氏名　　　植芝　盛平（うえしば　もりへい）

生年　　　1883年（明治16年）生

競技　　　合気道

区分　　　功労者

　和歌山県西牟婁郡西ノ谷村（現在の和歌山県田辺市上の山）に生まれ、和歌山県第二中学校（後の田辺中学校）に入学するが、中退して珠算学校に通い、そろばんの特技が認められ田辺税務署に就職した。その後、起倒流柔術の門を叩き古式武芸から技と心を学んだ。

　幼なじみの「糸川はつ」と結婚し、大阪第四師団の管下の大三十七連隊へ入隊、軍隊生活の四年間も柳生流の道場へ通い技を磨いた。しかし、跡継ぎであることを理由に田辺へ帰郷し、そこで柔道家・高木喜代市と出会った。

　1912年、政府から北海道開拓移住民団体募集の呼びかけに、自ら団長となり、紋別郡上湧別村（現白滝村）へ入植したが、1918年、父の危篤で田辺に帰る途中、宗教家の出口王仁三郎を訪ね綾部（現綾部市）に立ち寄り、人としての生きる道を教わった。1920年、住居を綾部に写し、心技体が一体となる「合気武術」の基礎をつくり新たな道を求めて上京した。

　盛平の合気武術の噂を聞き、歌舞伎役者の六代目菊五郎や猿之助、作家の中里介山など多くの人が訪れ、数年後、道場「皇武館」が完成した。合気武道はさらに精神的な深まりをみせ、「ある時は空気のごとく、またある時は水の流れのごとく、相手の動きに応じて身体を預ける」という合気道が誕生した。

　合気道は1952年頃から世界に広がりはじめ、1956年には公開演武会を開いて各界の大使や公使を招待し、合気の武術として完成した姿を一般に披露した。

　1960年合気道創始の功績を以って紫綬褒章を贈られ、1964年に勲四等旭日小綬章を受賞した。

　1969年4月26日午前5時、86歳で亡くなった。この日、正五位勲三等瑞宝章を生前の合気道創始の功績とその普及の功により贈られ、更に田辺市名誉市民および茨城県岩間町名誉町民の称号を受けた。