令和7年12月和歌山県議会文教委員会会議記録


令和7年12月和歌山県議会文教委員会会議記録

 

1 日時   令和7年12月16日(火)午前9時59分~午前10時44分

2 場所   第6委員会室

3 出席者  委員長   小川浩樹

       副委員長  高田英亮

       委員    藤山将材、山田正彦、坂本 登、藤本眞利子 

       欠席委員  小西政宏

       委員外議員 なし

4 概要

   午前9時59分開会
    ●小川委員長
     ◎開会宣告 挨拶
     ◎報告事項 小西委員の欠席
     ◎傍聴協議 2件    
     ◎撮影許可 3件
     ◎議  事 議案4件継続審査を要する所管事務調査6件
     ◎教育委員会審査宣告
     ◎議案等に対する説明要請
    ●今西教育長説明
    ●小川委員長
     ◎議案に対する質疑及び一般質問宣告

  Q 藤本委員
   中学校の部活動が地域クラブへ移行していくことになっているが、どんな現状か。

  A 中谷健康体育課長
   県教育委員会では学校部活動の地域連携・地域移行に係る推進協議会を設置し、令和6年2月に策定した「和歌山県学校部活動及び

  地域クラブ活動の在り方等に関する方針」に基づき取り組んでいる。
   この方針では、令和6年度から8年度を改革準備期間、令和9年度から13年度を地域クラブ活動の充実と位置づけ、期間終了となる

  令和13年度末までに、土日などの休日については、原則として、全ての学校部活動を地域に移行することを目指している。

  現状としては、まだ改革準備期間ということで、市町村のほうでどうやって進めていくかということを考えてもらっている。

  Q 藤本委員
   それはスポーツだけではなく、文化部も同じか。

  A 中谷健康体育課長
   文化部活動も同じである。

  Q 藤本委員
   地域に移行することについては、様々な課題があると思っており、総合型地域スポーツクラブのような受け皿があればよいが、なか

  なかそのような受け皿もできていない。
  地域によって学校の規模や要素も違う中で、地域クラブに移行することについて、今後どのような課題があるか。

  A 中谷健康体育課長
   地域クラブへの移行に当たっては、様々な課題がある。指導者の確保や地域クラブの参加者負担、また、活動場所をどうするかなど

  が問題点として考えられる。
  現在の県内の市町村の状況を見ると、そういった課題以前に、協議の場が設けられていなかったり、地域移行に関する方針がつくられ

  ていなかったりなど、まだまだ取組が進んでいない。
  まずは、市町村において、学校や地域の、実情やニーズを把握するとともに、関係団体等との調整を円滑に進めてもらう必要がある。

  Q 藤本委員
   指導者の問題が大きい。スポーツクラブや文化クラブは、ある程度の経験がないと指導が困難である。今は、外部から学校に派遣して

  もらい指導している状況がある。そのような中で、どの地域に、どういった形がよいのかを考えている。
   教育長の説明の中で、冬の高校総体のラグビー競技において花園に行く学校が決定したとの話があったが、昔の強豪校においても、部

  員が集まりにくくなり、外部から指導者を呼んだり、生徒を集めてチームをつくったりということも起こっている。
  県教育委員会は、令和9年度から地域クラブ活動を充実させていくと言っているが、各都道府県の事情や和歌山県内の事情も違うことが

  たくさんある中で、今後どのような見通しで進めていくのか。

  A 中谷健康体育課長
   高校ではなく、まずは中学校の部活動の地域移行を目指している。
  指導者については、外部から呼んで活動しているところがあり、実証事業で取り組んでいる7市町では総合型地域スポーツクラブなど

  地域クラブの指導者を呼んでおり、そういった指導者を増やしていきたい。また、地域クラブに移行した後も、部活動の先生方が引き続い

  て指導したいという場合には、兼職兼業という形で指導者として担ってもらうことも考えている。
   ただ、指導者の確保については、まだまだ課題があるが、まずは、地域でどういったクラブやクラブ活動指導者がいるのかなど、その

  実態を把握していく必要があるので、その調整を行うためのアドバイザーを配置する市町村に対して来年度は支援していこうと考えて

  いる。

  市町村でこうした取組を進めてもらい、指導者の発掘、育成、マッチングや、今後見えてくる課題、特に広域的な課題について、県で支援

  していく。

  要望 藤本委員
   学校が担ってきた部活動は、先生方が指導し、それに対して相当の手当を措置せず、先生方の負担の下、進めてきたということもあるの

  で、しっかりと予算をつけていかないとならないと思っている。今後もよろしくお願いする。

  Q 藤本委員
   授業における一人一台端末の活用状況はどのようになっているか。

  A 三木教育政策課長
   文部科学省の調査では、県内の公立小中学校の約8割が端末を「毎日」、「ほぼ毎日」活用している状況である。活用方法としては、調べ

  学習でのインターネット検索や、考えを発表する場面でプレゼンテーションソフトを用いてまとめるなどしている。

  Q 藤本委員
   ほとんどの子供たちが使いこなせていると考えてよいのか。

  A 三木教育政策課長
   発達段階に応じた活用目標を定めており、それに基づき指導を行っている。

  Q 藤本委員
   生成AIの活用促進について、今後どのように進めていくのか。

  A 三木教育政策課長
   生成AIは令和4年頃から急速に普及したが、学校での利用には著作権や個人情報など留意すべき点がある。昨年12月に文部科学省か

  らガイドラインが示されたが、学校で活用を進める上では具体的な運用方法の整理が必要である。そこで、モデル事業を通じて、有効な

  使い方や利用に当たっての注意点を明らかにすることで、活用を広げていくことを想定している。

  Q 藤本委員
   生成AIに問いかけるとすぐに答えが出るため、子供たちが自分で考えなくなるのではないかと懸念しているが、どのように考えてい

  るか。

  A 三木教育政策課長
   生成AIで児童生徒がすぐに答えを見つけてしまう懸念はある。そのため、モデル事業の中では、答えをすぐに導かないソフトの導入な

  どを検討している。

  要望 藤本委員
   子供たちは機器への順応が早いが、思考力や自分の考えをまとめる力が不足するのではないかという声もある。時代についていく必要

  はあるが、その点によく注意しながら進めてほしい。 

  Q 小川委員長
   藤本委員の質問に関連して、部活動の地域移行についての考え方を再度教えてほしい。
  この件は、国も少し迷走しているのではないかと感じているが、当初は先生の働き方改革でその職務を軽減させるために、部活動担当

  を持たないという方向で始まった議論が、どうやらここへ来て、日本が独自の文化として持っていた教育的な指導の意味合いがある部

  活動の流れをやめて、欧米諸国のようにやりたいスポーツや習い事を学校外の時間で選択して自由にするという方向にかじを切って

  いると感じている。
   神戸市は、来年度から市立中学校は全部地域クラブに移行して、市立中学校の部活動はやめますと発表した。
  片や熊本市は、独自の文化である市立中学校の部活動を続けると教育長が宣言して、教職員に時間外のお金を出してでも学校内での部

  活動を続ける。
  和歌山県内では地域性もあるので、教育委員会として、教育的な観点で生徒の心と体を育てるという意味での部活動を学校内で続けて

  いくのか。それとも割り切ってやりたい種目、やりたい習い事を学校外で取り組んでいくことにさせるのかという議論が必要だと思って

  いる。
  地域に学校外の指導者がまだ確保できないのに、その流れに乗って行かなければならないと決める必要はないと思っている。
  なので、和歌山県内独自で子供たちのために部活動をどのようにしていくのかという議論が必要ではないか。

  A 中谷健康体育課長
   熊本市にしても神戸市にしても、市町村での取組であり、県が直接的に何かをするというのは難しい状況である。市町村がどうしてい

  きたいかを決め、その上で発生する課題について県は支援していく立場である。
  過去に、学習指導要領で、教育課程内にクラブ活動が位置づけられたことがあり、そのときは全生徒がクラブ活動へ参加したが、今の

  学習指導要領では教育課程外になっており、必ずしも全員が部活動に参加しなければならないということにはなっていない。あくまでも

  部活動というのは、生徒の自主的、自発的な活動となっており、それを学校が支援していく。
   その中で熊本市のように外部から人を呼んで学校内でやるという方法もあるし、神戸市のように、総合型地域スポーツクラブなどが

  充実しているところは、地域で活動していくという方法もある。それは、各市町村それぞれの地域資源や地域クラブ・受け皿の状況など

  を加味しながら市町村で進めていかないといけない。
  和歌山県教育委員会としては、それぞれの市町村の受け皿の問題や生徒、保護者のニーズをまずは把握して、その上で検討し、どうして

  いくべきかを皆さんの意見を踏まえながら進めていきたい。

  Q 山田委員
   国としても、あるいはこれからの和歌山県としても、例えば新年度から私立の授業料無償化ということに大きくハンドルが切られる時

  に、今の普通科高校のままでいいのかどうか、今までの大学の予備校的な普通科でいいのかという問題提起がされることになると思う。

  そのような中で、普通科が悪いというわけではないが、それよりもっと地元に根差した、産業にも参画できるような、そういう能力を

  養うべきであると文部科学省も考えている。また、国でも高等専門学校を充実しないといけないのではないかという問題提起がされて

  いるように聞く。例えば、和歌山工業高校の生徒を3年で世の中に送り出すのか。あるいはもう1年2年、高等専門学校のような状況に

  すべきではないかという問題も出ている中で、今後の高校教育について、このまま現状どおりでいくのか、思い切って新しい方針を立て

  るのかということについて、教育長としてどのようなビジョンを持っているのか。

  A 今西教育長
   今回の一般質問の中でも答弁したが、ものづくり人材というのは大切であるということを国も言っている。また、和歌山県の現状を見て

  も確かにそうであると考えている。一方で、普通科の人気は高く、工業科、農業科は実際に人気がない。しかし、人気がないからといって

  学校規模を小さくしてもよいということにはならない。高等専門学校にするかどうかについては私どものほうで議論していないので答え

  られないが、何とか工業や農業の高校を盛り立てて、そういった高校を目指してくれる生徒を増やし、3年間で、地域で活躍してもらえる、

  地域で重要な仕事を担ってもらえる人材を輩出していきたい。
   高校の授業料無償化については、来年度から私学が無償化になり、私学に行きやすくなることで人気が高くなると考えられる。その結

  果、ますます専門系の高校を希望する生徒が減るのではないかということもあり、交付金等を新たに創設するということで国会でも議論さ

  れている。かなり大きな金額を各都道府県に交付する話が出ているため、しっかりと予算を獲得し、高校の特色化、魅力化につなげてい

  きたい。

  意見 山田委員
   将来の産業界の担い手をつくってほしいと思う。AIというが、AIを使うのは人間なので、AIに振り回されないような人材を育成しないと

  いけないと思っている。学校の関係者、校長や教頭にも宿題的な問題提起をしているので、今後の進展をじっくり見たいと思う。

  Q 山田委員
   それともう一つ大変ショックを受けたことがある。これは誰が悪いというわけではないと思うが、某小学校5年、6年生の児童4人に

  我々の団体から表彰をした。その時に5年生、6年生の4人の代表が正面へ行って、賞状をもらって帰るまで、ただの一度も頭を下げて

  くれなかった。普通、常識的に、代表として前に行って表彰状をもらうのだから、自然と頭が下がるのではないか。それで、振り返って帰る

  時に、みんなに頭を下げるのが普通ではないかと思うが、全くそのそぶりが4人ともなかった。これには、非常に大きいショックを受けた

  のだが、一般の学校はこういう状況なのか。先生が教えるべきものか。そこに保護者がいたが、保護者も同じように手をたたいていた。

  でも、全く人ごとのようなことで、頭を下げずに、すっと帰る。これは誰が悪いのか。親が悪いのか、先生の日頃の指導が悪いのか、私に

  はよく分からないが、誰か感想があれば述べてほしい。

  A 中井義務教育課長
   こういうことについては、学校教育、家庭教育、また地域のみんなで育てていくことが大事だと思っている。学校教育の中では、特別の

  教科道徳の中で、感謝、礼儀などは学習内容に入っている。感謝の気持ちでいうと、具体的な言葉や行動に表したり、今、自分が相手に

  対して、何をもって応えることができるのかを考えさせたりしている。礼儀についても、小学校では、日常生活を送るために欠かせない基本

  的な挨拶であったり、具体的な状況の下での体験を通して、実感的に理解を深めさせたりしている。また、特別活動の中で、卒業式や入学

  式という儀式的な行事においては、例えば高学年の様子を見て、その場にふさわしい参加の仕方や、厳粛な場におけるマナー、規律、気品

  といった行動の仕方などを教えているつもりである。では、なぜ、そのような行動になってしまったかは我々も見ていないので断定はでき

  ないが、やはり具体的な状況の下での体験を通して学ぶ場面が、もっと必要なのではないかと考えている。今後も、学校教育では、道徳

  性をさらに養っていきたい。

  意見 山田委員
   誰が悪いというわけではないと思うが、親が近くにいて、一緒に手をたたいている。しかし、そういう注意すらしたことがないというの

  は、子供たちに接する先生方の指導が甘いのか、親も、そういうような教育を受けたのか。全く憂える。私も年のせいで、そう思うのか。

  みんな、近くにいた者は、「最近の子供は、案外礼儀を知らないな。」というような雑談で終わった。
  こういうことがあっては、人の道として、ちょっと気をつけないといけないのではないかと思うので、皆さんも心当たりがあれば、お互い

  注意しよう。

    ●小川委員長
     ◎議案に対する質疑及び一般質問終了宣告
     ◎議案に対する採決宣告
     ◎議案第146号及び議案第160号から議案第162号までは、全会一致で原案可決
     ◎教育委員会審査終了宣告
     ◎継続審査を要する所管事務調査宣告 異議なし(件名表のとおり)
     ◎閉会宣告
   午前10時44分閉会
 

 

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