「和歌山県新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等対策に関する条例」について
和歌山県新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等対策に関する条例
(目的)
第1条 この条例は、新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等が行われていることを踏まえ、全ての国民に基本的人権の享有を保障する日本国憲法及び全ての県民の人権が尊重される豊かな社会の実現を図ることを目的とする和歌山県人権尊重の社会づくり条例(平成14年和歌山県条例第16号)の理念にのっとり、新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等をなくすために必要な事項を定めることにより、新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等が行われない社会を実現することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「新型コロナウイルス感染症」とは、病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和2年1月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)である感染症をいう。
2 この条例において「新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等」とは、新型コロナウイルス感染症に感染したこと若しくは感染したおそれがあること又は新型コロナウイルス感染症の感染を防止するための対策を適切に講じていないことについて、これらの事実があることを理由として、その事実の有無にかかわらず誹謗中傷し、若しくはその事実を殊更に摘示することにより不当に名誉を毀損し、又は本人(当該本人が未成年者又は成年後見人の場合にあっては、その法定代理人)の同意を得ることなく公表されていない情報を不当に公表する行為をいう。
3 この条例において「特定電気通信役務提供者」とは、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成13年法律第137号。以下「法」という。)第2条第3号に規定する特定電気通信役務提供者をいう。
(新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等の禁止)
第3条 何人も、次に掲げる方法のいずれかにより、新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等を行ってはならない。
(1) インターネットを通じて情報を提供することにより行う方法
(2) 発言、落書き、張り紙その他前号に掲げる方法以外の方法
(県の責務)
第4条 県は、第1条の目的を達成するため、新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等の実態を把握するとともに、新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等をなくすために必要な施策を講ずるものとする。
2 県は、前項に定める施策の推進に当たっては、国、市町村、県民、事業者、関係機関等との連携を図るものとする。
3 県は、新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等をなくすために市町村が実施する施策、並びに県民、事業者、関係機関等の取組に必要な情報の提供及び助言、その他の支援を行うものとする。
(県民の責務)
第5条 県民は、新型コロナウイルス感染症に関する正しい知識を持つことにより、新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等をなくすために必要な役割を果たすよう努めるものとする。
2 県民は、県及び市町村が実施する新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等をなくすための施策に協力するものとする。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、従業員に対し、新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等をなくすための正しい知識の普及、その他必要な取組を行うよう努めるものとする。
2 事業者は、県及び市町村が実施する新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等をなくすための施策に協力するものとする。
(特定電気通信役務提供者の責務)
第7条 特定電気通信役務提供者は、新型コロナウイルス感染症に関する正しい知識を持つことにより、新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等をなくすために必要な役割を果たすよう努めるものとする。
2 特定電気通信役務提供者は、県及び市町村が実施する新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等をなくすための施策に協力するものとする。
3 特定電気通信役務提供者は、前2項に定めるもののほか、インターネット上において、その用いる法第2条第2号に規定する特定電気通信設備の記録媒体(当該記録媒体に記録された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を記録し、又は当該電気通信設備の送信装置(当該送信装置に入力された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報が入力されることによって新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等が行われていることを確認したときは、当該提供されている情報(次条において「提供情報」という。)の送信を防止する措置を行うものとする。
(新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等への取組)
第8条 県は、市町村との適切な役割分担を踏まえて、その地域の実情に応じ、第3条の規定に違反して同条第1号に掲げる方法により新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等を行った者に対して必要な説示をするとともに、新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等を行わないこと及び提供情報を削除することを促すものとする。
2 県は、市町村との適切な役割分担を踏まえて、その地域の実情に応じ、第3条の規定に違反して同条第2号に掲げる方法により新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等を行った者に対して必要な説示をするとともに、新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等を行わないよう促すものとする。
3 県は、第1項の規定により必要な説示を行い、新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等を行わないこと及び当該新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等の情報を削除することを促しても、これに従わない場合には、同項に規定する者に対し、新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等を行わないこと及び提供情報を削除することを、勧告するものとする。
4 県は、第2項の規定により必要な説示を行い、促しても、これに従わない場合には、同項に規定する者に対し、新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等を行わないよう、勧告するものとする。
5 県は、第1項の規定に関わらず、市町村に対し、第3条の規定に違反して同条第1号に掲げる方法により新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等を行った者に対して必要な説示をし、新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等を行わないこと及び提供情報を削除することを促すよう、要請することができるものとする。
6 県は、第2項の規定に関わらず、市町村に対し、第3条の規定に違反して同条第2号に掲げる方法により新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等を行った者に対して必要な説示をし、及び新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等を行わないよう促すことを、要請することができるものとする。
(教育及び啓発)
第9条 県は、国及び市町村との適切な役割分担を踏まえて、新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等が行われないようにするため、必要な教育及び啓発を行うものとする。
(相談体制の充実)
第10条 県は、国及び市町村との適切な役割分担を踏まえて、新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等に関する相談に応ずるものとする。
2 県は、新型コロナウイルス感染症に係る誹謗中傷等に関する相談に的確に応ずるため、相談に応ずる者の資質の向上を図る等必要な施策を講ずるよう努め、相談体制の充実を図るものとする。
附 則(令和2年12月24日条例第64号)
この条例は、公布の日から施行する。