人権施策の実施状況

趣旨

和歌山県人権尊重の社会づくり条例第2条第4項の規定に基づき、前年度に和歌山県が実施した人権施策を「人権施策の実施状況」として公表します。

目的

和歌山県が実施した人権施策について、定期的に公表することで、人権に対する意識を県民の方々に高めていただくとともにご意見をいただき、今後の施策実施の参考とさせていただきます。

なお、ご意見は、県人権施策推進課までFAX、電子メール等によりお寄せくださいますようお願い申し上げます。

令和7年度 人権施策の実施状況

目次

第1 人権施策の推進

1 人権教育・啓発の推進

(1) 人権教育の基本的な取組

(2) 人権啓発の基本的な取組

(3) 特定職業従事者に対する教育・啓発の充実・強化

(4) 人材の育成と調査・研究の推進

2 相談・支援・救済の推進

第2 分野別施策の推進

1 環境と人権

2 情報と人権

3 災害と人権

4 女性の人権

5 こどもの人権

6 高齢者の人権

7 障害のある人の人権

8 同和問題(部落差別)

9 外国人の人権

10 感染症・難病患者等の人権

11 犯罪被害者等の人権

12 自殺

13 ひきこもり

14 犯罪をした者等の人権

15 生活困窮にある人の人権

16 性的少数者の人権

17 働く人の人権

18 その他の人権課題

第3 人権行政の推進体制等の整備

1 人権行政の推進体制等の整備

(1) 県の推進体制

(2) (公財)和歌山県人権啓発センターの充実

(3) 国、市町村、関係団体等との連携

(4) 県民、企業、NPO等との連携・協働

2 人権施策等の公表と基本方針の見直し

実施状況

第1 人権施策の推進

1 人権教育・啓発の推進

(1) 人権教育の基本的な取組

 家庭における教育の支援として、保護者に学習機会や情報を提供するとともに、子育てに関する不安や悩みを相談できる体制づくりを支援しました。

 学校教育においては、教職員を対象とした校内研修用資料の作成及び配布、学校訪問による指導及び資料集の活用普及等を行い、人権が尊重される環境づくりや人権尊重の理念に対する理解を深め、これを体得することをめざす教育の一層の充実を図るとともに、こどもの人権意識を高めるための教育の推進に取り組みました。

 社会教育においては、県内公立小学校及び特別支援学校小学部に在籍する児童の保護者を対象として、様々な人権問題に関する学習機会の充実を図るとともに、広く県民の人権問題に対する理解と認識を深めるため、人権問題に関する学習機会の提供や指導資料等の作成、指導者の養成等を行いました。

 識字問題解決のための取組や障害のある人の社会参加や学習活動を支援するための取組を推進するなど、人権課題解決のための社会教育活動の充実を図りました。

 また、年齢、国籍に関係なく、学びの機会を提供するため、定時制・通信制高校において「学び直し講座」を実施しています。

 さらに、様々な理由で義務教育の機会を十分得られなかった人や学び直しを希望する人を対象にした県立夜間中学「新翔くろしお中学校」の開設に向けた取組を進めました。

(2) 人権啓発の基本的な取組

 県民全体の人権意識の高揚を図るため、「(公財)和歌山県人権啓発センター」を核に、参加体験型を中心として学びの場や考えるきっかけと素材の提供、マスメディア及びインターネットを活用した広報・啓発及び国・市町村・関係団体と連携した啓発活動を展開しました。

特に、「同和運動推進月間(11月1日~11月30日)」「人権を考える強調月間(11月11日~12月10日)」において、講演会の開催等各種啓発活動に重点的・集中的に取り組みました。

 さらに、企業や団体が実施する人権研修への講師派遣、企業や団体の研修責任者を対象とした人権研修の実施など、企業等において人権が尊重される職場づくりに向けた取組が一層推進されるよう支援しました。

(3) 特定職業従事者に対する教育・啓発の充実・強化

 行政職員、教育職員、警察職員、消防職員、医療・福祉関係職員等を対象とする人権研修を実施するとともに、研修指導者の養成に努めました。

(4) 人材の育成と調査・研究の推進

 人権教育・啓発が地域・職場等に浸透するよう、指導者の育成に努めました。

 感性が発達する幼児期(3~5歳児)に「思いやり」や「いたわり」の心を育み人権を尊重できるこどもを育てることを目的とした「人権感覚を育てよう」プログラムを普及させるため、幼稚園等への出張講座の開催等に取り組みました。


2 相談・支援・救済の推進

 人権に関する様々な相談に対し、総合的な窓口や専門的に対応できる窓口を設置するとともに、県広報紙等に人権相談窓口の一覧を掲載し、県民への情報提供を行いました。

 県内の各相談・支援機関の連携強化や相談実務担当者の知識・技能向上を図ることにより、相談支援体制の充実・強化に努めました。

 人権侵害事件については、行政が主体的に取り組む必要があるとの認識のもと、市町村等と連携して被害者の救済を図るとともに、国に対して被害者の救済に関する法制度の早期整備を要望しました。

第2 分野別施策の推進

1 環境と人権

 県民一人一人の環境保全に関する意識の醸成を図るため、環境学習アドバイザー派遣やわかやまこどもエコチャレンジなど環境学習を推進しました。

 また、和歌山県地球温暖化防止活動推進センターとともに地球温暖化対策に関する普及啓発活動に取り組みました。その一環として、大人とこどもが一緒に環境について学ぶ環境イベント「おもしろ環境まつり」を開催しました。これらの活動は、ホームページや「エコの和」(SNS)を通じて広く県民に情報発信しました。

 和歌山県ごみの散乱防止に関する条例に基づき、学校等での「出張!県政おはなし講座」の開催のほか、ラジオ等を活用した啓発活動を行いました。


2 情報と人権

 県民の「知る権利」を尊重し、また、個人情報を適正に取り扱うため、県職員を対象に情報公開及び個人情報保護制度に関する研修を行うとともに、情報セキュリティ研修や情報漏えい防止のためのコンピューターウイルス侵入対策、各所属に設置した情報セキュリティ管理者による所属内点検の実施等、情報セキュリティの確保に努めました。    

 住民票の写し等の不正取得を抑止する効果が見込める本人通知制度について、制度の周知と登録の促進を市町村と連携し進めました。

 近年、インターネット上で、他人を誹謗中傷する書き込みや差別を助長する書き込み等による人権侵害が発生していることから、地方法務局等と連携してプラットフォーム事業者への削除要請を行うとともに、大規模プラットフォーム事業者に対し、インターネット上の人権侵害情報の拡散防止への協力依頼を行うなど、被害の拡大防止を図りました。

併せて、インターネット上の人権侵害防止を図るため、県広報紙を活用した啓発を行うとともに、インターネットの利用に際しての留意点について考える研修会や、出張型の講座、市町村職員等に対してインターネット上の人権侵害に関する研修会を実施しました。

 また、令和7年4月1日に施行された情報流通プラットフォーム対処法の課題に対応する等、インターネット上の人権侵害について実効性のある対策を国に対して要望しました。


3 災害と人権

 県民の防災意識の高揚と地域の防災力向上を図るため、防災講習会や啓発の実施、地域防災リーダーの育成等を行いました。

 災害発生時の避難等に特に支援を要する避難行動要支援者が、安全に避難できるよう必要となる対策を実施する市町村に対して支援しました。

 障害のある人や高齢者等、避難所生活で特別な配慮を必要とする人のために必要に応じて開設される福祉避難所のうち、障害のある人の特性に配慮したきめ細やかな対応ができる福祉避難所をホームページで公開しました。

 また、福祉避難所についての理解の促進を図るため、市町村ヒアリングや会議を実施し、災害時においても人権が十分に尊重されるよう取組を推進しました。


4 女性の人権

① ジェンダー平等実現のための環境づくり

 性別等にかかわらず、誰もが個性と能力を発揮できるジェンダー平等社会をめざして、社会的気運醸成のための啓発を推進するとともに、政策・方針決定過程や働く場、家庭におけるジェンダー平等を推進するため、人材の育成や、広報・啓発の実施及び事業者、市町村等の取組への支援を実施しました。

 社会情勢の変化や価値観の多様化が進む中、女性活躍の取組を基盤としつつ、より包括的な視点からジェンダー平等を推進するため、令和7年11月4日に、企業・団体における女性活躍を促進してきた「女性活躍企業同盟」を、「わかやまジェンダー平等プロジェクト」へと発展的に改組しました。

 若手から管理職をめざす女性従業員までそれぞれの役職等に対応したセミナーを実施しました。

 育児・介護等により家庭等で仕事をすることを希望する女性等を応援するため、テレワークを紹介するイベントや研修会を開催するとともに、企業において働きやすい職場づくりを推進するため、企業向けに労働セミナーを開催しました。

 働きやすい職場環境づくりに向け、「託児施設」や「女性更衣室」の整備を中小企業融資制度の対象にしており、事業者の設備投資を促進しました。

 仕事と子育てが両立できる社会の実現に向け、「和歌山こどもまんなか応援団」において、行政と企業とが連携し、子育てを応援する機運の醸成を図りました。

② 支援活動

 ストーカー行為に対し被害者への支援を実施するとともに、ストーカー加害者に医療機関でのカウンセリングや治療等を推奨する施策や被害者の意向により行う加害者連絡を推進しました。

 警察署等の相談窓口において女性警察官の相談員を配置するとともに、性犯罪被害者に係る診断書料を公費により支援しました。

 和歌山県立医科大学附属病院内に設置した「性暴力救援センター和歌山」(わかやまmine(マイン))において、関係機関と連携し被害者の緊急医療や心のケア等の総合的な支援を、男性を含む性暴力被害者に対して行いました。

 結婚・出産等で離職した女性等の再就職を支援するため、企業との協働による和歌山独自の就活サイクルの取組を推進しました。

 子育てしながら就職に必要な知識・技能を習得できるよう、託児サービスが利用できる職業訓練を実施しました。

③ 啓発活動

 ジェンダーに基づく暴力の根絶に向け、関係機関との連携を図り、啓発・教育、相談、援助及び保護等を実施しました。

 特に、若年層への啓発を強化するため、デートDV防止出前講座を中学校、高等学校において実施しました。

④ 健康づくり

 中学生、高校生を対象に、男女が互いの性を尊重する意識づくり・健康づくりを目的とした思春期講座やピア・エデュケーションを実施しました。

 また、将来の妊娠を考えながら、自分のライフプランに適した健康管理を行うことは、将来の健やかな妊娠・出産だけでなく、次世代のこどもの健康にも繋がるため、プレコンセプションケアの啓発にも取り組みました。また、大学生に対して出前講座や医師や保健師などを対象とした講演会を開催するなど、プレコンセプションケアの推進にも取り組みました。

 こどもを産み育てたいと望んでいるものの不妊で悩んでいる夫婦に対しては、不妊治療費の助成や専門相談など、経済面・精神面の両面から支援を実施しました。

 また、基礎疾患等がある妊産婦や妊娠を希望している女性等が、妊娠前、妊娠中や授乳中における薬の服用方法や、将来の妊娠・出産に関する相談支援体制の充実を図りました。

 さらに、思春期から生涯に渡り直面する女性特有の様々な健康問題に関する総合的な相談対応を各保健所で実施しました。


5 こどもの人権

① 子育て

 子育てに関するワークショップや幼児期から人権感覚を育むための出張講座を開催しました。

日常生活の中で、また身近な地域において、幼少期からの運動遊びやスポーツ活動への参加のきっかけづくりとして、情緒に障害のあるこどもを対象に、スポーツに親しむ機会を提供し、健康の保持増進を図るための体操教室を実施しました。

 「和歌山県こども計画」に基づき、市町村と連携したこども・子育て支援の充実を図りました。

 子育てしやすい環境づくりに向け、保育所、幼稚園等における多様な保育サービスの実施を支援するとともに、電話による救急医療相談及び保護者やこどもに対する悩み事相談を実施しました。

 保育人材確保のための保育士修学資金貸付等事業や潜在保育士等就職支援事業等を実施するとともに、保育所等の施設整備等を支援し、待機児童の解消対策を図りました。

 児童扶養手当を受給しているひとり親家庭に対し、居宅への訪問を行うとともに、ひとり親家庭の孤立防止及びひとり親家庭支援制度の周知徹底を図りました。

 また、安定した生活を送れるよう、公正証書の作成や保証会社との契約に係る費用を給付するなど、養育費の確保を支援しました。

 貧困の状況にあるこどもが健やかに成長できる環境の整備と教育の機会均等を図りました。

 全てのこどもたちが安心して地域の大人とかかわり、社会性をはぐくむ場として、食事を提供し、学習支援や地域交流の拠点となるこどもの居場所づくりに取り組んでいる団体を支援するとともに、放課後や週末等に学校の余裕教室等を活用し、幅広い地域住民の参画により、学習支援や体験活動、大人との交流活動の機会を提供する市町村を支援しました。

② 教育

 児童生徒の直面する課題解決に向け、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校に「スクールカウンセラー」を配置し、学校におけるカウンセリング機能の充実を図るとともに、「スクールソーシャルワーカー」を配置し、関係機関との連携を図り、不登校やいじめ問題等の未然防止、早期発見、早期対応に取り組みました。

 さらに、「不登校児童生徒支援員」を配置し、別室登校児童生徒への学習支援や登校支援を行うとともに、「訪問支援員」を配置し、自宅にこもりがちな児童生徒の家庭を訪問して学習指導等を行いました。

 加えて、不登校児童生徒の学校復帰と進路選択の基盤となる学力が身につくよう、ICTを活用した学習支援を実施しました。

 いじめ問題については、「和歌山県いじめ防止基本方針」及び各学校における「学校いじめ防止基本方針」に基づき、社会総がかりでのいじめ防止の取組を推進するとともに、いじめ対応マニュアル等の活用、メール及び電話による相談事業を行いました。

 警察本部においても、メール及び電話による相談窓口を設置し、いじめ問題の早期解決を図りました。

 不登校を解消するため、「不登校対応基本マニュアル(基礎編・事例別対応編)」を活用し、不登校の未然防止や解消に向けて取り組みました。

 こどもが発するSOSを見逃さないための対応マニュアルを活用するなど、こどもの安全・安心を守る取組の促進を図りました。

 地域とともにある学校づくりをめざし、学校、地域とともに学校の運営に取り組む「きのくにコミュニティスクール」を推進しました。

 「教育相談電話」及び「こどもSOSダイヤル(24時間対応)」により、児童生徒や保護者からの相談に直接応じるとともに、中学校及び高等学校の生徒を対象にLINEによるSNS相談「きいちゃんLINE悩み相談@」窓口を設置し、相談に応じました。

 経済的理由により、高等学校や大学等での修学が困難な生徒に対して、奨学金を貸与するなどの支援を実施しました。

⓷ 健全育成

 青少年の健全育成を図るため、「和歌山県青少年健全育成条例」に基づき、非行防止、有害環境の浄化対策を実施しました。

 児童生徒の規範意識の向上、非行防止及びいじめ問題の解決を図るため、少年サポーターによる非行防止教室や相談活動等を実施するとともに、いじめや暴力等の防止に取り組むため、中学校に学校支援サポーターを派遣し、生徒の安全確保並びに教職員等への支援及び助言を行いました。

 少年の非行防止、健全育成及び立ち直り支援の充実を図るため、地域の中核となる人を少年警察ボランティアに委嘱し、非行少年等の早期発見のための補導、被害少年の保護に向けた少年相談、少年を取り巻く有害環境の浄化及び非行防止のための啓発活動を行いました。

 また、大学生を学生サポーターとして委嘱し、少年の社会参加活動や非行少年等に手を差し伸べる立ち直り支援活動を行いました。

 教育委員会及び警察本部等と連携したネットパトロールの実施やインターネットを利用する際の情報モラルやマナーの向上を図るための啓発活動を行うとともに、県内全ての小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の児童生徒を対象とした「情報モラル講座」等を開催しました。

 薬物乱用防止に関する啓発活動や生徒参加型の薬物乱用防止教室を開催するとともに、メール及び電話による相談窓口を設置しました。

⓸ 児童虐待防止

 児童虐待問題が深刻化する中、「和歌山県こども計画(和歌山県子ども虐待防止基本計画)」に基づき、児童虐待の未然防止、早期発見、一時保護、里親制度の普及等に取り組みました。児童相談所においては、児童虐待対応を含む全ての相談・支援を一貫して行うとともに、相談員による24時間対応の電話相談を実施しました。

 警察においては、児童の安全確保を最優先とした対応の徹底と、被害防止に関する啓発活動等に取り組んだほか、警察職員に対し、児童からの聴取方法に関する研修を実施しました。

 一時保護中や入所措置の児童本人が、児童にとって重要な意思決定が行われる場面やそれぞれの施設での生活の場面において意見表明ができるよう、意見表明等支援員(「アドボケイト」児童の声を聴き、代弁する者)派遣による支援を実施しました。

 児童養護施設等の入所者及び退所者が円滑に自立できるよう、資格の取得費用や生活費等の貸付による支援を実施しました。

⓹ 若者の自立支援

 県内3か所に設置している「若者サポートステーション With You(ウィズ・ユー)」において、働くことに不安のある若者の職業的自立支援を行うとともに、併設の若者総合相談窓口において若者のあらゆる相談に対応するなど、総合的な若者支援に取り組みました。

 就労意欲や社会と接する意思も極めて乏しい若者には、公認心理師等によるカウンセリングや若者の交流機会創出を実施し、社会参加に必要なスキルや学びの支援を実施しました。


6 高齢者の人権

① 高齢者の権利擁護

 全国に先行する形で高齢化が進行する中、「高齢者が安心して、いきいきと暮らすことができる和歌山」の実現をめざして、「わかやま長寿プラン2024」に基づき、高齢者の人権を尊重した介護サービスの推進や高齢者虐待防止をはじめとする高齢者の人権に関する啓発活動、地域社会活動への参画や就労機会の確保支援等の生きがい対策を推進しました。

 警察においては、高齢者虐待の通報や相談があった際には、被害者の確実な安全確保と被害防止措置を行うとともに、市町村に対し速やかに虐待通報を行うように取り組みました。

② 地域の支え合い

 認知症に対する正しい知識の普及・啓発活動や認知症サポーターの養成等を推進しました。

 若年性認知症の人やその家族の負担を軽減するため、若年性認知症コーディネーターを配置し、本人や家族への寄り添いや福祉サービス等への同行支援等を実施しました。

 高齢者が安心して住み慣れた地域で暮らすことができるよう、住民や関係機関が相互に連携協力し、地域における見守りや支え合いの取組を推進しました。

③ 自立支援・生きがいづくり

 運動機能が低下し支援が必要となった高齢者が再び自立した生活を送れるよう、市町村への人的支援や人材育成等、自立支援型ケアを推進しました。

 ボランティアやNPO活動など、高齢者の方が社会参加活動を通して生きがいと健康づくりを促進するため、「わかやま元気シニア生きがいバンク」など地域社会活動への参画や就労機会の確保支援等の生きがい対策を推進しました。

 高齢者をはじめとする全ての人の移動及び施設の利用の利便性と安全性の向上を図るため、公共交通機関、公共的施設等のバリアフリー化を促進しました。


7 障害のある人の人権

① 啓発活動

 障害のある人もない人も社会の一員として互いに人権を尊重し合い、支え合って共に生きる「共生社会」を実現するため、「紀の国障害者プラン2024」に基づき、障害や障害のある人に対する県民の理解を深めるための啓発活動を行うとともに、特別支援教育の充実、地域生活を支えるための相談支援体制及び生活の場となるグループホーム等の整備充実を図りました。

 令和7年11月に改定した「障害を理由とする差別の解消を推進するための和歌山県職員対応要領」や「障害を理由とする差別の解消を推進するための和歌山県教育庁及び学校以外の教育機関の職員対応要領」「障害を理由とする差別の解消を推進するための和歌山県立学校職員対応要領」「和歌山県警察における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領」に基づき、職員一人一人が障害の特性や障害のある人に対する理解を深め、必要な配慮を適切に提供できるよう取り組みました。

 障害者虐待の未然防止と早期対応を図るため、虐待防止に関する普及啓発や研修等に取り組みました。

② 就労・社会参加

 県内7か所の障害者就業・生活支援センターにおいて生活面、就労面の一体的な支援を行うとともに、職業訓練やジョブサポーター派遣等による総合的な就労支援策を推進しました。

 企業における障害者雇用並びに障害者就労施設等からの物品や役務の調達の促進に取り組みました。

 また、県においても、障害のある人の雇用促進に取り組むとともに、職員本人や職場の支援担当者等の相談窓口として「障害者職業生活相談支援員」の設置や、職員の障害に関する理解促進を図るための研修など、働きやすい職場環境整備に取り組みました。

 障害のある人の社会参加を促進するため、県有施設をはじめ多数の人が利用する施設や公共交通機関等生活空間のバリアフリー化に取り組むとともに、「和歌山県障害者等用駐車区画利用証制度」を実施するなど、障害のある人などのための駐車区画の適正利用を推進しました。

 IT等を活用した情報のバリアフリー化の推進等コミュニケーション支援体制の充実を図りました。

③ 支援活動

 障害者虐待の未然防止と早期対応を図るため、虐待防止に関する普及啓発や研修等に取り組みました。

 また、通報や相談があった際には、被害者の確実な安全確保と被害防止措置に取り組みました。

 障害の特性や、障害のある人が必要としている配慮について理解し、困っている場面で積極的にサポートする「あいサポート運動」を推進するとともに、外見から障害等のあることのわからない人が周囲に援助や配慮を必要としていることを知らせる「ヘルプマーク」を交付するなど、誰もが暮らしやすい社会づくりに取り組みました。

 身近な地域で発達障害についての相談・支援を受けられるよう、和歌山県発達障害者支援センター(ポラリス)に発達障害者地域支援マネージャーを配置するとともに、市町村職員等に対して専門的知識・技術を習得できる研修を実施し、相談・支援体制の強化を図りました。

 手話言語条例に基づき、手話の普及や習得の機会の確保など手話を使いやすい環境づくりを進めました。

 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」に基づき設置している和歌山県障害者差別解消支援地域協議会において、障害者差別に関する相談対応等の情報共有を図るとともに、障害に対する理解や障害のある人の社会参加のために必要な支援等を広げるための取組を推進しました。

 さらに、全ての県民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に寄与することを目的に、令和5年12月に制定した「和歌山県障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例」に基づき、不当な差別的取扱いの禁止と合理的配慮の提供について、事業者向けに啓発を行いました。


8 同和問題(部落差別)

① 啓発活動

 平成28年に施行された「部落差別の解消の推進に関する法律」において、地方公共団体は、部落差別の解消を推進し、部落差別のない社会の実現をめざすことが求められていることや、本県において、今もなお部落差別が発生していることなどから、令和2年3月に「和歌山県部落差別の解消の推進に関する条例」を施行(令和2年12月、令和6年4月、令和7年4月一部改正)し、行政、県民、事業者等が一体となって、部落差別の解消に取り組んでいます。

 条例の趣旨などについては、リーフレットやポスターをはじめ、広報紙やテレビなどの県広報媒体等を活用して、県民や事業者等に対して周知するとともに、隣保館をはじめとする市町村の職員や企業の研修責任者、また、県内の相談・支援機関等で構成する和歌山県人権相談ネットワーク協議会会員等を対象とした研修会において説明するなど、あらゆる機会を通じて周知を行いました。

 同和問題に対する正しい理解と認識を深めるため、啓発資料等を作成するとともに、「同和運動推進月間(11月1日~11月30日)」において特別講演会を開催するなど集中的な啓発活動に取り組みました。

 教職員、保護者、社会教育関係者等を対象に、部落差別の学習手引書である、人権学習パンフレット「部落差別の解消に向けて~差別のない社会をめざして~」を活用し、様々な機会をとおして研修しました。また、学校教育においては、同和問題(部落差別)ワークシートを作成するとともに、ワークシート及び活用方法等に関する説明動画も併せてホームページに掲載しました。各種研修会や学校訪問等を通じて、同和問題(部落差別)ワークシートの活用を促進し、人権教育の充実に努めました。

② 相談・支援・救済活動

 (公財)和歌山県人権啓発センターや人権局、各振興局において、同和問題(部落差別)に関する相談に対応するとともに、同和問題(部落差別)に悩んでいる人からの相談に、相談担当者が適切に対応することができるよう、和歌山県人権相談ネットワーク協議会や人権局・各振興局等人権担当職員研修を開催し、相談担当者の資質向上を図りました。

 人権侵害事件に対しては、市町村等と連携を図りながら、「和歌山県部落差別の解消の推進に関する条例」に基づき取り組みました。

 また、学術研究機関と連携を図りながら、インターネット上での同和問題に係る差別書き込みに関するモニタリングを実施し、他人を誹謗中傷する書き込みや差別を助長する書き込みの特定を行いました。特定した差別書き込みについては、プラットフォーム事業者に対して削除要請を行うとともに、地方法務局からもプラットフォーム事業者に対して削除要請するよう依頼し、被害の拡大防止を図りました。併せて、市町村職員等に対しては、インターネット上における人権侵害の現状や県のモニタリングの取組内容に関する研修会を開催するとともに、県と市町村のモニタリングに関する連携を図るための情報交換会を行い、県民に対しては、インターネットの利用に際しての留意点について考える研修会や参加体験型の講座を実施しました。

 さらに、産業・就労や教育等において残されている課題の解決に向けて取り組みました。


9 外国人の人権

 外国人が安心して暮らせる環境づくりに向けて、外国人に対する理解と認識を深めるための講座や県内学校と連携した国際理解学習を実施した他、外国人生活相談員による多言語での相談支援を実施するとともに、外国人向け防災ガイドやDVDの配布をはじめとする外国人等への災害予防対策に取り組みました。また、外国語による対応が可能な医療機関の情報提供を実施しました。さらに、日本語教育については、日本語指導が必要な児童生徒の実態に即した教育環境の整備や、県内在住の18歳以上の外国人に対して無償の日本語教室を行うなどの支援を行いました。

 ヘイトスピーチ解消法については、県及び県内市町村の人権担当者向け研修において説明を実施し、理解促進に努めました。


10 感染症・難病患者等の人権

 ハンセン病やHIV等の感染症、難病に対する差別や偏見を払拭するため、正しい知識の普及啓発に取り組みました。

 障害者総合支援法に基づき、難病等の方々を対象に関係機関の連携による障害福祉サービス等の支援を行いました。

 指定難病及び小児慢性特定疾病等に対する医療費助成等により良質かつ適切な医療の提供を図るとともに、県立保健所や難病・こども保健相談支援センターを中心に、難病患者や長期の療養を要するこどもとその家族への相談支援を実施しました。

 在宅で療養する難病患者の家族の体力的・心理的負担を軽減するため、在宅難病患者の家族への支援を実施しました。

 新型コロナウイルス感染症が発生し、未知のウイルスである新型コロナウイルスに対する不安やおそれから、感染者やその家族、医療従事者等への誹謗中傷等が発生していることなどを受け、令和2年12月に「和歌山県新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等対策に関する条例」を施行し、誹謗中傷等が行われない社会を実現するための施策に取り組んできました。


11 犯罪被害者等の人権

 犯罪被害者等の現状や支援の必要性について県民の認識を深めるため、民間団体と連携した広報啓発活動や犯罪被害者等からの相談に対し、必要な情報提供や助言を行いました。

 平成31年4月に、「和歌山県犯罪被害者等支援条例」を施行し、犯罪被害者等を対象とした、無料弁護士相談制度と、被害後の経済的支援を目的とした生活資金貸付制度を運用しています。

 令和2年4月には、犯罪被害者等の支援のための施策を総合的かつ計画的に推進するため、「和歌山県犯罪被害者等支援基本計画」を策定しました。また、条例・計画に基づき、警察・紀の国被害者支援センターと合同での大型商業施設におけるパネル展示や啓発活動等を実施しました。

 令和4年11月には、事件・事故直後から相互に連携を図り、効果的かつ円滑な支援を行うため、警察、弁護士会、公益社団法人紀の国被害者支援センターで三者協定を締結しました。

 令和7年4月には、犯罪被害者等が損害賠償請求訴訟を提起し、加害者に対し損害賠償を命じる確定判決を有しているにもかかわらず、加害者から損害賠償金の支払いを受けることなく消滅時効が迫っている場合において、消滅時効完成前の再提訴費用を助成する「和歌山県犯罪被害者等再提訴費用助成金交付要綱」を制定しました。

 また、犯罪被害者等の再被害防止及び重大な犯罪の未然防止を図るために、警察等関係機関と連携を強化するとともに、定期的に県内の自主防犯組織に対して効果的な防犯の取組や犯罪の手口等について情報を提供しました。


12 自殺

 令和5年4月に策定された「第2期和歌山県自殺対策計画」をもとに、地域で自殺対策活動(ゲートキーパー等の人材育成、電話等による相談支援、自死遺族へのケア、自殺ハイリスク地における自殺防止のパトロール強化、自殺ハイリスク地の自殺企図者の一時保護等)を行っている民間団体を支援し、市町村や自殺対策に関係する機関の相互連携を強化するなど、「生きる支援」に関する活動を行う体制の強化を行いました。

 また、こころの健康推進課と和歌山県精神保健福祉センターで設置する和歌山県自殺対策推進センターにおいて、24時間365日の電話相談、LINEによるSNS相談、自死遺族等への相談支援、自殺に関する正しい知識の啓発、自殺の再企図防止を目的とした自殺未遂者支援事業等の自殺対策を進めました。


13 ひきこもり

 和歌山県精神保健福祉センターに設置している和歌山県ひきこもり地域支援センターにおいて、当事者や家族等に対して電話相談や嘱託医による専門相談を行いました。

 また、県内のひきこもり支援関係機関等の従事者を対象にした人材養成研修会を実施し、支援に必要な知識や技術等の理解を深めました。


14 犯罪をした者等の人権

 刑を終えて出所した人に対する偏見や差別意識をなくすため、啓発活動を進めました。

 和歌山県地域生活定着支援センターを拠点に、刑務所等の矯正施設から出所する人のうち、福祉的な支援を必要とする高齢者や障害のある人の社会復帰を支援しました。

 令和6年4月には、犯罪をした者等を社会復帰へとつなぐための支援を推進し、安全で安心して暮らせる社会を実現するため、「第二次和歌山県再犯防止推進計画」を策定しました。同計画に基づき、「再犯防止推進月間」には集中的な啓発活動を実施し、犯罪をした者等に対する県民の理解促進を図りました。

 また、令和7年11月には、市町村をはじめとした関係機関の職員を対象に、情報共有や理解促進を目的とした研修会(地域連携セミナー)を実施しました。


15 生活困窮にある人の人権

 ホームレスに対しては、生活保護を適用し自立を支援するとともに、「ホームレスの実態に関する全国調査」を実施し、状況を把握しました。

 ホームレスやホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある生活困窮者が困窮状態から早期脱却できるよう自立相談や就労支援に取り組みました。


16 性的少数者の人権

 性の多様性に対する正しい理解と認識を深めるため、教職員を対象に人権学習パンフレット「性の多様性と人権」を基に研修を実施しました。

 行政職員、県内事業者を対象としたLGBTQ研修会や、県内高校生を対象としたLGBTQ出前講座を実施するとともに、パートナーシップ宣誓制度の周知・広報を実施しました。

 和歌山県ジェンダー平等推進センター“りぃぶる” のLGBTQ専門相談窓口、県立保健所及び和歌山県精神保健福祉センター、(公財)和歌山県人権啓発センターなどにおいて、性の多様性に関する相談を受けて支援を実施しました。


17 働く人の人権

 企業等に対して、ハラスメント防止等をはじめとする人権が尊重される職場づくりに向け、計画的・継続的な研修実施を働きかけるとともに、企業等の自主的・主体的な人権尊重の活動を支援しました。

 また、本人の資質等に関係のない不当な扱いの防止や相談窓口の設置、育児・介護等をしながら就業を継続できる職場環境の整備に向けた働きかけや長時間労働防止のための啓発、支援を行うことにより、働く人一人一人がそれぞれの個性や能力を発揮できる社会の実現に向けて関係機関と連携し取り組みました。

 さらに、本人の資質・能力に関係のない理由で不利益をこうむることがない公正な採用選考の確立を図り、就職の機会均等が図られるよう啓発に取り組むとともに、高齢者や障害のある人等に対する就労支援を行いました。

 企業や団体において、仕事と家庭を両立しやすい環境づくりを進めるため、「和歌山こどもまんなか応援団」において、参加企業の取組を周知するなど、仕事と子育てが両立しやすい職場環境づくりを促進しました。

 企業や団体におけるジェンダー平等推進に係る取組の充実・拡大を図るため、「わかやまジェンダー平等プロジェクト」において、優れた取組を行う企業や団体の顕彰や、各種セミナーの開催など女性の能力が発揮できる環境づくりの取組を促進しました。


18 その他の人権課題

(北朝鮮当局による拉致被害者等の人権、被疑者等の人権、患者の人権、アイヌの人々の人権等)

 北朝鮮当局による拉致問題についての関心と認識を深めるため、「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」に合わせ、各種広報媒体を活用するなどして、広く県民に啓発を行いました。

 被疑者等の人権について、法令で定められている被疑者の権利や国選弁護人選任制度等に関する教養を行いました。

第3 人権行政の推進体制等の整備

1 人権行政の推進体制等の整備

(1) 県の推進体制

 人権施策の全庁的な推進組織である和歌山県人権施策推進協議会を中心に、関係部局の密接な連携を図ることにより、「和歌山県人権施策基本方針」に基づく施策の効果的な推進に努めました。

(2) (公財)和歌山県人権啓発センターの充実

 人権に関する情報収集・発信、人材育成、並びに効果的な啓発活動の実施や人権に関する様々な相談への対応を通して、人権教育・啓発活動を総合的に推進する拠点である(公財)和歌山県人権啓発センターの充実を図りました。

(3) 国、市町村、関係団体等との連携

 和歌山地方法務局、県人権擁護委員連合会、県、市町村、(公財)和歌山県人権啓発センターで構成する県人権啓発ネットワーク協議会により、「人権週間」における集中的な啓発等に取り組みました。

 市町村が取り組む人権施策に対する助成を行いました。

(4) 県民、企業、NPO等との連携・協働

 企業、NPO等の団体と「和歌山県人権尊重の社会づくり協定」を締結し、締結団体に対して研修講師の派遣、人権に関する情報提供等の支援を行うとともに、県内企業等を対象とした講演会を開催しました。


2 人権施策等の公表と基本方針の見直し

 県が実施した人権施策について公表をしました。

参考

県人権施策推進課、各振興局総務県民課に閲覧用冊子を配置しています。

各課室における事業実施状況はこちら

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