栽培管理

結実管理

柿は品質の良い大玉果生産、隔年結果を防止し、連年安定した生産をするためには、結実管理は必須の作業である。その作業としては、整枝剪定による母枝数の調整等や摘蕾、摘果、受粉作業等がある。

摘蕾
大玉果生産には、必須の作業である。残す蕾は図の通りである。5枚以上の葉のある新梢に1蕾、新梢基部から4節から5節程度の外やや下向きの大きな蕾を残すようにします。葉が5枚以下の枝の蕾は全て摘み取る。残す位置が基部に近すぎると、果実が成熟した時、枝でキズ果となることが多くなります。また、基部や先端に近い蕾は、ガク片が3枚等の奇形果が多くなります。
晩霜の被害にあった場合などは奇形果の多い年には、特に注意し、健全な蕾を残すよう努めます。また早い時期から摘蕾を実施すると2番花の発生を多くするので注意します。
摘蕾作業の適期は4月下旬から開花までと期間が短いので、生育の早い刀根早生柿から始めますが、富有柿生産している場合は、ヘタスキ果の防止、受粉作業の効率化を図るためにも富有柿を優先し、開花までに完了するよう努めます。刀根早生、平核無柿は開花後でも、引き続き作業を進め、大玉果生産に努めます。

摘蕾図

図をクリックして下さい。大きくなります。
受粉
富有柿や早生富有等受粉を必要とする品種のみ、開花時期に受粉器で実施する。花粉は赤柿等から採取し、石松子で20倍程度に希釈したものを使用します。伊豆早生等の種子の入りにくい品種は、希釈しないで受粉します。
また、開花当日に受粉するのが種子が入りやすくなります。
受粉樹の利用やミツバチの利用等を考えることも結構です。
受粉の必要な品種への開花期の防除については、ミツバチ等の訪花昆虫に影響のないように十分注意します。
摘果
摘果は結果量の総仕上げであり、実施時期が早いほど、残った果実は大きくなる。一般的には、6月の生理落果がほぼ終了する時期を待って、7月上中旬より摘果を始める。特に摘果は、残す果実数を着葉数に合わせるほか、秀品率を高めるため、果実の形質についても十分配慮する。
摘果時期には、果梗がすでに硬くなっているので、指で落とすのは困難であり、鋏を使うため摘蕾に比べて作業能率が低いので、摘蕾を重点におき、摘果作業は最後の仕上げとする。

  1. 摘果の程度
    果実の発育にも大きな影響を及ぼすのは葉である。摘蕾でも述べたように、1果当たり、20枚から25枚の葉数が適正結果数の目安となる。最盛期をこえた老木園では、もう少し葉数が必要である。これは、果実と枝幹への同化物質配分比率が、老木と成木とでは異なることが関係するものである。なお、栽培地域の自然条件(気候・土壌・地形など)栽培管理の方法、樹齢、樹冠のちがいなど、いくつかの条件がかみあっているので、それぞれのカキ園の適正な着果量の基準を見出す必要がある。
    また、階級目標を富有では、2L(260グラム以上)、平核無はL(220グラム以上)級を目標とし、着果数を富有では8,000個、平核無では15,000個程度まで、摘蕾、摘果により制限し、大玉果生産を徹底したい。
    摘果の程度は、剪定時に結果母枝が適正に残されていれば、富有では一結果母枝に1個から2個(平均1.5個)、平核無では一結果母枝に2個を目安とする。
    なお、3本から4本の新梢(5葉未満の貧弱な新梢は除く)が発生している結果母枝には富有では1果、平核無では1果から2果とし、5本以上の新梢の発生している結果母枝は、富有では2果、平核無では2果から3果程度とする。
    富有では、なるべく先端の新梢に着果させ、平核無は先端の新梢の果実は摘果し、2番目、3番目の新梢に着果させる。
  2. 摘果の方法
    摘果は、樹上選果であり商品性を高めるため、次のような果実を摘果する。
  • 果実の発育が悪い小玉果で、収穫時にM級以上に肥大しない果実。
  • 単為結果した無種子果実、扁平で果頂部がへこんでいるもの。
  • ヘタに傷のあるもの、奇形果や病害虫の被害果など。
  • 上向きに着生した果実で、日焼けを生じやすいもの。
  • 下枝で日当たりの悪い位置の果実。

ヘタが大きく整い、果実の腰が高く、果実が大きくしかも無傷で、緑色の濃い果実を残す。とくに、ヘタの大きい果実は発育がよく、大玉になる素質があるので大切にする。

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