平成29年度地域づくりネットワーク和歌山県協議会研修交流会 開催レポート
研修交流会開催レポート
本年度も自主的・主体的な地域づくりの推進を図るため、下記のとおり研修交流会を開催しました。
日時 平成30年1月31日(水)13:30~17:30
場所 田辺スポーツパーク 多目的ホール1・2
13:30 開会
挨拶 和歌山県企画部地域振興局長 原田 武男
13:40~13:50 協議会事務局による助成制度等の説明
13:50~14:50 講演「地域づくりと資金調達-地域活性化×クラウドファンディング-」 講師 齋藤 隆太(FAAVO 運営責任者)
15:10~17:10 グループワーク
17:10~17:20 質疑応答
17:20~17:30 講評・閉会
講演「地域づくりと資金調達-地域活性化×クラウドファンディング-」 講師FAAVO事業部責任者 齋藤隆太氏
クラウドファンディングとは
不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指す群衆と資金調達を組み合わせた造語です。クラウドファンディングのクラウドが指すのは群衆という意味です。インターネット上の顔の見えない大多数のユーザーのことを指しているんですね。顔の見える近所の人々だけではなく、そういう方々に資金調達を依頼してみようという趣旨で名前がついているんです。クラウドファンディングは寄付を募るのとは似ているけど異なるということを頭の中で整理をしておいていただきたい。
クラウドファンディングの歴史というものを話しておきます。実は元々あったようなものごとがインターネット化されたただけなんです。たとえば、お祭りのときに神社に近くのお店さんが提灯を出しているとか。
時代によって周りからお金を集める手法っていうのが技術の変化によってだんだん進化してきた。クラウドファンディングがなぜこれだけ爆発的に増えているかというと、スマホとSNSの普及です。これで、どんどん小さな個人の声が大拡散できるようになってきてインターネット上でお金を集めることができるクラウドファンディングという手法が一般的になってきているというような整理になるのかなと思っています。
市場規模を簡単に話しておきますと、すごくのび盛りの市場で2017年度で1000億円ぐらいの市場規模になりそうです。一方で、我々が属している購入型といわれるクラウドファンディングに関してはおよそ80億円ぐらいで、小さい市場です。ただ、右肩上がりでこれから伸びていくと思います。これはこのまま続いていくと思うんですね。皆で市場を成長させていこうという意思でやられているのかなと思います。FAAVOのリリースが2013年度で9億円ほどの市場でした。それが伸びていって前年度から今年度にかけても127%の伸びを見せています。クラウドファンディングの市場規模のうち、購入型は1000億円のうち80億円しかない市場なんですけれども、実際の支援した人の数が一番多いというデータがあります。およそ2016年度の支援者数が68万人いたらしいんですね。68万人のうち、73%の50万人は購入型といわれるクラウドファンディングで支援したという実績も出ております。皆さんのような地域のプレイヤーさんがつかうことによって、もっともっと発展するような市場でありますよというようないうふうなことをお伝えしておきます。
FAAVOについて
31歳で多くの人が人生の転換期を迎えるのではないかと思うんですね。結論からいうと帰属コミュニティが変化してしまうのではないかなあと危惧しています。私は32歳で宮崎に帰ったんですけれども、高校の友達中学の友達、家族としか会わないんですね。そうするとコミュニティの逆転がおこっている。そこでそれを解決するサービスを作りたいと思ったんですね。コミュニティを選択できるような、そういう人が増えるべき。地元を離れた人が、何らかの形で地元に貢献することができるためにFAAVOがある。都市部にいながら地元のためにお金を払って貢献できるんです。
理想的には、和歌山にいる方々がFAAVOに掲載すると、その案件には和歌山の方々、特に都市部にいる和歌山の方々が出資してくれて、新しい同郷同志の関係ができるといいなと考えています。なので、FAAVOの意味というか、ネーミングの由来はfavorit(好きな気持ちとか)acttion(起こそう、行動しよう)というところからきています。地方に限定しているクラウドファンディングがあまりなかったので注目されて、自分の地域でもしたいという方々が増えたんですね。
エリアオーナーという制度をとっていて、ニーズとしては地方と何かしらかかわりを持っていたい。2017年の1月に若草通に若草オフィスを設立しました。現場の大切さがわかったし、この1年で見方をかえてくれた人が結構いると思います。気持ちだけが大事じゃだめで、成果を出さないとだめだと思ったんで、かなりがっつりと成果を出したいと思いました。とりあえず、成果を発表します。まずプロジェクトが3倍になった。支援金額が4.5倍になりました。ページビューは3倍になった。成長でいうと、13プロジェクトあったのが42プロジェクト。一か月に3.5件ぐらいやっています。支援金額が672.2万円から3114万円になった。つまり1年間でだいぶ成長させることができたんですね。まだまだクラウドファンディングは地方で伸びる。つまり、やってない方が多すぎるんだなあ思っていました。宮崎で1年間やってこれだけの結果が出たんで、もっともっと地方でクラウドファンディングを使ってもらえる方を増やしていきたいなと考えています。
とあるきっかけがあったんで、ふるさと納税事業にも参入することになりました。2018年4月からはクラウドファンディングを使う自治体が急増するといわれています。F×Gという名前でやらせてもらっています。1700自治体に展開していければいいなあと思っています。
手段を目的化しない。クラウドファンディングは手段
クラウドファンディングをしたい「それ本気ですか?」クラウドファンディングをする方々が必ず陥る状況があって、お金を集めるのが嫌になります。いつの間にか、クラウドファンディングを成功させないといけないとか、クラウドファンディングを成功させることが目的になって、どうしても自分の中で資金調達部分にハードルをもってしまいます。なので、お金を集めることに二の足を踏まないでください。クラウドファンディングをやるということはあくまで手段であって、みなさんがやりたいことというのはその先にあるんですよね。クラウドファンディングはお金を集める手段であって、お金が集まる手段ではないので、ここだけはき違えないでいただきたい。あくまで手段です。
若草通カンバン消しプロジェクト
若草通り賑わい復活プロジェクト。最終的に63.2万円集まって達成率126%、99人の人が支援してくれました。募集期間は32日間です。約30日間のクラウドファンディングで、PV数8,342×1人あたり平均閲覧時間2分30秒=1,251,300秒。つまり、約348時間閲覧してもらえる。当然やらない手はないですよね。
本気の事前準備。事前準備が命
まず思いつきます。そしてキーマンに話します。プロジェクトを始める際にどんどん人に話し始めました。だいたいの人たちはわくわくするという反応をしてくれました。唯一、商店街の理事長にだけ怪しまれました。クラウドファンディングを知らないんですよね。なんか怪しいと言われました。本気だったんで、とあることを言いました。もし、クラウドファンディングが集まらなかったら自費でやりますと言ったらいいよと言ってくれました。全部任せてくれと言ったら、そこまで言うんだったらいいよと言ってくれました。当然ながらプロジェクトにはリターンがありますよね。リターンを制作する費用がかかります。リターンには制作費がかかって、郵送料がかかります。それをかんがみたうえで目標価格を設定しなければならないんですよね。事前準備が命で、事前準備を怠って早く出したいんだというふうに出したプロジェクトは結構な確率でこけます。
本気のアクションと効果
支援者を集めるアクションとしては、リターン品をちゃんと企画したんですよね。リターン品は手元にあるものから用意しないのが原則です。リターン品がなかったら「作る」が基本です。それぐらいの気持ちでやらないと人間正直なのでなけなしの1万円をあなたのためには支援してくれません。共感をする気持ち半分、リターン品がほしい気持ち半分がひとつの支援を生むわけなんですね。なので、リターン品の企画とか設計みたいなものに手を抜くとかなり痛い目をみます。
また、知名度をあげるのはすごく重要です。新聞とかテレビは支援にはあまり意味がないなあという感じですが、知名度をあげるためには有効です。あとは、地道に直接声をかけてください。直接声を届けると、支援者が本気になる。支援しようかなどうしようかなと迷っている方の最後の一押しになるんです。支援者を本気にさせることができたら勝ち。今まで言ってきたようなことができればきっと巻き込めるはずです。
成功のキモは本気!
あなたのアイディア>>>資金調達
明らかにあなたのアイディアは資金調達よりも大事。ただ、手段がなければ成功できない。
ここの関係を逆転させることがないように。
みやざきアートマーケット
2012年、FAAVOを立ち上げた時に出しまして、目標金額はたった5万円、そして6万円集まったという事例です。これが40回ぐらい続く町のイベントに成長してるんですよね。不定期ですけど、小さく長いこと続く息の長いイベントになったんですね。こういう小さい案件でもウェルカムで、どんどん出してほしいなと思っています。
最後に
クラウドファンディングの窓口がまちなかに当然あるような未来がすぐそこにあると思いますし、自治体もクラウドファンディングを当然つかう未来だと思います。そういう未来を作りたいと思っております。
グループワーク