調停に代わる決定

和歌山県土地開発公社にかかる「調停に代わる決定」について

和歌山県土地開発公社にかかる「調停に代わる決定」について

平成15年11月25日

  1. 特定調停申立てに至った経緯
    和歌山県土地開発公社の金融機関からの借入金(438億1530万円)の借換えについては、6月末の償還期限までに金融機関との間で合意に至らなかったため、和歌山県土地開発公社は、「特定調停」の方法により、債務額を確定の上、債務の支払方法の協定を求めるための申立てを和歌山地方裁判所に対して行ったもの。
  2. 関係者
    申立人 和歌山県土地開発公社
    相手方 紀陽銀行、和歌山県信用農業協同組合連合会、三井住友銀行、UFJ銀行、住友信託銀行の5金融機関
    利害関係人 和歌山県
  3. 経過
    平成15年 7月23日 和歌山県土地開発公社が特定調停申立て
    平成15年 8月 5日 第1回目調停から
    平成15年11月18日 第9回目調停
    平成15年11月25日 和歌山地方裁判所において調停に代わる決定
  4. 決定内容の要旨
    第1項 債務額の確認と弁済方法
    (1)公社債務として借入元金総額及び約定遅延損害金の確認
    (2)7月1日から12月25日までの約定遅延損害金の免除
    (3)新規借入金をもって(1)記載の借入元金総額を弁済
    第2項 新規借入金の貸付約旨
    (1)弁済期限 平成45年3月31日
    (2)支払期日 毎年9月末日及び3月末日に分割支払い
    (3)利率 平成15年12月24日から平成20年6月30日まで年0.6%
    平成20年7月1日以降の利率は、5年毎に上記利率の見直しについて協議し、決定する。
    (4)利率見直しにあたっての協議の基本
    1 上記利率については、その時点における直近発行の県債利率及び一般の経済、金融事情等を勘案して協議するものとする。
    2 利率見直しの協議にあたっては、本件調停成立に至る経緯及び公社の再建計画の進捗状況等を勘案し、金利の減免等を考慮するものとする。
    (5)利息の支払期限 毎年9月末日及び3月末日の半期分割後払いとする。
    第3項 平成19年6月30日までの間の金利は免除。
    第4項 金65億1530万円については、平成16年9月末日を初回とし、平成36年3月末日まで将来20年間で分割弁済する。
    第5項 県は、加太開発整備事業にかかる公社所有土地の一部を賃借し、構造改革特別区域計画などに基づき整備・推進する。
    第6項 公社は、金融機関に対し、毎年発生する賃料債権の上に質権を設定し、県はこれを異議なく承諾する。
    第7項 公社は賃料を県から受領し、元金の分割弁済及びこれに対する利息の支払いにあてる。
    第8項 金108億円を極度額とする根抵当権を公社所有土地に設定する。
    第9項 公社が利息の支払い、元金の分割弁済を怠り、金融機関の相当期間をおいた催告にもかかわらず、支払をしないときは、全債務につき期限の利益を失うものとし、金融機関に対し、残元利金を一時に支払う。
    第10項 県の債務保証
    (1)金265億円について、債務保証する。
    (2)平成45年3月31日、または本件土地売却完了時、あるいは期限の利益の喪失日のうち、いずれか早く到来した日において、保証義務を履行するとともに、これに対する既発生の未払利息及び利息相当の遅延損害金を支払うものとする。
    第11項 金108億円については、平成45年3月31日までに、本件土地を売却した都度弁済し、なお余剰がある場合には、金265億円の弁済に充当する。
    第12項 本調停条項の定めるところを基本として金銭消費貸借契約書、根抵当権設定契約書、質権設定契約書等を作成する。
    但し、上記各個別契約及び既存の基本契約の定めが、本調停条項の趣旨と齟齬する場合は、本調停条項の定めるところによるものとする。
    第13項 公社と金融機関は、加太開発整備事業にかかる借入金に関し、本調停条項に定めるほか、他に何らの債権債務のないことを相互に確認する。
    第14項 調停費用は、各自の負担とする。
  5. 公社借入金の「調停に代わる決定」でのイメージ(元金部分のみ)
  • 公社借入金 438億1530万円
    (内訳)
    108億円 公社と金融機関の間で、公社所有土地に根抵当権設定
    65億1530万円 公社が20年間の分割弁済、質権設定 平成16年9月末日を初回とし、平成36年3月末日まで分割弁済
    265億円 県の債務保証(平成45年3月31日まで)

参考:「調停に代わる決定」について法律条文

「特定調停について」
特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律(平成11年12月17日法律第158号)
(目的)
第1条 この法律は、支払不能に陥るおそれのある債務者等の経済的再生に資するため、民事調停法(昭和26年法律第222号)の特例として特定調停の手続を定めることにより、このような債務者が負っている金銭債務に係る利害関係の調整を促進することを目的とする。
(調停委員会が定める調停条項)
第17条 特定調停においては、調停委員会は、当事者の共同の申立てがあるときは、事件の解決のために適当な調停条項を定めることができる。
2 前項の調停条項は、特定債務者の経済的再生に資するとの観点から、公正かつ妥当で経済的合理性を有する内容のものでなければならない。
(特定調停に代わる決定への準用)
第20条 第17条第2項の規定は、特定調停に係る事件に関し裁判所がする民事調停法第17条の決定について準用する。
(民事調停法との関係)
第22条 特定調停については、この法律に定めるもののほか、民事調停法の定めるところによる。

「調停に代わる決定について」
民事調停法(昭和26年6月9日法律第222号)
(調停に代わる決定)
第16条 調停において当時者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、裁判上の和解と同一の効力を有する。
第17条 裁判所は、調停委員会の調停が成立する見込みがない場合において相当であると認めるときは、当該調停委員会を組織する民事調停委員の意見を聴き、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のために必要な決定をすることができる。この決定においては、金銭の支払、物の引渡しその他の財産上の給付を命ずることができる。
(異議の申立)
第18条 前条の決定に対しては、当事者又は利害関係人は、異議の申立をすることができる。その期間は、当事者が決定の告知を受けた日から2週間とする。
2 前項の期間内に異議の申立があつたときは、同項の決定は、その効力を失う。
3 第1項の期間内に異議の申立がないときは、同項の決定は、裁判上の和解と同一の効力を有する。

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