和歌山県の林業

和歌山県の林業について見てみよう。森林の面積や林業を仕事にしている人の数などがわかるよ。

和歌山県は、森林が多い県なの?

和歌山県の古い国名である「紀(き)の国」は「木の国」が転じたものとも言われているくらいで、森林面積の割合(わりあい)は高い方です。県の面積の4分の3以上を占(し)めており、全国ランキング第6位です。同じ紀伊(きい)半島のお隣(となり)である奈良県もほとんど同じような割合になっていますね。

森林の占める割合が多い県一覧
      順位          都道府県       総(そう)土地面積    
 (ヘクタール)  
 森林面積      
 (ヘクタール)      
       森林の割合    
全国      37,797,524ヘクタール       24,436,267ヘクタール   64.7パーセント     
第1位   高知 710,364ヘクタール   591,873ヘクタール   83.3パーセント     
第2位   岐阜 1,062,129ヘクタール   838,589ヘクタール   79.0パーセント     
第3位   島根 670,827ヘクタール   523,260ヘクタール   78.0パーセント     
第4位   山梨 446,527ヘクタール   347,359ヘクタール   77.8パーセント     
第5位   奈良 369,094ヘクタール   283,671ヘクタール   76.9パーセント     
第6位   和歌山 472,465ヘクタール   360,113ヘクタール   76.2パーセント     
第7位   宮崎 773,533ヘクタール   584,379ヘクタール   75.5パーセント     
第8位   徳島 414,675ヘクタール   312,858ヘクタール   75.4パーセント     
第9位   長野 1,356,156ヘクタール   1,021,559ヘクタール   75.3パーセント     
第10位  岩手 1,527,501ヘクタール   1,144,190ヘクタール   74.6パーセント     

出典 2020年農林業センサス(外部リンク)

和歌山県の4分の3は森林なんだよ

和歌山県の森林面積は、どれくらい

和歌山県の森林面積のグラフ

和歌山県の森林面積は、約36万1千ヘクタール。これは、県の面積の4分の3以上に当たります。

国有林は4.9パーセントで、大部分が民有林です。民有林の中には公有林(県や市町村などが所有している森林)もありますが、ほとんどは私有林です。

民有林の約6割は、木材の生産目的のために植えられた人工林です。人工林には、成長が早く建築(けんちく)に適(てき)した針葉樹(しんようじゅ)であるスギとヒノキが多く植えられています。

自然の力で生まれ育った天然林は4割弱で、そのほとんどが広葉樹林(じゅりん)です。

木材の価格を調べてみよう

林業でお金を稼(かせ)ぐために、木材の価格(かかく)はとても大切なことです。

まず、木材の価格(かかく)を調べてみましょう。
次の表とグラフは、国産のスギ、ヒノキと外国からの輸入(ゆにゅう)材であるベイツガの価格の推移(すいい)を表したものです。昔は国産材の価格がずいぶん高くなった時代もあったけれど、今は外国から輸入している木材よりも安くなっていることが分かります。

木材価格の推移(全国・1立方メートル当たり)

木材価格の推移一覧表(全国・1立方メートル当たり)
    年   

           スギ(国産材)           

中丸太

径14から22センチメートル  
長さ3.65から4.0メートル      

     ヒノキ(国産材)    

中丸太

径14から22センチメートル  
長3.65から4.0メートル         

ベイツガ(輸入材)  

丸太

径30センチメートル以上   
長さ6.0メートル以上          

昭和35年 11,300円 12,000円
昭和40年 14,300円 18,000円 12,900円
昭和45年  18,800円 37,600円 14,800円
昭和50年  31,700円 66,200円 24,800円
昭和55年  39,600円 76,400円 35,100円
昭和60年  25,500円 54,000円 25,500円
平成2年  26,600円 67,800円 26,500円
平成7年  21,700円 53,500円 25,800円
平成12年  17,200円 40,300円 22,200円
平成17年  12,400円 25,500円 23,000円
平成22年  11,800円 21,600円 24,200円
平成27年  12,700円 17,600円 24,800円
平成28年  12,300円 17,600円 25,000円
平成29年  13,100円 18,100円 23,000円
平成30年  13,600円 18,400円 26,800円

令和元年 

13,500円 18,100円 26,900円
令和2年  12,700円 17,200円
令和3年  16,100円 25,900円
令和4年 17,600円 25,100円
令和5年 15,800円 22,000円

木材価格の推移グラフ

出典 農林水産省「木材需要報告書」(外部リンク)

国産材がどれくらい使われているのか調べてみよう

 次に、和歌山県でスギやヒノキなど国産材がどのくらい利用されているのか調べてみましょう。そのために、「製材(せいざい)用素材(そざい)入荷量」という統計(とうけい)を使います。次の表とグラフは、製材にするために工場などに入荷した素材の量を示したもので、このデータから国産材と輸入材がどのくらい使われたのかが分かるのです。下のグラフをみると、昭和30年代は和歌山県産を主とする国産材が多く使われていたけれど、昭和40年代に入ると主役の座(ざ)が輸入材にとって変わられ国産材はあまり使われなくなったこと、輸入材も平成の時代に入った頃(ころ)からどんどん使われることが少なくなって、全体の量が大きく減(へ)ってきていることがよく分かります。

 我(わ)が国では、戦後の復興(ふっこう)期(昭和20年代)から高度経済(けいざい)成長期(昭和30~40年代)にかけて多くの木材が必要とされ、国産材が大いに利用されたため、林業はとても盛(さか)んな産業のひとつでした。その後は国産材の不足を補(おぎな)うために安価(あんか)な輸入材を利用することが多くなりましたが、平成の時代に入って景気が低迷(ていめい)すると、住宅(じゅうたく)を建てる人が減(へ)り、また、木造(もくぞう)でない建物が増(ふ)えたことなどから木材の需要(じゅよう)はずいぶん減少(げんしょう)したのです。林業を仕事とする人の数が大きく減(へ)ったのは、こうしたことが背景(はいけい)にあるのです。

和歌山県の素材入荷量の推移
 国産材(和歌山県産)     国産材(他県産)     輸入材         
昭和35年    866千立方メートル 651千立方メートル 158千立方メートル
昭和40年  573千立方メートル 316千立方メートル 829千立方メートル
昭和45年 512千立方メートル 205千立方メートル 1,683千立方メートル
昭和50年 318千立方メートル 112千立方メートル 1,342千立方メートル
昭和55年 344千立方メートル 72千立方メートル 1,381千立方メートル
昭和60年 242千立方メートル 81千立方メートル 1,263千立方メートル
平成2年 257千立方メートル 48千立方メートル 1,445千立方メートル
平成7年 197千立方メートル 48千立方メートル 977千立方メートル
平成12年 172千立方メートル 41千立方メートル 547千立方メートル
平成17年 151千立方メートル 52千立方メートル 302千立方メートル
平成22年 128千立方メートル 35千立方メートル 136千立方メートル
平成27年 143千立方メートル 45千立方メートル  43千立方メートル
平成28年 125千立方メートル 43千立方メートル   55千立方メートル
平成29年 165千立方メートル 52千立方メートル   60千立方メートル
平成30年 171千立方メートル 51千立方メートル 36千立方メートル
令和元年 125千立方メートル 43千立方メートル 30千立方メートル
令和2年 90千立方メートル 41千立方メートル 27千立方メートル
 令和3年 127千立方メートル 17千立方メートル 24千立方メートル
 令和4年 146千立方メートル 24千立方メートル  30千立方メートル

出典 農林水産省「木材需要報告書」(外部リンク)

素材入荷量の推移グラフきいちゃんのイラスト

「木の国」和歌山県の林業のこれから

紀州材で建てた木造住宅 和歌山県の森林の多くで、昔に植えたスギやヒノキが大きく育ち、利用できる面積がこれからどんどん増(ふ)えていきます。和歌山県の森林で育った「紀州(きしゅう)材」は、色合いが美しく、粘(ねば)り強くて長持ちするという特徴(とくちょう)があります。その良さが見直され、素材(そざい)入荷量も少し回復(かいふく)しつつあって、チャンスを迎えているのです。
ただし、国産材の価格は昔のように高くはないので、優(すぐ)れた紀州材の良さを広くPRしたり、低コスト化をすすめるなどの工夫をして和歌山県の林業を再(ふたた)び盛(さか)んにしていこうとがんばっています。

北山村が「飛び地」になったわけ

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