平成11年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(原 日出夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十八番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 お許しを得ましたので、通告に基づき、質問させていただきます。
 まず冒頭、会派を代表して、二期目当選を果たされました西口勇知事に心よりお喜び申し上げます。財政運営プログラムが示すように県財政が大変厳しい中、不要不急のものへの決断、輝く和歌山実現のために何かと心労が大きいと思います。健康に留意されて、県民のためにご尽力くださいますようお願い申し上げます。
 さて、第一点の梅の立ち枯れに関する質問ですが、初日に既に三名の議員から幾つかの質問がなされて、県当局の見解が示されました。とりわけ、うめ研究センターの要望に対し知事が積極的な答弁をなされ、梅原因究明にかける二期目知事の決意とその努力に心から感謝する次第です。
 坂本議員並びに高田議員とダブる部分がありますが、私の場合、少し観点を変えて臨みたいと思いますし、原因解明のために行政と力を合わせてやりたいという気持ちを、まず述べておきたいと思います。
 和歌山県の唯一の基幹産業である梅産業は、今大きな岐路に立たされています。梅の立ち枯れは、量的にも面積も、また地域的にも拡大をしています。田辺では累積するともう既に八万二千本、南部川では七万六千本、上富田では四百四十本と、梅産地は危機的な状況になっています。生産農家は、それぞれ被害の差こそあれ、この状況を深刻に受けとめています。もう梅づくりで生活できなくなってしまい、生産意欲を失ってしまった人たち、転作をしても何をしていくのか自信が持てない、借入金の返済をどうするのか、立ち枯れ対策で原因がわからないのに、これ以上樹勢を回復させるということでの改植、土壌改良の大量の肥料にお金を出すことはできないし、直る見込みがないのにこれ以上という声が出てきております。生産現場では、一体どうしたらよいのか、それでも何とか少しでも延命策をということで努力されている方もたくさんおられますが、それももうやりきれない気持ちを発散させている状況です。
 行政、JA、個々の生産農家は、梅立ち枯れ原因解明の対策と実践を、昭和六十一年に発生してから、田辺市が平成三年から調査を開始し、平成四年からは、田辺市、JAを中心に、県暖地園芸センター、普及所の協力で梅病害虫特別対策委員会、梅生育障害対策研究会、県は県うめ対策研究会を組織し、研究してきました。しかし、田辺市をスタートに研究してから既に七年を経過するも、その原因がつかめないし、年々その被害が拡大しているのが現状です。
 そこで私は、今まで研究してきた研究体制、研究内容、実証試験の手法を根本的に検討する大切な時期に来ていると考えます。したがって、県の現状の考え方、手法の問題点を指摘し、この点を改めない限り原因解明への道が開けないと考えます。
 農林水産部みかん園芸課がまとめた梅生育不良対策に関する試験研究成果の文書は、現場や生産農家、JA、関係者の実践している事実と相反することの方が多くあり、この文書は撤回して三月末のまとめの段階で作成し直すべきだと考えます。この成果発表たる文書を平成十年十一月に中間報告としてまとめ、十一年五月に説明して以降、日高、田辺地域でこの原因分析と指導は、生産農家、実証園そのものに適応せず、逆に反発を食らい、受け入れられなかったにもかかわらず、これに固執し続け、さらに実証園で成果を上げているという報告は許しがたいことです。高田議員の再質問で若干の反省があったと思いますが、現状を知らない人にとったら県の方針がいかにも正しいかの錯覚をし、生産農家が努力していないのではないかと考えられるのです。これらの事実について、知事がまず現状を正しく認識してほしいと思います。いまだに原因解明できない状況と、梅の生産を守り生産農家の生活を守るために、知事の所見をまずお伺いしたいと思います。
 そこで私は、県行政の今までの取り組みの問題を指摘し、今後の解明への課題を提言したいと考えます。
 一つは、中間報告、マニュアルの方針は、実証試験をしてきたが原因解明や根本的な樹勢回復に至らなかったことを素直に認めるべきだと思うが、どうでしょうか。そうでなく、あくまで先ほどの研究成果を当局が主張するなら、お互いに公開討論をし、現場できちっと論議をしようではありませんか。いかがでしょうか、農林水産部長。
 二つ目は、これは知事に生産現場の実態を知ってもらいたいからでございます。この反省に立って、九月議会の補正で、実証園試験を実施するに当たり、今までと同じ栽培管理だけでなく、新しい内容を入れる必要があると考えます。南部、南部川の実証園については、園地選定を済ませ、現在地元と内容調整が行われておりますが、今までの総括をして、何が問題で、これから何をするのかを示すことが今求められています。田辺では、難航しながらも、地元からの幾つかの新しい実証試験を加えることで何とかスタートできそうな状況と聞いています。実証園試験の方針と内容を示されたい。農林水産部長にお尋ねします。
 三つ目は、上富田町、中辺路町にも被害が広がっていますが、県は上富田町で発生している立ち枯れの症状をキクイムシ、紋羽病とし、中辺路町ではモニリア病だとかで病害虫防除を指導している。発生している現場での農家の専門家の調査によると、根、枝、葉の枯れは、木が弱り枯れたところに発生したことが確認されています。これは、既に南部川、田辺で、糸状菌の発生は衰弱した木に付着することが証明されているにもかかわらず、現象面だけをとらえて指導していることに、どう考えておられるのか疑問を持つところであります。
 以上の点から見ても、七年間の苦労の中で幾つもの研究、実証をしても解明されない中で、県関係者の発言や指導は厳に反省するべき点があると考えます。
 そこで、今必要な調査は何か。七年間の調査で一つ一つ研究実証し、いろんな角度から研究され、消去法でいくと、大気と立ち枯れの分野が専門的に深く研究されていない。この大気と立ち枯れは、歴史的にも世界の各国、最近の日本列島のすべての地域で森林の立ち枯れの実態が発表され、大気、酸性雨と立ち枯れが証明されています。歴史的に見ると、一八七〇年代からイギリスのロンドンから始まった石炭火力発電所からの公害は、ヨーロッパ、アメリカと広がり、日本では昭和四十年代に四日市ぜんそく等の公害問題が発生しています。
 その中から教訓を得たことは、一つは、化石燃料による森林や健康への被害。初期段階では生態系への広範な影響、広域的な被害という特徴と、これらは歴史的に住民側の反対運動、企業側の抵抗という現在の環境問題の基本的な構造としてとらえられてきています。
 二つ目は、環境庁は、酸性雨は化石燃料により生ずる硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)などの酸性雨原因物質から生成した硫黄や硝酸が溶解した酸性の強い、pHの低い雨のこととされてきました。しかし現在では、酸性の強い霧や雪、もちろん露や雨も含めてですが、晴れた日でも風に乗って沈着する粒子状あるいはガス状の酸を合わせたものとされてきています。土壌が酸性化して森林などへの影響を与えること、また直接樹木や文化財に沈着することにより、これらの衰退や崩壊を助長することなどの広範な影響が懸念されております。酸性雨が早くから問題になっている欧米においては、酸性雨によると考えられる湖沼の酸性化や森林の衰退等が報告されているし、原因不明の樹木衰退が環境庁の第二次調査に引き続き確認されるとともに、酸性雨による影響が生じていると報告されております。
 そこで、環境庁や世界各国、日本列島が示すこういう樹木の衰退と、私たち紀南の現場からの実際の状況との比較を当局に考えていただきたいと思います。
 一つは、生産農家からの素直な見解であります。毎日、空と土と木を見詰めてきた農家の生活から見た梅の立ち枯れの原因は、六十一年ごろから黒い霧が立ち込める日が多くあった、アサガオの花に斑点が見られた、ビニールハウスがすすで真っ黒になった等、今までにないことが農家で見られた。梅枯れも桜枯れも御坊発電所の操業以降発生したものであり、それ以前には今のような枯れ方は全くなかった。ことしは急性枯れが多いというが、これは前年まで見かけ上正常そうに見えていただけで、樹体内や根の減少など不可視的な異常はあった。これは、人間の花粉症と同じで、個々の容量が蓄積され、耐え切れなくなって発病するのと同じ現象ではないかと思われます。今までの百五園の調査、平成十年の五百二十九園の調査では、土の母材いわゆる質の違いによって発生数の差はない。つまり、梅産地ではどこでも発生する可能性があり、早いか遅いかの差だけではないでしょうか。栽培管理方法、造成方法、傾斜、収穫時期、方法、除草剤など、どれをとっても明確な差が見られない中での発生である。梅立ち枯れは、いつ、どこから発生したか、どのように広がっていったのか、なぜ枯れ出したのか、これらの生産農家の素直な思いについて当局はどのように考えられていますか、いま一度お答え願いたいと思います。
 これらの状況からしても、県当局は今後、大気と立ち枯れ原因解明の調査に全力を挙げて取り組むことが強く求められていると思いますが、いかがでしょうか。
 これは、何も難しいことではありません。私が一人言っているのではありません。県自身が農作物の大気環境保全対策試験で昭和五十五年から六十年度にかけて調査しているその調査目的の中に、こう示されております。「御坊火力発電所の稼働による大気環境の影響予測によると、発電所を起点として半径十四キロメートルから二十四キロメートル付近が、亜硫酸ガス、窒素酸化物、浮遊ばいじんの最大着地点となり、その影響は十六市町村の地域におよぶことになる。(中略)これらの農作物について、現状の環境影響予測から判断すれば、直接の影響は考えられないものの、硫黄酸化物等の恒常的な排出により、土壌の酸性化を始めとして、農作物等に対する低濃度汚染の慢性影響、特に作物体への蓄積による不可視的作用、散布農薬との関連性等未解決な問題が多い。 本試験は御坊火力発電所の稼働に伴う農業地帯の大気環境の変化並びに作物への影響等を追跡調査するとともに基礎試験等も併せて行ない、その対策に必要な資料を整備しようとするものである」というふうに、県自身が昭和五十五年から調査する基本的な考え方を明らかにしているわけです。このことを踏まえていたにもかかわらず、それ以降、研究内容を栽培管理の面を中心の調査に移したことは、私たちには県当局が故意に関西電力の影響からの視点を変えたとしか思えないわけであります。関西電力から排出されるすべての物質と梅の立ち枯れの試験をすることによってこそ科学的に実証されると考えます。
 以下のテーマを提言します。
 この視点を避けるとしたら、県として他に何を調査すればよいと考えているのでしょうか。今、不思議な現象が起こっている事実があります。実証園のハウスの中の梅の木で窒素酸化物やオゾンの暴露試験をしているその木が、当初弱っていたが最近は成長がよく、隣の外の木が衰弱している実態があります。ハウスの中の方が成長がよいという現象があらわれていることであります。これは、まさしくばいじん(SPM)の調査がどうしても必要であるということの実証ではないでしょうか。しかも、SPMが水、つまり露や霧と融合すると葉面へどう影響するか、これが中心的な研究になると考えているわけであります。
 そこで私は、研究テーマとして次の以下六項を提案したいと思います。
 一つ目は、排煙の風向調査を正確にやってほしい。二つ目は、NOx、SOx、SPM──とりわけ第一火電はSPMを除去する脱硫装置が現在稼働していません。そのばいじんが蓄積されていないかどうかの調査。三つ目は、大気汚染物質と暴露試験。四つ目は、酸性雨、とりわけ露や霧のpHと梅枯れとの関係。五つ目は、大気汚染物質、とりわけSPMの葉面、気孔への影響と、その暴露試験は物質と霧、露という自然界の状況に適した実験をする。六つ目は、県がやろうとしている樹体、年輪解析。こういった総合的な、今まで手をつけられていないこの六つの項目の調査に積極的に入るべきではないかということをご提案申し上げたいと思います。
 最後に、次の問題は既に梅の関係で前回質問したことですので、要望に変えたいと思います。
 御坊第二火力発電所埋め立てゴーサインに関連してであります。
 一つは、梅立ち枯れの原因がいまだにつかめず、先ほど質問したように、今までの方針では解明できない状況で、また県としてこれからの確固たる方針を示さない中での埋め立てゴーサインは、梅生産農家と関係者を逆なですることにならないでしょうか。第二火電建設をめぐって、私たちは現在の第一火電への要望をして、県、関西電力と約束しました。それは、既設御坊発電所の大気汚染物質削減対策について脱硫装置を設置すること、また最高水準の脱硝、集じん装置を設置することという地元要望に対し、硫黄酸化物対策では三号機に脱硫装置を設置する、これにより御坊発電所総合の硫黄酸化物の排出量を三〇%削減する、また窒素酸化物対策では脱硝装置の設備改善により窒素酸化物の排出量を二〇%削減することや、ばいじん対策で電気集じん機の設備改善により、ばいじんの排出量を三三%削減することなど約束してまいりました。このことについては、昨日の坂本議員の質問に対する答弁で、関西電力との約束で既に工事も着工していると聞きましたが、最終的に脱硫装置が完了するまで、県は関電に対して指導監督されることを、ここに強く要望しておきます。
 次に、私たち生産農家、JA、加工業者が、市民の五万四千名の署名を集めた「梅生産業を守れ」の声は、一点目の、今言いました第一火電の改善と御坊第二火電が稼働されれば、少なくとも大気、火電の排煙という疑問がいまだ解決されていないとき、これから三年間は最低大気と立ち枯れの調査研究が必要とされているのに、せめて「待ってほしい」の声に耳を傾けてほしかったと考えております。御坊第二火電のオリマルジョンの化石燃料の排出物質は、脱硫・脱硝装置をつけても、第一火電の硫黄酸化物、窒素酸化物、ばいじんは三から五倍の量が拡散投下されることは科学的に証明されているし、関電も認めているとともに、環境庁からも改善要望として指摘されているところです。その改善の具体策がいまだ示されないまま先行して進めることへの疑問が住民として残るのは当然ではないでしょうか。
 ここで知事に、第一点、環境庁は二十世紀の公害の歴史の中で、二十一世紀への環境問題について、その総括と今後のあり方を述べていることを教訓にしていただきたい。
 第二点は、石原東京都知事の公害への裁断の行動についてでありますが、改善しない限りディーゼル車の東京都内への乗り入れをさせないというような強固な態度。
 第三点は、世界と日本の二十一世紀の電力エネルギーへの方向が、地球温暖化防止と人類の生存と地球をテーマに大きく化石燃料から脱皮して進められていることを新たに認識してほしい。
 第四点は、和歌山県が二十一世紀を迎えるに当たって、化石燃料をエネルギーとする電源開発を、企業にとって安い原料で利益を追求する企業経営を奨励することにはならないか。和歌山県が、県内消費量の三倍を移出する県として存在することは、国際的にも化石燃料をやめるべく圧力と世論がある中での、まさに日本の中の後進県としての汚名を受けることにはならないか。環境庁が示す産業活動でのエネルギーの指針とも逆行すると考えているわけであります。私たちが、この第二火電を初め化石燃料にこれから同意すればするほど、時代の方向にくさびを打ち、企業努力や通産省の方向が思い切ったエネルギー政策転換を示す方向に進むのに足を引っ張ることにならないかと考えるわけであります。これに対しては答弁というよりも、知事に対して、二十一世紀の日本の社会の進むべき方向と化石燃料による電源開発に対して私の見解を述べておきますし、今後ともこの論議のために提言をしておきたいと思うわけであります。
 次に、大きな二つ目として梅産業振興のための県の政策方針を示されたい。
 第一は、梅立ち枯れがこの状態で進むなら紀州梅生産のブランド商品が危機的状況になります。そのためには、第一に、立ち枯れ園への対策に対して根本的にどう手だてをするのか、部分的改植手法では解決できないのではないか。
 第二は、生産を落とさないための新たな改革を考えているのか。今、生産地の人たちは、梅で生活するためにいろいろと模索を続けています。当局もご存じでしょうが、田辺の生産農家では日置川、すさみへと生産地を広げていますが、さらには最近では三重県御浜町の国営パイロットからの誘いが来ています。三重県では、県の政策として梅の生産地において積極的に取り組まれている現状であります。和歌山県の梅産業は、今まで農協、生産農家、梅加工業者にゆだねる傾向でした。今はその段階ではなく、和歌山県として梅産業政策をきちんと確立する方針を立てる時期に来ていると思いますが、いかがでしょうか。
 続いて、紀州梅ブランドを守るための原料原産地表示の取り組みについては、既に一昨日、木下議員から質問があり、当局の答弁もその対策に積極的に取り組まれることが示されたので、よろしくお願いしたいと思います。
 梅加工の振興については、今抱えている課題に絞って問題提起をしたいと思います。
 梅干しの加工食品は、消費者のニーズにこたえ、年々商品の多様化が進んでいます。そんな中で、梅干し食品そのものの信頼を維持していくために、食品加工場の衛生管理、廃棄物処理対策、PL法問題、海外原料使用時の表示の問題、新しい梅加工品の開発など課題を抱えています。とりわけ梅干しの需要が高まるにつれ、製造、販売業者も急激に増加し、現在組合員は七十八社に対し、非組合員は約二百五十社に及んでいると聞いています。梅食品は、今高度な安全性が求められてきている中で、梅干し加工場での衛生基準設定の必要性がますます重要になってきています。また、海外原料を使用しながら「紀州南高梅」等の紛らわしい表示が出回って、紀州梅のブランドを脅かす事態が生じています。
 そこで県当局におかれては、一つ目は、本県産梅ブランドを高めるため梅加工研究の取り組みの強化についてどうか。
 二つ目は、梅加工業者に対する衛生管理指導の強化はどうか。
 三つ目は、梅加工業者に対する廃水と廃棄物処理の指導の強化についてはどうか。
 以上の点についての考えをお聞きします。
 梅消費拡大についてでありますが、一つだけ提案をしておきたいと思います。
 和歌山県紀州梅干しブランドを全国に情報発信するために、統一PR企画をつくってはどうでしょうか。テレビコマーシャル、インターネット、そのためには行政、加工業者、農協と一体となってPR作戦協議会を組織するなどして取り組んではいかがでしょうか、問題提起したいと思います。
 次に最後の問題ですが、先ほど向井議員が述べられて、私もまだ勉強不足ですので、これから勉強しながら問題提起をしていきたいと思います。
 和歌山県の策定したごみ処理広域化計画ですが、私も何回か読ませていただきました。この問題点と、現在抱えている産業廃棄物最終処分場建設についての質問をいたします。
 県の作成した計画書は、ダイオキシン対策として、大型焼却炉日量百トンの処理施設に集約化を図るため、県下七ブロックに設定してごみを処理していく方針を決めています。後で述べる国の全体の動き、つまりごみを減量する循環型社会の構築を目指すとともに、循環型社会に対応する廃棄物処理施設のあり方が今模索されているのです。したがって、私はこれをテーマにして、県の計画書が基本的なごみ減量を柱にした方針になっていないことから、計画書を見直し、行政、民間業者、県民の三者で県下のごみ減量を柱とした指針を早期に立てる必要があるという立場から問題提起をしたいと考えます。
 政府は、ダイオキシン対策関係閣僚会議を開き、一般ごみと産業廃棄物のそれぞれについて、埋め立てる最終処分量を二〇一〇年度までに一九九六年度の半分に削減するとしたごみ減量化目標を設定しました。これは、国として定めたのは初めてのことです。それほど環境問題が深刻であるからです。目標数値の考えの基本は、循環型社会づくりを目指し、ごみの排出抑制とリサイクルを徹底し、再生利用できないごみについて脱水などの中間処理を行って、最終的に埋め立てごみを減らすということで設定されています。一般ごみについては、国内総生産(GDP)の成長率年二%を見込むとして、このまま対策を講じない場合、一般ごみの排出量は二〇一〇年には一割ふえるとされています。そのための減量化目標として、一つは使い捨て製品や過剰包装の自粛、二つはリターナブル容器の活用や家電など耐久消費財の長期使用、三つは家庭ごみの有料化など経済的措置の活用等の施策により、一般ごみの排出量を一九九六年度五千三百万トンに比して五%減の五千万トンに減らすとしています。さらには、二〇〇〇年度に完全施行される容器包装リサイクル法の徹底で、排出総量に占めるリサイクルの割合を二四%に上昇させ、再生利用量を一千二百万トンと大幅にふやすとしています。再利用の取り組みとしては、生ごみの堆肥や肥料としての活用、新聞用紙などの古紙利用率の引き上げ、焼却灰などの溶融固化の推進、粗大ごみ処理施設などでの金属回収の推進などを示し、ごみの最終処分量を六百五十万トンにまで削減するとしています。
 産業廃棄物についても、このままでいけば二〇一〇年には一九九六年を基準にすると一七%増加になると言っています。排出総量を、九六年度四億二千六百万トンに比べて一三%増の四億八千万トンに抑制するとしています。汚泥なども、脱水を初めとする中間処理を徹底して最終処分量を減らす、排出された産業廃棄物のリサイクル率もアップさせるため、九六年度は排出総量の四二%、一億八千百万トンを再利用したが、二〇一〇年にはこれを四八%に高め、二億三千二百万トンを再生利用計画するとしています。具体的な再生利用として、汚泥を堆肥や建設資材、セメント原料などに活用する、動物ふん尿を堆肥化して農業に活用する、瓦れき類を路盤材や再生アスファルトなどに活用する、鉱滓を路盤材やセメント原料、骨材などに活用するとして、埋立量を三千百万トンにまで削減するとしています。
 そこで、県当局に以下ご質問します。
 一つは、県下で七ブロック設定されているが、国の指針に基づき、広域ブロック別の一般廃棄物処理基本計画を策定することがまず先決と考えます。もう一つは、ごみ減量をするための具体的施策、とりわけ分別収集の統一を基本として統一期処理施設の建設、ごみ減量のためのリサイクル計画とリサイクルプラザ、中間処理施設について県が積極的な指導的役割を果たすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 産業廃棄物に関連して、最終処分場については、一般、産廃を問わず、その確保が困難をきわめる中、広域ブロックにこだわることなく、県が主体性を発揮して、県下の南部地域に一カ所、一般、産廃の別なく統合された管理型最終処分場を建設することが合理的ではないでしょうか。廃棄物処理法改正の今後の方向の中で、また実際に日本経済新聞の十二月一日付では、向井議員が言われていたように、産業廃棄物処分場の最近の動きにおいて、新規受け入れ可能量の現状からいきますと一・六年しかもたないと先ごろ厚生省が発表した。今のままだと、二年ぐらいしか全国で日本の産廃を捨てる最終処分場の期限がないということも言われております。それから、このままでは産廃の処分場が次々に満杯になり、経済活動を続けようとすれば廃棄物を不法投棄するしかなくなる、処分場不足を背景に既に産廃の処理料金が値上がりしており、警察庁によれば不法投棄の検挙件数も九八年度から急速に増大している、民間業者による施設の建設が事実上不可能になっている以上、都道府県は緊急対策としてかねて求められているように、みずからが第三セクター方式などで施設建設に公共的関与をすべきではないかということを述べているわけでありますが、産業廃棄物最終処分場の建設に関して、県の積極的な公共関与が今強く求められていると思いますが、その見解をお願いしたいと思います。
 次に、環境問題が二十一世紀の最重要課題として、循環型社会の目標を目指し、先ほど述べたように、国は廃棄物処理法を毎年のように厳しく改正し、排出責任と罰則も強化されてきています。新たな法律も、来年四月から施行される容器包装リサイクル法、二〇〇一年に施行される家電リサイクル法、農林水産省の食品廃棄物リサイクル法、通産省の建築解体物リサイクル法、環境庁も環境省発足を視野に環境行政の観点で廃棄物対策を検討しています。このように、国の各省から出される法律が、一般事業者はもちろん、市町村、県民にとっても十分理解しにくい面があります。
 県においては、今日的重要課題である循環型社会を目指すリサイクルシステムの確立が急がれています。ただ単にごみを処理するという廃棄物行政から、中小企業の育成の観点も踏まえ、総合環境行政の推進を図る意味からも、第一に県行政の整備が必要であり、とりわけ担当部課の充実、行政内の横断的指導と責任体制の確立が求められていますが、見解を伺いたいと思います。
 第一回目の質問を終わります。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事西口 勇君。
  〔西口 勇君、登壇〕
○知事(西口 勇君) 原議員にお答えをいたします。
 最初に、会派を代表してのご祝辞ありがとうございました。
 梅問題についてでありますが、議員ご指摘のように、依然として生育不良が拡大してございます。特に本年は、急激な発生が認められるなど非常に厳しい状況にあることは十分承知をしておりまして、この問題の重大さを痛感しているところでございます。
 私は、さきにも申し上げましたけれども、第二期県政においてこの梅問題を最重要課題として位置づけておりまして、地元の実情を十分把握し、地域梅対策協議会を初め市町村、農協等関係機関との連携をより緊密にしながら、生理生態面を含めた試験研究及び普及体制の一層の強化を図ってまいりたいと考えてございます。
 また国に対しましても、十二年度予算要望として指定試験事業の充実や補助事業での産地整備の支援をお願いしてございまして、その確保に努めるなど、問題の早期解決に向けて最善の努力をしてまいる所存でございます。
 いずれにいたしましても、農家の方々の不安を解消できるよう懸命に取り組み、梅産地の活性化を図ってまいりたいと存じております。 他のご提言は、心して承っておきます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 原日出夫議員の梅の立ち枯れ問題に関しての幾つかの質問にお答え申し上げます。
 まず、梅の立ち枯れの現状とこれまでの対策の問題点についてでございます。
 梅の生育不良の現状についてでございますが、依然として地域的にも拡大し、発生本数が急増している現状を厳しく受けとめてございまして、農家の方々の心情も十分承知してございます。
 これまでの試験研究については、暖地園芸センターを中心として、地域農業改良普及センター等との連携を図りながら懸命に取り組んできたところでございます。現段階では原因の特定には至っておりませんが、これまでの試験研究や現地実証の中で一部成果も見られてございます。こうした成果をもとに、現時点で対応できるものから少しでも早く取り組みを進めたいとの考え方から、園地規模を拡大し、現地の実情に応じた栽培管理技術を組み合わせる総合実証園に取り組んだところでございます。その実施に当たりましては農家の方々の協力が不可欠でありますので、現在、地域の梅対策協議会の皆さんと市町村、農協等関係機関を交え、個々の園地条件に応じた対策内容等を検討しておりまして、合意を得られたものから取り組みを始めているところでございます。今後、試験研究等で得られた新たな成果につきましても、随時、総合実証園の対策内容に盛り込んでまいりたいと考えてございます。
 次に今後の原因解明についてですが、試験研究の取り組みといたしましては、生理生態面での研究や優良台木の探索など、これまでの調査研究を一層充実するとともに、大気環境面では土壌と梅樹体内の成分比較など調査可能な研究課題について、新たに取り組む方向で検討を進めてございます。また、こうした研究課題を円滑に推進するため、引き続き専門家の適切な指導、助言を得られる体制づくりを考えてまいりたいと存じます。
 いずれにいたしましても、生育不良の問題は県農業の緊急かつ重要な課題でありますので、今後とも農家の方々を初め関係機関との連携を一層緊密にしながら、大気環境など各般にわたるデータの蓄積に努めるとともに、総合実証園等の諸施策の充実を図るなど、問題解決に向けてより積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、梅生産日本一の継続発展についてでございます。
 梅につきましては、日高、西牟婁地域はもとより、本県農業の基幹品目であり、重要な産業であると考えてございます。しかしながら、梅産地の現状は急傾斜地での栽培が多く、樹齢の進んだ園も見受けられ、一方では担い手の高齢化など克服すべき課題も多くございます。こうした課題を解決するため、県といたしましては、園内作業道の整備や老木園の改植による園地の若返り、高品質安定生産を図るための防霜ファン、スプリンクラー等機械施設の整備や農地開発など各種施策を活用しながら、産地の体質強化を図っているところでございます。
 今後、生育不良の早期原因究明と対策の確立はもとより、働きやすい基盤づくりや消費者ニーズに対応した新品種の探索・育成、省力化栽培技術の開発・普及を進めるとともに、あすの梅産地を担う若い後継者づくりにも努め、日本一の産地のさらなる発展を図ってまいりたいと存じます。
 次に、梅産業振興のための県の政策方針でございます。
 まず梅加工の振興についてでございますが、梅産業は地域の基幹産業として生産から加工、販売の一貫した体制が確立されておりますが、将来を展望したとき、加工の研究や施設の整備を図ることは重要であると考えてございます。
 梅加工の研究につきましては、現在県では工業技術センターにおいて、機能性成分についての研究や低塩梅干しの保存技術等の基礎研究に取り組むとともに、県からも出資している社団法人和歌山県農産物加工研究所において梅ウオーター等の新商品の開発もなされているところであります。県といたしましては、こうした加工開発への取り組みを支援し、食品加工の振興に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に梅干し加工場の衛生面の整備についてでありますが、県では、消費者に安心して和歌山の梅干しを買っていただけるよう、関係部局において本年十一月から加工場の衛生管理の実態調査に着手しておりまして、その結果をもとに今後、衛生管理面での指導を行うと聞いてございます。
 また、梅加工業者から排出される調味廃液等廃棄物の処理については、中小の加工業者では産廃業者に委託して処理されておりますが、環境問題への意識が高まる中で、その有効利用を図ることが重要であると考えております。こうした中、田辺梅干協同組合等では調味廃液のリサイクルのモデルプラントを設置し、試験に取り組んでおりまして、現在のところ、処理コストや販路の確保等が課題と聞いてございます。
 今後、県といたしましては、関係部局の連携を図り、廃棄物の適正処理の一層の指導に努めるとともに、こうした資源リサイクルの実現に向け、地元市町村や団体を支援してまいりたいと考えてございます。
 次に梅消費拡大のための方針でございますが、梅においても消費者ニーズを踏まえた販売は重要であり、市場調査や商品開発、またPRといった、いわゆるマーケティング戦略が求められるところでございます。梅や梅干しにつきましては、民間の業者が加工、販売を行っており、企業みずからがマーケティングに取り組むのが基本と考えております。
 そこで県では、和歌山の梅ブランドを発展させる観点から、生産者団体や県漬物協同組合連合会と一体となって消費拡大に向け、高品質、健康に重点を置いたPRに取り組んできたところでございます。中でも、平成八年からは青梅に加えて梅干しのPRに対する助成を実施し、新幹線沿線への看板設置や大相撲大阪場所での優勝力士に対する紀州梅の提供なども行ってございます。今後とも、関係機関との連携に努めながら、本県産梅の消費拡大に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 生活文化部長大井 光君。
  〔大井 光君、登壇〕
○生活文化部長(大井 光君) 原議員ご質問の四点についてお答え申し上げます。
 まず一点目の、県下で七つのブロックが設定されているが、統一期処理施設建設に向けて県が果たすべき役割は何か、それと二点目の、ごみ減量に結びつく施設の充実にも県は積極的な役割を果たすべきではないか、この二点についてお答え申し上げます。
 現在、各ブロックでは協議会の設立や一般廃棄物処理基本計画の策定に向け、協議を進めているところでございます。県といたしましては、積極的に協議会に参加し、すべてのブロックができるだけ早期に計画を策定するよう指導するとともに、循環型社会の形成を目指して、議員のお話にもありますように、ごみ減量化のための高度な分別収集の統一、リサイクルプラザ、中間処理施設などの設置につきましても指導してまいりたいと考えてございます。
 次に三点目の、公共関与による最終処分場確保についてお答えいたします。
 産業廃棄物の最終処分場が紀中、紀南地域に不足していることにつきましては、認識しているところでございます。田辺地域におきましては、現在処分場建設について排出事業者処理責任の原則に立って、田辺商工会議所が中心となって先進地や先進施設の調査等の検討など研究が進められているところでございます。
 今後、地域が主体となって、地域の市町村、事業者が共同して処分場確保のために具体的な検討を進められることになれば、県といたしましても、技術的な指導、助言など協力するとともに、財政面での支援についても検討してまいりたいと考えてございます。
 なお、県としては、公共関与のあり方につきまして今後の課題として考えてまいりたいと考えてございます。
 最後の四点目でありますが、リサイクルシステムの確立に向けて、総合環境行政の推進を図る意味からも行政機構の整備が必要ではないかというご質問にお答えいたします。
 国では、平成十三年に予定されている省庁再編成の検討の中で、産業廃棄物行政の所管についても見直されるものと聞いてございます。県といたしましても、快適な生活環境の実現に向けて循環型社会の構築を目指し、総合的な廃棄物行政のあり方について研究を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 ご答弁ありがとうございました。
 今、大井部長からご答弁がありましたが、それに関連して、循環型社会の構築を目指す、そしてごみ減量をしていく地域のごみ処理広域化計画をしていく上では、現在の体制ではとても無理だと、日ごろそういう問題にかかわりながら感じております。総務部長におかれては、これから循環型社会を構築していく上で、庁内の十分な体制をとりながら、国自身は全省庁を挙げて取り組んでいるところでありますから、県内部においてもその体制を確立されることを要望しておきたいと思います。
 次に、農林水産部長に再質問させていただきます。
 今の答弁と昨日、一昨日の梅に関して総括的に感じるところで、当面何をしなければならないのかということについてお伺いしたい。
 その中で、とりわけ原因解明をしていく上でどうするのか。昨日、一昨日も含めて農林水産部長の、いろんな角度で調査する上で、ばいじん調査は科学的に評価し得る調査ではないと考える、ばいじんの直接暴露試験は科学的な評価に結びつかないという発言は、県の責任ある発言として受けとめてよろしいですかと聞きたいわけであります。県の言うこの説が通説ならそういうことも言えるかなと思いますが、先ほども述べたように、環境庁も酸性雨の定義を現在の科学的な調査の中での定義に変更しているわけであります。県が依頼した研究会の学者の先生方が個々の学説を唱えることは当然ですが、その学説が実証されず、何一つ解明すらできていないわけであります。その学者の学説のみを信頼しないで、ばいじんと樹体、ばいじんと水の融合による化学変化、ばいじんと葉面からの吸収等、立ち枯れと化石燃料からのばいじんとの関係を既に実証している学説を説いている学者がたくさんおるわけであります。これらを全く無視するのですか。これは、これから県と市町村、生産農家が一体になって研究体制に入るための試金石になっているわけであります。
 農林水産部長、今研究しなければならないテーマで、県が委託している学者は学者であって、その理論を展開するのは当然であります。しかし、その委託している一部の学者の学説だけでなく、歴史的に証明されてきている学説をも広く研究をして、この原因解明に取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。農林水産部長の再度の答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(宇治田栄蔵君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 農林水産部長島本隆生君。
  〔島本隆生君、登壇〕
○農林水産部長(島本隆生君) 原議員の再質問にお答えを申し上げたいと思います。
 今お話のございましたように、環境を中心とした説につきましては、科学者あるいは専門家はそれぞれ研究をされておりまして、専門的な立場からさまざまな見解があることは十分承知をしてございます。ただいま議員からいただきましたいろんなご提案の趣旨を踏まえまして、幅広い見地から取り組んでまいりたいと考えてございます。
○副議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 もう二十一世紀を迎えるわけですが、たまたま環境庁自身が二十世紀の環境問題に対する幾つかの教訓の中で二十一世紀に何をすべきかということを述べているのを抜粋してまいりました。それを知事並びに県当局の皆さんに参考にしていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
 一つは、四日市ぜんそくの裁判の判決内容であります。「人間の生命、身体に危険のあることを知りうる汚染物質の排出については、企業は経済性を度外視して、世界最高の技術・知識を動員して防止措置をすべき」だという判例が下されております。これに学ぶべきことは幾つかあると考えております。
 もう一つは、「過去の公害などの事例から学べることは、行政としても鳴らされた警鐘に謙虚に耳を傾けていく姿勢が必要であるということである。環境の変化やそれに伴う損失には不可逆なものがあった。失われた命や健康は、何にも代え難いものである。健康影響等の発生メカニズムの解明や、環境モニタリングをできる限り速やかに行い、科学的知見に基づいて対策を講じることが原則であるが、科学的知見が若干不十分な点があっても、まずは被害拡大の防止のための対策を講じ、逐次的に対策を修正していくなど人命や健康を十分に尊重した判断が極力速やかになされるべきである。過去の例では、必要な情報が必ずしも体系的に把握されず、行政としての対応が後手後手に回りがちであった」ということも言われております。大変学ぶべき点があります。
 最後に三つ目には、「生物の生態、生態系の機構、生物間の相互作用等は極めて複雑で、全容を明らかにすることは不可能に近い。我々が有している生物や生態系に関する情報は極めて少なく、往々にして手遅れになってから解明されることもある。自然環境への影響を評価する際には、我々が生物や生態系に関し、むしろ知っていることはわずかであるということを認識する謙虚さが求められている。 また、知見が少なくとも、その時々の最新の知見を基に、人間活動が自然に与える影響を事前に予測・評価し、その結果を踏まえて負荷を軽減するための対策を講じる必要がある。このため、自然環境に関する知見を常に最新のものとするよう調査を充実し、事前の予測・評価のためにその結果が広く活用されるような形で蓄積・提供することが重要である」と書かれております。
 以上で終わります。
○副議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は十二月十三日再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時三十九分散会

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