和歌山の低コスト林業について

和歌山県の林業を取りまく状況

和歌山県の森林面積は約36万ヘクタールであり、県土面積の約4分の3を占めています。
森林の約95パーセントは民有林で、民有林面積の約60パーセントはスギやヒノキなどの人工林です。人工林の多くは戦後に植栽したものであり、その多くが現在、利用可能な時期を迎えています。

その一方で、本県の森林から切り出されている丸太の量(素材生産量)は、平成24年には約158千立方メートルと、ピークの昭和55年の460千立方メートルと比べると約3割程度まで減少しました。
素材生産量の減少の原因としては、木材の輸入自由化による木材価格の下落の一方で、人件費や資材等の経営コストが上昇し、林業の生産性が大幅に悪化したことが挙げられます。また、林業従事者の減少・高齢化も素材生産量の減少に拍車をかけてきました。
こうした状況を背景に、森林所有者の経営意欲も減退し、保育や間伐等の施業が充分に行われずに放置されている森林も見られるようになり、森林の多面的機能の低下が懸念されています。

林業の低コスト化

木材価格の大幅な上昇が見込めない中で持続的な林業経営を確立させるためには、素材生産量の拡大と、山から丸太を切り出すのにかかるコストを出来るだけ下げることが重要になってきます。
このため、本県では平成18年の「木の国」低コスト林業推進プロジェクトチームの結成を契機に、低コスト林業の取り組みを進めてきました。
低コスト林業のポイントは、「高性能林業機械」をうまく活用して労働生産性を飛躍的に高め、相対的に生産コストを下げることにあります。
このためには、「施業の集約化」により施業する箇所をまとめ、「作業道の整備」により高性能林業機械が走行できる丈夫で簡易な道を整備することが重要となります。これにより、今までは森林内に切り捨てていた間伐材の利用も可能となり、経営コストの改善につながっていきます。

本県の取り組み

低コスト林業を推進するため、本県では現在、以下の取り組みを行っています。

作業道の整備

  • 作業道の新設及び機能向上に対する支援

詳細はこちら(内部リンク)

  • 効率的な作業道整備の推進に資する路網設計支援ソフトの導入支援

PDF形式を開きます路網設計支援ソフトと導入活用事例(PDF形式 772キロバイト)

高性能林業機械

新たな取り組み

本県の森林はその多くが急傾斜地にあるため、古くから架線による集材が普及していました。現在は、上記の取り組みもあって比較的傾斜が緩い地域では作業道の整備が進んでおり、急傾斜地における架線集材については、安全性や効率性を高めるため、林業事業体と連携して架線集材機の開発・改良に取り組んでいます。
また、皆伐後の再造林には多大な費用がかかることから、伐採から造林の一貫作業やコンテナ苗を用いた造林作業の省力化といった低コスト造林についても実証・検討を進めています。

新たな取り組みの画像

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