備が設けられていること。
(注意1)「見通しの確保」とは、施設や囲障(塀、柵等)等が死角の原因とならないように配置を工夫すること並びに窓の位置やガラスの素材等を検討して建物内外の可視性を確保すること等をいう。
(注意2)「犯罪企図者」とは、犯罪を行おうとする者をいう。
(注意3)「子ども110番の家」とは、子どもを犯罪の被害から守るため、事業者・民家等が子どもの緊急避難先として、避難してきた子どもの保護と警察等への連絡を行うものとして、特に被害者となりやすい子どもを守る環境づくりを推進していく活動の拠点となるもの。
(注意4)「我が家のルール」とは、各家庭独自で、「知らない人にはついて行かない」、「帰宅時間の設定」等、防犯に関する決まりを取り決めたもの。
(注意5) 「人の行動を視認できる程度以上の) 照度」とは、4メートル先の人の挙動、姿勢等が識別できる程度以上の照度をいい、平均水平面照度(地面における平均照度)が概ね3ルクス以上のものをいう。