平成11年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(谷本龍哉議員の質疑及び一般質問)
県議会の活動
午前十時二分開議
○議長(下川俊樹君) これより本日の会議を開きます。
【日程第一 議案第百二十号から議案第百四十六号まで、並びに報第四号】
【日程第二 一般質問】
○議長(下川俊樹君) 日程第一、議案第百二十号から議案第百四十六号まで、並びに知事専決処分報告報第四号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。 十七番谷本龍哉君。
〔谷本龍哉君、登壇〕(拍手)
○谷本龍哉君 皆さん、おはようございます。
自由民主党県議団和歌山市選挙区選出の谷本龍哉でございます。一般質問二日目の坂本議員、三日目の小原議員に続き、今議会三人目の初登壇でございます。小原議員ほど紅顔の美少年ではありませんが、よろしくお願いいたします。
今春の総選挙以来、初めて質問に立たせていただきますが、諸先輩方が築いてこられた和歌山県議会の伝統の重みと代弁者として選んでいただいた県民の皆様に対する責任の大きさを、今この場に立って改めて実感しております。新人の初舞台でございますので、至らぬ点は広い心でお許しくださいますよう、どうかよろしくお願い申し上げます。
質問に入る前に、一言だけ知事にお祝いを申し上げたいと思います。去る十月三十一日の知事選におかれましては、得票数、投票率ともに前回を上回り、見事二選を果たされましたこと、心より喜び申し上げます。どうもおめでとうございます。
西口知事の和歌山県と和歌山県民を思う熱い気持ちが、選挙を通じてひしひしと伝わってまいりました。和歌山のために戦い抜くんだという、その強い気持ちのままに、世紀をまたぐこれからの四年間、新たなる挑戦の県政を推し進めていただきたいと思います。私も、最年少、微力ながら、知事が目指す二十一世紀の和歌山づくりに全力で取り組んでまいりたいと思います。
それでは、通告に従いまして、質問に入らせていただきます。
第一問は、県都和歌山市の治安問題についてであります。
本県の平成十年中の刑法犯罪の認知件数は二万一千三百二件と初めて二万件を突破し、過去最悪となりました。人口十万人当たりの発生件数で見ると千九百四十二件で、福岡、大阪、東京、千葉に次いで全国で第五位と大都市並みの件数でございます。また、人口規模が同等の富山県、香川県などと比べますと、犯罪の発生件数は倍以上になっております。本県の治安は、決してよいとは言えない状況にあります。そして特に、人口の偏りの問題もありますが、県都である和歌山市、その中でも和歌山の玄関口でもあり顔である和歌山駅周辺から県下最大の歓楽街である新内周辺にかけて犯罪が急増しております。もしこのままの状態を放置すれば、和歌山県のイメージを損なうだけでなく、経済活動、教育、そして最も大切な安心で安全な県民の生活に大きな悪影響を及ぼすことになるのではないでしょうか。
ここに、犯罪の減少に取り組み、大成功した例が一つあります。それは、九〇年代初めまで犯罪都市の代名詞にまでなっていたニューヨークであります。ニューヨークと言いますと、今でも危険な町だと思われている方が多いと思いますが、実際にはそうではありません。ニューヨーク市は、現在のジュリアーニ市長が就任して以来、犯罪の減少に積極的に取り組み、九三年から九八年の六年間の間に犯罪を四六%減少させました。犯罪発生率で言いますと、全米には二百十七市があるんですが、その中で百六十六番目となり、また百万人以上の大都市の中では最下位であります。今では、全米で最も安全な大都市と呼ばれております。この最も危険な都市から最も安全な都市へと変貌を遂げたニューヨークが犯罪防止の柱に据えたのが割れ窓理論──ブロークンウインドー、割れた窓の理論という考え方です。簡単に説明しますと、ビルの割れた窓をそのままに放置しておくと、監視の目が届かないと思って無法者が次々に窓を割り、それがやがて大きな犯罪へとつながっていく。つまり、無秩序で雑然とした環境をそのまま放置しておきますと、人々のモラルが低下し、犯罪が増加する。だから、環境を整えて人々のルールを守る意識を高めれば、小さな犯罪が減り、それが大きな犯罪の防止につながるという理論でございます。ニューヨークは、この理論に基づいて、行政、住民、警察、経済団体、ボランティア団体等が協力し合って安全で清潔な町づくりに挑戦し、見事成功をおさめました。犯罪が減少し、流入人口がふえ、経済の活性化へとつながっております。
繰り返しますが、和歌山市は県都であり、和歌山県の玄関口でもあります。そのイメージは、和歌山県全体のイメージにもつながります。ニューヨークの例、割れ窓理論が必ずしもすべて和歌山に当てはまるとは思いませんが、二十一世紀に向けて、安全で快適な和歌山づくりを進める上で、犯罪の減少は早急に取り組むべき重要な問題ではないでしょうか。ただ、警察にすべてを任せるというのではなく、県、市、住民、関係機関、そして警察が協力し合って、犯罪が起こりにくい環境づくりに総合的に取り組んでいくべきではないかと考えます。
そこで、お尋ねします。
県都和歌山市の治安問題について、特に犯罪減少に向けての関係各機関との連携強化について、知事はどのようにお考えですか。その見解をお伺いいたします。
次に、警察本部長に三点お尋ねいたします。
一点目は、和歌山市内の犯罪発生の現状と認識、犯罪防止、犯罪減少のための現在と今後の対策についてお聞かせください。
二点目は、犯罪の増加と関連の深い少年非行の現状とその防止のための対策についてお聞かせください。
最後に三点目は、去る十二月一日に和歌山駅・アロチ周辺の環境浄化を考える会が開催されたと聞いておりますが、その内容と今後の取り組みについてお聞かせください。
以上、よろしくお願いいたします。
次に第二問は、第一問とも関連しますが、犯罪被害者支援の問題についてであります。
犯罪被害者は、長い間、忘れられた存在、刑事司法からも社会からも顧みられることのない、声なき人々と言われてまいりました。現在の法制度の中では、犯罪の加害者については憲法などで細かく人権が守られていますが、一方の被害者については刑事訴訟法などにも一行も明確な規定がありません。犯罪被害者は、犯罪から直接的な被害を受けるだけでなく、捜査、裁判、報道等の過程においても、精神的ダメージ、ストレスなど、二次的被害、三次的被害を受けることが多い状況にあります。しかしながら、その救済、保護の体制づくりは大変おくれていると言わざるを得ません。
国においては、昭和四十九年の三菱重工ビル爆破事件を契機として、昭和五十五年に犯罪被害者給付制度が制定され、昨年、本県で発生した毒物カレー事件においても同制度が適用されました。しかしながら、この制度の適用は、被害者が死亡した場合や重度の障害が残った場合に限定され、最も必要と思われる医療費の補償もなく、また最高額も一件当たり一千三百万円までとなっております。昭和五十六年の同法の施行以来、十八年間で対象者の合計は四千百七十八名、支給された合計額が九十三億円、これを一年に直しますと平均で対象者は二百三十二名、そして一件当たり平均二百二十万円にすぎません。また、民間におきまして被害者の精神的被害の回復のためのカウンセリングなどを行っております被害者援助団体は、全国でわずか十三団体しかございません。
一方、他国の例を見ますと、イギリスでは一件当たり最高一億円の被害者補償があり、四百七十の組織に一万六千人のボランティアを抱えております。またアメリカでは、七千を超える支援プログラムがあり、年間十一万人に対して総額三百億円の補償をしております。国情の違いがあるといえ、その差は余りにも大きいと言えます。
本年十月二十六日、臼井法務大臣は、法制審議会に対しまして犯罪被害者保護のための具体的な法整備を諮問いたしました。また、日本弁護士連合会は、犯罪被害者の権利や国や自治体の責任を明記した犯罪被害者基本法の要綱案を発表いたしました。地方におきましても、埼玉県の嵐山町で町犯罪被害者等支援条例が制定され、その内容は、単なる給付金の支給から一歩踏み込んで、犯罪被害者の精神的支援、相談に応じる町職員の育成などを条文に盛り込んでおります。
このように、犯罪被害者支援の体制づくりは少しずつ動き始めてはいます。しかしながら、犯罪は待ってはくれません。いつ、どこで、だれが犯罪被害者となるかわからないのです。他人事ではありません。そして、今現在この時点においても、孤立したままの犯罪被害者が存在し、その人たちは、みずから手を挙げ、声を出すことのできない声なき弱者なのです。私は、国の法制化や政策決定を待つのではなく、一刻も早く地方独自の具体策を練り、精神的、経済的に犯罪被害者を支援していくシステムをつくり上げるべきだと考えます。
そこで、警察本部長にお尋ねいたします。
平成九年に結成されました和歌山県被害者対策連絡協議会の現在の活動状況と今後の取り組み、及び地域ネットワークの構築状況についてお聞かせください。
また、民間のボランティア団体である紀の国被害者支援センターについてでありますが、全国に十三しかない被害者支援団体の一つであり、全国で五番目に立ち上げたということで、他府県に比べ早い対応であり、またボランティアの方々には大変頑張っていただいておりますが、現在の運営時間が平日午後一時から午後四時の三時間、木曜日のみ午後六時から午後九時の三時間だけと、まだまだ十分な体制とは言えない状況であります。この紀の国被害者支援センターに対する支援、連携の状況と今後の展望についてお聞かせください。
そして最後に、これは要望でございますが、犯罪被害者支援問題は警察の管轄の問題であることはよくわかっておりますが、多岐の分野にわたる問題を内包しておりますので、行政としても何らかの対応を研究、検討していただきたいと、知事にお願い申し上げます。
次に第三問は、産業廃棄物の県内処理と公共関与についてであります。
この論点については、向井議員、原議員、村岡議員から既に関連の質問がございました。一部重なる点もありますが、ご了承ください。
産業廃棄物というと、一般的には不法投棄や不法処理、最終処分場の建設をめぐるトラブル等、マイナスのイメージがクローズアップされがちですが、人間が産業活動を続ける限り産業廃棄物は必ず排出され、この問題を避けて通ることはできません。向井議員が質問されました橋本の問題のような事件を再発させないためにも、産業廃棄物を適正で円滑に処理する体制をつくり、それを維持することは、地域の産業活動を安定的に続けていく上で不可欠であり、また自然環境を守っていく上でも重要なことであります。
和歌山県におきましては、平成九年に策定されました和歌山県産業廃棄物の越境移動に関する指導要綱に基づき、「持ち込ませない」、「持ち出さない」とする県内処理を原則としております。しかし、公共関与処理の主力であった財団法人和歌山環境保全公社が平成八年七月までで埋め立てを終了したために、現在、最終処分が可能な管理型最終処分場は県内に設置されておりません。その後、引き続き完成した大阪湾広域臨海環境整備センターのフェニックス和歌山基地が産業廃棄物を受け入れ、泉大津沖処分場に処分しております。しかしながら、広域的、長期的、安定的に県内処理の原則を進めていくためには、県内に公共関与による広域的な地域廃棄物処理センター及び管理型最終処分場の確保が必要ではないかと考えます。
そこで、生活文化部長にお尋ねいたします。
「持ち込ませない」、「持ち出さない」に係る産業廃棄物の越境移動の現状についてどのように把握されておりますか、お聞かせください。
次に、県内処理の原則に対し、公共機関は当然にその模範を示すべき立場にあると考えますが、公共機関が出す産業廃棄物、特に公立病院の医療廃棄物等の処理状況はどのようになっておりますか、お聞かせください。
最後に、公共関与による中間処理センター、最終処分場確保の将来展望についてお聞かせください。
以上、よろしくお願いいたします。
最後に第四問ですが、和歌山市内の道路網の整備についてでございます。
この問題につきましては、既に今までたくさんの議員の方々が何度も質問を行っております。しかし、あえて繰り返し質問させていただきたいと思います。なぜなら、この問題は和歌山県にとってそれほど重要で、急ぐべき問題であるからです。
都市にとっての道路というのは、人間の体に例えてみれば、血液を運ぶ血管のようなものでございます。その血管がところどころで流れが悪くなったり、詰まったりするような状況では、筋肉も発達しませんし、また体も元気になりません。和歌山市は県都でありますから、いわば和歌山県の心臓部でございます。その心臓の血のめぐりが悪ければ、体全体も元気になれるわけがございません。西口知事が掲げる元気わかやまを実現していくためには、和歌山市内道路網の整備が急務であると考えます。
我が県出身の偉大な経済人であります松下幸之助さんは、かつて経営の三要素を次のように言われました。一つ目は、将来に対する夢、ビジョンを明確に持つこと、二つ目は、それに至る道筋を具体的に確立すること、そして三つ目は、それらを前提としてきょう何をなすべきか、あす何をなすべきかが明確であること。この三点は経営の真髄であるとともに、今、政治や行政において最も必要とされている要素でもあると思います。
翻って和歌山市内の道路網整備の状況を見てみますと、市内の都市計画道路四十路線のうち三十五路線が昭和四十年に計画決定されたものであります。私が生まれたのが昭和四十一年ですので、ほとんどの道路が私の生まれる前に計画されたものということになります。しかしながら、そのうち改良済みで完成しているものは、わずか四路線しかございません。具体化の道筋としては、余りにも遅い歩みと言わざるを得ません。
そこで、知事にお伺いいたします。
知事が県内二時間交通圏構想を掲げ、政策を推進していただいたおかげで、湯浅御坊道路の開通、国道三百十一号の全線改良等、県内道路網の整備は飛躍的に進んでおります。そして、二期県政における基本政策であるプロジェクト21の中でも、県内二時間、域内六十分行動圏の確立が掲げられております。これらの政策が非常に重要であることは言うまでもなく、これからもさらに意欲的に取り組んでいただきたいと思いますが、これに加えてぜひ県都和歌山市内三十分構想を策定していただきたいと思います。現在の和歌山市内においては、時間帯、方向、天候が悪ければ移動に一時間以上かかることが当たり前のように起こっております。そして、このことが経済活動にも非常に大きな悪影響を与えております。和歌山市内三十分構想というビジョンの策定、その具体的な道筋の明確化について、知事の見解をお聞かせください。
次に、土木部長にお伺いします。
和歌山市内の道路の中には、同一路線上で県の管轄と市の管轄が部分的に混在している路線が少なくありません。例えば、現在整備中の西脇山口線においても、大谷・平井地区は県の管轄、栄谷地区は市の管轄となっております。たとえ、大谷・平井地区が早期に完成したとしても、それに呼応するように栄谷地区が完成しなければ西脇山口線の利便性、経済効率などは大きく失われてしまいます。このような状況を見る中で、市内の道路整備を総合的な視野に立って効率的に進めていくためには、和歌山県と和歌山市が常に協議、協力しながら道路整備を進めていくことが不可欠であると考えます。そのためには、個別、路線別に事務レベルでただ話し合うというのではなく、市内全体の道路整備を政策的、総合的に議論していく県市の常設協議機関の設置が必要ではないかと考えますが、このことについて土木部長の見解をお聞かせください。
道路問題は多岐にわたりますが、今回は総論的問題のみとさせていただき、各論についてはまた次回機会を得ました折に質問させていただきたいと思います。
以上をもちまして、私の第一問目を終了させていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(下川俊樹君) ただいまの谷本龍哉君の質問に対する当局の答弁を求めます。
知事西口 勇君。
〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 谷本議員にお答えをいたします。
ご祝辞ありがとうございました。
ただいま、県都和歌山市の治安問題に対する思いをお聞きいたしまして、谷本議員同様、犯罪を減少させなければならないとの思いは、私も全く同感でございます。私は、県民が明るく生き生きと暮らせる、犯罪のない活気に満ちた町づくりを目指しているところでございます。犯罪を防ぎ、県民生活の安定を図ることを目的として、従来より私が会長を務める暴力団追放県民センター、あるいは薬物乱用対策推進本部などが主体となりまして県民運動に取り組んでいるところでございます。
和歌山市における犯罪の発生状況を見るとき、議員のお話にございましたように、ニューヨーク市が見事によみがえりつつあるという例のように、犯罪を減少させるためには、警察による厳正な取り締まりとあわせて、警察と行政、議会、関係団体、地域等が緊密な連携を図るとともに、市民一人一人の意識を高めて、小さな犯罪の防止から地道に継続して取り組む必要があると思ってございます。そうした意味からも、各種の団体が一堂に会して、先般開催された和歌山駅・アロチ周辺の環境浄化を考える会において環境浄化に向けた論議が始められたことは非常に意義深いことと思ってございます。当会の一員でもある県といたしましても、最大限の支援をしてまいりたいと考えてございます。
今後とも県民総ぐるみで、犯罪のない、安全で快適な明るい町づくりを目指して取り組んでまいりたいと考えてございます。
ご要望のございました被害者支援につきましても、十分承っておきたいと考えております。
次に、県都和歌山市の基盤となる道路整備につきましては特に重要であると、私も認識してございます。市内三十分構想というご提案もいただきましたけれども、今後とも和歌山市内の特に都市計画道路につきましては、積極的に整備を進めていく必要があると考えてございます。私も、常々そのことを強く思っておるわけでございます。
和歌山市域の道路整備のビジョンといたしましては、市内外周部の環状道路、放射道路、及び環状道路の内部を構成する東西、南北の幹線道路から成る和歌山都市圏幹線道路計画がございますけれども、和歌山市域は、おおよそ南北が十五キロ、東西が二十キロございまして、これらの道路整備が進めば市内をおおよそ三十分で行き来できるようになるものと考えてございます。
具体的な整備の道筋といたしましては、こうしたネットワークの中から、建設省、県、市で役割分担をしながら、現在、紀の川断面、あるいはJR紀勢本線との横断部等の必要性の高い区間から整備をしてございます。
今後、早期に整備をするためには、多くの議員からもお話がございましたが、用地取得の促進を図るための工夫、人員の強化なども含めてでありますけれども、さらに建設省、県、市の連携、予算のいろいろな工夫をする等、多様化を図りながら進めてまいりたいと考えてございます。私も、市内の道路整備の進まないことに一番歯がゆい思いをしている一人でございますけれども、今後ともこうした道路整備の考え方を県民の方々にも、よりわかりやすい言葉でPRをしていき、同時にご協力をいただくようにお願いしたいと思っております。
以上であります。
○議長(下川俊樹君) 生活文化部長大井 光君。
〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 谷本議員ご質問の廃棄物問題に関する三点についてお答えいたします。
まず一点目の越境移動の現状についてでございますが、県では平成九年六月に和歌山県産業廃棄物の越境移動に関する指導要綱を定め、県外からの廃棄物の持ち込みについて規制をしているところでございます。
この要綱では、産業廃棄物の搬入については原則的に禁止いたしておりますけれども、例外的措置といたしまして、次の要件を満たす場合に限り搬入を認めた事例がございます。その一つは、要綱施行時点で排出事業者と処分についての契約を既に締結している場合、二つ目は、持ち帰り産業廃棄物として、県内の建設業者等が他府県で工事等を行った際に発生するもので、その近くに適切な処分場がない場合、三つ目が、県内において有効利用のための処分が行われる場合でございます。これらのいずれの場合につきましても、事前に知事の承認を受けなければならないこととしてございます。
なお、承認の件数につきましては、平成九年度は三百十九件、十年度は四十九件、十一年度は十一月末現在で二十四件となってございます。また、事前協議があったもののうち二件を不承認としてございます。なお、産業廃棄物の県外からの搬入量は平成八年度の約四十六万トンに対しまして、平成九年度では約十六万トンと減少してございます。
続きまして二点目の、公立病院の医療廃棄物の処理状況についてでございますが、県立の病院である県立医大附属病院、紀北分院及び五稜病院につきましては、和歌山市内の中間処理業者において焼却処理されてございます。また、他の公立病院におきましても、ほとんどが和歌山市内で焼却処理されてございます。今後、さらに県内で処理するよう指導してまいりたいと考えてございます。
最後に、三点目の公共関与についてお答えいたします。
産業廃棄物は排出事業者にその処理責任がございますが、中小企業の多い本県におきましては何らかの公共関与が必要と認識してございます。その方式、取り扱い産業廃棄物の種類、処理の方法、採算性等につきまして、今後実現に向けて検討してまいる考えでございます。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 土木部長大山耕二君。
〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 和歌山市内の道路整備を総合的に検討する県市の常設協議機関の設置についてお答えいたします。
現在、市内の道路の整備については、必要に応じて関係者との協議会を設けており、その一例として和歌山北バイパス事業調整連絡会があり、建設省和歌山工事事務所長、和歌山市助役、県土木部長などが構成メンバーとなって、その時々の問題点について協議しております。また、将来の道路網構想や整備のあり方等、その時々の必要なテーマについて、県市だけでなく建設省等国の機関を含めた委員会を設置しておりまして、これまでも県市連携して整備の課題を協議しております。
市内の道路整備をより一層円滑に進めるためには、今後とも県市の連携が重要であり、そのための常設機関の設置について今後和歌山市と協議してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 警察本部長樋口建史君。
〔樋口建史君、登壇〕
○警察本部長(樋口建史君) 一点目の、和歌山市内の犯罪情勢とその対策についてであります。
議員ご指摘のとおりであります。県都和歌山市の治安情勢は、残念ながら大変憂慮すべき状況にあります。これまた議員ご指摘のとおりでありますけれども、昨年の都道府県別犯罪発生率を比較してみますと、これは人口十万人当たりの刑法犯の認知件数ですが、本県はワースト五位であります。人口約百九万五千人の和歌山県が、東京、大阪などの大都会と肩を並べるほどの犯罪発生率であるという背景には、和歌山市の治安情勢の悪化が非常に大きく影響しているわけであります。
和歌山市だけをとらえてみますと、実に犯罪発生率全国一の福岡県をさらに数的に上回っておる状況です。同規模の都市である高松市、金沢市あたりと比べてみますと、二倍以上といった状況です。ことしも、十月末現在の和歌山市の犯罪発生状況は、昨年に比べてさらに悪くなっておりまして、刑法犯の認知件数は率で一五%増、件数で千三百件増の九千八百件余りとなっております。和歌山市のこの数字は、県全体の五三%を占めております。特に殺人、強盗といった凶悪犯だけを見てみますと、市内の数は県全体の約六〇%であります。こういった意味で、犯罪の質、量ともに悪化している和歌山市の治安情勢が県全体の数値を押し上げており、大きく影響を与えているところであります。
警察の責任が大変大きいわけでありますけれども、私どもといたしましては、警察署の管轄区域の見直しとか、犯罪多発地域への警察力のパワーシフトなどの体制強化等を図ってきてはおりますが、なかなか効果があらわれていないのであります。一般的に見ると、治安や安全に関する市民の皆さん方の関心が必ずしも高くないこと、そしてまた地域社会における連帯意識がだんだん希薄になってきていることなど、警察にとっては捜査を取り巻く環境が悪化してきておりまして、結果的に犯罪の増加に見合った十分な対応ができていないというのが実情であります。
治安対策の原点といいますか最も重要なことは、犯罪が発生してから、捜査し、早期に犯人をとらえ、事件を解決するというのが警察の責務でありますが、その前に犯罪の発生をいかに抑止するかということが重要であります。ご承知のとおり、犯罪の未然防止は警察の努力だけでは限界があり、実現が難しいわけであります。県や各自治体、ボランティア団体などによる県民総ぐるみのきめ細かな対策を今後展開していくことが重要であろうと思います。
まず、県民の皆さん方に対しましては、かぎかけとか、お隣同士の声かけといった、だれにでもできる自主的な活動を地道に実践していただけるように呼びかけてまいりたいと思います。また、県や自治体との連携をさらに強化しまして、町を明るくし、死角を解消するなど、犯罪の発生しにくい町づくりに向けた働きかけを強めてまいりたいと考えております。
次に、少年非行の現状と対策についてであります。
少年非行につきましても、非常に厳しい情勢であります。全国的にも、現在は戦後第四の上昇局面にあると言われております。現在の特徴は、いきなり型の凶悪、粗暴な非行が多発しており、非常に深刻化しておるわけであります。本県について見てみましても、昨年中、飲酒や喫煙で補導された少年まで含めますと、補導された少年の数は一万七千人余りでありまして、これまた人口比に換算すると全国ワースト六位であります。特に和歌山市内の少年非行は、県全体の約半数を占めておるわけであります。強盗などの凶悪な犯罪、シンナー等の薬物乱用だけを取り出してみると、県全体の約八〇%が和歌山市内であります。
内容的にも、二つほど紹介しますと、これはことしの検挙事例でありますが、中学生を含む少年だけのグループによる常態的なひったくり、覚せい剤使用の事件、女子中学生グループによる連続恐喝事件など、悪質、粗暴化してきております。その多くが和歌山駅周辺などの繁華街で発生しているところであります。警察におきましては、街頭補導活動の強化でありますとか、高校や中学校における薬物乱用防止教室を開催するなど対策を進めてきておるのでありますが、やはり何と申しましても重要なのは家庭や地域における非行を抑止する機能でありまして、この点十分に機能しておるのかどうかについて危惧を抱いているところであります。
その一例でありますけれども、街頭などでたばこを吸っている少年がいても無関心で見過ごしてしまいがちになっているといったことが実態ではないかと思うのであります。
今後、警察といたしましても、学校、少年センター等の関係機関、団体との連携のもとに、非行の少年には必ず一声をかけ、非行を見過ごさないといった、環境づくりに向けた積極的な活動を強めてまいりたいと考えております。
三点目の、和歌山駅・アロチ周辺の環境浄化を考える会の開催に至った経緯と今後の取り組みでありますけれども、既に申し上げましたとおり、県内の治安は非常に厳しい状況にあり、中でも和歌山駅、新内周辺は治安上のさまざまな問題、課題が凝縮された地域であります。申し上げるまでもなく、治安維持、安全確保の第一義責任は警察にあるわけでありますから、警察といたしましても、この地域の環境浄化をこれまで最重要課題として取り上げ、努力を重ねてきたところでありますけれども、残念ながらこの状況の悪化に歯どめがかからないまま今日に至ったということであります。
そこで、私どもの環境浄化に対する熱い思いを、地域の方々を初め、自治体、関係機関、団体の方々に広くご理解をいただいて機運の盛り上がりを図り、それぞれの持てる力を結集した取り組みが必要不可欠と考えまして、警察が出過ぎるのではないかといったご批判を覚悟の上で、あえて警察が事務局を務めまして、各界の代表の方々のご出席を得て考える会の開催に至ったわけであります。
考える会の席上では、ご出席をいただいた関係者の方々から実に多くの具体的な提言をいただきました。例えば和歌山市からは、地域安全推進条例の制定予定とか、安全で明るい町づくりのための取り組み強化など、非常に具体的な提言をいただきました。少年非行防止対策や犯罪抑止対策に係る大きな七項目について決議をいたしまして、今後、出席者全員が力を合わせて安全で快適な町づくりを推進することを申し合わせたものであります。
今後の取り組みでございますけれども、新たに設置を予定しております協議会を通じて、関係者相互の連携を密にしながら進めていくことといたしておりますので、ご理解とご支援をお願いいたしたいと存じます。
それから、犯罪被害者支援についてのご質問であります。
まず一点目の和歌山県被害者対策連絡協議会でありますが、議員もご指摘のとおり、本県における被害者支援の取り組みは全国的に見てもかなり進んでおります。この協議会も、全国で七番目に結成されたものであります。その構成員は、県、自治体、弁護士会、臨床心理士会等、実に十七の機関、団体に及んでおります。その活動状況でありますけれども、この協議会は申しますならば場でありまして、この場を通じて多くの会員相互の連絡が行われ、連携が図られております。また、この協議会を舞台に、よりよき被害者支援のあり方についての討議や研究が行われているわけであります。
昨年のカレー毒物混入事件に際しましては、発生直後の八月十日に緊急会議を開きまして、会員がそれぞれ行うべき支援策についての調整を行った上で、直ちに各会員が被害者からの各種相談に対応するなどの活動を行ったところであります。
現在の活動状況と今後の取り組みですけれども、この協議会はおおむね年に一回、会員一同が顔を合わせて、それぞれの分野で行うべきよりよい支援方策について意見交換等を行っているところであります。
今後の課題としては二つあるんですけれども、一つはその連絡窓口が必ずしも明確でないということで、これが明確でないとその要請、要望になかなかこたえづらいというところがあります。そこで、連絡窓口をより明確化したいということが一つであります。さらにもう一つですが、新たに会員として医師会の加入を求めるなど、会員の拡大を進めてまいりたいと考えております。
次に、地域ネットワークの構築状況についてであります。
有効な被害者支援を行うためには、被害者の生活の場におけるきめ細かな支援が極めて重要であります。このため、先ほど申し上げました県の協議会のもとに地域ごとのネットワークの構築が必要とされているわけであります。これまでに、橋本、妙寺、岩出、海南、田辺、白浜及び新宮の各警察署管内をカバーする五つの地域でネットワークができております。残りの地域におきましても、関係する警察署を中心として設置準備を進めているところであります。
二点目の紀の国被害者支援センターについてでありますが、この支援センターはボランティアの方々から成る民間組織でありまして、先ほど申しました県の協議会の会員でもあります。この支援センターでは、ボランティアの人たちがいろいろな被害者から直接相談を受けるなどの現場活動に当たっておられます。昨年のカレー事件では、これらのボランティアの方々が被害現場に直接出向きまして、心の相談に関する資料等を各家庭に配布されたところでもあります。また現在も、このカレー事件の被害者のために、カレー事件の公判の傍聴席を確保するなどの支援を続けているところであります。
ちなみに支援センターでの相談件数でありますが、設立当初は年間約七十件であったのが、ことしは十一月末で百五件と徐々にふえてきております。このセンターの活動日数、活動時間についてでございますが、設立当初は週三日でありましたけれども、カレー事件を契機として平日は毎日相談業務が行われるようになってきております。ボランティアの方々は総勢三十二名でありますけれども、大変よくやっていただいていると考えております。
運営時間についてご指摘がありましたけれども、相談員は現在三十二名と人数が限られているほか、すべてボランティアということで時間的な制約もあります。また活動経費の問題もございまして、時間延長に苦慮しておると聞いております。
警察といたしましては、これまでも財政面でいろんな寄附を募ってお届けするとか、研修会への講師派遣、関係資料の提供等を行ってまいりましたけれども、運営時間の延長のためには相談員の拡充と活動経費の確保が最も重要であろうと思います。センターを財政面から支援すべき賛助会員は、現在、個人、団体合わせて百八十四でありますが、今後会員の拡充を図るなど、財政面の支援をさらに強化していきたいと考えております。加えて、ボランティア相談員の募集広報について、警察としては交番や駐在所のミニ広報紙を積極的に活用するなど、効果的な支援を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(下川俊樹君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
十七番谷本龍哉君。
○谷本龍哉君 非常に丁寧な答弁、どうもありがとうございました。
二点ほど、要望だけ言わせていただきたいと思います。
まず、治安問題と犯罪被害者、両方まとめてでございますが、今、年二万件の犯罪ということは、それは見えている部分だけですので、それ以上の犯罪が潜在的にある。ということは、これに対して被害者が二万人以上、毎年新たに生まれているということでございます。単純計算ですけれども、これをもし五年続けますと十万人以上、和歌山県の十人に一人が五年間で犯罪に遭うということで、県民一人一人にとって他人事ではない状況であると思います。
ですから、警察のみならず、県市協調しながら、また各種団体との連携を強化していただいて、検挙率を上げるというのも大切ではあると思いますが、とにかく全体数を少なくするという点に重点的に取り組んでいただきたいと思います。
また、紀の国被害者支援センターの問題ですが、ボランティアの活動でございますので、支援という形にもいろいろ限界があると思います。
先日、センターにお伺いしていろいろな話をさせていただいた中で、一生懸命やっているんだけれども、そういう被害者支援の機関があるということを県民の皆様がまだよく知らない。もしこれをみんながわかればもっと相談件数がふえるであろうし、協力してくださるボランティアの方々ももっとふえるであろう。その点について特に広報の問題について重点的に協力していただきたいと要望したいと思います。
それと、産業廃棄物の公共関与に関する問題です。
福祉環境委員会の方で岩手県へ視察に行ってまいりましたが、岩手県の場合、平成三年に財団法人クリーン岩手事業団を設立しまして、七年には完全管理型の最終処分場を備えた産業廃棄物処理施設を完成しております。これは、全国で初だということです。産業廃棄物の問題は検討中ということですが、待ったなしの状況に今あると思いますので、できるだけ早く期限を切って検討をいただいて結論を出していただきたいと要望いたします。
以上です。
○議長(下川俊樹君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で谷本龍哉君の質問が終了いたしました。