令和2年5月4日 新型コロナウイルス感染症対策本部 知事記者会見
知事記者会見(令和2年5月4日)
広報課長:それでは会見を始めます。
知事:国の感染症対策の本部会議が開かれて、先ほど、安倍総理が記者会見をされましたが、基本的には、5月31日まで緊急事態宣言を全都道府県を対象にして延長するということになりました。
それで、若干、中にミシン目があって、特定警戒都道府県は、これまでと同様の取り組みをせよということですが、それ以外のところは、それぞれ県民生活があんまり過大に制限されることがないように、それぞれ考えてやってくださいと、こういうことだったと思います。
ただその中に、適切に判断する材料として、隣県など社会経済的に繋がりのある地域の蔓延状況に留意せよということがあります。和歌山県は、京阪神に囲まれている地域ですから、そこから、例えば、警戒地域からうんと遠いところにある独立した県とはちょっと違います。ですから、京阪神、あるいは、ひょっとしたら、場合によっては、首都圏かもしれません。その辺との関係で我々がしなきゃいけないことも違ってくるというふうに思います。
従って、こういう考え方で、今日、本部で決定をいたしましたが、結論を言うと、緊急事態措置を継続します。一部、休業要請施設の見直しをしましょうということになりました。その前提として、特に近隣府県の感染拡大の状況を見て、彼らの休業要請が続いている限り、こちらも休業要請をさっと抜いてしまうわけにいかないという業種が多い。その二つを背景にして、一部だけは微修正をするけれども、基本的には緊急事態措置を継続するというふうにいたしました。
今後、特に感染症の疫学的コントロールと、それから新規感染者数の増減、これは和歌山県だけではなくて、むしろ和歌山県よりも大阪や兵庫や京都、あるいは東京の状況によって、我々の取る措置が違ってくるんじゃないか、そんなふうに思っております。
もうちょっと細かく申し上げますと、大阪が一昨日、大体の考え方を表明されて、5月15日に一応サーベイランス(監視)をして、ひょっとしたら、もうちょっと緩和出来るんじゃないかということを考えられてるので、それまでは、今の措置で行って、それで、大阪も一緒ですから、休業要請なんかは変わらないので、我々も変えない。そこで変わるようだったら、ひょっとしたら、和歌山県も少し何らかの形で変える可能性があるということです。
こっち側は、その中で業種構成で言うと、博物館等というグループがあります。具体的に言うと、博物館、美術館、貸し出し返却を除く図書館、科学館、記念館、水族館、動物園、植物園、もちろん1000平方メートル超の施設ということになります。その施設については、全面的休業要請、営業自体の自粛をお願いしますという協力要請ではなく、この表で言うと、最後のページにあった、営業自体は法律的な自粛要請はしませんが、特に強く県外からの受入自粛を依頼する施設の中に分類して入れようというふうに思ったわけです。この部分を除くと、残りは一緒ということでやっていきたいと思っています。
最後に、我々は、それぞれの県民、例えば、総理で言えば国民、私で言えば県民、それから、都知事で言えば都民、府知事で言えば府民、そういう方に対して責任を持ってます。今日は総理の記者会見を聞いておりますと、あなたの責任はどう考えるんですかとどこかで言われました。「私は1ヶ月で収束しなかった責任を痛感してます」と仰ってました。私もそのように思います。しかし、この責任は、実は休業要請とか、県民の行動を変えていくための色んな措置、これは半分です。あとの半分は、ちゃんと医学的あるいは保健的に発症者が出ないようにし、そして発症した人をちゃんと助けることが出来るかどうかなんです。これを、我々は本当にこれからも責任を持って追求しますが、このことについて、日本中忘れているんじゃないかという感じが凄くします。
和歌山県のレベルで言えば、東京や大阪の発症者のコントロール、あるいは濃厚接触者のPCR検査による封じ込めは、ちょっと考えられないような形です。それは、数が多いから責めてもしょうがない。だけど、数が少なくなってきたら、和歌山県のように、きちっとやってもらいたい。そしたら、あっという間に減るはずです。そんなふうに私は思っています。今は無理かもしれないけれど、それが上手く出来るようになったら、安心して、そういう地域の方々もお迎えすることが出来るんじゃないか。そんなふうに、私は思っております。私から申し上げたいことは以上です。
広報課長:それでは質問をお受けします。
NHK:今回の基本的対処方針ですと、和歌山県では、ある程度、行動の自由と言いますか、緩和の方向性が非常ににじむ形になっているかと思うのですが、これで緩まないかというのは、非常に心配されていることだと思いますが、改めて県民へのメッセージをお願いします。
知事:ちょっと今のお話は、違うんじゃないでしょうか。まず、和歌山県も、緩めるところは、博物館などちょっとだけです。残りのところは継続だから、ほとんど緩めていません。緩めていないのは、和歌山県の地政学的な位置付けが京阪神に囲まれてるからで、緩められるはずがない。それは、どうも、潜在的な患者さんもいっぱいいるかもしれない。その方々が、ワッと来られたら大変なことになるということと、もう一つは、その地域で、一定の営業自粛をやってるわけですが、その営業自粛を、こちらだけ、まあいいかと言って止めてしまうと、なかなか、前もやってみたけど、県外の人だけを選別するのは本当に難しいということで、営業全体を自粛せざるを得なかった。その状況は、今も変わってないわけです。だから、NHKの質問自体、私はおかしいと思うんです。だから、ほとんど一緒。だけど、若干の微修正ということです。
NHK:県の警戒トーンとして高く維持されているのは分かった上で、これから1ヶ月、5月31日まで延びたことについて、改めて県民の方に呼びかけをお願いします。
知事:県民の方々には、大変なご苦労をさせているわけです。だけど、一つだけ申し上げておくと、和歌山県は、自分たち、要するに行政も頑張ってるぞという事は申し上げたい。もちろん、他のところも主観的には頑張っておられると思うんですが、行政も一生懸命頑張って、医学的にも、ある技術を持って止めないと、それは幾らでもずっと国民に対する負担が続くんじゃないかと、それを私は申し上げたいというふうに思います。
朝日新聞:最近、和歌山県内の感染者はゼロが続いてますが、改めて、全国に緊急事態宣言の対象区域が示された状態で延長になったことへの受け止めを伺えますか。
知事:実は、いろいろ難しいところがあって、和歌山県だと、本当に、これ以外ありえないというぐらい、まだ危機が続いてると思うんです。自分のところの感染者がゼロになってきたのは、まだほんの数日です。それから、県境を越えた向こう側の状況を見たら、本当に、和歌山県から見たら、これ大変やと思います。偉そうに言ってるわけじゃなくて、本当に同情すべきところがある。あるいは、危機感がいっぱい、そのぐらいの状況だと思います。だから、そういう中で、例えば、緊急事態を緩和して良いんだなんて全然思いません。ただ、例えば、首都圏からも遠い、関西圏からもうんと遠いところで、まあまあ感染者も少ないというところからすれば、それぞれ自分で考えて、県民に対する負担を少し緩めても良いというところはあっても良いんじゃないか。和歌山県は違うと思います。それはなぜかと言うと隣が隣だから。
従って、緩められないけれど、他所は進めても良いとこもあるんじゃないかなという気がします。ちょうど良いバランスで、政府の決定があったんじゃないかなというふうに思います。
朝日新聞:重ねてですが、県民の方々も、先ほど知事が仰ってたように、危機感、県内の状態は変わらないということで、引き続き県外との往来は、もちろん自粛することもそうですし、不要不急の外出を止めたり、出来る限り在宅をというのは変わらず、ということでよろしいでしょうか。
知事:それでほとんど良いと思います。ただ先ほど、ちょっとだけ変えました。例えば、散歩したついでに県立博物館に行って、美術品を見ていただくぐらいの心の余裕を持っていただいても良いかもしれない。だけど、それがワッとあるところへ集中すると、そこで感染者が、まだまだ和歌山だっている可能性もありますから、それは注意してもらったほうが良いと思います。特に総理も言っているように、我々は営業自粛要請をしてますけど、若干聞いてくれていないところがあるので、次のステップに行こうと思ったら、国がうんと言わないのがあります。
全国的にそうです。そういうところへ行かれたら、とても危ないと思います。もし誰かがうつってたら、もう止めようがないですからね、そういうところは。
読売新聞:見直した部分について、ちょっとお伺いしたいのですが、博物館等のグループが、今回、1000平方メートル以上の施設については、営業全体の自粛から、県外の人は断ってください、に変わりましたが、それは今のところ5月6日まで休業要請になっているところで、先ほどの会議でもあったように、県立博物館や近代美術館は、7日から営業再開という形になるのでしょうか。
知事:はい。そのようにしたいというふうに、教育長は思っていると思います。それで良いと思います。ただ、あくまでもこれは県外の人たちが来ないという見通しのもとで、やったことです。それから3密にもならないということでやったことです。それが、入口におけるチェックとかで、もうこれ駄目だということであれば、また直ちに止めます。
読売新聞:一部、県外客がいっぱい普段から来る施設、自然博物館だったりとかについては、いかがでしょうか。
知事:自然博物館は、県外客がと言うよりも、子供たちが、今、学校が休みなので群がる可能性があるので、何のために休校してるのか分からなくなる。ですから、止めておこうということです。
読売新聞:当初から3密が予想されるような場所については引き続き止めて、いったん開けたところでも、3密だったり、県外客がたくさん来てるという状況が分かり次第、止めるという形になりますか。
知事:そうです。県営についてはそうすると思うし、それから県営だとすぐ出来ますけど、県営以外のところは、やっぱり手続きを取らないといけません。例えば、スーパー銭湯は、2、3日してからステータスを上げました。ああいうようなことはやるかもしれません。
時事通信:15日まで緊急事態措置、休業要請を延長ということですが、そこの判断基準のところで、会議の中で、知事が、大阪も和歌山並みに安全だということになれば、という言葉がありました。大阪が和歌山並みに発生が収まるのは、大分先になると感じますが、15日の時点では、まず、大阪と足並みを揃えるという理解で良いのでしょうか。
知事:いえいえ。そこで大阪がステータスを変えるかもしれない、ということをちょっと見極めてから、もう1回改めて判断しようというふうに思ってます。ただ、そのときの判断材料は、何も大阪に追随して良いというものではない。例えば、大阪が和歌山的なセンスから見ると、とても危ないと。これはリスクがものすごく高いんじゃないかと思うようなことを、我々の期待に反してやろうとされたら、我々だけでも止めないといけないかもしれません。特に、県外からのお客さんが来そうなところというのを、どのぐらいまで解除が出来るか。実は、和歌山県の経済全体を考えると、そちらの方がはるかに重いんです。個々のお店はみんな重いんだけど、マクロで見たら、そこのところの打撃って凄く大変です。多くの人がそれで雇用されてます。だから、本当に他県で早く収束してもらいたいなというふうに思います。
時事通信:大阪のステータスが変わる可能性と仰いましたが、具体的には。
知事:自分たちで基準を作ってやるんだと吉村知事が言っておられて、それらしいことを決定されてます。従って、15日に何らかの方針が示されると思います。それを見て、なるほどと思うのなら、こっちも合わせば良いし、いや、それは違うでしょうと思ったら、合わせられません。そういうことです。
時事通信:分かりました。
知事:一番の期待は、今、感染者が大分減ってきてるから、15日までに感染者は減り、感染者が新しく発生しないようなメカニズムになっていることです。今は、明らかに感染者がいっぱい発生しています。だって、自宅療養してもPCR検査もしないで、はい自由で良いですと言ってるんだから。そしたら、次の人にうつるかもしれないじゃないですか。そうせざるを得ないんだろうと思うけど、そういう状況で、そうですかと言って大阪のことは良いんじゃないのなんて、とても言えない。
時事通信:そうすると発生のスピードだけではなくて、医療体制もシビアに、見られる。
知事:大阪の発表を見ると、重症者で50%、中等症者で60%、病床使用率が下回って、逆に言うと、空床がそれぞれ50%、40%以上であれば、そしたらもう良いんだって言ってるけど、それ和歌山だとそういうことだけど、大阪のそれは違うんじゃないのというふうに思います。和歌山並みに考えて、そういうふうなことであれば良いんじゃないでしょうか。別に50とか60の数字は、どうでもいいと思います。私は100でも良いと思います。ちゃんと病院に入れられるようになり、全員が隔離され、PCR検査を少なくとも濃厚接触者にはきちんとやられ、残りのそれ以外の人についても、一応捕捉が出来るような体制になってきたら、昔はそうだったんですけど、そうしたら、他県も和歌山も似たようなもんだというふうに考えて、経済活動をかなり上げることが出来るんじゃないかなと思います。
時事通信:分かりました。京阪神と東京の状況を見るという話がありましたが、大阪だけではなく、改めて判断する時は、京都や兵庫、東京の状況も見る。
知事:まず、京阪神は一つなんですけど、我々はやっぱり大阪に対する関係が強い。大阪は和歌山にとって生命線です。ものすごく影響力が強いので、ここがぐちゃぐちゃだと本当に苦しいというところはあります。
もう一つは、やっぱり首都圏とも繋がってるんです。例えば、県外の人を、あんまり断らないでもよろしいというようなことを言い始める時に、一番ターゲットにすべきが首都圏です。そこが今みたいに滅茶苦茶になってたら、とてもそっちをオープンに出来ない。だから、そういう問題があります。
パチンコ屋さんは大阪や、京阪神だけだと思いますけど、観光客になったら、それは首都圏も大変です。メカニズムはそういうことです。
毎日新聞:先ほどの知事のお話の中で、一部施設の休業の指示のことだと思いますが、国がうんと言ってくれないということで、性風俗店やインターネットカフェのことだと思いますが、これについてはまだ、県で何か動きがあるという感じではないのですか。
知事:県では、ちゃんと特措法24条の協力要請をして、してくれない人は45条に行くべきだと思ってますが、国がそこはうんと言ってくれなければいけません。だから、そこはもう全責任は国にあるというふうに考えても良いかなと思いますけど、もうにっちもさっちもいきません。考えてみたら、全国的にある話を、(東京や大阪など)和歌山よりも2週間先輩の方々が手をこまねいているから、ちょっと難しい。
毎日新聞:国がOKと言えば、すぐに休業をしてくれということですか。
知事:そういうもんだと思ってます。これは、何も面白がってやってる話じゃないんです。本当に危ないと思ってるから、そう言ってるんだけど、これ以上のことを出来ないもどかしさはあります。
毎日新聞:もう一つ。学校は5月31日まで休業延長ということでしたが、文科省が小学校1年生、6年生、中学校3年生の優先登校を進めてくださいという通知を出されたと思いますが、県内ではどのように対策を取られる予定でしょうか。
知事:休業は休業ですけど、子供たちも全く外へ出てはいけない、自宅に閉じこもれと言ってるわけではない。まあ、出来るだけ自宅にいたほうが安全だということなんで、例えば、教科書をいただくとか問題集をいただくとか、学校に連絡のために行かないといけない日もあるかもしれない。そういう応用問題として、文部省の言ってることは考えたら良いんじゃないですか。
毎日新聞:今回、休業を再開するにあたって、小学校1年生、小学校6年生などを優先的に再開させるとかっていう考えは、全く無いということですか。
知事:私は、あんまりあれは理解してない。何でというふうに思うでしょ。だからそんなに定見はありません。しかし、一般的には、休業を長くやってると弊害がいっぱい出ますから、その弊害をどうして解消してあげたらいいのかなというのは本当に辛いところです。究極のリスクは、いつも言ってるように、出席日数が足りなくなることです。今のところは、休みを潰していけばいけますけど、それも負担でしょうしね。
一方ではリスクが大きいから、うんと小さいリスクになった時に、それでも無いわけじゃないんだから、絶対に休業だと言うかどうかは、全県民をあげて議論しないといけないでしょうね。
テレビ和歌山:学校に絡んで。今の段階では、独自で休校要請を31日までということですが、これは法に基づく措置ということに自動的に移行するということで良いんでしょうか。
知事:そうです。これは、さっき言いましたように、大阪の動向なんか見る必要はない。従って、経済的な問題とは違うので、独立して考えても良いんじゃないかと思いました。
テレビ和歌山:7日からでしょうか。
知事:7日から31日までということです。以前は、教育委員会の決定として通知をしておりましたが、法的権限が出来ましたから、5月31日までは我々の法的権限があります。学校については、5月31日まで休業ということで、良いんじゃないかというふうに思います。ミシン目を入れる必要は論理的に無いかなと思います。
朝日新聞:全国的に緊急事態宣言も延長されて、経済に対する影響も、これから先もまだまだ続くと予想されます。既に、県で経済対策を発表され、独自策を出してますが、さらなる上乗せも今後検討していくということでよろしいでしょうか。
知事:もちろんそうです。ただ、更なる上乗せと言ってワイワイ言うよりも、もちろん言ったって良いんですが、必要になったらどんどんやるんですけど、今あるものをガンガン使う方が、はるかに救済には役に立ってます。ですから、とりあえず、どんどん使ってもらって、ここが足りない、あそこが足りないという話がその中で出てくる。そしたら、躊躇せずに足していきたいと思います。だから、あんまりやってもいない時から、それ次とか言うのは、ちょっと発想としては間違ってるような気がするんですけど、質問としては間違ってません。
広報課長:他にございませんか。それでは会見を終了します。